「ジャニース事務所の前社長による十代の若者たちへの性的暴行を後継者が認めた」(RFI・BBC NEWS JAPAN)

「ジャニース事務所の前社長による十代の若者たちへの性的暴行を後継者が認めた」(RFIBBC NEWS JAPAN)









(Japon: la présidente d'une agence de J-pop reconnaît les agressions sexuelles de son prédécesseur: RFI)

https://www.rfi.fr/fr/asie-pacifique/20230907-japon-la-pr%C3%A9sidente-d-une-agence-de-j-pop-reconna%C3%AEt-les-agressions-sexuelles-de-son-pr%C3%A9d%C3%A9cesseur





日本:J-POP事務所社長が前任者の性的暴行を認める





今年3月にBBCがこの不祥事を暴露し、先頃に国連人権理事会の専門家2人が調査報告書を発表したことを受けて、藤島ジュリー景子氏は9月7日木曜日、前任者である叔父・ジャニー喜多川氏が数十年に亘り国民的音楽シーンの若い新人たちに対して性的虐待を行っていたことを認め、同時に辞任することを発表した。





発表 2023年9月7日 13:36







2023年9月7日、東京で報道陣の前で、エンターテインメント企業ジャニーズ事務所の社長を退任する藤島ジュリー景子氏。AP - Eugene Hoshiko





記者 RFI







報告 RFI東京特約記者、フレデリック・シャルル



藤島ジュリー景子氏はジャニー喜多川氏の姪だ。喜多川氏は1960年代から2019年に87歳で亡くなるまで十代の若者たちの確実なスカウトと育成を行い、ボーイズバンド市場を独占してきた。彼の事務所は「魅力的な男性の工場」との異名を持っていた。



藤島ジュリー景子氏は、何百人もの十代の若者をスカウトし育成してきた叔父による性的虐待について知らなかったと主張していた。





罪深い沈黙



それでも、この噂は以前にも囁かれたものだ。1999年、『週刊文春』誌は十数人の十代の若者の証言を掲載したが、その中にはジャニー喜多川氏によるレイプについて語っていた人もいた。先月、国連人権理事会の専門家2名が日本政府の要請をにより調査を実施した。彼らは大規模な性的暴行行為について言及し、メディアが沈黙を守っていることを批判した。



ジャニー喜多川氏は、SMAP・嵐・TOKIOなどの有名なボーイズバンドを育てた。テレビ業界はこの事務所に依存していた。テレビ番組に出演した事務所のスターたちは有らゆる視聴記録を破ったため、ジャニー喜多川氏は触ることの出来ない人物だった。彼の葬儀は国家的なイベントとなり、首相も哀悼の意を表した程だった。





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BBC NEWS JAPAN)

https://www.bbc.com/japanese/66739357





ジャニーズ事務所会見、藤島社長が辞任 ジャニー喜多川氏の性加害認める





2023年9月7日・更新 2023年9月8日







Reuters

記者会見で謝罪する藤島前社長と東山新社長(7日、都内)






日本ポップ界のスターを数多く生み出した故ジャニー喜多川氏が、創業したジャニーズ事務所の所属タレントに性加害を繰り返していたとされる問題で、同事務所が7日、記者会見を開いた。藤島ジュリー景子社長が辞任を発表し、喜多川氏による性加害を初めて認めて謝罪した。





この問題をめぐっては8月29日、事務所側が設置した外部の専門家による「再発防止特別チーム」が調査報告書を発表。喜多川氏が60年にわたるキャリアの中で「長期間」性加害を行っていたことが認められると指摘し、藤島氏の社長辞任や被害者への救済措置などを提言していた。





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喜多川氏の姪(めい)にあたる藤島氏は記者会見で、「事務所としても、個人としても、性加害はあったと認識している。被害者の皆さんに心からおわび申し上げる」と述べた。



一方で、被害者の救済措置に取り組むため、今後も当面は代表取締役にとどまるとした。事務所の全株式も引き続き保持する考えを示した。



後任の社長には、同事務所の所属タレント、東山紀之氏(56)が就任する。東山氏も会見で喜多川氏の性加害を謝罪。経営に専念するために年内でタレント活動を引退すると述べた。



