「裏金疑惑が自民党を揺るがす」(RFI・BBC NEWS JAPAN)
(Japon: un scandale de caisses noires noire fait souffler un vent de panique sur le parti au pouvoir: RFI)
https://www.rfi.fr/fr/podcasts/%C3%A0-la-une-en-asie/20231222-japon-un-scandale-de-caisses-noires-noire-fait-souffler-un-vent-de-panique-sur-le-parti-au-pouvoir
日本:裏金疑惑が与党にパニックの風を吹かせている
発表 2023 年 12 月 22 日 08:11
この裏金疑惑への大きな反響は日本政府を揺るがし、不人気な岸田文雄首相の勢いを弱めている。捜査は進行中であり、首相は既に閣僚の交代を余儀なくされた。自民党(LDP)の舞台裏ではパニックの風が吹いている。なぜなら、最早この大掃除は党の大物たちに容赦しないからだ。
2023年12月13日、東京・首相官邸の記者会見で岸田文雄・日本首相が考えを述べる。岸田首相は、政治資金集めの疑惑に関与した数人の閣僚を入れ替えると述べた。via REUTERS - POOL
岸田文雄首相は「火の玉の速さで」行動すると約束した。今回の党内の人事は「国民の信頼を取り戻すために党の中を整理する」彼の試みの1つだと、ジャパン・タイムズは書いている。
既に閣僚4人が内閣から去り[投稿者の和訳]、粛清は更に続いている。12月21日木曜日、首相は自民党の大物2人に離党を要請した。彼らもまた自民党の主要派閥である「清和政策研究会」のメンバーだ。非常に保守的なこの派閥については、政権に対して常に自分たちの決定を飲ませてきたと言われている。昨年暗殺されるまで、安倍晋三元首相がこの集団を率いていた。
今日、この自民党内の派閥は裏金疑惑の中心にいることに気づいた。この不正資金疑惑は、資金集めのためのパーティー券の過大請求を利用して、数十人の与党議員が違法に私腹を肥やすことが出来たというものだ。お金はその後で、申告の無いままその党員たちの懐に入ったようだ。このシステムは簡単で美味しいもので、このようにして5年間で約5億円、つまり、320 万ユーロ相当のお金が保守政党の大物たちの懐に入る結果になった。
検察は自民党の6派閥のうち5つを捜査しているが、特に有名な「清和」会に関心を示している。ちなみに、「清和」とは正直な政治が国民に平穏を齎すという意味だが、そこは全く平穏ではない。今週、捜査員が99人の議員を抱えるこの派閥本部の家宅捜索に入った。つまり、ほぼ70年間日本の政界を支配してきたこの政党にパニックの風が吹いている。日刊紙ジャパン・タイムズは、特に辞任した防衛副大臣が自派閥の慣行について「黙秘せよ」との命令を受けたと主張して以来、この有力派閥がスキャンダルの重みで崩壊する危険に晒されているのではないかと既に自問している。
首相が倒れる危険はあるのか?理論上、岸田文雄氏は2025年まで権力に留まることが出来るが、地元メディアは既にこの危機が実際に政権に引導を渡す可能性があると推測している。首相の人気は衰える一方だ。同氏は来年秋に解散総選挙の実施を余儀なくされる可能性がある。そのため、この党内の大掃除と党の政治家を改革する彼の能力に多くが掛かっている。
記者:ヘイケ・シュミット
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日本 岸田文雄
(BBC NEWS JAPAN)
https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-67800084
【解説】 日本政治を揺るがす裏金疑惑 岸田政権はどうなるのか
2023年12月23日
フランシス・マオ、BBCニュース
EPA
辞任に追い込まれた松野博一官房長官(右)の前を通過する岸田文雄首相(中)
日本の政治が数十年に一度といわれる危機を迎えている。裏金疑惑に揺れる政府は、イメージの回復に躍起となっている。
どうにか政権を延命させようと岸田文雄首相が奮闘するなか、この2週間で、長期与党・自民党の閣僚4人が辞任した。
内閣支持率は、過去10年超で最低の17%にまで落ち込んでいる。
国民の怒りはソーシャルメディアで沸騰している。
今の事態が、日本の統治の改革につながる転換点となることを期待する声もある。しかし、問題の焦点は自民党だという声もある。1955年から、ほぼ一貫して日本を支配してきた自民党なのだと。
自民党は以前から、同じようなスキャンダルを引き起こしてきた。アジアの民主主義をリードする日本の有権者が幻滅して、冷ややかなのは、それも理由の一部だとアナリストらは話す。
どんなスキャンダルなのか
日本のメディアは数カ月前から、自民党の議員らが派閥の政治資金集めのパーティー収入の一部を懐に入れているとの疑惑について報じてきた。
疑惑報道の大部分は、昨年暗殺された安倍晋三元首相が率いていた有力派閥、安倍派に関するものだ。
安倍派は議員99人が所属する、最大派閥だ。最近まで内閣の最重要ポストをいくつか押さえていた。
その所属議員らが少なくとも計5億円を裏金にしてきたとの、疑いが持ち上がっている。一部メディアは、総額は10億円近くに達すると報じている。
検察は今週、安倍派と、別の有力派閥の二階派の事務所を家宅捜索した。さらに、自民党の6派閥のうち岸田首相の岸田派を含む5派閥について、パーティー収入の過少申告の疑いなどで捜査しているとされる。
Reuters
