「日本の最高裁が正式な性別変更のための不妊手術要件を無効とする」(VOA・BBC NEWS JAPAN)

「日本の最高裁が正式な性別変更のための不妊手術要件を無効とする」(VOABBC NEWS JAPAN)







(Japan's Top Court Strikes Down Required Sterilization Surgery to Officially Change Gender: VOA)

https://www.voanews.com/a/7325746.html





日本の最高裁が正式な性別変更のための不妊手術要件を無効とする





2023年10月25日午前8時59分





AP通信








最高裁判所の判決が下された後、原告側の南和行(左)・吉田昌史(右)両弁護士がメディアに語る。2023年10月25日、東京にて。





東京―



日本の最高裁判所は水曜日、トランスジェンダーの人々が正式に性別を変更するために不妊手術を受けることを義務付ける法律は違憲であるとの判決を下した。



最高裁判所の裁判官15人から成る大法廷による今回の判決は、国が性別の変更を認めるために性器の除去を義務付ける2003年の日本の法律の合憲性に関する初めての判決だ。この慣行は長年、国際的な人権団体や医療団体から批判されてきた。



この決定は政府に法律の再検討を求めるもので、トランスジェンダーの人々が不妊手術を受けずに公文書の身分を変更できるようにするための第一歩となる。しかし、最高裁判所性別適合手術の要件を更に検討するために事件を高等裁判所に差し戻したため、完全な勝利には成らなかった。



この訴訟は、原告による戸籍上の性別を―出生時に指定された男性から女性に―変更する申し立てが一審・二審によって却下されたために、2020年に起こされた。



この判決は、日本でLGBTQ+の人々を取り巻く問題に対する意識が高まっている時期に下され、LGBTQ+コミュニティにとって部分的な勝利となる。



裁判所の文書と原告の弁護士たちによると、裁判官らは全員一致で性別の変更のために不妊手術を義務付ける法律の部分は違憲であると判断した。しかし、最高裁判所は、性別適合手術の要件を更に検討するため、事件を高等裁判所に差し戻すよう命じた。原告の弁護士たちは、この判決は問題の解決を遅らせるので遺憾だと述べた。



法律では、戸籍などの公文書で出生時に割り当てられた性別の変更を望むトランスジェンダーは性別醜形と診断されることになっており、性器の除去手術を受ける必要がある。



その他の要件は、未婚で子供がいないことだ。







最高裁判所の判決が下された後、原告側の南和行(左)・吉田昌史(右)両弁護士がメディアに語る。2023年10月25日、東京にて。





岸田文雄首相の元側近が2月に、LGBTQ+の人々の隣には住みたくない、また、同性婚が認められた場合には市民は日本から逃げるだろうと発言したことから、日本のLGBTQ+活動家たちは近頃、反差別法の制定に向けた取り組みを強化している。



しかし変化の進展は遅く、日本はいまなおG7加盟国で同性婚や効果的な反差別法を含む法的保護を認めていない唯一のだ。



原告は西日本に住む40代後半の女性であることだけが判っているが、彼女は手術要件が多大な経済的・身体的負担を強いており、憲法の定める平等な権利保護に違反しているとして、2020年に当初の訴状を提出した。



地方の家庭裁判所が今月初め、手術を強制する規定は違憲であると主張してこれを伴わない性別の変更を求める申立人の請求を受理する前例のない審判を下したことを受け、日本の人権団体やLGBTQ+コミュニティはこの法律の改正に期待を寄せている。



2004年に施行されたこの特別法は、性別変更の登録を希望する人は精巣や卵巣を含む元の性器を切除し、登録したい新しい性別の「生殖器に似た部分があるように見える」身体にしなければならないと規定している。



それ以来、必要な手術なしの性別変更を求める鈴木げん氏の申し立てを認めた10月11日の判決の裁判所文書によると、1万人を超える日本国民が正式に性別変更を認められた。



この静岡の判決によると、公文書上の性別変更を認める法律を制定している欧州や中央アジアの約50カ国の殆どでは、性器切除手術は義務付けられていない。このような方法で性別を変更する慣行が世界の多くの国々で主流になっていると、判決で述べられた。



この国の人々は従順で、保守的な政府が伝統的で父権主義的な家族の価値観に固執し、性の多様性や家族の多様性を受け入れることに消極的だ。そのため、多くのLGBTQ+の人々が職場や学校での差別を恐れていまなお自分の性的な特質を隠している。



火曜日、トランスジェンダーの人々、特に出生時に指定された男性から女性に変わる人々への更なる包括性に反対する一部の団体は、手術要件の維持を求める請願書を最高裁判所に提出した。