東山氏はジャニーズ事務所の初期にスカウトされたタレントの一人。喜多川氏による性加害については、「うわさとしては聞いていたが、私自身は被害を受けたことはない。受けている現場に立ち会ったことはなく、先輩たちからも後輩たちからも相談を受けることはなく、うわさには聞いていたが、自分から行動を起こすことはなかった。今後は反省を込めて対応していきたい」とした。さらに、「信頼を取り戻すのは大変なことだが、人生をかけて取り組んでいく」と述べた。



喜多川氏の名前を冠した社名の変更については、それを求める声があることは認識しているとしたが、すぐに変えることはないと、東山氏は述べた。



記者会見で、藤島氏らは事務所の構造改革についも触れた。同事務所が今後、変化を実施していくと広く見られているが、その変化がどのようなものか、所属タレントがどのように管理され、保護されるのかは分からない状態となっている。



長年にわたり華やかな名声の代名詞だったジャニーズ事務所の、ブランドとしての将来についても、多大な疑問が複数指摘されている。





当事者の会の反応



一部の日本メディアは、この会見の中継を見る「ジャニーズ性加害問題当事者の会」の様子を伝えた。複数の被害者が、険しい表情を浮かべてジャニーズ事務所の会見映像を見ていた。







EPA

ジャニーズ事務所の会見後、別の会場で記者会見する「ジャニーズ性加害問題当事者の会」(7日、都内)






藤島氏の会見後、当事者の会は別の会場で記者会見を開いた。代表を務める平本淳也氏は、藤島氏が登壇したことを評価。「ほとんど下を見ずに、自身の言葉で発言していた救済のメッセージは、私たちにストレートに伝わった」と述べた。



会員の大島幸広氏は、「事務所側から認めてもらって心からの謝罪をしてもらいたいと言ってきたが、今日の会見では認めて心からの謝罪をしてもらったと思う。傷が消えるわけではないが、100のうち10くらいは楽になったと思う」と語った。



中村一也氏は、被害者であることは恥じることではないと語った。



「当初、自分は泣き寝入り状態だったが、行動すれば、見えなかった景色が見える。下を向いて歩くよりは、前を向いて勇気ある行動をしてほしいと思う」





ワインスティーン事件と同等の規模と影響



喜多川氏の問題は、その規模と業界への影響において、レイプや性的暴行で有罪判決を受けたハリウッドの元大物映画プロデューサー、ハーヴィー・ワインスティーン受刑者のスキャンダルに匹敵する。



喜多川氏は、日本のエンターテインメント業界で最も影響力のある一人だった。多くの少年がスターを目指して事務所に入った。



BBCが今年3月に放送したドキュメンタリー「J-POPの捕食者:秘められたスキャンダル」は、喜多川氏の性的要求に応えなければデビューできないと恐れる被害者たちの心境を伝えた。ドキュメンタリーでは「合宿所」と呼ばれた喜多川氏の複数の自宅で、デビュー前のジャニーズ Jr.たちが、多くの場合ほかの少年がいるなかで、性的暴行を受ける様子や、性的搾取がパターン化して横行した様子が、繰り返し語られる。



生前から喜多川氏による性的搾取の疑惑がうわさされ、1999年には週刊文春による連続報道もあったが、事務所は改善策を取らず、逆に名誉毀損週刊文春を訴えた。この民事裁判の第二審で東京高裁は2003年、文春の報道について、「セクハラ行為」に関する記事はその重要な部分において真実であることの証明があったと認めた(2004年に最高裁で確定)。しかし、喜多川氏の行動が、刑事事件として立件されることはなかった。



日本の大半の主要メディアは、事務所と文春の裁判についてもほとんど伝えず、一連の疑惑にも長年触れてこなかった。このため、日本のマスコミ全体が隠ぺいに加担したとの批判も出ている。



喜多川氏は2019年に87歳で死去するまで、少年のスカウトとレッスンを続けた。その葬儀は国家的な行事で、当時の安倍晋三首相からも弔電が届いた。







Getty Images





今年3月にBBCが喜多川氏の性加害について報道すると、それをきっかけに、カウアン・オカモト氏をはじめ複数の男性が虐待を受けたと名乗り出た。続いて、ジャニーズ所属タレントを応援する複数のファンが、第三者による全面的な検証・調査などを求める署名に1万6125筆を集め、事務所に提出したと発表した。



