「米、債務上限引き上げ法案成立。デフォルトは回避へ。」(BBC NEWS JAPAN)

「米、債務上限引き上げ法案成立。デフォルトは回避へ。」(BBC NEWS JAPAN)









https://www.bbc.com/japanese/65743185





米債務上限引き上げ合意、議会提出の用意整った=バイデン氏 野党幹部と合意





2023年5月29日







Reuters

バイデン米大統領(左)と野党・共和党幹部のマカーシー下院議長






アメリカのジョー・バイデン大統領は28日、連邦政府の債務上限引き上げをめぐり、目前に迫る米史上初の債務不履行の回避に向けて、与野党が大筋合意に達したと発表した。債務上限引き上げの法案を速やかに連邦議会に提出する方針を示した。





バイデン氏は、野党・共和党幹部のケヴィン・マカーシー下院議長と「超党派の予算合意に達した。これは、この国の歴史で初めての債務不履行という最悪の危機を回避するものだ」と発表。「これはアメリカ国民にとって朗報だ。この合意を速やかに可決するよう、連邦議会に強く呼びかける」と強調した。



アメリカでは連邦政府の債務額、つまり借金できる額の上限が法律で決まっている。このため、借入可能額の上限を引き上げるには、新たに法律を成立させなくてはならない。



財務省は、債務上限の引き上げを可能にする新法への与野党合意がないままでは、6月5日にも政府資金が枯渇(こかつ)し、史上初の債務不履行に陥ると警告していた。



アメリカの連邦政府の資金が枯渇し、債務不履行に陥った場合、国内的には連邦政府職員の給与が払えなくなり、福祉手当などが払えなくなる。長期的にはアメリカ経済が景気後退へと陥り、この影響で失業率が上昇するなど、さまざまな負の影響が出る。



さらに、金融市場ではアメリカの国債の元利金が払われずに混乱が生じる。アメリカのドルが世界の基軸通貨なため、世界的な金融市場はパニック状態となり、多くの商品の値上がりにつながるおそれがある。







90秒弱で解説 アメリカの債務上限危機、何が問題なのか





与野党妥協の産物



議会の下院で多数党の共和党は、債務拡大に強く反対するとともに、債務上限を現在の31兆4000億ドルから引き上げる引き換えに、教育予算や社会事業予算などの削減を求めていた。



バイデン大統領は発表で、今回の合意は初の債務不履行を防ぐとともに、政権の重要課題や成果を守り、高齢者や家族や退役軍人が必要とする支援サービスの極端な予算削減を防ぎ、公的年金や公的医療保険を守るものだと説明した。



28日夜に記者団の前に現れた大統領は、共和党との合意は「前へ進むための非常に重要な一歩」だとして、「壊滅的な債務不履行の脅威はなくなり、ここまで懸命に努力して実現してきた歴史的な経済回復の成果を守る」ものだと話した。



「さらに、この合意は妥協の産物なので、希望がすべてかなった人はいない。統治する責任とはそういうものだ」とも大統領は述べた。



バイデン氏は、共和党のマカーシー下院議長が「誠意をもって」交渉したと受け止めているとして、これで債務上限引き上げの法案が、連邦議会で可決されるために必要な票数を確保できたとの認識を示した。



マカーシー議長は27日の時点で、「歴史的な歳出削減、大勢を貧困から脱出させて働き手にするために有意義な改革」の実現に言及し、「新しい税金も新しい政府事業もない」と述べていた。



ただし、共和党民主党の両方で、今回の妥協を嫌う議員の間に、債務上限引き上げ法案を否決しようという動きが出る可能性はある。共和党のチップ・ロイ下院議員(テキサス州)は、自分を含め数人が法案成立をくいとめるため「動くつもりだ」と話していた。



連邦議会の下院(定数435)は現在、共和党が222議席民主党が213議席。上院(同100)は、民主党が51議席共和党が49議席



マカーシー議長は28日、米FOXニュースに対して、下院の共和党議員の95%が今回の合意を非常に前向きに受け止めていると話した。





(英語記事 US debt ceiling deal ready for Congress vote - President Joe Biden





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https://www.bbc.com/japanese/65773215





米下院、債務上限引き上げ法案を圧倒多数で可決





2023年6月1日







Getty Images

債務上限引き上げを可能にする法案の下院通過を喜ぶマカーシー下院議長(31日、米連邦議会






アメリカの連邦議会下院は5月31日、連邦政府の債務上限を一時的に引き上げることを可能にする法案を可決した。上院でも可決され成立すれば、米政府は借金を増やして国債の元利金を期日通りに支払うことなどが可能になり、債務不履行(デフォルト)を回避できる。





下院が可決した法案は、債務上限を2025年1月まで凍結する内容。



野党・共和党過半数下院(定数435)は、賛成314、反対117でこの法案を可決した。共和党議員222人、民主党議員213人のうち、どちらからも反対議員が出た。法案を支持したのは、共和党議員149人、民主党議員165人だった。



