「日本製鉄がUSスチールを買収へ、労組と議会の反対が課題」(VOA・RT・RFI)

「日本製鉄がUSスチールを買収へ、労組と議会の反対が課題」(VOA・RT・RFI









(US Steel Agrees to Be Bought by Japan's Nippon Steel Corporation: VOA)

https://www.voanews.com/a/us-steel-agrees-to-be-bought-by-japan-s-nippon-steel-corporation/7403083.html





USスチール、日本の日本製鉄による買収に合意





2023年12月18日 3:28 PM 更新 2023年12月18日 3:37 PM

 



ロビン・ゲス








ペンシルベニア州ブラドックにあるUSスチールエドガー・トムソン工場の一部(2023年12月18日撮影)。国の工業化に重要な役割を果たしたUSスチールは、約141億ドル相当額の取引で日本の日本製鉄に売却されることに合意した。





米国で最も古く、最も象徴的な企業の1つであるユナイテッド・ステイツ・スチール・コーポレーションは月曜日、日本最大の鉄鋼会社である日本製鉄株式会社(NSC)に売却されることに合意した。



USスチールは8月から競売に掛けられており、この日本製鉄からの現金買取の取引では141億ドルという最高値が付けられた。合意にはUSスチールが抱える債務全額の肩代わりも含まれ、これを合わせると149億ドル相当の取引になる。



USスチールのデビッド・B・ブリット社長兼CEOは、「日本製鉄には世界中で製鉄所施設の買収・運営・投資を行ってきた確たる実績があり、当社の戦略がそうであるように、この組み合わせが全員にとって真に最善であると私たちは確信している」と、プレスリリースで述べた。



日本製鉄の橋本英二社長は声明で、「私たちは両社の最善を結集し、『世界をリードする能力を持った最高の鉄鋼メーカー』として共に前進するために、USスチールのチームと緊密に連携することを期待している」と述べた。



この合意の発表によりUSスチールの株価は金融市場で急騰し、株主たちの株式の価値は25%を超えて上昇した。更に今回の合意の一部として、日本製鉄はUSスチール労働組合との契約や協定を全て引き継ぎ、社名を保持し、ペンシルベニア州ピッツバーグの本社を維持することになる。



これらの諸保証にも係わらず、全米鉄鋼労働組合(USW)はこの合意に対して直ちに非常に批判的で明確な反対を示した。USスチールには同労組の組合員が1万1000人おり、その指導部は合意を阻止する計画を明らかにし、米国の規制当局に合意を拒否するよう促した。



USスチールと日本製鉄との合意の発表には、控え目に言っても失望している。なぜなら、これが示すものは余りにも長い間USスチールを動かしてきた、貪欲で近視眼的な姿勢と同じものだからだ」と、同労組のデービッド・マッコール会長は声明で述べた。







2023年11月7日に共同通信が撮影した、東京の東・君津の日本製鉄東日本製鉄所君津地区の航空写真。(Kyodo via Reuters)





日本製鉄によるUSスチール買収の提案は成立には程遠い。世界中の全米鉄鋼労働組合の組合員120万人の反対を克服することに加え、この合意は対米外国投資委員会(CFIUS)により検討されることが予想される。同委員会は、米国内における外国による投資取引と、それが国家安全保障に与える潜在的な影響を調査している。



委員会が合意を検討するのに45日、調査には更に45日掛かる可能性がある。その後、15日間の大統領審査期間が設けられる。つまり、日本製鉄によるUSスチール買収が実際に承認または拒否されるまでには何ヵ月も掛かる可能性がある。



VOAは同委員会に対し合意の検討がいつ始まるかを尋ねたが、委員会はコメントを拒否した。



しかし、日本製鉄とUSスチールは2024年の第3四半期までに取引が完了するとの楽観的な見方を示している。



創立122年の US スチールは、かつては世界最大かつ最も時価総額の高い企業であり、時価総額が10億ドルを超えた最初の企業だった。しかし、同社は長年に亘る衰退を経て、鉄鋼製造工程と工場の近代化に失敗したなどの原因のために、現在は苦境にあると一部の評論家は指摘する。











(American steelmaking giant sold to foreign company: RT)

https://www.rt.com/business/589292-us-steel-sold-to-nippon-steel/





2023年12月18日 22:09/ホームビジネス・ニュース





米鉄鋼大手が外国企業に売却





日本の日本製鉄はUSスチールの経営権を149億ドルの価格で取得することに合意した。







イリノイ州ラニットシティにあるUSスチールの工場。Joseph Sohm/Universal Images Group via Getty Images





米国の工業化の象徴であり、かつては地球上最大の企業だったUSスチールは、149億ドルの取引で日本の日本製鉄による経営権取得に合意したが、ワシントンの2大政党の議員たちはこの取引を阻止すると誓っている。



月曜日、両社はこの合意を発表し、新日鉄USスチール株1株当たり現金55ドル、つまり、約141億ドルを支払うと述べた。また、買い手は約8億ドルの債務を肩代わりする。USスチールは株主と政府の承認を待って、取引を2024年の第2四半期か第3四半期に完了すると予想していると述べた。



