「福島:汚染水の放出計画に対する周辺諸国の懸念、特に、中国」(RFI・VOA NEWS)

「フクシマ:汚染水の放出計画に対する周辺諸国の懸念、特に、中国」(RFIVOA NEWS)









(Libération de l'eau de la centrale de Fukushima: bataille diplomatique entre Pékin et Tokyo: RFI)

https://www.rfi.fr/fr/asie-pacifique/20230629-lib%C3%A9ration-de-l-eau-de-la-centrale-de-fukushima-bataille-diplomatique-entre-p%C3%A9kin-et-tokyo





福島原発からの水の放出:北京と東京の外交闘争





この水が中国と日本の間に騒動を引き起こしている。大災害から12年が経ち、列島は福島原発からの処理済みではあるが僅かに汚染された水を海洋に放出する準備を進めている。この作業は今夏に開始される予定だ。これが両国の間で専門家たちや本物の外交戦要員たちの闘いを引き起こした。





発表 2023年6月29日 08:53・更新 2023年6月29 日 12:16







東北地方の福島県大熊町にある東京電力福島第一原子力発電所の汚染水貯蔵タンク。 AP - Tomohiro Ohsumi





ステファン・ラガルド





RFI北京特約記者より、





2011 年 3 月 11 日の津波は日本で人々の記憶に焼き付いただけでなく、北東アジアの諸隣国もこの自然災害、そして、これに続く原子力災害の2重災害を覚えている。福島第一発電所で突然発生したこの事故では、メルトダウンを起こした3基の原子炉を冷却するために驚異的な量の水を必要とした。日本の当局は2021年4月13日、放射性元素で汚染された雨水と地下水の合計130万トンを超える水を10年間掛けて海洋で希釈すると決定した。





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一方的な決定



「日本は汚染水の海洋放出を一方的に決定した。これは、中国や世界各国の国民の利益を完全に軽視したものだ」と、北京での記者会見で孫暁波(Sun Xiaobo)氏が言い切った。この中国外務省の軍備管理・拡散部門の責任者は、福島からの汚染水除去は如何なる場合においても日本の内輪の問題ではないため、これは無責任だと付け加えた。



「中国が不当に介入するというが、実際は違う」と、中国外交団は同盟国を動員し、ロシアと共同で書面による質問リストを日本側に送り反論した。日本側では専門家たちが耳を傾けたい者たちに向けて、汚染処理水にはトリチウムを主とする放射性物質が非常に僅かしか含まれていないと繰り返し述べている。



しかし、日本政府が纏めた文書―日本の日刊紙・読売がその立派な文書を掲載している―によると、中国の原子力発電所福島原発で想定される放出量の6.5倍の水準のトリチウムを含む水を放出している。







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名誉を懸けて



日本外交団も同様に机とマイクを持ち出した。 珍しいことに、北京の日本大使館も最近、中国の外国人記者たちに3つのメッセージを伝えるために説明会を開催した。「水は処理を済ませてから放出され、一度海水に希釈されると環境と人体の健康への危険は無くなる」と、その時の説明会では日本政府の当局者が説明した。「第2に、作業の全体はIAEAによる綿密な検査の対象となる。第3に、この作業の本当のリスクは、福島の住民たちの評判と生命を損ねる誤情報に関連するものだ。



東京も北京も、科学的・生態学的議論に加えて、1,000基を超えるタンクに入った原発汚染水「放出」の背景には、日本のイメージの問題が懸かっていることを十分に理解している。



日本政府が懸念しているのは、まず第1に、これが日本とその経済、特に漁業と農業の分野に与える影響だ。説明会の中で配布された世論調査の結果よると、福島県民の41%が風評や経済のリスクを心配し、12%が産業の衰退を、11%が健康上の偏見を怖れている。





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ゴジラを海洋へ



福島の放射性の水の処分には、地下埋設による保管・大気中への蒸発・海洋放出など5つの選択肢が提示された。国際原子力機関IAEA)は「調整された海洋放出」を支持している。



しかし、中国側は原発の所有者・東電が使用するALPS(多核種除去設備)と呼ばれる水処理システムに納得していない。中国の専門家たちはドイツの警告的な研究に言及している。この専門家たちによれば、研究には「放射性物質は放流から50日後に太平洋全体に、10年後に世界中の海域に広がる怖れがある」と述べられている。



李馳江(Li Chijiang)氏は、自身の以前からの考えを日本映画の観点から分かりやすく手直しした。「日本が望む汚染水の放出は、巨大生物を太平洋に解き放つことに等しい」と、この中国政府付属シンクタンクの事務局長は主張する。「このゴジラのようなものは人々と海洋環境に深刻な危険を齎す。そして、日本政府が任命した専門家委員会がこれが最も安上がりな解決策であると認識したとしても、太平洋は日本のゴミ箱ではない。」







海は人類共通の財産





ここ数週間、講演や会議で同じ言葉をよく耳にするようになった。更に6月7日、環球時報の質問に答えた中国外務省報道官は、次のように述べた。「海洋は公共財であり、日本の私有下水道ではない。」



