「日本が武器輸出規制を緩和、ライセンス生産ミサイルを米国に逆輸出へ」(RFI・BBC NEWS JAPAN・DW English・Pars Today)

「日本が武器輸出規制を緩和、ライセンス生産ミサイルを米国に逆輸出へ」(RFIBBC NEWS JAPAN・DW English・Pars Today)









(Le Japon assouplit ses restrictions aux exportations d'armes: RFI)

https://www.rfi.fr/fr/asie-pacifique/20231222-le-japon-assouplit-ses-restrictions-aux-exportations-d-armes





日本が武器輸出規制を緩和する





日本は米国にパトリオット・ミサイルを供与し、ワシントンがウクライナ向けミサイルの供与を増やせるようにするために武器輸出規制を緩和した。平和憲法を持つこの国がこのような武器輸出規制の見直しを行うのは10年振りだ。





発表 2023年12月22日 12:29  更新 2023年12月22日 16:31







2013年2月、カリフォルニアで実施された米日合同軍事演習。





記者 RFI






報告 RFI東京特約記者、フレデリック・シャルル





日本は、日本企業・三菱重工ライセンス生産した地対空パトリオットミサイルを米国に向けて輸出する準備を進めている。



日本は海外、特に戦争状態にある国への致死兵器の供与を禁止している。これまでは一部同盟国への部品販売だけが出来たが、完成品を供給する権利を持たなかった。



日本は米国にパトリオット・ミサイルを供与することになった。同盟国であり保護国でもある米国がミサイル備蓄を増やせるようにし、更にはウクライナを始めとする戦争中の同盟国のニーズにより良く対応するようにするためにだ。



その後、日本は日本で製作したミサイルを米国に譲渡し、ワシントンがウクライナのような攻撃を受けている国にそれらの供与を許可するかも知れない。



しかし、第3国への再輸出には全て日本政府の許可が必要となりそうだ。



武器輸出を更に自由化するには、日本政府は連立与党の主要パートナーである仏教団体・創価学会公明党の抵抗を克服する必要がある。同党は平和憲法の守護者でありたいと望んでいる。





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日本政府は中国による台湾侵攻の可能性を踏まえ、中東情勢よりもウクライナ情勢を懸念している。





ワシントンは日本の決定を「歓迎」する



米国政府はホワイトハウスの声明の中で、ウクライナへの軍事援助によって枯渇した米国の「在庫を補充する」ために、米国が設計したパトリオット防空システムを譲渡するという日本の決定を「歓迎」した。



ジェイク・サリバン国家安全保障担当大統領補佐官は、ジョー・バイデン米大統領岸田文雄・日本首相に「非常に感謝している」と述べ、この決定は「[…]米軍が信じるに足る抑止力と対応能力の維持することを保証することにより、日本の安全保障に貢献した」との考えを示した。





►これも読む:日本が更に軍事予算を増額する[投稿者の和訳





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BBC NEWS JAPAN)

https://www.bbc.com/japanese/67809197





日本、アメリカにパトリオット・ミサイル輸出へ 「防衛装備移転三原則」を改定





2023年12月23日



大井真理子BBCニュース







Getty Images





日本政府は22日、「防衛装備移転三原則」を改定し、地対空迎撃ミサイル「パトリオット」をアメリカへに輸出する方針を決定した。長年の平和主義政策からの転換となる。





ホワイトハウスはこの動きを歓迎している。アメリカは日本のこの決定によって、自国の備蓄ミサイルをウクライナに送れるようになる。



西側諸国では、ロシアの侵攻を受けているウクライナへの弾薬供給が不足している。



パトリオット・ミサイルは、アメリカがウクライナに供給している中でも最先端の兵器の一つ。



日本はこれまで、ライセンスを持つ企業のある国から受注した「ライセンス生産品」の部品のみ、ライセンス元の国に送ることを認めていた。しかし新ルールでは、完成品も送ることができる。



政府が三原則の改定を発表した直後、外務省は自衛隊保有するパトリオット・ミサイルの米軍への移転を発表した。声明で、同ミサイルを「米国に移転し、米軍の在庫を補完することは、米国との安全保障・防衛協力の強化に資するとともに、我が国の安全保障及びインド太平洋地域の平和と安定に寄与するものであることを日米間で確認しており、我が国の安全保障の観点から積極的な意義を有する」と説明している。



また、インド太平洋地域以外に展開する米軍を含むアメリカ政府以外へ、さらに提供されないこと、目的外の使用や第三国への移転については、日本の事前同意を得ることを「米国政府に義務付ける」ことなどが、発表に盛り込まれている。