こうしたなかでジャニーズ事務所は5月、謝罪動画と関連の文書を自社サイトに掲載した。





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座長の林眞琴前検事総長精神科医の飛鳥井望医師、臨床心理士の齋藤梓博士からなる再発防止特別チームは、藤島氏以外にも、被害を訴えた23人を含む計41人に聞き取りを行った。



その結果、「古くは1950年代に性加害を行って以降、ジャニーズ事務所においては、1970年代前半から2010年代半ばまでの間、多数のジャニーズ Jr.に対し(中略)性加害を長期間にわたり繰り返していた」ことが認められたという。



8月末に発表された報告書では、同族経営が「ジャニーズ事務所におけるガバナンス不全の最大の原因の一つ」だと指摘。藤島氏の社長辞任を提言した。



藤島氏は当初、こうした第三者調査にも反対していた。5月の謝罪動画では被害者に謝罪したものの、性加害の事実を認めるには至らず、被害も認識していなかったと述べていた。



しかし報告書では、取締役に就任したころには疑惑を認識していたと認められるとし、「性加害の事実について積極的な調査をするなどの対応はとらなかった」とした。



国連人権理事会の「ビジネスと人権」作業部会も8月上旬、喜多川氏が数百人の少年を虐待していたとの調査報告を発表。日本のエンターテインメント界には性的捕食者が処罰されることなく行動できる労働環境があると指摘した。





(英語記事 Japan pop agency boss resigns over predator's abuse





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BBC NEWS JAPAN)

https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-66760831





日本の公然の秘密……ジャニー喜多川氏の性的加害





2023年9月9日







Getty Images





シャイマ・ハリル、BBC東京特派員





日本有数の芸能事務所を作り上げたジャニーズ事務所の故ジャニー喜多川氏が、所属タレントに性的虐待を繰り返していたとされる問題で、喜多川氏のめいにあたる藤島ジュリー景子社長は7日、喜多川氏による性加害を初めて認め、社長を辞任したことを明らかにした。





日本国内に衝撃が走ったのか? いや、走らなかった。



それよりむしろ、「みんな知ってたけど、誰も何もしなかった。それがついにおおっぴらになった」という感覚の方が強い。



喜多川氏にはもう何十年も、性的加害の疑惑がつきまとっていた。発言しようとする者は阻止された。芸能界で絶大な権力をもつ巨大な存在と、その帝国が繰り出してくるだろう訴訟の予感が、声を上げようとする人の前に立ちはだかっていたのだ。



加害疑惑の一部はすでに、事務所が週刊文春の報道を訴えた民事裁判で真実と認められていた。しかし、喜多川氏が刑事訴追されることはなかった。





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喜多川氏は、性的に虐待する対象を常に追い求める「プレデター(捕食者)」だった。同時に彼は、スターを生み出すスターメーカーで、Jポップ界の数々のビッグスターにとっては恩師、恩人だった。権力と成功と、何百人もの少年の夢を、彼はずっと握っていたのだ。



日本で芸能界を目指す10代の少年にとっては、これがスターになるための「暗黙の代償」だったという書き方をした記事もある。



BBCが今年3月に放送したドキュメンタリー「J-POPの捕食者:秘められたスキャンダル」で発言した被害者の1人は、「これを我慢しないと売れないから」と周りに言われたと話す。





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喜多川氏は自分が育てたタレントたちに恐れられ、あがめられていた。



藤島氏らによる7日の記者会見を受けて、ほとんどの新聞は新社長となった東山紀之氏の写真を一面に掲載した。



「"父"ジャニー氏の性加害」という見出しを掲げた新聞もあった。東山氏はかねて喜多川氏を恩人として語り、「父のよう」に慕ってきたと述べていた。



BBCドキュメンタリーの3月放送後、現在は歌手として活動する元ジャニーズ Jr.のカウアン・オカモト氏が4月、自分も15歳の時に虐待被害にあっていたと公表した。そしてカウアン氏は事務所の謝罪会見翌日の8日、自ら記者会見。その中で、「僕自身はジャニーズ事務所という場についての感謝と、エンターテイメントの夢を見させてくれたジャニー氏を恨みきれない思いは、世間にグルーミングと言われても今でもある」と話した。





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ジャニー喜多川氏に対する性加害疑惑は何十年も前からあり、日本のマスコミのほとんどは何十年にもわたりその疑惑を調べなかった。例外が、1999年に報道キャンペーンを展開した週刊文春だった。



