「2023年5月、岸田首相の韓国訪問」(VOA NEWS・RFI・DW English)
(Yoon's Japan Outreach Faces Bleak Future Without Japan Reciprocation, Warn Analysts: VOA NEWS)
https://www.voanews.com/a/yoon-s-japan-outreach-faces-bleak-future-without-japan-reciprocation-warn-analysts/7080158.html
日本に手を差し伸べたユン氏は、日本の返礼がなければ暗い将来に直面するとアナリストたちは警告する
2023年5月5日 午前9時03分
ウィリアム・ギャロ
韓国大統領府提供のこの写真では、2023年5月3日、韓国のソウルで、日本の国家安全保障局長・秋葉剛男氏(左)と韓国の国家安全保障室長・趙太庸(Cho Tae-yong)氏(右)が握手している。
韓国・ソウル―
日本との関係について、尹錫悦(Yoon Suk Yeol)・韓国大統領は将来に目を向けたいと考えている。しかし、韓国世論の反応が何を示そうが、日本が更に過去に取り組む動きが無ければそれは難しいかも知れない。
尹氏は3月、1910年から1945年の朝鮮半島の残酷な占領下での日本による強制労働に関連した紛争をめぐり、数十年で最悪の水準に沈んだ韓日関係を改善するために一方的な措置を取った。
尹氏が明らかにした提案により、韓国人の強制労働被害者は民間財団を通じて補償を受けることになった。重要なのは、この財団は日本企業ではなく韓国企業から資金提供を受けることだ。2018年、韓国最高裁判所は日本企業に資金の提供を命じる判決を出していた。
日本はこの動きを歓迎した。米国も同じだ。米国は長年、両国に対し意見の相違を解決し、北朝鮮や中国など共通の課題に協力するよう促していた。 しかし、ソウルでの反応は更に厳しかった。
世論調査によると、韓国国民の約60%が尹氏の対日アプローチに反対している。多くの強制労働被害者とその家族、そして、韓国のリベラル野党は、尹氏を外交的な降伏と非難し、そうで無く日本からの賠償と謝罪を要求すべきだと述べている。
このようなデリケートな歴史問題は、日曜日から始まる岸田文雄首相の2日間のソウル訪問中に取り上げられる可能性が高い。しかし、日本政府は強制労働の問題で譲歩する姿勢を全く示さず、尹氏の差し伸べた手をその後任の大統領たちが引き継ぐかどうかについて疑問を呈している。
ソウルで活動する国際関係学者で、韓国の複数の左派政権で顧問を務めた文正仁(Moon Chung-in)氏は、「私は非常に疑っている」と語った。「実際には、尹大統領は日本に向けた外交構想を実行するための国民的な合意を作らなかったからだ。」
注視された訪問
岸田氏のソウル訪問は、日本の首相としては5年ぶりで、3月の尹氏の東京訪問を受けたものだ。
尹氏の訪問中に、両首脳は貿易・安全保障・外交における協力の改善を目的とした一連の措置を発表した。岸田氏の訪問中に同様の措置が発表される可能性がある。
しかし、多くのアナリストは、歴史上のデリケートな問題で進展が無ければ、尹氏の差し伸べた手を国内の更に安定した基盤の上に置くことは出来ないかも知れないと警告している。
スタンフォード大学で国際政策を教えるダニエル・スナイダー講師は、「ややもどかしいことだが、関係改善に向けたこれら試みを確かな土台の上に据えるために岸田氏が出来ることは実際にはかなり限られている」と語った。「それは、彼がソウル滞在中に過去について話すときにどのような言葉を使うかから始まる。」
韓国国民の望み
尹氏の東京訪問中、岸田氏は日本の戦時中の歴史について新たな謝罪をしなかった。同氏はその代わりに、日本政府が1998年の宣言を含めた歴代政権の立場を支持していることを改めて確認した。1998年の宣言には謝罪の言葉が含まれている。
それは多くの韓国国民にとって決して十分なものではなかった。尹氏の保守派の盟友たちの一部にとってさえもだ。彼らは岸田氏に心からの反省を表明するよう促していた。
「自分の言葉を使うこと、つまり、ある程度の個人としての誠実さと責任を持って過去について語ることが、大きな違いを生むかも知れないと思う」と、スナイダー氏は語った。
多くの韓国国民は、日本企業が韓国の強制労働基金に寄付するというアイディアを岸田氏も奨励するか、少なくともこれについて前向きに発言することを期待している。
日本の立場
しかし、そのどれも可能性は低いと、日本国際問題研究所上級研究員の小谷哲男氏は言う。
資料―2023年3月16日、東京・首相官邸での共同記者会見後に握手する韓国の尹錫悦大統領(左)と日本の岸田文雄首相(右)。
