「日本と韓国―『敵』であり『友人』でもある両国の歴史的な首脳会談」(RFI・BBC NEWS JAPAN)

「日本と韓国―『敵』であり『友人』でもある両国の歴史的な首脳会談」(RFIBBC NEWS JAPAN)









(La Corée du Sud et le Japon visent un rapprochement, tandis que la Corée du Nord menace: RFI)

https://www.rfi.fr/fr/asie-pacifique/20230316-la-cor%C3%A9e-du-sud-et-le-japon-visent-un-rapprochement-tandis-que-la-cor%C3%A9e-du-nord-menace





北朝鮮が威嚇する中、韓国と日本は和解を目指す





発表 2023年3月16日 08:01









2023年3月16日、日本・東京に到着した尹錫悦(Yoon Suk-yeol)・韓国大統領。AP - Yuya Shino





RFI






3月16日木曜日、尹錫悦・韓国大統領が日本の東京を訪問中に、北朝鮮は長射程弾道ミサイルを発射した。今回は12年ぶりの両国間の首脳会談であり、必然的にこの地域の緊迫した安全保障状況の中で開催される。韓国は週初から大規模な合同軍事演習を実施しており、北朝鮮はこれにミサイル発射で応じた。





報告 RFIソウル特約記者、 ニコラ・ロッカ



尹錫悦・韓国大統領と岸田文雄・日本首相の歴史的な首脳会談は、記憶と防衛の問題を中心に話し合われることになっていた。3月16日木曜日、北朝鮮が長射程弾道ミサイルを発射したために、これが尹錫悦氏が日本に到着した時に議論の中心になることが確実になりそうだ。



東京とソウルの目標は長年の対立を終わらせることと、特に軍事分野でのコミュニケーションを改善することだ。この米国の2つの同盟国は、特に北朝鮮のミサイル発射についての情報を自動的かつリアルタイムに共有することに合意した。退役将軍で韓国特殊部隊の指揮官だった全仁釩(Chun In-bum)氏は、次のように説明する。



「事態が発生した場合、人間の介在なしに情報を取得できれば誰にとっても大きな切り札になる。北朝鮮は韓国の目標に3~5分で命中するミサイルを持っているかも知れないからだ。したがって、たとえこれにより得られる警告時間が10秒~15秒しか増えなかったとしても、私たちの安全性が改善され生存の可能性が向上する。」



この5年間で北朝鮮の軍事手段が大幅に改善されたことに直面し、また、中国との緊張が高まっている状況において、ワシントンは、東京とソウルが歴史的な対立を脇に置いて効果的な軍事協力を進めるよう望んでいる。韓国はこれに先立ち、日本企業の参加を得ずに日本の半島植民地化がもたらした被害者に補償する計画を提案したが、東京側からの見返りを期待しているのは確かだ。







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―参考―













(Les Sud-Coréens perplexes après le voyage de leur président Yoon Suk-yeol à Tokyo: RFI)

https://www.rfi.fr/fr/asie-pacifique/20230317-les-sud-cor%C3%A9ens-perplexes-apr%C3%A8s-le-voyage-de-leur-pr%C3%A9sident-yoon-suk-yeol-%C3%A0-tokyo







尹錫悦大統領の東京訪問に当惑する韓国国民





発表 2023年3月17日 12:39







2023年3月16日木曜日、東京の名高い街・銀座にあるレストラン・煉瓦亭での尹錫悦(Yoon Suk-yeol)・韓国大統領 (左) と岸田文雄・日本首相. AP





RFI






3月16日木曜日、尹錫悦・韓国大統領との岸田文雄・日本首相が東京で会談した。首脳会談の目的は関係を結び直すことと、占領中に労働を強制された韓国人被害者への基金を通じた補償について詳しく説明することだ。しかし、この会談の結果を韓国国民を納得させるには苦労するだろう。





報告 RFIソウル特約記者、セリオ・フィオレッティ



彼らは何も期待してなかったが、それでも失望している。日本が勝利を収めたという印象から、尹氏と岸田氏の首脳会談に韓国国民は表情を緩めなかった。日本の首相は、占領中の強制労働について謝罪を述べなかった。また、彼は日本企業が被害者補償基金にどのように参加するかについても言及しなかった。



