「日本の労働者の賃金が遂に上昇する」(RFI・BBC NEWS)

「日本の労働者の賃金が遂に上昇する」(RFIBBC NEWS)









(Japon: une hausse record des salaires concédée par les entreprises japonaises: RFI)

https://www.rfi.fr/fr/asie-pacifique/20230705-japon-une-hausse-record-des-salaires-conc%C3%A9d%C3%A9e-par-les-entreprises-japonaises





日本:日本企業が記録的な賃金の増加を認める





日本の大手企業は、4月1日に始まった本会計年度において、平均3.58%の賃上げを認めた。労働組合の連合体である「連合」が明らかにした年間賃金の交渉結果によると、これは過去30年間見られなかった記録的な増加だ。これで低迷する家計消費が回復するだろう。





発表 2023年7月5日 13:36







2017年12月8日、日本の堤工場にあるトヨタの組立ライン。AFP - TOSHIFUMI KITAMURA





RFI






報告 RFI東京特約記者、フレデリック シャルル



岸田文雄・日本首相は企業に対して労働組合よりも強力に、インフレが家計の購買力に及ぼす影響を最小限に抑えるため、後戻りすることが無い程度に基本給の引き上げを認めるよう強く求めていた。



大企業は従業員に1992年以来最大の賃上げを認めている。最大の問題は、従業員の70%を雇用する中小企業(SME)がこの動きに従うかどうかだった。彼らは通常、大企業と比べてコストの上昇を販売価格に反映させることが出来ない。





中小企業も大企業と同じ位に気前が良い



この30年間で初めて、日本の中小企業は大企業と同じ位の気前良さを示している。彼らには選択の余地が無い。日本では高齢化と人口減少により人手不足が存在している。女性の就業率は現在73%に達し、フランスを上回る水準だ。更に、65歳から69歳までの男性の60%がまだ仕事に就いている。



この人手不足は悪化し、そのために今後10年間で基本給の上昇が加速すると、東京の投資銀行CLSAは予想している。2021年における日本の平均基本給は4万ドルに達していない。日本の若者たちは国を離れて給与がより魅力的な国に出ている。現在では、コンピュータ技師の給与は日本よりもベトナムの方が高い。





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(Cost of living: Japanese workers are finally seeing their pay rise: BBC NEWS)

https://www.bbc.com/news/business-66129788





生活費:日本の労働者の賃金が遂に上昇する





7月7日







東京の渋谷交差点を渡る人々。Getty Images





記者 アナベル・リャン



ビジネス記者





政府が物価上昇に直面している従業員を支援するよう企業に要請したことを受けて、日本の労働者の賃金は記録的な速さで上昇している。





公式な数字は、5月の賃金が前年同月に比べて1.8%上昇したことを示した。これは28年間で最も速いペースだ。



インフレを考慮すると、この上昇にも係わらず人々の購買力は実質ベースで低下を続けた。



世界第3位の経済大国・日本のインフレ率は1年を超えて上昇を続けている。



パンデミックに関する規制が緩和され、ウクライナでの戦争により石油や小麦などの主要商品の価格が上昇したため、この数ヵ月に世界中で物価が上昇した。日本でも通貨安のために日用品の価格が上昇した。



日本のインフレ率に関する最新の公式測定値は、5月のコア消費者物価が前年同月比で3.2%上昇したことを示した。



日本では何十年もの間インフレが殆ど存在しなかったため、多くの人々の給与が殆ど変動しなかった。



3月、生活費の高騰が続く中、岸田文雄・日本首相は雇用主に行動を起こすよう呼び掛けた。



今年、ファッション・チェーンのユニクロを保有するファーストリテイリング自動車産業大手のトヨタやホンダを含める諸企業が、従業員の給与を引き上げると述べた。



今週初め、日本最大の労働組合・連合は、企業側が年次労使協議で過去30年間で最大の賃上げに同意したと述べた。



日本の投資銀行・野村の調査アナリストたちは、今回の賃上げは「日本経済における象徴的な構造変化」を示すものだと述べた。



「日本の潜在的な予備労働力は2021年末頃に急速な減少に転じた」と、彼らは付け加えた。「これにより、賃金には持続的な上昇圧力が掛かるはずだ。」









今年初め、ユニクロ保有するファーストリテイリングは、「従業員一人ひとりの目標と才能に応じて適切に報いる」ために給与を引き上げると述べた。



同社は、「世界基準に沿って企業の成長可能性と競争力を高める」ことを目的としていると付け加えた。



一方、トヨタの佐藤恒治社長は、この動きが日本の自動車業界全体にプラスの影響を及ぼし、「各社の労使間の率直な議論に繋がる」ことを期待していると述べた。



競合する自動車メーカーのホンダは、初任給の引き上げに伴い、追加金は主に若い従業員に分配されると述べた。





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(投稿者より)



今回のインフレが輸入原材料の価格上昇によるもので、多くの企業では収益が好転していませんから、今回の賃上げは個々の企業がリスクを取って給与を増やした形に成りました。また、賃上げ出来るだけの経営体力を持たない企業も多いので、就労者の所得格差は更に広がるでしょう。企業の経営を支援したり、所得の格差を埋めたりするための政策措置が期待されますが、現政権の意識のベクトルは逆向きです。



政府の税収は71兆1千億円と過去最高であり、余剰金も2兆6千億円という好調な実績ですが、現政権は更なる増税を計画しています。小規模零細事業者に対してはインボイス制度の導入により免税特典を実質的に奪うことが決まっています。給与所得者に対しては一部の非課税手当を課税化する検討が始まっています。令和5年の国民負担率は46.8%。「五公五民」で江戸時代並みの厳しさとの強い批判が存在します。



防衛支出が増える見込みなので税収が増えるのは良いことですが、国民への還元は無い、少なくとも見えない、ということに国民の不満が高まっているようです。



労働力は今後も逼迫する一方です。AIとロボットの普及により何時かは解決するとは思いますが、暫くは厳しい状況が続くと思われます。事実上の移民は増えていますが、経済界がこれを安価な労働力として歓迎する一方で、日本の制度の酷さや移民労働者に関連する様々な事件は既に世界の知る所となっています。それでも日本に来られた方々を社会の底辺に押し込むのでは無く、社会の成員として尊重し組み込んでいくことが日本に出来るかが問われるでしょう。