【解説】 アメリカにはどこまでイスラエルを守る用意があるのか(BBC NEWS JAPAN)/イラン最高指導者が指摘する米国とイスラエルの共犯関係(Pars Today)

【解説】 アメリカにはどこまでイスラエルを守る用意があるのか(BBC NEWS JAPAN)/イラン最高指導者が指摘する米国とイスラエルの共犯関係(Pars Today)









BBC NEWS JAPAN)

https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-67202809





【解説】 アメリカにはどこまでイスラエルを守る用意があるのか





2023年10月25日







Reuters

ハマスイスラエル攻撃を受けてアメリカは、原子力空母ジェラルド・R・フォードを中核とする空母打撃群を地中海東部へ派遣し、その力を示した






アメリカはイスラエルに不断の支持を約束し、その裏付けとして軍事援助を追加した。しかし、アメリカが中東地域に関与してきた歴史の中で、アメリカも傷を負ってきたし、その痛みは今も続いている。では、現状についてアメリカはどこまで関与するのだろうか。





パレスチナ自治区ガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスイスラエルに侵入し、攻撃を展開したとき、ジョー・バイデン米大統領はまず真っ先に「アメリカは、イスラエルを支える」と述べ、自分がどちら側についているのかを明確にした。



「この状況に便乗しようと考えている者に、言うことはただひとつ。やめろ」とも、大統領は付け加えた。



この警告は明確に、イランと、同盟関係にあるその仲間に対するものだった。



国防総省によると、ここ数日の間にイラクとシリアに駐留する米軍部隊が何度か攻撃されている。そして、紅海ではイエメンから発射されたミサイルをアメリカの駆逐艦が撃墜。ミサイルはイスラエル方面を標的にしていた「可能性」があるという。



アメリカはすでに空母打撃群をひとつ、東地中海に派遣済みで、近く別の空母打撃群も同じ海域に入る。空母1隻は70機以上の航空機を搭載しており、相当の戦闘力が紛争の現場に配備されることになる。バイデン大統領はすでに、いざ必要となれば現地に入れるよう、多数の米軍部隊を待機させている。



アメリカはイスラエルにとって最大の軍事支援国だ。年間の軍事援助額は約38億ドル(約5690億円)に上る。



ガザ地区をいま空爆しているイスラエルの戦闘機は、アメリカ製だ。イスラエルがいま使っている、精密誘導兵器のほとんども同様だ。イスラエルの防空システム「アイアンドーム」が使う迎撃ミサイルの一部も、やはりアメリカ製だ。



アメリカは、イスラエルが要求するより先に、そうした兵器の補充を送り始めていた。そして、バイデン氏は20日には連邦議会に対して、イスラエルウクライナなどに約1050億ドルの追加支援予算を充てるよう求めた。そのうちイスラエルへの追加軍事援助は約140億ドルを占める。



その翌日、国防総省は最強のミサイル防衛システム2種類を、中東に配備すると発表した。高高度のミサイル防衛システム「THAAD」一式と、「パトリオット」地対空ミサイルの複数追加だ。



しかし、来年秋に大統領選を控えたアメリカの大統領が、今また新しい戦争に巻き込まれようとするだろうか? 中東地域でアメリカが近年展開してきた軍事作戦はどれも、アメリカにとってコストの高いものだった。政治的にも経済的にも、そしてアメリカ人の人命という意味でも。





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イスラエルの元駐米大使、マイケル・オレン氏は、東地中海に米軍空母を派遣することでバイデン大統領がすでにその一歩を踏み出したと考えている。



「そんなピストルは、使うつもりがないなら、取り出したりしないはずだ」



これに対して米ワシントンのシンクタンク戦略国際問題研究所CSIS)国際安全保障プログラムのディレクター、セス・ジョーンズ氏は、ガザでの戦争への直接軍事介入についてアメリカは強くためらうはずだと指摘する。



空母打撃群の派遣は、「一発も発射しなくても」有効であり得るとジョーンズ氏は言う。空母はインテリジェンス収集能力を持つほか、防空力を提供するからだ。アメリカ軍による実際の戦闘関与は「最後の手段」だろうと、ジョーンズ氏は話す。