それでも、この首脳会談から得られるプラスの点はある。韓国経済の根幹を成す半導体の原料に対する日本の輸出規制解除だ。この合意のお蔭で、ソウルは北京を怒らせる危険を冒して中国産原料への依存から抜け出す目処が立った。



北朝鮮側も黙ったままでは無かった。米国との共同演習に加えて、尹氏と岸田氏は金正恩氏に対する更なる協力を表明した。北朝鮮メディアによると、北朝鮮は3月16日木曜日に「敵を怖がらせる」ために大陸間ミサイルを発射した。



とにかく、尹錫悦氏は日本の指導者との会談に満足しているが、尚も韓国国民を説得する必要がある。





► これも読む:尹錫悦・韓国大統領が歴史的な訪問で東京に[投稿者の和訳





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韓国 日本 尹錫悦 外交 歴史 経済 岸田文雄











(Le président sud-coréen Yoon Suk-yeol à Tokyo pour une visite historique: RFI)

https://www.rfi.fr/fr/asie-pacifique/20230316-le-pr%C3%A9sident-sud-cor%C3%A9en-yoon-suk-yeol-%C3%A0-tokyo-pour-une-visite-historique





尹錫悦・韓国大統領が歴史的な訪問で東京に





発表 2023年3月16日 13:17







2023年3月16日木曜日、尹錫悦(Yoon Suk-yeol)・韓国大統領と岸田文雄・日本首相。日本・東京にて。AP - Kiyoshi Ota





RFI






3月16日、尹錫悦・韓国大統領が韓国元首として12年ぶりに日本を訪問した。この数時間前、北朝鮮大陸間弾道ミサイルを発射して日本海上に着弾した。韓国大統領と岸田文雄・日本首相は歴史をめぐる論争を緩和しながら、北朝鮮と中国に対する統一戦線を示そうとしている。





報告 RFI東京特約記者、フレデリック・シャルル



日本は、1910年から1945年までの日本の朝鮮半島の植民地化に関連した歴史をめぐる論争のために、韓国国民の60%が尹錫悦大統領の東京訪問を認めていないことを知っている。それだけに、地理的には非常に近いが歴史的には互いに余りにも遠く離れた、2つの隣国間の「相互の敵意の悪循環」を終える決意で、韓国大統領が手を差し伸べたことを日本は高く評価している。



今や両国を近づけているのは、予防措置として核兵器を使う準備を整えた北朝鮮の脅威だ。中国との緊張も安全保障分野における協力の強化を促している。両国は、北朝鮮のミサイル発射についての情報をリアルタイムに交換することになった。米国は長年アジアにおける2 つの最大の同盟国に対し、対立的な関係を終えるよう促していた。



日本は韓国との「シャトル外交」を再開する。そのため、日本の岸田文雄首相はソウルを訪問する。両国の企業は、サプライチェーンの安全を強化するための民間基金を設立する。日本は、半導体製造に必要な化学物質の韓国向け輸出規制を解除する。



日本首相は、5月に広島で開催されるG7サミットに韓国大統領を招待する予定だ。昨年、マドリッドで開催されたNATO首脳会議には、両首脳が「アジアのパートナー」として出席した。





► これも読む:北朝鮮が威嚇する中、韓国と日本は和解を目指す[投稿者の和訳





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―参考―













BBC NEWS JAPAN)

https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-64960800





日韓首脳会談、友人のような敵「フレネミー」同士の「節目」の対面





2023年3月16日・更新 2023年3月17日







EPA

首脳会談後の記者会見を終え、握手を交わした韓国の尹大統領(左)と日本の岸田首相(16日、日本の首相官邸






韓国の尹錫烈(ユン・ソンニョル)大統領と日本の岸田文雄首相が16日、東京で会談した。冷え込んだ両国の関係を改善させる節目の会談だと評価されている。北朝鮮がこの1週間で4発のミサイルを発射する中で、過去をめぐる対立より安全保障を優先させたい日韓両国の姿勢が示された。





両首脳は、「シャトル外交」と呼ばれる定期的な訪問の再開で合意。長く続いていた貿易紛争も解決させた。日本は半導体材料の輸出規制を解除することで合意し、韓国は世界貿易機関WTO)への提訴を取り下げた。