日本は引き続き、戦争当事者への武器輸出を禁止している。



ただし、今回の改正によって、アメリカは日本製のパトリオット・ミサイルで自国の備蓄を補充できるようになる。そうすれば、アメリカ政府は自国製の同型ミサイルをウクライナに送れるようになる。



日本では、アメリカ防衛大手ロッキード・マーティンとRTXのライセンスの下、三菱重工パトリオット・ミサイルを製造している。



アメリカはかねて、日本に武器輸出のルール見直しを求めていたとされる。ルール変更は2014年以来となる。



連邦議会は12月初め、ウクライナへの600億ドル相当の軍事支援を含む大型支出法案を否決ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領はアメリカを訪問し、議会幹部らとも協議を重ねたが、交渉は実らなかった。



ウクライナは、国際社会の援助が減少しているため、すでに軍事作戦の縮小を余儀なくされていると警告している。ウクライナは数カ月前から、アメリカに防空支援の強化を求めている。



パトリオット・ミサイルに加えて、英紙フィナンシャル・タイムズは21日、日本が現在、英防衛大手BAEシステムズからライセンスを受けて製造している155ミリ砲弾について、イギリスへの輸出を検討していると、消息筋の話として伝えた。



どの部品をどの国に輸出するかは、日本の国家安全保障会議NSC)がケースバイケースで決定することになる見通し。



今回のルール変更は、日本が長年の平和主義的な姿勢と自ら葛藤する中で行われた。



第2次世界大戦後、日本は自衛を除いて戦争を禁止する憲法を採択した。憲法は軍隊を公式に認めず、自衛能力に限定している。



当初制定された「武器輸出三原則」は武器輸出を全面禁止していたが、2014年の安倍政権下で50年ぶりに緩和され、「防衛装備移転三原則」となった。この動きに、中国は疑念を抱いた。



日本はさらに昨年、中国と北朝鮮の脅威を理由に、2027年までに防衛費を国内総生産GDP)の2%に倍増させると発表している。



日本が懸念を抱いているのは中国の軍拡の動きだ。もし台湾で紛争が起きれば、日本は米中戦争に巻き込まれるだけでなく、アメリカの同盟国として標的にされる可能性がある。日本には米軍基地があり、アメリカ国外では最大の兵力が集中している。



日本にとって北朝鮮もまた常時、国の存亡がかかる危険要素であり続ける。北朝鮮の今年のミサイル発射回数は過去最多で、そのうちの数発は、日本上空を通過した。それだけに、北朝鮮の核開発への野心に対して、危機感は高まっている。





(英語記事 Japan to send Patriot missiles to US which may aid Ukraine





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(Japan approves record $56 billion military spending: DW English)

https://www.dw.com/en/japan-approves-record-56-billion-military-spending/a-67803638





政治|日本





日本が過去最高となる560億ドルの軍事費を承認する





2023年12月23日





日本は軍事費について戦後に続けた考え方を大きく変え、過去最高水準の防衛費を承認した。また、日本はほぼ10年振りに武器輸出規制を緩和する。







日本も武器輸出法の一部緩和も行う予定だ

Image: AFLO/IMAGO






過去最高の軍事予算に基づき、日本の防衛費は来年16%以上増加する。



日本北朝鮮という地域的脅威に直面しており、資金注入は長射程巡航ミサイルの配備加速を意図したものだ。



また、内閣が承認した予算では、日本の部隊が同盟国と協力して更に攻撃的な役割を引き受けるよう、F-35ステルス戦闘機やその他の米国製兵器を購入して軍を更に強化する。



岸田文雄政権が1年前に採用した新たな安全保障戦略に基づく、5年間の軍備増強プログラムの2年目となる3月に始まる2024会計年度には、防衛予算は7兆9500億円(約560億ドル、500億ユーロ)となった。





日本の動きはドイツの軍事情勢の変化に影響を受ける



この発表は、国の武力行使を自衛目的に限定するという戦後日本の原則からの大きな決別を示唆する。防衛予算は112.7兆円の国家予算計画の一部であり、これから議会の承認が必要だ。



第2次世界大戦のもう1つの主要な敗戦国であるドイツもここ数十年の今の時代、軍事費と軍事活動の拡大を目指してきた。コソボアフガニスタンなどへの配備から始まったこの過程において最近かつ最大の切っ掛けとなったのは、2022年のロシアによるウクライナ侵攻であり、その後ドイツは国防予算を増額し、2023年の総支出額は600億ユーロ強(政府の本予算に含まれない補正予算も含む)に達した 。



