日本は半導体に36億ユーロを追加投資する(RFI)

日本は半導体に36億ユーロを追加投資する(RFI









(Le Japon investit 3,6 milliards d'euros supplémentaires dans les semi-conducteurs: RFI)

https://www.rfi.fr/fr/%C3%A9conomie/20240402-le-japon-investit-3-6-milliards-d-euros-suppl%C3%A9mentaires-dans-les-semi-conducteurs





日本は半導体に36億ユーロを追加投資する





日本は半導体分野の遅れを取り戻すために3年間で250億ユーロ相当を投資する予定で、日本のラピダス社が北海道に最先端のチップ工場を建設する資金として新たに36億ユーロを提供する。





発表 2024年4月2日 13:07







日本は半導体分野の遅れを取り戻すために、3年間で250億ユーロ相当を投資する予定だ。AP - John Minchillo





記者 RFI






報告 RFI東京特約記者、フレデリック・シャルル



日本は、電気自動車・接続デバイス人工知能プラットフォームに必要なコンポーネントを日本企業に提供するために、最高性能チップの業界で台湾TSMCや韓国サムスンとの約10年の遅れを取り戻すことを夢見ている。



日本は台湾に近いという利点を生かし、半導体生産の世界的リーダーであるTSMCを説得し、僅か2ナノメートルの次世代チップ(500億個のトランジスタを爪1枚の広さに集める大きさ)を生産する工場を国内に2~4ヵ所建設するようにした。



エヌヴィディアとアップルを顧客に持つTSMCは、特に日本での生産能力の多角化を望んでいるが、中国による台湾侵攻の可能性に備えて米国とドイツでも多角化したいと考えている。1990年代までこの業界で世界のリーダーであった日本は、チップ生産において長い経験を持っている。列島南部にあるTSMCの最初の工場の建設は、僅か22ヵ月で完了した。



また、日本はソニートヨタ・NTTが共同で100%を出資する日本の企業連合・ラピダス社が米IBMと協力して建設する工場にも資金を提供する。この日本の戦略は、半導体分野における日本・台湾・米国の関係を強化し、中国の圧力に更に対抗することを目的としている。





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(投稿者より)



日本の半導体産業はその黎明期に世界を席巻しましたが、1990年代の米国による一連の日本潰しの動きの中で諸外国の後塵を拝することになったのでした。勿論、米国が悪いというよりは寧ろ、日本の政府と業界の側に奢りと緩みがあったのでした。



それが30年の低迷を経て米中による経済のデカップリングの動きと台湾をめぐる緊張の中で再起を期す形です。産業が再興するのは良いことですが、今回も主に地政学的な要因が大きく、つまりは日本側の努力よりも外国側の都合に依存するものですから、海外からの追い風が止めば元の混迷に戻るというようでは困ります。世界の多極化に対応した偏りの無い堅固な土台を築く必要があるでしょう。



半導体の生産にはきれいな水ときれいな空気が必要ですが、熊本の工場周辺では早くも工業用水の汲み上げにより農業用水が不足する事態が発生していると聞きます。また、世界の半導体産業の中心・台湾では廃水による環境汚染が存在するとも聞きました。日本は高度成長に伴う深刻な公害問題を乗り越え、特に熊本県水俣の環境問題を克服した経験を持ちますが、「今だけ金だけ自分だけ」という世界的な風潮の中で企業・政府・自治体は当時の苦労を忘れたようにも見えます。半導体産業の再興に伴い予想される環境問題に対して先手を打てるかも注目されます。