更に中国外務省は6月28日水曜日、日本政府が国際原子力機関IAEA)に100万ユーロを超える額を寄付したという韓国メディアの暴露を受けて、東京とIAEA事務局に対し説明を求めた。同機関の専門家たちは福島第一の汚染水の調査を続けている。



日本の原子力安全当局と東京電力側は、処理水の希釈が環境保全と健康の観点から最も安全な解決策だと強く主張する。「日本政府はタンクの放出にどのような方法があるのかを6年以上研究してきた」と、東京電力の担当者の一人が大使館での会見で述べた。「私たちがこの方法を選択したのは、海洋放出がタンク貯蔵よりも安価だからではなく、技術的な実現可能性と安全性の研究によりこれが最も安全だからだ。」





発電所の水を飲む



この水をめぐる闘いの更に大きな背景には、北京と東京の間の緊張、更には中国と日本の同盟国・米国の間の更に大きな対立がある。



中国側としては、北京はロシアと共同で作成した質問書の中で懸念を表明した。北朝鮮もこれと同じ意見だ。韓国の保守政権は近頃日本に歩み寄っているが、同国にも不安はある。韓国の国会前に何千人ものデモ参加者が日本の水放出を非難するために集まった。韓悳洙(Han Duck-soo)首相が福島の汚染水を飲む用意があると発言して、事態は収まった。



一方、日本外交団は、両国の専門家間で会議を開くことを提案した際に中国側が反応しなかったことに驚く素振りを見せた。「驚くべきことだ。なぜなら、中国は話したい時には土曜日の深夜でも相手を呼び出す用意があるのだ。」





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―参考―













(East Asia on Watch as IAEA Endorses Fukushima Wastewater Release Plan: VOA NEWS)

https://www.voanews.com/a/un-nuclear-watchdog-approves-japan-s-plan-to-release-radioactive-water-from-fukushima/7166141.html





IAEAが福島廃水放出計画を支持、東アジアは注視





2023年7月4日 午前8:30 ・更新 2023年7月4日 午後2:20





ユーニス・キム







2023年7月4日、ラファエル・グロッシIAEA事務局長(左)が東京・首相官邸で、岸田文雄・日本首相に福島の処理水放出についてのIAEAの包括的報告書を渡す。







韓国・ソウル —



国際原子力機関IAEA)は、損壊した福島第一原子力発電所からの処理済み核廃水を太平洋に放出するという日本の計画に最終的な支持を表明した。



東京はこの動きが、計画に断固として反対してきた漁民を含む日本の国民や、地域のパートナー諸国が抱く不安を和らげるのに役立つことを望んでいる。



火曜日、ラファエル・グロッシIAEA事務局長は東京から、日本が提案した計画はIAEAの安全基準に適合しており、「環境、つまり、水・魚類・堆積物への[予想される]放射線の影響は無視できる」と述べた。



同氏は、東京の要請により2021年に始まった調査の最終報告書岸田文雄首相に提出した。同首相は、物議を醸している放流作業をいつ始めるかについて最終的に決定する。



日本の東海岸にある約1,000基のタンクに大量の放射性物質が入っていることを考えると、作業全体には30年から40年が掛かると予想されている。岸田氏は、海洋放出は人間の健康や環境に害を与えない場合にのみ進めると約束した。



火曜日、グロッシ氏と並んで座った岸田氏はメディアに対し、「日本は引き続き日本国民と国際社会に対し、科学的根拠に基づき、高い透明性を以て誠実に説明していく」と語った。



2年間に亘る調査の成果としてIAEAがゴーサインを出すことは広く予想されていた。この国連の監視機関は過去に6回、このようにして提出された調査手法とデータに承認を与えてきた。



2011年の地震とこれに続く津波の後、1号機・2号機・3号機の3基全ての炉心がメルトダウンを起こしたことにより、燃料棒を冷却するために水が使われた。運営会社の東京電力(TEPCO)はこの水を処理し、希釈し、放出する―水量は管理される―ことを計画している。この出来事は、1986年のチェルノブイリ危機以来、世界最悪の原子力災害と考えられてきた。



多核種除去設備(ALPS)と呼ばれる揚水・濾過工程で、汚染水から数十種の放射性核種が除去される。東京によると、これ程の大量の水からトリチウムの除去は出来ず、世界保健機関の基準(1リットルあたり1,500ベクレル未満)を大幅に下回るレベルに希釈し、その後に太平洋に放出する予定だ。



水放出計画の支持者たちはこの事業の緊急性を強調している。東京電力が2024年前半までに追加の汚染水を収める空間が無くなると述べているためだ。現在、自然災害には不慣れで無いこの列島のタンクには100万トンを超える放射性の水が入っている。



中国・韓国・太平洋島嶼諸国の批判者を含むこの計画の批判者は、安全性を適切に評価するための完全なデータセットが不足していると指摘している。彼らは、半減期が数世紀にも及ぶ放射性核種の背後に潜む長期的な危険性と、それらが海洋生態系や水産物に及ぼす未知の影響について懸念を表明している。