イスラエルアメリカの両方にとって、目下の主な懸念事項は、イスラエルの北からの脅威、具体的に言えばレバノン武装勢力ヒズボラによる脅威だ。



イランが後押しするヒズボラは、ガザのハマスよりもはるかに大きな脅威だ。攻撃力においては、ハマスの持つロケット弾より強力で正確なロケット弾を約15万発保有している。そして、「仇敵(きゅうてき)」とみなすイスラエルとは、すでに戦火を交わしている。



イスラエルのオレン元大使は、イスラエルが「ガザの奥深くまで入り込み、すでに退くことがかなわず、疲弊している」段階になってヒズボラが介入するかもしれないと懸念している。



そうなった場合には、アメリカが強力な空からの攻撃力を駆使してレバノン国内の標的をたたくことも可能性としてあると、オレン氏は考えている。ただし、アメリカが地上部隊を派遣する状況になるとは、オレン氏は考えていない。







Reuters

ガザからのロケット弾を迎撃する、イスラエルの「アイアンドーム」防空システム






アントニー・ブリンケン米国務長官とロイド・オースティン米国防長官はともに、状況が悪化し、アメリカの人員や部隊が標的となれば、アメリカは対応すると言明している。



アメリカには自衛権があり、ためらわずに「適切な行動をとる」と、オースティン長官は22日に述べた。



CSISのジョーンズ氏は、紛争拡大のリスクを認めつつ、アメリカの抑止力の存在が「イランとその手先にとって、リスクのコストを引き上げている」と指摘する。



レバノンヒズボラが仮にイスラエル北部から大規模な攻撃を展開した場合、「かなり本格的な反撃に出くわすことになる」と、ジョーンズ氏は言う。それに、イランにつながりのあるグループがこの地域で米軍部隊に限定的な攻撃を仕掛けたことは、過去にもあると指摘する。



加えて、イスラエルハマスとの戦争において、直接的な軍事支援を求めているわけではない。自らを独力で守れるべきであるというのが、イスラエルの軍事ドクトリンに含まれていると、エルサレムヘブライ大学のダニー・オーバック教授(軍事史)は話す。







Getty Images

会談するオースティン米国防長官(左)とイスラエルのネタニヤフ首相(13日、イスラエル






バイデン大統領は18日にイスラエルを訪問し、アメリカのイスラエル支援は条件付きだと示した。人道支援のガザ搬入をイスラエルが認めることを、バイデン氏は望んでいるし、イスラエルがガザ占領をいつまでも続けることは望んでいない。15日放送の米CBS番組「60ミニッツ」に対してバイデン氏は、イスラエルのガザ占領が続くことは「大間違い」になると述べた。



アメリカの支援には時間的な制限もあるかもしれない。イスラエルエルサレム・ポストのコラムニストで軍事アナリストのヤアコヴ・カッツ氏は、イスラエルがガザで地上軍事作戦を開始し、民間人の死傷者がさらに増加すれば、アメリカの対イスラエル支援は圧力にさらされるだろうと考えている。



アメリカの支援は数週間のうちに、失速するとカッツ氏は見ている。「イスラエルが今後、地上侵攻をいつまでも続けられるような自由裁量を、アメリカも世界各国も与えないと思う」。



アメリカは明らかに、イスラエルへの軍事支援と中東地域で米軍のプレゼンスを拡大しただけで、今回の紛争の拡大が阻止されることを期待している。



アメリカがイスラエルに成り代わり直接介入した事例は、あまりない。1991年の湾岸戦争開始を前に、イスラエルイラクスカッド・ミサイル攻撃から守るため、パトリオット・ミサイル・システムを配備したのは、珍しい例外だった。



むしろアメリカはこれまで、イスラエルに対する自分たちの軍事的な影響力を、抑止力として使うことの方が多かったのだ。





(英語記事 How far would the US go to defend Israel?





