日本:賃金上昇により停滞していた経済が目覚める (RFI)

日本:賃金上昇により停滞していた経済が目覚める (RFI)









(Japon: le réveil de l'économie suspendu à la hausse des salaires: RFI)

https://www.rfi.fr/fr/podcasts/aujourd-hui-l-%C3%A9conomie/20240124-japon-le-r%C3%A9veil-de-l-%C3%A9conomie-suspendue-%C3%A0-la-hausse-des-salaires





今日の経済





日本:賃金上昇により停滞していた経済が目覚める





発表 2024年1月24日 09:53





日本では1月24日水曜日から、経営者と労働組合が賃金について話し合うために再会する。これは国の将来にとって重要な交渉であり、慢性的な経済の衰退を食い止めるために気前の良い賃上げが期待されている。







岸田文雄・日本首相、2023年12月18日東京で。 © AP/Eugene Hoshiko





この国は世界で最も裕福な国の1つだが、賃金は30年間停滞している。1990年代末に発生した金融危機以来、所得は物価と同様に低下する傾向にある。日本はスタグフレーションの罠に陥った。つまり、デフレによって独りでに成長が衰退するのだ。この緩やかな衰退により、日本は2023年にドイツに抜かれ富裕国の中で4位に後退した。この落下は緩やかだが容赦のない姿を見せている。経済の萎縮と人口の崩壊による複合的な効果で、日本は年間80万人の住民を失っている。



2023年の初めに観測された回復は楽観的なシナリオの兆しを残した。実際、Covid-19とウクライナでの戦争開始から、この列島では多くの変化が起きた。これら2つの外からのショックが日本経済を麻痺状態から脱却させた。1つ目は産業の活性化についてだ。中国による封じ込めに困惑した西側諸国は、安全を求めて日本に工場を建設することが再び潮流になった。世界一の半導体メーカー・台湾TSMC社は2月中に九州に新工場を完成させる。慎重で収益性の高い運用で評価されている米国の有名な投資家ウォーレン・バフェット氏は、日本への投資を奨励している。





インフレーション



2 番目の予期せぬ有益な結果は、インフレに目覚めたことだ。2023 年には物価上昇率が 3%を超えた。これは驚きだ!日本企業の経営者たちはこれが需要を阻害しないことを確認した。彼らはこれに安心し、2023年の春に賃金を引き上げることに合意した。これは30年ぶりのことだ。しかし、賃金は依然として低すぎてインフレ率を下回っている。このため、今年は更に気前の良い一押しが期待されている。





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2024年の賃上げによりやっと好循環が起こるかも知れない。消費、ひいては、成長を活性化するためには、2024年には4%の賃金上昇が歓迎されそうだ。2023年には記録的な利益が得られたため、大企業には追加の努力ができる資力がある。また、人口動態の危機にますます緊張が高まる雇用市場では、従業員を引き留めることが必要だ。家庭でも連日の交渉を関心を持って見守っている。中央銀行も同じだ。彼らは30年間に亘りゼロに近い、いや、寧ろ多くの場合はそれよりも低い金利で懸命に経済を支えてきた。



現在、彼らはマイナス金利を実践する地球上で最後の金融家だ。インフレを実現しつつその率を2%未満に維持できれば、そして、エコノミストの期待通りに賃金が大きく上昇すれば、日銀はついに正常化を始めるかも知れない。彼らは3月末まで続く交渉の末に決断を下すだろう。





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記者:ドミニク・バヤール





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(投稿者より)



世界の投資資金が日本に集まっているのは事実のようです。「割安な株式市場は日本だけ」との市場関係者の評価を以前に読みました。不動産バブルが弾けたと言われる中国では、富裕層が円を調達して日本株ETFを購入しているとも聞きます。



日経平均株価は先週に36900円台の高値を付けました。今後は1989年の天井を超えて4万円台に突入するという観測も聞かれます。その一方で、半導体などの一部の業種しか株高に寄与して居らず寧ろ下落を続ける銘柄も少なくないことから、いずれは不安定な海外情勢に引き摺られるだろうとの声もあります。



ところで、「政労使会議」は財界・労働界・政府の代表による会議です。つまり、大企業の経営者・大企業の労働者・大企業の支援を受ける議員が閣僚を務める政府の3者による話し合いです。



彼らが何かを話し合い何かを決めたところで、円安による原材料費の高騰を価格に転嫁できるのは市場において価格決定力を持てる一部の大企業だけで、このような会議の恩恵をうけるのも大企業に勤める組織労働者だけです。その一方で、企業も政府・自治体も調達などのコスト削減に血眼になっていますから、彼らを顧客とする中小・零細企業の労働者や個人事業主は、相対的な力関係の弱さのために必然的にこの動きから置いて行かれます。



他の分野でもそうですが、岸田氏の政策は総じて一部の豊かな人々を更に富ませて他を見捨てるものであるように見受けられます。災害支援は規模が小さく、多くの生活者が被災以前の生活を取り戻すことが出来ません。少子化対策でも既に子供を持つ家庭に更なる優遇策を示す一方で、結婚・出産のできる経済力の無い若者には手を差し伸べません。



去年10月からインボイス制度が始まりましたが、これにより多くの個人事業主が廃業することが予想されています。というよりも、正確には多くの個人事業主が廃業に追い込まれることを見越した上で、この制度は導入されています。この制度を推進する側は「消費税を払える収益力を持たない企業・事業者は寧ろ退場すべき」と考えているようで、実際に議論の過程でそのような意見も耳にしました。



1つの政策課題について受益者に閾値を設定して、それに届かないものを救済の対象から外す。あるいは、平等の名の下に弱者のために設定された救済措置を撤廃する。そういった点では現政権の政治手法は悪魔的と言えます。



岸田氏は国民から吸い上げた資金を海外に移転させ、同時に国内に外国企業の投資と移民を引き入れることにより、日本に更なる貧困と混乱を齎し外国勢力による日本の支配を更に進めることをミッションにしているのだろうと思いながら様子を見ています。



ただ、米国におけるトランプ派の復調、西欧諸国で発生した農民の「反乱」、スイスで行われたダボス会議の不成功などを見たとき、そして、日本においても一連の政策についての政府に対する国民の反感が広がっているのを見るとき、時代は既に逆転を始めたようにも見えます。