日本:異色の政治家・菅義偉氏が安倍晋三氏の後任になる (RFI)

日本:異色の政治家・菅義偉氏が安倍晋三氏の後任になる (RFI)









(Japon: l'atypique Yoshihide Suga succède à Shinzo Abe: RFI)

https://www.rfi.fr/fr/asie-pacifique/20200912-japon-yoshihide-suga-profil-atypique-gouvernement-continuit%C3%A9





日本:異色の政治家・菅義偉氏が安倍晋三氏の後任になる





発表 2020年9月14日08:26・更新 2020年9月16日08:30







2020年9月14日、菅義偉氏が安倍晋三氏の後任として日本の首相に選ばれた。Kimimasa Mayama/Pool via REUTERS





クリストフ・パジェ






菅義偉氏(71)が東京の国会によって日本の首相に選ばれた。彼は、8年間政権に就き(これは最長記録だ)健康上の理由により辞任を表明しなければならなくなった安倍晋三氏の後任になる。安倍氏が2012年に首相に復帰してから彼に非常に近い相談相手だったこの農家の子息を選ぶことにより、自民党はその継続を選んだ。



菅義偉氏は自民党の中では異色の人物だ。彼はイチゴ農家の父と教師の母の間に生まれ、彼の公式ウェブサイトでは、彼が段ボール工場や首都の魚市場で荷物運びなどのアルバイトを行い学費を稼いだと説明している。第2次世界大戦の前や、時には封建時代にまでさかのぼる政治家一族によって支配されたこの保守政党に、このような経歴を持つ人物は見られない。



菅義偉氏は日本北部・東北地方の出身だ。「ここは『雪国』と呼ばれ、厳しく貧しい地域と昔から考えられている」と、戦略研究財団アジア研究主任であり、『日本、100の質問』 [Le Japon en 100 questions] の著者であるヴァレリー・ニケ氏は強調する。「つまり、これが『現実に根ざした』一面を彼に与えている。おそらく、日本国民の一部は彼のこのような面に強く共感している。それは、伝統や古くからの日本のイメージに結び付いたものだが、都市では消えつつあるものだ。」更に、菅義偉氏も自ら進んで農村の出身であることを強調している。





安倍晋三氏の内政の中心にいた



彼は法律を学んだ後、横浜を地盤とする国会議員の秘書となる。1987年、彼は28歳のときそこで市議会議員に選ばれた。その9年後、彼は東日本(東京の近く)のこの大都市から代議士に選ばれ、選挙の度に再選している。



2012年の安倍晋三氏(投稿者による和訳の首相復帰の立役者である彼は、首相からその御褒美として内閣官房長官ならびに報道官を任命された。これは戦略的な地位で、彼はこの8年間「全ての施策の中心にいて、更には、間違いなく政治・経済的選択の一部を行っていた」と、ヴァレリー・ニケ氏は説明する。 「そして、間違いなくこのために彼は立候補を考えざるを得なくなった。」



彼は、安倍晋三氏の就任直後から国の経済活性化を目的とした「アベノミクス(投稿者による和訳」の中心にいた。また、彼は省庁に対する内閣の支配を強化して、その責任を内閣が引き受けるようにした―その過程で、強力な日本の官僚たちを平伏させた巧みな戦術家としての評判を得た。中国などアジア諸国へのビザ発給を促すことにより観光客への開放政策を始めたのも、やはり彼だ。



最後に、タイム誌によると2017年、ドナルド・トランプ氏の米国がTPP(環太平洋パートナーシップ協定、アジア太平洋地域と米州地域の経済統合を目的とした自由貿易協定)から脱退した時、彼はこれが生き延びるために大きな役割を果たした。ヴァレリー・ニケ氏によれば、外交政策では彼は安倍晋三氏の政策を継続するはずだ。「中国については確りと経済的利益のための関係維持に努めつつ、米国との同盟関係も必ず守る。」



自民党内では、菅義偉氏はどの派閥にも属していない。彼は観念論者と見なされておらず、ナショナリスト安倍晋三氏とは対照的だ。安倍氏は、戦後から受け継がれた国の平和憲法に「自衛隊」(日本の軍に相当するものだが、その役割は防衛に限定されている)の存在を盛り込むために、これを変えようと試みて批判を浴びている。2013年末、菅義偉氏は安倍晋三氏の靖国神社行き(投稿者による和訳を止めるよう進言した。そこには日本の戦争犯罪者たちが他の人たちと一緒に祀られている。それでも首相は参拝し、ソウルと北京からの怒りとワシントンからの批判を正面から受け、そこに再び行くことはなかった。





地味な人物



日本国民は菅義偉氏のことを殆ど知らない。彼の私生活は今でもとても地味だ。彼は結婚しており、3人の子供の父親であり、余暇の過ごし方も質素(釣りとウォーキング)で、酒を飲まない。彼は1つしか弱点を認めていない。彼の話では、それはエクセサイズ(毎朝毎晩100回の腹筋運動)の御褒美としての甘いお菓子とパンケーキだ。



彼の性格についてだが、記者会見では話し下手な姿を表に出した。また、面倒な質問が時々あったが、その場合には記者たちを前に愛想があまり良くなかった。要するに、堅苦しい印象だ。去年の徳仁・新天皇の即位の際に令和時代という新たな御代の名を公表することにより、彼に対する好感が波のように沸き上がったにも係わらず、それは残った。彼はその時に「令和おじさん」という親しみやすい渾名を貰った。



菅義偉氏は選挙戦の間、コロナウイルスとの戦いや不況に入った日本の景気回復が優先事項になること、そして、菅政権は暫定政権にならないことを明らかにした。新首相の持ち時間は、2021年秋(安倍晋三氏の最後の任期の終わり)の次の総選挙までの1年しかないからだ。自民党内の一部から時々期待されるように前倒し総選挙が実施された場合、菅義偉氏にとってこの1年が最終的に数週間に縮められるかも知れない。問題は、この総選挙により菅義偉氏の権力が固まるのか、それとも、この総選挙が新たな選択についての党内の新たな裏取引への道を開くのかだ。





►聞く:安倍晋三氏の総合評価:「象徴的かつ現実的な改革が数多くあった」





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