「日本で大規模な景気支援策、但し、効果は懐疑的」(RFI)
(Au Japon, le Premier ministre annonce un plan de soutien massif pour la troisième économie mondiale: RFI)
https://www.rfi.fr/fr/asie-pacifique/20231102-au-japon-le-premier-ministre-annonce-un-plan-de-soutien-massif-pour-la-troisi%C3%A8me-%C3%A9conomie-mondiale
日本では、首相が世界第3位の経済大国への大規模な景気支援策を発表する
日本では2022年春以降、ウクライナ戦争の勃発によるエネルギー価格の高騰とこれと同時に進行する円安のために、消費者物価の上昇加速に直面している。
発表 2023年11月2日 08:17
臨時国会で所信表明演説を行う日本の岸田文雄首相。2023年10月23日、東京にて。(説明画像)AFP - KAZUHIRO NOGI
記者 RFI
日本国民へのインフレの影響を軽減し、支持率の向上を図る。この2つが、11月2日木曜日に与党の代表者たちが出席した政府の会議で日本の岸田文雄首相が発表した、17兆円(約1067億ユーロ)を僅かに上回る規模の日本の景気支援策の目的だ。
岸田文雄氏は「今回の総合経済対策の最も重要な柱は、供給力を強化して企業の収益機会を改善することだ」と述べた。
デフレとインフレ
数十年にわたるデフレに見舞われた日本は、2022年春以降、ウクライナ戦争の勃発によるエネルギー価格の高騰とこれと同時に進行する円安のために、消費者物価の上昇加速に見舞われている。2023年に入ってから、加工食品やサービスなど他の支出項目によってインフレは勢いを増している。
「低い物価と賃金の低迷、そして、弱い成長に象徴されるデフレの悪循環が反転しつつあることが認められる」と首相は明言し、「私たちは30年振りに新しい経済に移行する途方もない機会に遭遇している」との考えを示した。ただ、「物価上昇に賃金上昇が追いついていない現状では、デフレへの逆戻りを避けるために一時的に国民の可処分所得を支える必要がある」とも述べた。
日本銀行(BOJ)は他の先進国の政策と逆を行く極めて緩和的な金融政策が円安に寄与してきたが、今週、同行は消費を促進する筈の賃金上昇が現在のインフレに追い付いていないことを考慮し、この政策を基本的に維持することを決めた。
減税
岸田文雄氏の財政政策はこの物価上昇に直面して批判を受けており、その支持率は2021年の就任以来最低の水準に落ち込んでいる。政府は同日中にこの計画についての詳細を更に発表する予定だ。地元メディアによると、この総額は民間部門による投資も含めて37兆4000億円(2377億ユーロ)相当になり得る。
公共放送NHKによると、この措置には1人当たり4万円(251ユーロ)の減税と低所得世帯への7万円(439ユーロ)の支援金が含まれる予定だ。また、この計画にはガソリン価格や光熱費を引き下げるための諸施策や、半導体や宇宙産業の分野への投資促進策も盛り込まれる予定だ。
しかし、第一生命経済研究所のエコノミスト・熊野英生氏は、「この計画が日本経済の持続可能な成長を支える能力」については「懐疑的」との考えを述べた。この措置には「燃料価格高騰の影響を緩和するための短期支出」が含まれているが、日銀の最新予測(3月末で終わる会計年度について生鮮食品を除くと2.8%)を考慮すると期間が不十分だと、彼はAFPに語った。
国際通貨基金によると、日本の政府債務の水準は既に主要先進国の中で最も高く、現在GDPの260%を超える位置にあるが、これらの措置は日本の財政の更なる悪化にも寄与しそうだ。
(参考 AFP)
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今日の経済
日本では政府の計画により国の経済が立ち直ることは無さそうだ
発表 2023年11月3日 09:57
11月2日木曜日、日本の首相は経済を支えてインフレの影響を緩和するための17兆円(1,130億ドル)の計画を発表した。エコノミストたちは懐疑的だ。
2023年11月2日、東京で記者会見に臨む岸田文雄首相 © AP/Kiyoshi Ota
11月2日木曜日、支持率が低迷する日本の岸田文雄首相は日本経済を支える計画を発表した[投稿者の和訳]。諸施策の中には、所得税や住民税の1回限りの減税、最貧困世帯への支援金、更には電子チップや電池製造などの戦略的分野への減税が含まれている。
同首相は最終的に、ウクライナで戦争が始まった時に大幅に上昇し、イスラエルとハマスの紛争により再び上昇する可能性があるガソリン価格を抑えるための補助金の計画を発表した。これに、やはりこの計画に盛り込まれている政府保証の融資と地方自治体からの支出を加えると、この計画は―更に議会の承認が必要だが―1,500億ドル相当の額に達する。
また、同首相はインフレに直面した家計を支援する意向を確認した。中央銀行のインフレ目標は2%だが、今年のインフレ率は3%近くで留まりそうだ。岸田文雄氏も恐らく2024年の始めに前倒し選挙を実施する前に、国民へのイメージの向上を模索している。
金利を上げない中央銀行
インフレを余所に、日本の中央銀行の金利は依然として世界最低水準のままだ。米連邦準備制度(FRB)や欧州中央銀行(ECB)が2022年以降に金利を上げ続け、やっと一休みした所だが、日銀の主要政策金利はマイナス0.1%のままだ。日本経済に長い間影響を与えてきたデフレ、つまり、物価下落を恐れて、現在では主要金利をゼロより低く設定している世界で唯一の中央銀行だ。