法案はこの後、連邦議会上院が審議する。



財務省は、債務上限が引き上げられなければ、6月5日にも資金が枯渇(こかつ)し、債務不履行に陥ると警告している。アメリカの債務31兆4000億ドルと元利金の安定した支払いは、国際金融システムを下支えするものとなっている。



与野党が拮抗(きっこう)する上院(定数100)と異なり、下院では共和党が10議席差で多数のため、ジョー・バイデン大統領(民主党)とケヴィン・マカーシー下院議長(共和党)が5月28日に合意に達するまで、債務不履行の危険が大いに懸念されていた。共和党は、債務拡大に強く反対するとともに、債務上限を現在の31兆4000億ドルから引き上げることと引き換えに、教育予算や社会事業予算などの削減を求めていた。



アメリカでは連邦政府の債務額、つまり借金できる額の上限が法律で決まっている。このため、借入可能額の上限を引き上げるには、新たに法律を成立させなくてはならない。連邦政府の資金が枯渇し、債務不履行に陥った場合、国内的には連邦政府職員の給与や福祉手当などが払えなくなる。長期的にはアメリカ経済が景気後退へと陥り、この影響で失業率が上昇するなど、さまざまな負の影響が出る。



さらに、金融市場ではアメリカの国債の元利金が払われずに混乱が生じる。アメリカのドルが世界の基軸通貨なため、世界の金融市場はパニック状態となり、多くの商品の値上がりにつながるおそれがある。





両党内で抵抗



超党派の議会予算局によると、法案が成立すれば今後10年間で1.5兆ドルの予算削減につながる。



ただし、共和党民主党の両党から反対の声が出ているため、成立が危ぶまれていた。



教育や福祉などのさまざまな分野で予算削減を求めていた共和党内の超保守派は、債務上限凍結への合意と引き換えに得られた成果が少なすぎると反発。その一方で民主党には、学生ローンの再開や食事支援提供に勤労の条件をつけるなどといった譲歩内容に、反対する議員たちがいる。



民主党のエマニュエル・クリーヴァー議員(ミズーリ州)は、自分は法案に賛成するものの、「悪魔のサンドイッチのおかわりのようなもの」だと批判した。



共和党のナンシー・メイス議員(サウスカロライナ州)は、「共和党は何も得られなかった」として、法案に反対するつもりだと述べていた。



共和党幹部のマカーシー議員は、与野党両党の中道派の票を固めることで、法案を可決に持ち込んだ。連邦予算の借金拡大を抑制する取り組みのうち、今回の法案は「小さい一歩」に過ぎないとも話した。



続いて法案を審議する上院では、すでに共和党マイク・リー議員(ユタ州)が「ありとあらゆる審議手続き上の道具」を使い、審議を遅らせるつもりだと述べている。



無所属で、議決については民主党と共に行動することの多いバーニー・サンダース議員(ヴァーモント州)も31日、自分の良心が法案支持を許さないと述べた。



しかし上院でも与野党幹部が法案成立へ向けて連携を続けている。デフォルト回避のため、週末中にはバイデン大統領が法案に署名し、成立させる必要がある。



連邦政府がここまでデフォルトに迫ったのは2011年以来。信用格付け会社スタンダード&プアーズ(S&P)は当時、アメリカの長期信用格付けを最上級の「AAA」から「AAプラス」に1段階引き下げた。米国債が最上級の格付けを失うのは史上初のことだった。S&Pはこの「AAプラス」格付けを現在も維持している。



31日の下院採決に先駆け、アメリカの株式市場はダウが134ドル(0.4%)安、S&P500が0.6%安、ナスダックは0.6%安で取引を終えた。





(英語記事 Debt ceiling deal: US House overwhelmingly passes bill





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https://www.bbc.com/japanese/65773842





米上院も債務上限法案を可決 デフォルト回避へ





2023年6月2日







Getty Images

民主党のチャック・シューマー院内総務は「これで一息つける」と話した






米議会上院は1日、政府の債務上限の適用を一時的に停止する法案を可決した。ジョー・バイデン大統領が署名すれば成立する。米政府の債務不履行(デフォルト)は直前で回避される見通しとなった。





米政府は債務上限を超える額の借金をしなければ、5日にも、国債など債務31兆4000億ドルに対する支払い資金が枯渇(こかつ)し、債務不履行に陥る状況となっている。



債務上限の適用を2025年1月まで停止する法案は、前日に下院で可決されていた



この日の上院(定数100)では、賛成63、反対36で可決された。法案はバイデン氏のもとに送られ、署名を経て成立する。バイデン氏は成立させると表明している。



上院は与党・民主党が僅差で多数派となっているが、法案の可決には60票が必要だった。採決では、民主党の44議員、野党・共和党の17議員、無所属の2議員が賛成票を投じた。