TBSの昼の情報番組ではジャーナリストが、芸能事務所の社内文化を点検するだけでなく、事実上の疑惑隠蔽(いんぺい)につながったマスコミの慣習についても検証する必要があると指摘。なぜメディアがこれに触れてこなかったのか、自問自答しなくてはならないとも話した。



しかし、答えは簡単じゃないかと言えるかもしれない。権力だ。ハーヴィー・ワインスティーン受刑者がハリウッドで権勢を誇っていた当時のこと、強姦罪で有罪となる前のことを思えばいい。



喜多川氏の権力は、事務所の所属タレントだけではなく、そのタレントを積極的に使いたがる放送局、そして番組のスポンサーとなる広告主にも及んだ。マスコミと芸能が密接に絡み合う空間において、決定権を握っていたのは喜多川氏だった。



なぜこの事態がこれほど長いこと、しかもこれほど幅広く続いていたのか。それを理解するには、日本の恥と沈黙の文化も要素となる。



日本では、性的暴力を受けたと女性が発言すれば、その女性が激しい非難と攻撃にさらされることがある。



そこにさらに複雑な要素を何層も重ねていくと、このジャニーズ問題になる。スターになりたくて一生懸命な少年たちが、同性の年長者に気に入られようとする。その同性の年長者がそれを利用して、少年たちに性的加害を繰り返したのだ。



この一連の出来事が日本の芸能界にどう影響するのか、見通しは不透明だ。この国の少年アイドル文化の基礎を築き上げたとされるジャニーズ事務所において、あまりにたくさんの変化が必要とされている。



しかし、「新しいページ」をめくろうとする事務所の第一歩は、今のところあまり芳しいものではない。新社長の東山氏自身が、性加害疑惑を取りざたされている。



記者会見で自分に対する疑惑について東山氏は再三、質問されたが、それに対する答えは、「記憶を呼び起こすのが難しい作業でもあったので、実際したかもしれないし、してないかもしれないというのが本当の気持ち」という内容だった。



そして、藤島氏は社長の立場は退いたものの、代表取締役ではあり続ける。株式も100%保有し続ける。被害者の補償と救済に自らあたるためだという。



そして、ひとつ大事なことは変わらないまま続く。ジャニーズ事務所という名称だ。これには被害者の多くが驚き、落胆した。自分たちが経験したことに照らせば、その加害者の名前を事務所が冠し続けることは自分たちへの侮辱だというのが、多くの被害者の思いだ。



ジャニーズ事務所。英語名は「Johnny and Associates(ジャニーと仲間たち)」。この名前はかつて、日本の芸能界やJポップ・カルチャーそのものを意味するものだったかもしれない。それが今や、日本最大の性的虐待スキャンダルを引き起こした加害者の名前を冠する、汚名にまみれたブランドとなってしまった。





(英語記事 Johnny Kitagawa's sexual abuse: Japan's worst kept secret





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(投稿者より)



喜多川氏の噂は1980年代には既に流布していました。自分の中で折り合いを付けて喜多川氏を受け入れた人、喜多川氏を拒否して芸能界に居られなくなった人、上手く立ち回ることに成功した人、様々に居られたと思います。しかし、結局のところは喜多川氏が正常であれば起こらなかった問題です。そういった意味では、藤島氏も東山氏も井ノ原氏も被害者なのかも知れません。



喜多川氏の行動がここまで長く問題にならなかった理由の1つに、日本には封建時代から「衆道」の文化があり、その延長として捉えられていた面は有ると思います。しかし、BBCがこれら一連の記事を英語で世界に配信したことに留意する必要があります。この問題はカトリック聖職者たちによる児童性的虐待エプスタイン氏の小児性愛事件などと並ぶ醜聞として捉えられています。



聖職者たちの件はカトリック教会に回復不可能なダメージを与えました。エプスタイン事件では、英王室は事件に関与した王弟を実質的に追放しました。連合王国の維持や王室の存続を危ぶむ事態と判断されたようです。個々のタレントに罪はなくても、事務所との取引を続ける企業・団体には人権軽視とのレッテルが貼られ、不買運動などに発展する怖れがあります。



重要なことは、喜多川氏の状況が今のような形になった背景には、戦後の日本のメディア業界、ひいては、権力の構造が存在します。その大きな部分は今は私たちの目に見えないものですが、そこに追及が入るかどうか?推移を見守りたいです。