中国外務省は、火曜日のIAEAの発表直後に、「性急な」承認に強い遺憾の意を表明し、排水放出計画を強行した場合には日本が全ての結果に対して責任を負わねばならないと警告した。



グロッシ氏は4日間の日本訪問の一環として、水曜日に福島原子力発電所の敷地内に新しいIAEA事務所を開設する予定だ。 同氏は、この原子力監視機関は今後数十年間、日本の廃炉事業の活動を審査・監視・評価するために常駐を続けると述べた。





消えない疑問



懐疑的な見方が相当大きい中、グロッシ氏は東アジア地域にやって来た。



IAEA事務局長は金曜日に韓国を訪問して特別委員会の調査結果を自ら説明し、その後ニュージーランドクック諸島を訪問する予定だ。クック諸島太平洋諸島フォーラムPIF)の議長国を務めており、同フォーラムは長年に亘り同連合の「重大な懸念」を日本に伝え、福島廃水放出計画について独自の専門家による検討を依頼したこともある。



しかし目に付くのは、IAEAがゴーサインを出す準備の段階に声を上げた中国がグロッシ氏の訪問先に無いことだ。



北京は火曜日、この国連機関の承認が日本にとって処理済み廃水を太平洋に放出するための「許可証」となるべきでないと警告した。外務省の毛寧(Mao Ning)報道官は、IAEAの任務は東京が提示した1つの選択肢を検討することに限られており、この承認について「海洋への放流が…最も安全で信頼できる選択肢であることを証明したものでは有り得ない」と述べた。



太平洋地域 の11カ国―中国・韓国・フィリピン・シンガポール・豪州・ニュージーランドが含まれる―で調査を受けた10人中8人を超える人が、「日本による放射能汚染水の放流」に否定的な見方をしていると、中国国営メディアの環球時報IAEAの発表に先立つ独自の研究を引用して主張した。



韓国では尹錫悦(Yoon Suk Yeol)政権が日本との速やかな関係改善を優先しているが、調査を受けた10人中8人が日本の放水が海洋生物に与える影響を懸念していると述べた。



先月は水産物の消費が著しく落ち込み、そのため尹氏の政党の一部の政治家が魚市場で食事をしたり、一部の事例では論点の理解を得るために水族館の水を飲むこともあった。



日本では週末の世論調査で40%が放水計画に反対と回答したが、支持の表明が45%と上回った。



これが、一般国民の認識が既に悪い状況を更に悪化させるという問題だ。漁民――特に福島県の漁民―がこれを怖れている。



韓国は被災地域産の水産物の禁輸措置を続けており、与党議員たちは月曜日、たとえIAEAの承認があっても東京はこの変更を期待すべきではないと強調した。



尹在玉(Yun Jae-ok)議員は記者団に対し、「たとえ10年、20年、30年、50年、100年掛けたとしても、それは重要で無い」と語り、先ずは信頼を得る必要があると指摘した。「政府は、国民の食料に関して不安全なことが起きては成らないという見解を堅持している。」



海を中心に生計を立てている太平洋島嶼諸国では、認識は更に重い。「これは単に原子力の安全性の問題で無い。これは寧ろ核の遺産の問題であり、海洋・漁業・環境・生物多様性・気候変動、そして、私たちの子供たちと将来の世代の未来が掛かっている健康の問題だ」と、先週、PIFヘンリー・プナ事務局長が書いている



「私たちの国々の人々が日本の計画から得るものは何も無いが、今後何世代にも亘り多くの危険に晒される」と、プナ氏は述べた。









(投稿者より)



"Or, selon un document compilé par le gouvernement japonais, dont les bonnes feuilles ont été publiées par le quotidien japonais Yomiuriu, les centrales nucléaires chinoises libèrent de l'eau contenant du tritium à des niveaux 6,5 fois plus élevés que le rejet prévu à Fukushima." 「しかし、日本政府が纏めた文書―日本の日刊紙・読売がその立派な文書を掲載している―によると、中国の原子力発電所福島原発で想定される放出量の6.5倍の水準のトリチウムを含む水を放出している。」つまりは、自分は毒を撒き散らかしながら敵の撒き散らすは毒は非難する、ということでしょう。互いに天の怒りが降らないことを祈るばかりです。



国の原発政策に反対した県知事が別件の収賄容疑で逮捕・起訴され、実刑判決を受けた事件がありました。これは冤罪だったと言われています。つまりは、日本の電力業界は反対する政治家を冤罪で刑務所に送り込めるだけの力を持っています。経営陣は与党に、労組は野党に、それぞれ深く食い込んでいますので、この業界に逆らえる人は国内には居ません。更には、日本は資金の拠出や人材の派遣を通してIAEAに大きな影響力を持っているようです。



しかし、地域に視野を広げたとき、この問題が地政学的なリスクを孕むことに気付きます。特に、太平洋は今や米国と中国による綱引きの舞台です。地域を敵に回すリスクを冒してまで汚染水を放流する必要があるのでしょうか?「場所が無い」は言い訳です。いくらでもタンクを作っていつまでも保管を続ければ良いだけのことです。