小谷氏は「岸田首相は歴史に関する日本側の過去の発言を繰り返したが、これが現在の日本の政治指導者ができる最大限のことだ」と述べた。 「もし日本の首相がそれ以上のことを言ったら、日本の保守政治家たちが大騒ぎするかも知れない。」
日本の保守派の多くは、尹氏が関係改善のための約束を果たせるかどうか疑問に思っている。小谷氏によると、これまで韓国の保守派の大統領は関係強化に努めたが、結局は支持率が低下すると日本を批判するのだった。
1度限りの5年間の大統領任期が始まってから僅か1年だが、尹氏の支持率は既に非常に低く、韓国議会ではリベラルな野党勢力が優勢だ。日本の保守派は、もし尹氏の政治的運命が悪化すれば、彼は「日本カードを切り」歴史への不満を利用しようとするのではないかと懸念していると、小谷氏は述べた。
日本は、強制労働とその他の全ての補償問題は、2国間関係を確立し韓国に経済援助を提供した1965年の条約によって解決されたと主張している。更に、日本の複数の政権が謝罪を発表して来た。
しかし、植民地時代の日本による虐待の大きさは、事例によっては数十年後に初めて判明し、韓国による個人賠償請求の波に繋がった。
更に、日本の著名な保守派が後になってから植民地時代の残虐行為の否定や軽視を試みたことを考慮すると、日本の謝罪は不誠実だったと多くの韓国人は述べている。
韓国大統領府提供のこの写真では、2023年5月3日、韓国のソウルで日本の秋葉剛男国家安全保障局長(左)が韓国の趙太庸(Cho Tae-yong)国家安全保障室長(右)と会談している。
将来を見据える
尹氏は日本に対して更に強硬な姿勢を取るよう大きな政治的圧力に直面しているが、今のところ屈服する気配はない。
尹氏は東京での首脳会談で、強制労働被害者に補償した後で日本に賠償を求める考えは無いと述べた。
尹氏は先月ワシントン・ポスト紙とのインタビューで、日本が「私たちの100年前の歴史を理由に(許しを求めて)跪かなければならない」という考えを受け入れることは出来ないと述べた。
尹氏は、そうでは無く、北東アジアの自由・平和・繁栄を維持するには日本との「未来志向」の協力が必要だと主張した。
しかし、スナイダー氏によれば、たとえ韓国人が日本との更に緊密な戦略的関係の必要性について尹氏に同意したとしても、「過去をただ脇に置く」準備が出来ておらず、岸田氏は今度の訪問を利用して歴史問題について融和的なアプローチを取るべきだと述べた。
「これを行うのは難しく無い。難しく無い。そしてそれは正しいことだ」と、スナイダー氏は語った。「それは道徳的・政治的・戦略地政学的に正しいことだ。」
(Le Premier ministre japonais en visite en Corée du Sud pour resserrer les liens: RFI)
https://www.rfi.fr/fr/asie-pacifique/20230507-le-premier-ministre-japonais-en-visite-en-cor%C3%A9e-du-sud-pour-resserrer-les-liens
日本の首相が関係強化のために韓国を訪問
発表 2023年5月7日 03:44
2023年3月16日、東京の首相官邸での共同記者会見の後、尹錫悦・韓国大統領(左)との岸田文雄・日本首相(右)が握手を交わす。AP - Kiyoshi Ota
文 RFI
5月7日日曜日、岸田文雄・日本首相が韓国に到着する。尹錫悦・韓国大統領が政権を握ってから1年、両国は1910年から1945年までの朝鮮半島の植民地化から生じた相互の恨みを忘れようとしてきた。今回の訪問の目的は、平壌と北京の力の誇示に直面して結束を示すことだ。
今回の訪問は、2011年以来中断されていた日韓の指導者間の定期的な会談のメカニズムである「シャトル外交」に新たな弾みを与えるはずだ。
真心のある相互理解の時は、3 月中旬に東京で開催された歴史的なサミット[投稿者の和訳]で始まり、2023年5月7日日曜日まで最高の庇護の下で続いている。というのも、第2次世界大戦中に日本企業での強制労働に従事した韓国人被害者に対する補償計画が発表された後、4月24日にソウルは東京との貿易関係を正常化した[投稿者の和訳]からだ。
脅威を増す一方の北朝鮮と中国に直面して、東京とソウルは結束して統一戦線を形成している。これは、その過程で防衛分野におけるワシントンとの協力の強化を容易にするものだ。米国が長い間このアジアの両同盟国に促してきたのは、結局のところ矛を収めることだ。
韓国世論はどちらかと言えば尹錫悦大統領の和解政策に反対で、この説得がまだ出来ていない。多くの人々は、植民地時代に成された犯罪に対する東京からの公式な謝罪をずっと待っている。