日本は軍事力強化のために2027年までに43兆円を支出し、年間支出を2倍近くの約10兆円に増やす計画だ。



この予算は日本の武器購入費を12年間増加させる。昨年、政府は6兆8000億円の予算を計上した。



この動きは、2014年に武器輸出禁止が最初に緩和されてから初の大きな見直しだ。日本の外務省は、この変更は2国間の安全保障協力やインド太平洋の平和と安定の強化に貢献すると述べたが、反対派は日本製の武器が紛争の激化を促すことになると述べた。







日本の岸田文雄首相(左から2人目)はこの1年間、防衛に多額の投資を行っている

Image: Yoshio Tsunoda/AFLO/IMAGO






日本も武器輸出規制も緩和する



日本は金曜日、2014年に全ての軍事輸出の完全な禁止を解除して以来、ほぼ10年振りに武器輸出規制を緩和した。



この新規則により、日本は「外国企業のライセンスに基づいて国内で製造された武器をライセンス供与国に輸出できるようになる」と、内閣の国家安全保障当局者は内閣の承認前にAFP通信に語った。



これは、米国の同盟国である日本が米国のパトリオットミサイル防衛システム用に独自に製造したミサイルをワシントンに販売することを可能にする動きだ。これがひいては、ウクライナへの大規模な寄付の最中で在庫が減少傾向にある米国を助ける可能性がある。しかし、日本はワシントンに販売するミサイルについてはインド太平洋地域に配備しなければ成らないと規定すると予想される。それでも、ワシントンはこれにより現在アジアで保有する武器弾薬類を移転できるように成るかも知れない。



金曜日に内閣が承認した後の政府文書には、「防衛装備品の適切な海外移転は…国際の平和と安全に貢献し、また、安全保障分野における同盟国や米国との協力を強化する」と述べられた。





mds/msh (AP, AFP)





関連テーマ 福島 日本












(Pars Today)

https://parstoday.ir/ja/news/world-i121814





ロシアが日本のパトリオット輸出に警告





12月 28, 2023 19:40 Asia/Tokyo







ロシア外務省のザハロワ報道官





ロシア外務省のザハロワ報道官は、日本が自衛隊保有パトリオットミサイルウクライナ支援のために米国に輸出する方針を示したことについて「深刻な結果をもたらす」と警告しました。





日本政府は22日、防衛装備移転三原則と運用指針を約10年ぶりに改定したことをうけ、国内製の地対空誘導弾パトリオットミサイルを米国に輸出することを決定しました。



ロイター通信によりますと、ロシア外務省のザハロワ報道官はこれについて、「日本は武器について制御を失い、いまや米政府はやりたいことができる。これが最終的にウクライナに提供されることになれば、見て見ぬふりをすることはできない」と述べました。



そして、「(ミサイルがウクライナに渡れば)明らかにロシアへの敵対行為と解釈され、両国関係において重大な結果につながる」と警告しました。



日露関係は昨年のウクライナ戦争勃発以降、日本が欧米諸国に同調し対露制裁を発動したことで、悪化の一途をたどっています。





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タグ 日本 ロシア 日露関係









(投稿者より)



日本の駐露大使は上述のロシア側の懸念を受けて、ロシアの副外相に「ミサイル移転の決定は日本の安全保障とアジア太平洋の平和と安定を目的にしており、ウクライナでミサイルを使うことは想定していない」と説明したようです。



今回の決定は日本が間接的にウクライナに向けて武器を輸出する結果となり得るものです。紛争はロシアの勝利で実質的に決着が付いており、武器を今更ウクライナに送ったところで状況に変化はありませんが、これがロシアとの関係を決定的に悪化するものであることは覚悟しておく必要がありそうです。



現在、米軍は武器も人員も深刻に不足しています。米国が自国の防衛を全うできない状況になることは日米同盟の前提として想定されて無かった筈です。日本の防衛の在り方や米国との同盟関係の在り方について改めて考える時期に来ているのだと思います。



本題とはズレますが、一部の欧州の国は在留するウクライナ国民に兵役のために帰国するよう促しています。当局が街角で市民を捕まえてそのまま前線に送り込む動きも続いているようです。以前にナチズムを受け入れ国内のロシア人同胞の迫害に喝采を送ったツケは何処までも回って来るようです。



日本の国内にもヘイトの種は存在します。せめて「因果は巡る」という真理は肝に銘じておきたいものです。