「汚染水(または、処理水)の海洋投棄(または、海洋放出)問題:韓国・IAEAが福島原発に調査」(RFI・Sputnik日本)
(En Corée du Sud, le rejet prochain des eaux contaminées de Fukushima inquiète la population: RFI)
https://www.rfi.fr/fr/asie-pacifique/20230523-en-cor%C3%A9e-du-sud-le-rejet-prochain-des-eaux-contamin%C3%A9es-de-fukushima-inqui%C3%A8te-la-population
韓国では、目前に迫った福島の汚染水の放出が国民を不安にさせている
ソウルでは、2011年の原発事故による福島原発の原子炉からの汚染水の太平洋への放出が目前に迫っており、これが地元住民に不安を抱かせ、政界を分断している。ここ数日、太平洋を汚染する可能性があるだけでなく、日本との関係改善を複雑にし兼ねないこの事業を非難するために、幾つもの抗議活動が行われた。
発表 2023年5月23日 10:08
福島の汚染水はIAEAのゴーサインを受け、今後数ヵ月以内に放出される予定だ。AP - Shohei Miyano
文 ニコラ・ロッカ
RFIソウル特約記者より、
日本はこれ以上の汚染水を保管できなくなったため、汚染水を放出する考えだ。2011年に福島原発[投稿者の和訳]を襲った津波と原発事故のため、原子炉を冷却するために数百万リットルの水を使う必要が生じた。しかし、様々な放射性物質と接触したために水は汚染され、海に直接放出することが出来ないため、大きなタンクに入れなければ成らなくなった。しかし、冷却水は雨水や地下水と混ざったため、最早保管する場所が無くなった。
日本は、132万トンの水を処理して放射性物質の大部分を除去したと主張している。国際原子力機関(IAEA)はこの作業を具に精査し、ゴーサインを出した。汚染水は数ヵ月後に放出される予定だ。
それでも、韓国国民は科学的論点からIAEAが検証したこの事業に対し懸念を抱いている。現在の技術では、約60種類の放射性核種を除去することは可能だが、トリチウムは除去できない。このため、日本と韓国の漁民は心配している。これを余所に、この事業は国際基準から外れていないとIAEAは述べる。
日本と韓国の間の未解決の紛争
中国や台湾など他の近隣諸国もこの水の放出に対して賛成しないと表明しているが、韓国は特に激しかった。この不信感は、特に半島が植民地だった時代の日本政府による暴力をめぐる2国間の未解決の紛争によって説明できる。韓国の前政権下では、この隣国間の関係が本格的な貿易戦争に至るまで悪化した。
2021年の東京五輪の期間中、韓国選手団は選手たちが放射性食品を食べることを恐れて自国の食品を持ち込むこと迄した。更に、韓国では日本の8県からの魚の輸入が今でも禁止されている。台湾は禁止を解除した。
しかし、韓国の尹錫悦新大統領はこの数ヵ月、この記憶の問題について数々の譲歩をすることで日本との関係の回復に努めてきた。そこで日本の岸田文雄首相はその見返りとして、韓国の専門家たちを汚染水の処理作業を調査するために招待した。しかし、今のところは韓国世論を安心させるのに十分でない。
専門家たちが具に精査した結論
韓国国民の一部は、今月上旬の韓国大統領との首脳会談で日本の首相が提案した韓国代表団の福島訪問は、日本によるこの事業の正当化を助けることにしか成らないのではないかと懸念している。21人の専門家が行う任務の詳細はずっと曖昧なままにされ、これが原因でソウルと東京の間で長期に亘る交渉が行われたため、これは尚更のことだ。彼らは5月22日月曜日に日本の当局と会談した後、火曜日と水曜日に発電所の査察を行い、金曜日にソウルに戻る予定だ。
彼らの結論は、特に野党・民主党の有権者の間で反日感情と国家主義感情が依然として根強い韓国で具に精査されるだろう。これは韓国大統領にとって非常にデリケートな問題だ。尹錫悦氏は政権に就いて1年を超えた今も不人気が続き、彼の政治的正当性の大きな部分はワシントンや日本との目立った歩み寄りにより築かれている。