この買収価格は、発表前のUSスチールの株価に40%のプレミアムを付けており、国内の競合会社クリーブランド・クリフス社からの7月の買収提案を拒否した際よりも57%高い。USスチールは売却完了後も本社をピッツバーグに残す計画だが、東京に本社を置く日本製鉄の子会社となる。







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ペンシルベニア州のジョン・フェッターマン民主党上院議員は「外国企業がUSスチールを獲得することは労働者にもペンシルベニア州にも悪いことだ。私は阻止のために出来る限りのことをする」と述べた。同氏は、外国人の買い手に同社を売却することは「全く許し難い」と述べ、「鉄鋼には安全が常に大切だ」と付け加えた。



隣のオハイオ州選出のJ・D・バンス共和党上院議員もこれに同意し、買収の完了を阻止するために全力を尽くすと述べた。「今日、米国の防衛産業基盤の重要な部分が外国人に現金で競り落とされた」と、彼は語った。 「私はこの結果について数ヵ月前に警告しており、数ヵ月後には反対する考えだ。」



1901年にアンドリュー・カーネギー、J・P・モルガン、チャールズ・シュワブによって設立されたUSスチールは、当時の米国の鉄鋼生産量の約3分の2を占めた。第2次世界大戦中には34万人を超える従業員を抱え、米国の優越した防衛生産のために重要な役割を果たした。





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同社は現在、米国の鉄鋼メーカーの中でニューコア社とクリーブランド・クリフス社に次ぐ第3位に過ぎないが、約2万2000人の従業員を雇用している。USスチールの約9倍の生産量を持つ中国・宝武集団など、海外のライバル企業に比べれば小さく見える。中国・宝武の年間生産量が1億3,200万トンであるのに対し、日本製鉄はUSスチールと合算しても年間生産量が9,000万トンに満たない。





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(États-Unis: la pression politique monte autour du rachat de U.S Steel par Nippon Steel: RFI)

https://www.rfi.fr/fr/%C3%A9conomie/20231222-%C3%A9tats-unis-la-pression-politique-monte-autour-du-rachat-de-u-s-steel-par-nippon-steel





米国:日本製鉄によるUSスチール買収をめぐり政治的圧力が高まる





ジョー・バイデン米大統領は国家安全保障とサプライチェーンの安全性の観点から「徹底的な精査」を求めている。また、この取引は同社の労働組合や一部の米国議員の好みにも合わない。





発表 2023年12月22日 16:05







東京の本社に掲げられた日本製鉄のロゴ。2019年5月1日に共同通信が撮影。 via REUTERS - KYODO





記者 RFI






米大統領は、「外国企業によるこの象徴的な米国企業の買収は、たとえそれが緊密な同盟国であっても、国家安全保障とサプライチェーンの安全性[…]の観点から徹底的な精査に値しそうだ」と考えていると、ジョー・バイデン氏の最高経済顧問ラエル・ブレイナード氏は声明で述べた。大統領はUSスチールが「国家安全保障にとって不可欠」だと考えていることを、彼女は強調した。



両社の取締役会が買収の契約を承認したのは先週の月曜日だった。そして合意条件に基づき、日本の製鉄業者・日本製鉄は米国の鉄鋼メーカー・USスチールを手に入れるために149億ドルを支払うことになった。



日本は同盟国だが、この取引は直ちに一部の共和・民主両党の上院議員から国家安全保障上の理由による批判を招いた。議員たちは政府に計画の中止を求めた。



有力な金属労組・USWも同様にこれに反対している。鉄鋼は確かに米国経済の柱だ。



2期目の選挙戦において、ジョー・バイデン氏はこれらの抗議活動に無関心では居続けられないだろう。特に、彼は米国の産業主権の擁護者を自任するだけにこれは尚のことだ。このため、これらの外国投資のリスク評価を担当する米政府機関による調査が今後に実施される予定だ。



調査によりリスクが存在するとの結論が出た場合、米大統領が最終決定を下すことになる。





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(投稿者より)



"The deal's announcement has caused U.S. Steel's stock to soar on the financial markets with the value of stockholders' shares increasing by more than 25%."「この合意の発表によりUSスチールの株価は金融市場で急騰し、株主たちの株式の価値は25%を超えて上昇した。」 一方、発表後の東京市場における日本製鉄の株式は一時6%値を下げました。要は「買収価格が高すぎる」ということのようですが、安値で買い叩くよりも高値で引き取った方が売り手の心証が良いことも事実です。



1980年代バブルの末期に三菱がロックフェラー・センターを買収して踏んだり蹴ったりの結果になったことも思い出しましたが、製造業においては以前から、日本が米国に投資して米国の雇用を支え、日本がその見返りに米国市場で商売をさせて頂いて売上とシェアを取るという関係が好循環を生んでいたようにも思えます。



今回はどちらに転ぶでしょうか?