住民の中には懐疑的な人もいるようだ。これは、国内外のメディアからインタビューを受けた専門家も同様だ。例えば、ロイター通信社のインタビューに応じた日本のあるベテランのエコノミストは、この計画が日本の国内総生産(GDP)に齎す効果は小さく、政府が設定した年率1%の成長目標の達成は不可能だろうとの考えを述べている。言う迄もなく、政府は既に2022年12月に防衛分野への支出を倍増させたいと表明しており、また、日本は既に先進国の中で最も多くの借金を抱えているのに、この国は更に借金を増やすことになる。歴代政権が長年に亘り巨額の公共支出で成長を支えようとしてきたのは確かだ。
景気はまだ回復の途上
当初、日本はCovid-19の世界的な流行による衝撃を上手く乗り切っていたが、結局のところ、世界経済を揺るがし、サプライチェーンに試練を与え、エネルギーと原材料の価格を上昇させたこの危機の影響をずっと被っている。2023年春には成長が順調に回復したが長続きしなかった。特に中国の経済減速により、第3四半期には 0.6%に逆戻りした。
日本の通貨である円は対ドルで33年ぶりの安値水準に近づいている。この国は高齢化が進み、労働力が不足している。半導体[投稿者の和訳]や電気自動車の分野でも後れを取っている。国際通貨基金(IMF)の予測によると、日本は間もなく4位に浮上するインドに2030年までに表彰台を降ろされる前に、今年ドイツと入れ替わりで世界第3位の経済大国の座を失うことになる。
記者 ジュスティーヌ・フォンテーヌ
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(投稿者より)
« Ces mesures devraient aussi contribuer à creuser encore les finances du Japon alors que le niveau de sa dette publique est déjà le plus élevé parmi les grandes nations industrialisées, se situant actuellement à plus de 260% de son PIB, selon le Fonds monétaire international. »「国際通貨基金によると、日本の政府債務の水準は既に主要先進国の中で最も高く、現在GDPの260%を超える位置にあるが、これらの措置は日本の財政の更なる悪化にも寄与しそうだ。」
IMFは財務省からの出向者が多く、その発言には財務省の意向が反映されます。日本は政府の資産と日銀(政府の子会社)の資産との合計額が政府債務の総額とバランスしているので、実際には政府債務の問題は存在しません。財務省は国民の多くに会計の知識が無いことに付け入って、国内に増税を容認しやすくする空気を作るためにメディアを利用してそのような嘘を流しているのです。
岸田氏は財務省に権力基盤を置いているので、税の増収分の還元という位置づけの所得税減税を至急にでは無く来年6月に実施する判断をしました。IMFのコメントはそれでも国民を甘やかし過ぎていると財務省が考えていることを示唆しています。
安倍氏は経産省を権力基盤に置き、財務省の財政均衡政策とは一定の距離を置きましたが、それでも2度の消費税増税を拒むこと出来ず、その結果として自らの画期的な経済政策アベノミクスを中途半端なもので終わらせました。
当初、アベノミクスの初速の目覚ましさを目の当たりにした世界各国はこれに倣い、こぞって積極財政政策を採って華々しい成果を上げましたが、日本は2度の消費税増税に足を取られて国民経済は反って悪化する結果になりました。
ところで、利上げをすると金利の上昇により融資で回している中小企業の資金がショートする、というのが日銀が金利を上げない理由ですが、世界の主要国で日本だけが金利を上げないために、米ドルやユーロなどの金利差が拡大して円安に結び付いています。
また、日本は世界の主要国で金融緩和政策を続けている唯一の国ですので、日本で刷られた円が世界の金融市場に供給されて世界の株式・債券・商品などの価格を支えている側面は有ると思います。市場において円の供給が過剰ならば円は希薄化されてその価値は下がります。これは、日本が世界のATMとして銀行屋勢力の延命に協力しているという意味にも成りますが、私が勝手に考えていることで検証が必要です。
今月に入って、三菱UFJ・三井住友・みずほの3大銀行が10年定期預金の利率を0.2%に上げました。これまでの利率は0.002%という冗談みたいな数値でしたが、政策金利がマイナスですから仕方の無いものでした。ただ、この数日の日本の10年物国債の市場金利が0.8%台ですので日本でも金利は確実に上がりつつある、ということは言えそうです。ただ、昭和の時代には普通預金でも利率は1%を上回るのが当たり前でしたので、それと比べるとまだまだなのかも知れません。
日本がGDPにおいてドイツに抜かれたことは世界的には殆ど無視されているようです。理由としては、1つにはドイツ経済も「欧州の病人」と呼ばれる程に悪い状況にあること。もう1つには、円安のためにドル建ての数字でそうなったに過ぎず、円高に振れれば状況は変わるだろうから、でしょうか。
日本は世界最大の債権国で、米国は世界最大の債務国です。海外で債務圧縮などのために政策的に通貨を切り下げる動きなどがもしあれば、直ぐに円高に振れるでしょう。また、その時には日本が海外に保有する債権は不良債権に成ります。円安は輸出企業にとっては有利ですが、日本の輸出依存度は例年10%台を推移するに過ぎません。日本は国内に目を向けるべきです。中低所得者層の負担を軽減して内需を喚起し、国民経済を立て直すことが望まれます。