現在、数百の市町村がアパートを借りるなどの際のハードルを緩和するために同性カップル向けにパートナーシップ証明書を発行しているが、こうした証明書には法的拘束力が無い。



2019年、必要な性器切除と不妊手術を行わなかったトランスジェンダー男性が性の登録変更を求めるために起こした別の訴訟では、最高裁判所は現行法を合憲と判断した。



最高裁判所はその判決の中で、その法律は家族や社会の混乱を軽減することを目的としているため合憲であると述べたものの、法律は自由を制限するものであり社会の価値観の変化から外れている可能性があり、後に見直されるべきだとの認識を示した。











BBC NEWS JAPAN)

https://www.bbc.com/japanese/67224466





性別変更の手術要件は違憲 日本の最高裁が決定





2023年10月26日





シャイマ・ハリル東京特派員、イヴェット・タン(シンガポール







AFP

日本でも性的少数者などの多用な生き方を認め合おうと呼びかける活動が広がっている(2023年4月、東京)






日本の最高裁判所は25日、戸籍上の性別を正式に変更する国民に、生殖能力を失わせる手術を受けることを義務づけるのは違憲だとする決定を出した。





2004年に施行された「性同一性障害特例法」は、生殖能力がないか、その機能を永続的に欠く場合のみ、性別を変更できるとしている。



トランスジェンダーの女性が、この法律の要件は憲法違反だとして、手術なしでの性別変更を認めるよう裁判所に申し立てていた。



性別変更にあたって手術を実質的に義務づけている国は世界に18あり、日本はそのひとつ。こうした要件については、世界保健機関(WHO)も反対している。



日本はまた、先進7カ国(G7)の中で唯一、同性婚を法的に認めていない



人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチHRW)は、日本の法律の要件を「有害で時代に逆行する」としていた。



この日の決定についてHRWは、「日本のトランスジェンダーの権利にとって重要な勝利」だとして歓迎した。



HRWの土井香苗・日本代表は、「この決定は、日本におけるトランスジェンダーの健康、プライバシー、身体的自律の権利を支持するものだ」、「有害な(中略)要件の撤廃を目指した長年にわたる社会運動と訴訟が、この決定につながった」とBBCに語った。



同じ法律をめぐっては、2019年に最高裁が合憲と判断していた。今回の決定は、それを覆すことになる。





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静岡家裁支部でも違憲判断



申し立てをした女性の弁護士は、女性の生殖能力は長年のホルモン療法ですでに低下していると主張。手術には肉体的苦痛と後遺症のリスクが伴うとしていた。



申し立ては家庭裁判所高等裁判所の両方で認められず、女性側は最高裁に判断を求めていた。



法改正に反対する一部の団体は、手術なしで戸籍上の性別を変更できるようになれば、女性が危険を感じる状況が生じかねないと主張していた。法的な混乱も起こりうるとしていた。



最近の国内の世論調査では、LGBTQ(性的少数者)への理解を増す法律への支持が高まっている。ただ、保守的な社会層や政治家らは反対している。



静岡家裁浜松支部は今月11日、性別適合手術を受けずに戸籍上の性別の変更を求めたトランスジェンダー男性の鈴木げんさんに対し、変更を認める決定を出した。



関口剛弘裁判長は現行法について、すべての人は個人として尊重されると定めた憲法13条に違反するとの判断を示した。







「生殖機能を失わないと性別を変えられない」 日本の法律とトランスジェンダー





(英語記事 Japan top court strikes down trans sterilisation law





関連トピックス 少数者の権利 人権 健康 LGBT 法律 日本









(投稿者より)



『この法律において「性同一性障害者」とは、生物学的には性別が明らかであるにもかかわらず、心理的にはそれとは別の性別(以下「他の性別」という。)であるとの持続的な確信を持ち、かつ、自己を身体的及び社会的に他の性別に適合させようとする意思を有する者であって、そのことについてその診断を的確に行うために必要な知識及び経験を有する二人以上の医師の一般に認められている医学的知見に基づき行う診断が一致しているものをいう。(性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律 第2条)』



"gender dysmorphia"「性別醜形」と訳しましたが、医学用語としてはその方の心理的・肉体的状況によって"body dysmorphic disorder"「身体醜形障害」"gender dysphoria"「性別違和症候群」"gender identity disorder"「性同一性障害」と言葉を分けて使うようです。



私には人の性別は天が決めるものとの認識がありますので、正直申し上げてこのような話にはついて行けません。天とその方々との問題に立ち入ることも憚られますので、私からは当事者の方々が他の方々に迷惑の掛からない形で幸せに生活できる社会になることを願うのみです。本稿では日本の社会が変化する1つの現れとして記事を御紹介するに留めておきます。