裏金疑惑を受けて辞任した宮下一郎農相、西村康稔経済産業相、鈴木淳司総務相、松野博一官房長官(左から)
日本では、政治家がイベントを主催し、チケットの売り上げで政治資金を集めるのは一般的だ。だが今回、多くの自民党議員らは、派閥パーティーのチケット収入の「キックバック」を受けながら、政治資金収支報告書に記載せず、懐に入れたり裏金にしたりした疑いがもたれている。
裏金が政治ネットワークの維持や増強に使われることは、日本の政治ではよく見られることだと、静岡県立大学の竹下誠二郎教授(経営情報学)は話す。
「日本で国会議員の地位を保とうとすれば、仲間を大切にすることが求められる。県や市町村で支えてくれる人たちや地方政治家たちだ」
「私の考えだが、そうした人々に賄賂を贈るには現金が必要だ。正式な方法での寄付は禁止されていて、もうできないからだ」
政治資金をめぐる不正疑惑への国民の怒りが高まるなか、松野博一官房長官ら岸田内閣の4閣僚が辞任した。
松野氏は岸田首相の右腕として政府全体で政策を調整し、政府の「顔」の役割も果たしていた。辞任の数日前には野党が松野官房長官の不信任決議案を提出したが、岸田氏は松野氏を擁護した。
しかし、辞任を求める圧力は強まった。岸田氏は松野氏と、安倍派の他の3閣僚(西村康稔経済産業相、鈴木淳司総務相、宮下一郎農相)および宮澤博行防衛副大臣ら5副大臣を交代させざるを得なくなった。
首相はどうなのか
岸田首相は、捜査対象の2大派閥に関わっていない。ただ、岸田派でも実際の収入より少ない金額が政治資金収支報告書に記載されていた疑いがあると報じられている。
岸田氏自身はこれまでのところ、不正への関与は取りざたされていない。今月7日には自分が率いる岸田派(宏池会)の会長を退くと表明した。
さらに岸田氏は、政治の浄化を約束。政治資金規正法改正の可能性も示しながら、「火の玉」となって信頼回復に取り組むと決意を述べた。
Getty Images
自民党の派閥事務所に検察官らが家宅捜索に入った
しかし、岸田氏が国民の信頼を失っていることは、下がり続ける世論調査の支持率に表れていると、アナリストらはみている。
岸田氏は2021年10月、当時の安倍首相に代わる自民党党首に選出された。対立する各派閥から、仕事を任せられる人物だとみなされた。
だが、首相就任後は数々のスキャンダルに見舞われてきた。自民党と旧統一教会とのつながりが批判され、自らの息子が首相官邸をパーティーに利用していたことが問題視されるなどした。
数十年ぶりのインフレ高進に各家庭が直面するなか、有権者らの間には、生活費上昇の危機に対する不満や不安が広がっている。
岸田氏にとって救いは、自民党の党首選が来年9月までないことだろう。河野太郎デジタル相や石破茂氏のような潜在的なライバルは、国民に人気があるが、党内の支持を欠いている。
総選挙も、衆院の解散がなければ2025年までない。そのうえ、野党はあまりに弱く、分裂し、あるいは単に「無能」とみられていると、前出の竹下教授は言う。
竹下教授によると、国民の多くはまだ、2009~2012年の民主党政権時代の影響から抜け出せていない。この間、福島原子力発電所はメルトダウンを起こし、多くの人が日本経済が壊滅的な打撃を受けた時期だと考えている。
民主党は官僚組織との連携に苦慮していたとも、アナリストらはみている。
冷めていく有権者
現実的に政権を取って代わる党がないことが、自民党の不正スキャンダルが明るみになるたび、有権者らが冷めた気持ちになっていく理由の一つとなっている。
「自民党の汚職や不正を目の当たりにして、人々は非常にネガティブな気持ちになる。だが、投票してもしなくても大して変わらないと考えている」と竹下教授は言う。
「日本の国民の間で投票率や政治への関心が最低レベルまで落ちているのは、そのためだ」
そうした考えから、今回の事態が自民党支配を終わらせたり、日本の政治を大きく再定義したりすることは望めないと、竹下教授のようなアナリストたちはみている。
代わりに注目しているのが、これが自民党政治にどう影響するかだ。有力者が排除されることで、減税から外交問題、さらには首相の主要政策である防衛強化に至るまで、政府の方針が変わる可能性がある。
竹下教授は、政治資金に関して規制が強化され、より厳しい報告制度が導入される可能性が高いと話す。
しかし、そうした変化は必ずしも大きな改革につながるとは限らないし、自民党の基盤を崩すことになるとも限らない。
「今回のは岸田氏が(自民党の)コンセンサスを得て大改革をするほどのスキャンダルではない」と竹下教授は言う。
「この政治資金の集め方で利益を得ている人が、日本には大勢いる。国の現状とはそういうものだと、承知している人たちだ。そして、まさに現状の打破こそ、日本人が嫌うものだ」
(英語記事 Corruption allegations rock Japanese politics)
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(投稿者より)
「12月21日木曜日、首相は自民党の大物2人に離党を要請した。」«Jeudi 21 décembre, le chef du gouvernement a prié deux barons du Parti libéral démocrate de prendre la porte. »そのような報道はなかったようですが、水面下でそのような話はあったのかも知れません。
他にも故意としか思えない程に国民の嫌がる政策を次々と打ち出しているところから、岸田氏の役割は徳川慶喜氏や西郷隆盛氏のように自民党政治の幕を中から降ろすことだろうと思いつつ、成り行きを見守っています。。