► これも読む:「双龍」:ソウルとワシントンが手を携えて北朝鮮に対抗
福島の廃水
韓国国民が懸念しているもう1つの問題は、福島原発からの廃水が間もなく太平洋に放出されるかも知れないことだと、RFIソウル特約記者のセリオ・フィオレッティが報告している。2011年に津波に襲われた福島第1原発の原子炉を冷却するために、合計100 万トンの廃水が使われた。
海流がこの廃水を韓国の海岸に運ぶ可能性がある。環境活動家たちは環境に齎す損害を非難し、漁師たちは影響を受ける区域での漁が難しくなることを懸念している。釜山(Busan)・済州(Jeju)・巨済(Geoje)などの沿岸都市の市長は、住民の健康と観光への影響を心配してこの事業への反対を表明した。
韓国の前政権は廃水の海洋放出に反対していたが、現政権は調査結果を元に危険の無いことを示した。しかし、政府は説得に苦労している。韓国大統領府は、日本首相の訪問でこの問題が議題になる可能性があると発表した。この問題は会談で取り上げられる多くの争点の1つになることが予想される。
► これも読む:フクシマ:震災から12年、汚染水管理の難しさ[投稿者の和訳]
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(À Séoul, le Premier ministre japonais affiche sa volonté de rapprochement avec la Corée du Sud: RFI)
https://www.rfi.fr/fr/asie-pacifique/20230507-%C3%A0-s%C3%A9oul-le-premier-ministre-japonais-affiche-sa-volont%C3%A9-de-rapprochement-avec-la-cor%C3%A9e-du-sud
ソウルで、日本の首相は韓国と和解する意欲を示す
発表 2023年5月7日 14:41
2023年5月7日、尹錫悦・韓国大統領 (右) と岸田文雄・日本首相 (左) が握手する。AP - Jung Yeon-je
文 RFI
5月7日にソウルで岸田文雄氏は、日本が半島を植民地としていた期間に韓国人が受けた苦しみに「心が痛む」と語った。 日本の首相が韓国を訪れて首脳会談を行うのは12年ぶりだ。この隣国の首脳たちによる2か月足らずで2回目の会談は、長年にわたる非常に緊張した関係の後でこの地域における米国の2つの主要な同盟国が和解したことを示している。議題には北朝鮮の核計画の改善により齎される脅威に対する防衛の問題が上がっていたが、何よりも両国間の歴史紛争があった。
報告 RFIソウル特約記者、ニコラ・ロッカ
公式の謝罪は無かったが、声明は象徴的なものだ。日本の首相は、植民地時代に韓国国民が受けた苦しみに「心が痛む」と述べたことに加えて、1998年の共同宣言に対する日本の責務を断固として果たていくと改めて述べた。この文書は、日本政府が韓国の侵略に対する心からの謝罪を表明したものだ。
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尹錫悦大統領が提案した日本の植民地だった期間の強制労働の被害者への補償案に対する韓国世論の反対は依然として大きい。日本企業は複数の韓国の裁判所の決定と反対に、損害賠償の資金を提供しないだろう。
更なる一歩
もう1つのデリケートな問題について、この隣国間で和解が成された。2011年に原子力発電所を襲った津波の後で原子炉を冷却するために使用された水の処理を調査するために、韓国の専門家たちが福島を近く訪問する。韓国はこの問題に敏感だ。汚染水が今後に太平洋に放出されると、環境に壊滅的な影響を与える可能性が懸念されるからだ。
共同宣言は出されなかったが、この首脳会談はこの地域における米国の2つの同盟国間の和解への更なる一歩であり、2週間後の日本でのG7の傍らで開催される3カ国会議で具体化されるはずだ。
► これも読む:日本の首相が関係強化のために韓国を訪問[投稿者の和訳]
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(Common threats bring Japan, South Korea closer together: DW English)
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紛争|日本
共通の脅威が日本と韓国の距離を近づける
ウィリアム・ヤン(台北)
2023 年5月9日
北朝鮮と中国の脅威が高まる中、韓国と日本の指導者は2国間関係の強化を目指している。彼らは共通の戦線を提示できるだろうか?