共和党のビル・ハガティ議員(テネシー州、前駐日大使)は、息子の高校の卒業式に出席するとして採決を欠席した。



共和党からは、重鎮のジョン・バラッソ議員を含めて31人が反対した。



民主党からも、左派のバーニー・サンダース、ジョン・フェターマン、エリザベス・ウォーレン各議員ら4議員が反対票を投じた。







90秒弱で解説 アメリカの債務上限危機、何が問題なのか





民主党のチャック・シューマー院内総務は議場で、「アメリカは安堵(あんど)の息をつける。このプロセスによってデフォルトを回避できる」と話した。



共和党のミッチ・マコネル院内総務は、珍しく超党派の姿勢を表明。「遅滞なく(法案を)支持することを誇りに思う」と記者団に述べた。



法案に対しては与野党から反対の声が出ていた。共和党は債務拡大に強く反対し、教育予算や社会事業予算などの削減を求めていた。民主党にも、学生ローンの再開や食事支援への勤労の条件づけなど、可決のための譲歩内容に反対する議員たちがいた。





もしデフォルトになれば



アメリカが債務不履行になれば、国内的には連邦政府職員の給与や福祉手当などが払えなくなる。長期的には経済が景気後退へと陥り、この影響で失業率が上昇するなど、さまざまな負の影響が出る。



さらに、金融市場ではアメリカの国債の元利金が払われずに混乱が生じる。アメリカのドルが世界の基軸通貨なため、世界の金融市場はパニック状態となり、多くの商品の値上がりにつながるおそれがある。金融システムが混乱するなど、国内外に極めて大きな負の影響が出る。



連邦政府がここまでデフォルトに迫ったのは2011年以来。信用格付け会社スタンダード&プアーズ(S&P)は当時、アメリカの長期信用格付けを最上級の「AAA」から「AAプラス」に1段階引き下げた。米国債が最上級の格付けを失うのは史上初のことだった。S&Pはこの「AAプラス」格付けを現在も維持している。





(英語記事 Congress approves debt deal, averting a US default )





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https://www.bbc.com/japanese/65795416





債務上限引き上げ合意で「経済的な崩壊」回避とバイデン氏 大統領執務室から演説





2023年6月3日







Getty Images

大統領執務室からの演説は通常、戦争や自然災害といった大規模な危機の際に行われる






アメリカのジョー・バイデン大統領は2日、ホワイトハウスのオーヴァル・オフィス(大統領執務室)から就任後初の演説を行ない、政府の債務上限の引き上げによって「経済的な崩壊」が回避されたと述べた。





連邦議会上院は1日、政府の債務上限の適用を一時的に停止する法案を可決した。この法案が可決しなければ、アメリカは5日にも、国債など債務に対する支払い資金が枯渇(こかつ)し、債務不履行(デフォルト)に陥る可能性があった。



バイデン氏は演説の中で、3日にもこの法案に署名すると約束。この法案を支持した野党・共和党の議員について「良心に従って動いた」と、異例の称賛を送った。



その上で、債務31兆4000億ドルを背負ってのデフォルトは「壊滅的」なものになっていただろうと述べた。





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大統領執務室からの演説は通常、戦争や自然災害といった大規模な危機の際に行われる。



バイデン政権と共和党はここ数週間にわたって、デフォルト回避に向けた合意の詳細を協議していた。6月5日に政府が資金を使い果たす前に、この法案が本当に成立するのかどうか、懐疑的な見方もあった。



法案は5月31日に下院を圧倒的賛成多数で通過した後、1日夜に上院で賛成63、反対36で可決された。



バイデン大統領は演説の中で、共和党のケヴィン・マカーシー下院議長やミッチ・マコネル上院院内総務も含め、両党の議会幹部が「責任を持って行動し、政治よりも国の利益を優先した」とたたえた。



この法案では、債務上限の適用を2025年1月まで停止する。国防以外の支出に上限を設ける一方、食料・医療補助に就労要件を拡大するなどの条項が盛り込まれた。



バイデン氏の要求通り、退役軍人の医療費も全額増額された。



議会予算局は5月30日の時点で、この法案によって10年間で15億ドルの節約になると発表した。



この法案は両党から支持を得ているが、共和党では削減が十分でないとする意見が、民主党からは削減が行き過ぎているという指摘が出ていた。





(英語記事 Biden says debt deal averted 'economic collapse'





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(投稿者より)



ウクライナの戦争のための予算は認めない」と共和党は主張していたそうですから、この法案が通ったということは、メディアが伝えないところでこの紛争にはケリが付いた、ということでしょうか。



戦争屋と銀行屋を終わらせる形で物事が進んでいることは確かなようですが、政府資金を確保するということは一般国民には迷惑を掛けない、ということでしょう。



また、「国際金融システムを下支え」する必要はあるとの認識はあるようですから、その間は国際金融システムを温存させ、終わらせる作業を並行して進めるのでしょう。



円安株高で浮かれている日本ですが、気付いたときには全てが終わって梯子を外されていた、ということに成るかも知れません。