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韓国 環境 日本 原子力 福島 RFIの選り抜き記事
(Sputnik日本)
https://sputniknews.jp/20230531/1iaea-16142712.html
【解説】期限迫る福島第1処理水の海洋放出 IAEAの最終評価はいかに
2023年5月31日, 00:25
© AFP 2023 / Alex Halada
アンナ ブシュエワ リュドミラ サーキャン
5月29日、東京電力福島第一原子力発電所の処理水の放出計画でその安全性を評価を行う国際原子力機関の調査団が来日した。
調査団は6月2日までの滞在期間中で原発の状態を調べ、後日、放出の安全性を確認するための報告書を発表する。
放出を懸念する国内外の声
日本政府の処理水放出計画が明らかになって以来、原子力市民委員会などの市民団体は、政府が貯蔵施設ための追加用地を設けるか、別の処理方法を検討するよう要求してきた。また処理水を海に循環させるという発想に環境保護団体も猛反対している。また、漁業者も「魚が市場に出回りにくくなる」「魚の産地について、いわゆる 『風評』が生まれる」といった懸念の声をあげている。これについては日本政府は昨2022年8月末、漁業関連者を支援する基金の設立を決定したほどだ。
低濃度の放射性汚水を捨てるという決定は日本の近隣諸国、特にロシア、中国、韓国に抗議の嵐を巻き起こした。特に批判が集中したのは日本が近隣諸国と協議を行わず、一方的にこうした決定を下した点だった。近隣諸国はさらに、日本がすべての国際基準とプロセスの透明性を遵守することを要求した。
【解説】懸念と疑問を呼びおこす原発処理水の海洋放出
3月16日, 20:15
原子力分野の専門家でポータル「アトムインフォ」を率いるアレクサンドル・ウヴァロフ氏は、IAEAには意思決定権がなく、あくまで日本政府の要請で問題解決の、ひとつの選択肢、または別の選択肢を評価するのみであることを忘れてはならないと釘を刺している。
「日本もこれを利用して、専門家からの批判に対しては、原子力の平和利用の安全性に関してIAEAは一番権威のある組織であり、その評価に全面的に信頼を置いていると言っているわけです。実際、この問題は実に切実です。この処理水はどうにかしなければならない。あまりにも大量に溜まってしまっており、保管先を考えるか、何らかの方法で処分しなければなりません。 なぜなら、大地震でも起きれば、漏れ出して放射能汚染が広範囲に及ぶ危険性があるからです。 もしかすると、問題解決のために日本人が海洋投棄以外の方法をすべて拒否するのも間違っているかもしれません」
ウヴァロフ氏は、100万トン以上の処理水の世界海洋への投棄の危険度は、その中のトリチウム濃度のレベルによると指摘している。トリチウムが脅威となるのは藻類や魚類などの生物学的構造と結合した場合のみで、ウヴァロフ氏は125万トンという水の量は、世界海洋にとっては微々たる量であり、低濃度のトリチウムであれば、ただ溶けてなくなってしまうと言う。
主な問題は、浄化レベルの発表された数値ではなく、実際の数値であり、誰にこのタスクの技術的実行を託すことができるかということにかかる。ウヴァロフ氏は、福島問題ではこれまでにすでにミスが生じている事実を指摘している。
「規定値まで処理された水の放出は、環境保護論者が心配するような脅威にはなりません。ただし、何か問題が起きれば、事態は危険な方向へ向かいかねません。ここで2つ、見過ごせないことがあります。ひとつは、この問題が政治的な取引に悪用されることです。中国やロシアは、日本が露中の専門家を議論に参加させず、IAEAの判断だけを頼りにしていることを非常に嫌っています。 ふたつめは、心理的な認識の問題です。世界海洋へ放射性廃棄物が投棄されていることは、どんな場合も、どんなに洗浄されていたとしても受け入れがたいことです」
福島 福島第一原発の処理水海洋放出 国内 IAEA オピニオン
(投稿者より)
汚染水の海洋投棄に反対しているのは韓国だけではありません。特に太平洋諸国については、米国と中国の地政学的な綱引きの舞台になっています。前の世紀の核実験のことを彼らは忘れていません。
米国の同盟国である日本が今は下手な動きをしない方が良いのです。せめて待つことは出来ないのでしょうか?