日本の岸田文雄首相と韓国の尹錫悦大統領は日曜日、北朝鮮の軍事活動と地域における中国の影響力の高まりへの懸念が増大する中で2国間関係の強化を目指して、2ヵ月足らずで2回目の首脳会談を行った。
会談中、尹氏は東京とソウルの関係を深める努力が未解決の歴史紛争によって妨げられるべきではないと述べ、その一方で日本の首脳として5年以上ぶりにソウルを訪問した岸田氏は、3月の尹氏の東京訪問以来、このアジアの2つの国の関係は「ダイナミックに」前進していると述べた。
この会談は、日本の都市・広島で開催予定のG7サミットまで2週間を切ったタイミングで行われる。岸田氏は尹氏をこのサミットに招待しており、両首脳はサミットの傍らでジョー・バイデン米大統領を交えて3者会談を行う予定だ。
シカゴに本拠を置くシンクタンク・イーコンビューの客員研究員エレノア・ヒューズ氏は、「これらの措置は、両国が安全保障と経済の関係を深め、政策の成功を達成するための扉を開くものだ」とDWに語った。
中国の台頭と地域の緊張
「日本は、この地域における更に大きな問題は中国の台頭であることや、それが経済・外交・(地域の)安全保障にとって非常に大きな破壊力になることを理解している」と、国際基督教大学で政治学・国際関係学を教えるスティーブン・ナギ教授はDWに語った。「日本政府が地域の安定と繁栄を確実に続けるために、韓国と協力したいと考えているのは確かだ。」
日本は中国の経済的・軍事的台頭に伴う諸課題に対処する努力を強めているが、韓国はこの地域における中国の積極的な拡大の影響に対して更に厳しい態度を取っている。韓国の尹氏は先月、ロイター通信とのインタビューで、台湾周辺の緊張の高まりは力による現状変更の試みによって引き起こされており、自分は斯かる試みに反対すると述べた。
尹氏の発言は中国政府から強い抗議を受けた。中国の孫偉東(Sun Weidong)外務次官は韓国大統領の発言に対し、これは「誤り」で「全く容認できない」と述べた。
ナギ氏によると、尹政権は中国の発展の現在の方向性が地域全体にとって、特に韓国にとって必ずしも好ましいもので無いと感じている。「その結果、韓国は、中国の優位に伴う諸課題に対して韓国の立場をより良くするために、日本・米国・その他の同志国と協力する必要がある」と、同氏は説明した。
また、韓国では国内における中国の経済的影響力が大きいため、依然として中国に対して比較的に弱気だとの懸念はあるが、一部の専門家は、中国と北朝鮮が地域における自身の行動を近々に変える可能性は低いため、ソウルと東京の間の連携強化は今後も続くと考えている。
韓国の韓国(Hankuk)外国語大学の東アジア問題専門家ジョエル・アトキンソン氏は、「中国と北朝鮮の行動が韓国と日本を更に近づけている」と述べた。 中国と北朝鮮は「頑固に独自の路線を進んでいる」ため、ソウルと東京の関係強化は今後も続くだろうと同氏は付け加えた。
国内のハードル
最近の日本と韓国の友好関係にも係わらず、両国がこうした関係を長期的に維持するのは難しいだろうと、一部のアナリストは言う。
アトキンソン氏は、「尹氏は自国の反対派から親日派とのレッテルを貼られ易く、もしそれが定着すれば、韓国政治における風評による死刑宣告になるだろう」と述べた。
一方、日本も長年に亘る紛争を理由に、韓国との関係進展には慎重な姿勢を崩していない。例えば2018年、韓国の裁判所は日本企業2社に対し、第2次世界大戦中に行われた強制労働について元韓国人従業員の一部に賠償を命じた。
「その結果、日本は韓国と何処まで関係を深めるかについて非常に慎重になっている」とナギ氏は語った。
日本と韓国は、1910年から1945年までの35年間に亘り東京が朝鮮半島を植民地として占領したため、関係に熱が入らなかった。性奴隷制度や強制労働を含む日本が犯した残虐行為が和解を困難にしてきた。尹氏は両国が直面する共通の脅威に基づいて日本との緊密な関係構築に努めてきたが、韓国国内では東京に譲歩し過ぎているとの批判が続いている。