2011年以来途絶えていた両国首脳の会談について、それぞれの国で取材するBBC特派員が解説する。








韓国政府が先手、関係改善以上を期待





ジーン・マケンジー(ソウル)





韓国の尹大統領は、この首脳会談を実現させるために、見事な戦略を成功させたと言ってもいい。



韓国の指導者がこのような会談のために東京に招待されるのは、実に12年ぶりのことだ。



隣国同士の関係は何十年もの間、その困難な歴史に悩まされてきた。韓国は1910年から第2次世界大戦終結まで日本の植民地だった。日本軍は何十万人もの韓国人を鉱山や工場で強制的に働かせた。女性たちは性奴隷にされた。







Reuters

訪日した尹大統領と妻の金建希(キム・ゴニ)氏。外交経験のない政治初心者の尹氏は、数十年にわたる韓日間の不信感の払拭に努めている






これらの傷跡は、もはや生々しいものではない。しかし、韓国で忘れ去られているわけでも、許されているわけでもない。



ところが、尹大統領は6日、韓国最高裁が日本企業に命じた当時の奴隷制度の一部犠牲者への賠償金の支払いについて、韓国の財団が肩代わりするという、元徴用工問題の「解決策」を発表した。尹氏は北東アジアの安全保障のために、過去の出来事を脇に置こうとしたのだった。



この問題について、日韓両政府が事実上合意したかたちとなった。野党指導者は、この合意は「韓国史上最大の屈辱」だとらく印を押した。ただそのおかげで、尹氏は今回の東京訪問を勝ち取ることができた。この国の外交官たちは静かに驚き、感心している。とりわけ、外交政策の経験のない政治の素人である尹氏にとって、勇敢かつ賢明な行動だったとみている。尹氏は昨年までは弁護士だった。



大統領就任以来、尹氏は自身の外交政策の要として、この亀裂が入った関係の修復を掲げている。核武装した北朝鮮による危険性が増す中、韓国政府は日本政府と情報を共有し、韓国軍と自衛隊を連携させることで恩恵を受けることができる。



また、同盟国アメリカを喜ばせたいとも考えている。アメリカはパートナーの国々の注意を、台頭する中国への対抗に向けたいと躍起になっている。ジョー・バイデン米大統領は、尹氏による元徴用工問題の解決策を「画期的な新章」だとたたえた。翌7日には、尹氏を国賓としてホワイトハウスに招待すると発表した。







EPA

尹大統領による徴用工問題の解決策は、日本に強制労働を強いられた人や韓国の野党議員を激怒させた。画像は韓国・ソウルの国会議事堂前でのデモの様子(7日)






これはまた、世界における韓国の地位の、新たな章を告げるものだった。尹氏は北朝鮮に対する自国のトンネル・ビジョン(偏狭な見方)を終わらせたいと考えている。その代わりに、インド太平洋地域全体において、韓国が果たせるさらに大きな役割に目を向けている。日本の岸田首相から、5月に広島で開催される主要7カ国首脳会議(G7サミット)に招待されれば、ミッション達成ということになる。



経済的な見返りもある。関係が特に悪化した2019年、日本は韓国の半導体製造に必要な化学物質に輸出規制をかけた。韓国政府高官は、この規制を解除することが最優先事項だと説明した。



今回の首脳会談は、長年にわたり破綻した信頼関係を修復するチャンスだ。いまのところ、韓国政府は日本政府以上に譲歩している。ある上級外交官が私に言ったように、韓国は隣国を誘うために、誰もが注目している中、明かりをつけたダンスフロアを歩いてやってきた。そして日本は踊ることに同意した。しかしながら韓国は、それ以上のことを期待している。








日本にとっても戦略的な勝利





シャイマ・ハリル(東京)