関連トピックス 中東 イスラエルとパレスチナ イスラエル 人権 外交 アメリカ パレスチナ自治区 政治 ハマス イスラエル・ガザ戦争 軍隊











(Pars Today)

https://parstoday.ir/ja/news/iran-i120064





視点(アギーギー解説員)



イラン最高指導者が指摘する米国とイスラエルの共犯関係





10月 26, 2023 22:41 Asia/Tokyo







イラン・イスラム革命最高指導者のハーメネイー師





イラン・イスラム革命最高指導者のハーメネイー師は、シオニスト政権イスラエルによる攻撃に虐げられながらも立ち向かうパレスチナガザ地区の人々について語り、米英仏独の各首脳が相次いでイスラエルを訪問しているのは、同政権の崩壊を防ぐための画策だとしました。





ハーメネイー師は、アメリシオニスト政権による犯罪の共犯者であるとし、「アメリカの手は、ガザの女性や子供、殉教者らの血で汚れている。実際、アメリカこそがこの犯罪行為を指揮している」と語りました。



ハーメネイー師のこの発言は、西側諸国がシオニスト政権を全面的に支持し、その崩壊を防ごうとしている事実を再度示すものでした。



イスラエルはいま、今月7日にパレスチナイスラム抵抗運動ハマスが起こした「アクサーの嵐」作戦で敗北を喫したことを受け、最新鋭の爆弾やミサイルでガザ地区の住宅地やインフラを攻撃しており、これまでにパレスチナ人6500人以上が殉教、2万人以上が負傷しています。こうした中、イスラエルによる大量虐殺は、欧米諸国による支持や国連の消極姿勢がなければ、ここまで激化することはありませんでした。アメリカのバイデン大統領やブリンケン国務長官、オースティン国務長官が相次いでテルアビブを訪問し、シオニスト政権高官らと会談したことは、過去75年でみても例のないことであり、アメリカが今回のガザ戦争にどれだけ関与しているかを如実に物語っています。



イスラエル紙「イェディオト・アハロノト」はこれについて、「アメリカは、地域における自らの権益を守るため、イスラエルに代わって自らガザ戦争を指揮している」と記しました。



アメリカは、シオニスト政権の発足当初から、その最大の政治的・軍事的支援国でした。そして、米国製の兵器はイスラエルの武器保有において重要な役割を果たしてきました。今回のガザ戦争が始まってからも、アメリカは「ジェラルド・フォード」「アイゼンハワー」の2隻の空母を地中海に派遣し、無人機や偵察機などあらゆる装備をイスラエルに提供しています。



他にも欧米諸国は、国際機関における自らの影響力を利用して、シオニスト政権によるガザ攻撃の停止を阻んでいます。アメリカは、ロシアが提案したガザ停戦に向けた安保理決議案に英仏日とともに反対し、安保理としてシオニスト政権による戦争犯罪を食い止めるのを妨害しました。



その一方、ガザの民間人犠牲者数が増えるに従って、アメリカの国際的責任も増しています。国連の補助機関である国際法委員会は2001年、「国際違法行為に対する国家の責任」条項を採択し、国際法違反を重ねる政府を支援する第三国の政府も問われるようになりました。シオニスト政権がパレスチナ抵抗勢力に対し、大敗北を喫した後、その抑止力が揺らいでいることが明らかになったいま、欧米諸国が同政権への軍事・政治・メディア支援を強化すべく奔走していることは明らかです。



ハーメネイー師はこれについて、「シオニスト政権がパレスチナ戦士から強力な一撃を受けたことで崩壊・消滅に向かっていることは、世界中の悪の勢力の目にも明らかだ。それゆえ(西側諸国は)首脳らが繰り返しシオニスト政権を訪問し、連帯を表明し、武器を提供することで、この崩れかかった政権をなんとか抱き起そうとしているのだ」と述べています。





タグ イラン シオニスト政権イスラエル イスラエル パレスチナ パレスチナ人 イスラエルの犯罪 革命の指導者 イランイスラム革命最高指導者のハーメネイー師 イスラエルのガザ攻撃