2022年の大統領選挙で尹氏に僅差で敗れた韓国民主党の李在明(Lee Jae-Myung)代表は「韓日国交正常化は必要であり、私は賛成だが、国益・国家の尊厳・歴史・正義を犠牲にすべきで無い」と述べた。
米国という要因
専門家たちは、ソウルと東京を近づける上でワシントンが重要な役割を果たしているとの見方を示している。
「米国のアプローチは、口頭で激励し、米国に近いことから得られる名声によりその進展に報いるというものだ」と、アトキンソン氏は述べた。
米国が日本と韓国に提供できる最も価値のある支援は軍事的抑止力であると、その専門家は付け加えた。
ナギ氏は、米国以外にも他の民主主義の諸同志国も日本と韓国の緊密な関係を重視していると述べた。「米国は両国を結びつける接着剤だが、他の多くの国も日本と韓国の協力を奨励しようとしている」と、彼は強調した。
ナギ氏は「中国が地域経済の中心となるよりも寧ろ、地域経済が東南アジアや南アジアに広がっていくのが見られるかも知れない」と述べ、もし中国が非対称的な経済的優位性を失えば、韓国や日本のような国々が恩恵を受ける可能性があると付け加えた。
編集:シャミル・シャムズ
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(Le Japon et la Corée du Sud confirment leur rapprochement stratégique: RFI)
https://www.rfi.fr/fr/asie-pacifique/20230508-le-japon-et-la-cor%C3%A9e-du-sud-confirment-leur-rapprochement-strat%C3%A9gique
日本と韓国が戦略的接近を確認する
発表 2023年5月8日 07:35
韓国の尹錫悦大統領と日本の岸田文雄首相。2023年5月7日、ソウルにて。AP - Jung Yeon-je
文 RFI
日本の朝鮮半島占領に関連した歴史的な紛争にも係わらず、米国の同盟国である両国は北朝鮮と中国の脅威に対処するために関係を再開しつつある。 東京では、ソウルと東京のこの接近が長続き出来るかどうかについて、観測筋は疑念を抱いている。
報告 RFI東京特約記者、フレデリック・シャルル
5月7日日曜日、ソウルで行われた日本の岸田文雄首相と韓国の尹錫悦大統領との会談[投稿者の和訳]では、日本と韓国の目覚ましい接近が確認された。
この会談は、3月の韓国大統領による東京訪問を受けたものだ。この接近を始めたのは韓国の尹錫悦大統領だ。同氏は、核兵器と大陸間弾道ミサイルを装備した北朝鮮に対抗するために両国は互いの声を聞かざるを得ないと考えている。これは、アジアの覇権を握る決意を固めた中国と対峙するためにもだ。
彼らの戦略的利益は同盟国である米国の戦略的利益と一致している。米国の戦略的利益は日本・朝鮮半島・フィリピンの防衛体制を強化することにある。中国と台湾の間で紛争が起きた場合、日本とフィリピンは直接これに巻き込まれることになる。韓国大統領にとって、「台湾の問題は北朝鮮の問題と同様に世界的な問題だ。」
日本と韓国の国民は懐疑的
韓国の国家元首が企図した日本との接近は勇気あるものだ。というのも、これは日本との辛い過去を忘れていない大多数の韓国国民に共有されていないからだ。
日本国民は、この韓国との和解がソウルの権力交代の犠牲になるのではないかと懸念している。現在の大統領は保守だ。韓国の右派は日本との接近を支持している。韓国の左派は日本との交渉によって成立した協定を常に破る。