韓国の尹大統領は、待ち望まれていた訪日で、いくつものハイレベル会談に臨んだ。日本のメディアによると、好物の「オムライス」を食べる計画もあるという。



読売新聞は、首脳会談の後に岸田首相が尹氏を有名レストラン「煉瓦亭」に連れて行く予定だと伝えた。



日韓関係の改善に向けた努力と一部の日本メディアは評し、ソーシャルメディアでは「オムライス外交」との言葉も生まれている。



共同通信によると、両国の外務と防衛の当局も安全保障に関する協議を再開させるという。





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日韓の緊密な関係が両国の利益になることは間違いない。しかし今回は、日本の戦略的、外交的勝利といえる。世界第3位の経済大国の日本は、5月に広島でG7サミットの開催を控えている。



同会議では、北朝鮮と中国による脅威が間違いなく最重要議題となるだろう。日本は韓国と安全保障面で関係を強化することで、そうした脅威への対処でより強固な立場に立てる。



それはまた、アメリカに重要なメッセージを送ることにもなる。日本は、不安定さと危険性を増している周辺地域において、アメリカを重要な同盟国および有力なまとめ役としてなおも頼りにしていることを、アメリカに示したいと考えている。



尹氏は、2019年以降に日本を訪れる初の韓国大統領となる。両国の関係は同年ごろに、日本が朝鮮半島を植民地支配していた時代の強制労働をめぐる問題で、急速に悪化した。







AFP

尹大統領(テーブルの左)と岸田首相(同右)は昨年6月の北大西洋条約機構NATO)の会合(写真)などでは顔を合わせている





また、日本がスマートフォンのディスプレイやテレビ画面、半導体の製造に使われる化学物質などハイテク材料の韓国向け輸出を規制したことで、両国の緊張は一段と高まった。



韓国が今月6日、強制労働をめぐる長年の紛争の「解決策」を発表すると、少なくとも外交官や政治家の間に、新たなスタートに向けた興奮がみられた。



岸田氏は韓国側の動きをたたえ、林芳正外相も「関係を健全な状態に戻す」ための努力だとして歓迎した。両国は、4年ほど前から続く貿易規制の見直しを発表した。



今回の関係改善は、最も重要な時期に行われる。日韓という隣国同士にとどまらず、共通の戦略的同盟国であるアメリカにとっても重要だ。



ジョー・バイデン米大統領は声明で、「アメリカの最も親しい同盟2国間の協力とパートナーシップにおける画期的な新章」だと評価。



「完全に実現すれば、両国の歩みは、自由で開かれたインド太平洋地域という共通ビジョンを維持し、前進させる助けとなるだろう」とした。



だが、日韓どちらの首脳にとっても、簡単には進まないだろう。両国の強硬派の政治家たちには、歴史的な緊張と不信が根強く残っている。



とはいえ、両国は今まさに、膨らみ続けている共通の脅威に直面している。北朝鮮はより強力でより高度なミサイルを開発している。近いうちに核兵器の実験を行うとも懸念されている。



中国は周辺地域に積極的に進出している。ソロモン諸島での軍事基地建設計画は、アメリカやアジア太平洋地域の同盟国を不安にさせている(中国は基地建設を否定している)。



先月、アメリカが中国の偵察用気球を撃墜すると、日本は2019年以降に同国上空で少なくとも3回目撃された未確認飛行物体について、中国の偵察用気球だったと推定されると発表した。



日本の防衛省は、外国の気球による領空侵犯があった場合の武力行使のルールを見直すと表明した。浜田靖一防衛相はこれに先立ち、それら外国の気球を撃墜する可能性も排除しない考えを示していた。



日本はまた、中国が台湾に侵攻する可能性を常に懸念している。実際に起これば、必然的に日本は引き込まれることになる。中国がウクライナでの戦争でロシア支持を強めるほど、こうした不安は深まるばかりだ。



日本と韓国は問題に満ちた歴史を共有している。地域の安全保障に関しては、両国はますます緊張した現在と、不確かな未来に直面している。





(英語記事 S Korea and Japan: A 'milestone' meeting of frenemies





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(投稿者より)



日韓両国の"frenemy"「フレネミー:敵であり友人でもある相手」な関係は白村江の時代から続いていますが、今月に入り急速に雪解けを迎えたようです。あるいは、日本と韓国が対立を続けることで利益を得ていた勢力が力を失ったのかも知れません。



この変化を世界的な枠組みに取り込む動きも早速現れ始めていますが、この変化そのものが不可逆的なものに成ることを期待しています。