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―参考―
- 岸田の南朝鮮訪問は日本の安保にどんな「寄与」をしたか(朝鮮中央通信)[2023.5.10]
- 日韓関係、一時の連携は易く根本からの関係改善は難し(人民網日本語版)[2023.5.10]
(Experts: Seoul-Tokyo Detente Helps Washington Counter Beijing: VOA NEWS)
https://www.voanews.com/a/experts-seoul-tokyo-detente-helps-washington-counter-beijing-/7091386.html
専門家:ソウルと東京の緊張緩和はワシントンが北京に対抗するのに役立つ
2023年5月14日 午前3:04
クリスティ・リー
2023年5月7日、ソウル・大統領府での歓迎式典に出席する日本の岸田文雄首相(右)と韓国の尹錫悦大統領。
ワシントン―
東アジアにおける支配を目指す中国の試みは、米国の長年の努力では果たせなかったことを成し遂げたようだ。反目し合う米国の同盟国・日本と韓国の和解を促したのだ。
今週、韓日首脳は今年2回目となる公式の会合を開き、両国が地域の安全保障情勢のために協力せざるを得なくなったことを強調した。
韓国の尹錫悦大統領は、5月7・8日に日本の岸田文雄首相と行った2回目の2国間首脳会談で、特定の国を名指ししなかったが、「重大な国際情勢」と「一連の複雑な世界的危機」が韓国と日本の協力を必要としていると述べた。
1910年から1945年の日本の植民地としての占領に起因する12年間に亘る緊張した関係を経て、3月に尹氏が東京を訪れた際に、両国は関係を修復することを選択した。
北朝鮮とそのミサイルの脅威が両国の当面の焦点だったが、「中国と地域に対するその自己主張が両国の意識に重くのし掛かっていたことは間違いない」と、ジョージ・W・ブッシュ政権時代に東アジア・太平洋担当次官補代理を務めたエバンズ・リビア氏は語った。
ファイル―共同記者会見後に握手する韓国の尹錫悦大統領(左)と日本の岸田文雄首相、2023年3月16日、東京にて。
韓国と日本の和解は両国にとって「協力し米国とも連携して、地域の支配を達成しようとする北京の試みを受け入れないことを明確にする」機会になると述べた。
中国はこの地域でますます攻撃的になってきており、韓国・日本・台湾はいずれも中国が自国の領海と領空に侵入していると主張している。
1月の会合で、米国と日本は、中国が「国際秩序を自国の利益になるように再構築し、その目的のために中国の増大しつつある政治力・経済力・軍事力・技術力を利用しよう」とする試みに対して懸念を表明した。
両国はまた、「中国による東シナ海における武力により現状を一方的に変更する試みの強化」にも反対すると表明した。
3国間関係
専門家たちによると、アジアにおけるワシントンの最も堅固な同盟国間の関係回復は、バイデン政権にとって中国に対する共同戦線を形成する機会を提供する。中国は、この地域における米国に対する優位を求めて国際ルールに基づく秩序を損なおうとしている。
「バイデン政権は両国に対し、サプライチェーンの強靱化や中国への先端エレクトロニクス技術の移転の遅延化などの問題について、3国間の安全保障協力を促進しやすくするために、両国関係を正常に機能させるよう非常に強く後押ししている」と、スタンフォード大学の東アジア研究講師ダニエル・スナイダー氏は述べた。
「ミサイル防衛から海洋安全保障に至る全ての分野で3カ国が協力を重ねるほど、米国はより広範な安全保障目標を達成することが容易になる」と、同氏は述べた。
元CIAアナリストで現在はLMIコンサルティングの政策実務領域責任者のスー・キム氏は電子メールで、「尹・岸田首脳会談の結果により、3国は地域における中国の侵略的行為に対抗する取り組みを強化する方向に一歩近づいた」と述べた。
韓国と日本の指導者は中国の名前には言及しなかったが、両国が協力することで合意した分野はこの地域における米国の目標と一致している。
バイデン政権は、中国への半導体などの先端技術の流出を制限しようとしている。北京がこれらの部品を軍事用途に使用するのを防ぐためだ。
ブルッキングス研究所東アジア政策研究センターで韓国研究を担当するSK-Korea財団理事長のアンドリュー・ヨー氏は、「安全保障と経済の分野で協力を強化するという両国の決定は、北朝鮮の脅威だけではなく、インド太平洋における中国の自己主張の強まりへの対応でもある」と述べた。
2023年5月7日、韓国・ソウルの大統領官邸で、日本の岸田文雄首相と岸田裕子夫人と会食する韓国の尹錫悦大統領(左)と妻の金建希(左から2人目)。(South Korea Presidential Office via AP)
軍事と経済
岸田氏が日曜の首脳会談後の共同記者会見で述べたように、ソウルと東京は北朝鮮のミサイル活動に関するデータをリアルタイムで共有できるよう、両国のレーダーを米国のレーダーとどのように連携させるかについて協議してきた。
ランド研究所でインド太平洋地域の安全保障問題を専門とする上級国防アナリスト、デレク・グロスマン氏は電話インタビューで、「彼らは皆、それが北朝鮮と大きく関連することを話すだろうが、北朝鮮に対して出来ることは中国に対しても水面下で試せることを、私たちは知っている」と語った。
「そのため、日本と韓国が『ミサイル防衛に関する情報を共有する』と言うと、中国は即座に『それは私たちのことでもあるに違いない』と考える。」
中国外務省の汪文斌(Wang Wenbin)報道官は火曜日の記者会見で、北朝鮮のミサイルを追跡するためのレーダーシステムを統合しようとする同盟国側の取り組みは「他国の戦略的安全保障上の利益を傷つける」と述べ、ワシントン・ソウル・東京による3国間軍事協力を批判した。
来週広島で開催されるG7会議では、米国・日本・英国・カナダ・フランス・ドイツ・イタリアの首脳が中国の経済慣行について話し合う予定だ。尹氏も参加の招待を受けている。
―参考―
- 「尹-岸田宣言」に期待 外交部「エリゼ条約はいい先例」(KBS WORLD日本語)[2023.5.16]
- エリゼ条約に関する5つの質問(在日フランス大使館)
(投稿者より)
長い投稿になりました。お読み頂き有り難うございます。
"Yoon's outreach"「尹氏の差し伸べた手」、抽象的な表現ですがその通りに訳しました。韓国からすると、尹氏の一連の言動は一方的な譲歩です。しかし、日本側にも現在に至るまで約束を悉く反古にされた歴史がありました。日本国民の多くは韓国を相手にすることに疲れ、業を煮やしています。
日本国内の意見に配慮するならば、レーダー照射事件について何らかのケジメが無ければ防衛分野での協力は出来ないでしょう。戦略物資の輸出について今後は横流しをしないとの確約が得られなければ貿易の拡大は出来ないでしょう。企業活動に関する国際条約を無視した司法判断を止めて貰えなければ企業は安心して投資することは出来ないでしょう。
ただ、この数ヵ月の尹大統領の行動を見たときに、氏が相当な政治的リスクを冒していることが分かります。対中国の包囲網を作るための米国(や西側諸国、そして、日本)の戦略に協力するためと思われますが、国内世論を半ば押し切るような形で日本に譲歩したり、ロシアや中国とは地理的にも近い韓国が西側の一員としての立場を明確にするのは、覚悟の必要なことです。
日本が筋を曲げた対応を取ることは慎むべきですが、韓国との関係を前に進めたいならば、その覚悟に報いた行動は必要かも知れません。