「2023年広島サミット:G7の影響力は低下しつつある」(GLOBAL TIMES・RFI・Sputnik International・Sputnik日本)

「2023年広島サミット:G7の影響力は低下しつつある」(GLOBAL TIMES・RFI・Sputnik International・Sputnik日本)









(Xi'an injects multilateral clean stream while Hiroshima dumps political sewage: Global Times editorial)

https://www.globaltimes.cn/page/202305/1290992.shtml





意見・論説





西安は多国間の清らかな流れを注入する一方、広島は政治的汚水を投棄する:環球時報社説





記者 環球時報・発表 2023年5月18日 午後11時43分







写真:VCG





真の多国間主義とは何か、そして、偽の多国間主義とは何か?木曜日には中国の西安が、そして、金曜日には日本の広島が、2つのサンプルを提供した。これら2つの都市で開催された中国・中央アジア首脳会議と主要7ヵ国 (G7) 首脳会議は、それぞれが鮮明かつ正確な表現であり描写である。国際社会はその対比を明瞭に見ることが出来る。



中国と中央アジア5ヵ国の首脳が古代シルクロードの東の出発点・西安で会談している。それが示す深い意味は時間・空間・国境を超える。6ヵ国は相互に貿易し、外交面では友好的な交流を行い、文化面では互いに学び合う。このような開放・寛容・相互の尊重・平等・互恵に基づくコミュニケーションの在り方は、古代のシルクロードから今日の「一帯一路」まで続いており、溢れる活気と強い魅力を示している。



これが、世界に深く根付き人気を得ている真の多国間主義だ。これは、協力を通じて難題に挑むことや、話し合いを通じて全ての人にとって重要な課題に取り組むことに、そして、分裂ではなく団結を、対立ではなく協力を追求することに力を注ぐ。中国・中央アジア首脳会議は真の多国間主義の具体的な実践だ。それは中国と中央アジア諸国の関係発展を促すだけでなく、複雑で混乱した国際情勢―一部の者たちはこの水を意図的に濁らせる―に清らかな流れを注入するものでもある。結果として、数千年の古都・西安は新たな外観を示している。



日本の広島で開催されるG7サミットは、これとは対照的な偽の多国間主義を即席に展示するもの、あるいは、偽の多国間主義を明確に表すものだ。これは、地政学的な敵対と対立を引き起こす排他的で閉鎖的な徒党を組む動きだ。それはG7サミット開催前から有害な情報を次々と発表した。ロシアとウクライナの紛争に更に油を注ぐことに加えて、中国をも標的にしている。―その関心は他国の封じ込めを強化するグループの形成にある。核汚染廃水を太平洋に投棄するという日本の主張は国際社会の憤りを引き起こし、G7の輪番議長国を務める日本もまた今年のG7会議を地政学的な排水に変えた。



「真実」と「偽り」が激しく衝突するのは避けられない。たとえ「真実」が「偽り」を気にしなくても、「偽り」は他者を欺くために「真実」を汚すことがある。これが、一部の西側のメディアと世論が中国・中央アジア首脳会談に対して集中的な攻撃と挑発を仕掛ける根本的な理由だ。有らゆる攻撃の背後には彼らの暗い意図が潜んでいる。



米国の覇権主義的思考は、非西側諸国に多肢選択の質問を課し、多様な世界を同盟国・地政学的手駒・地政学的対抗国、そして、敵にさえ分け、それらに異なる待遇をする。G7諸国は同盟国、中央アジア諸国は手駒、中国は対抗国だ。これはワシントンの目には明瞭かつ明確に映る。しかし、手駒と見做される国に対する計り知れない軽蔑と、敵と見做される国に対する大きな悪意に彼らが気づくことは決して無いだろう。 同盟国であっても、米国の意のままに脅迫される虐めの対象になることが良くある。また、彼らは自分たちの行為が引き起こす人類全体の利益に対する深刻な損害を無視する。



中国と中央アジア諸国が西安に注入した多国間主義の清らかな流れと、G7が広島に排出した地政学的汚水が明瞭に対比できることは明らかだ。意図という点で、一方では双方が相互の尊重と平等に基づいて利益を得る運命共同体が存在し、その一方で「自分が他よりも優れている」という帝国主義の傲慢があり、「ワシントン至上主義」という利権体制がある。具体的な行動という点で、一方では「開発第一主義」に焦点が当てられており、そこでは開発と繁栄に有益なもの全てが促進されると共に本質的にオープンで包摂的なものになり、その一方で対立と破壊に満ちた閉鎖的で偏狭な派閥政治の現れがある。



一方には広範な話し合いと共同の貢献があり、もう一方には交渉上の「統一した姿勢」がある。これら2つのサミットは、夫々が今日の世界に対処するための2つの全く異なるアプローチを鮮やかに反映している。ワシントン当局者たちはG7サミットについて語るとき、明確な目標を持っていると考えられる。つまり、中国との対決だ。中国はこれとは対照的に、中央アジアとの協力はいかなる第三国をも目標としたものではなく、他のメカニズムと競争するつもりもないと明確に述べている。中国は、地域の安定と発展に貢献し、地域の共通の繁栄に繋がる有らゆる有益な措置を真に喜んで支持する。この2つの異なる考え方・視点・様式は明確に区別できる。



近年では、異なる選択に対して異なる注釈が付けられた。発展の面では、「一帯一路」構想は沿線諸国に多くの発展の機会をもたらした。西安での首脳会議への中央アジア5ヵ国の参加は最も説得力のある例だ。安全保障の観点からは、包括的で協力的かつ持続可能な共通の安全保障についての概念がますます一般的になって来ている。これは中東における喜ばしい和解の波を促進しており、将来は更に多くの場所で実を結ぶことが期待されている。一方、冷戦終結後、ワシントンも外交に多額の費用を投じた。しかし事実として、どこに焦点を当てても対立と混乱が存在する。イラク戦争、シリア戦争、「アラブの春」からロシア・ウクライナ紛争まで、その背後に米国や西側の影の無いものが有るだろうか?



この意味で、一部の西側メディアが中国・中央アジア首脳会議をG7サミットと比較するのは良いことだ。 それによって世界は、人類にとって何が正しい道なのか、人々は何を支持しているのか、そして人類の未来は何なのかを知ることが出来る。







―参考―













(Le G7 concurrencé par la Ligue arabe et le sommet de Xi'an: RFI)

https://www.rfi.fr/fr/monde/20230519-le-g7-concurrenc%C3%A9-par-la-ligue-arabe-et-le-sommet-de-xi-an





アラブ連盟西安サミットと競合するG7







発表 2023年5月19日 17:12







2023年5月19日金曜日、G7首脳は西日本・廿日市市の宮島にある厳島神社を訪問。AP





ジョリス・ジルベルマン






G7は同時に他の2つの主要な国際サミット、アラブ連盟のサミットと西安サミットとの競争に直面しなければならない。この7ヵ国グループには以前ほど強い印象は無く、私たちが住む多極化した世界を具体的に表現したものになっている。





この何日か、国際的な報道機関の一面記事が全てを述べていると一目で分かる。中東の新聞の見出しを読むと良い。どの新聞もアラブ連盟がトップ記事で、シリアのバシャール・アル・アサド大統領の国際的孤立が終わったと華々しく書かれている。G7は内側のページに追い遣られている。サウジアラビアが主導する中東は独断でシリアとの外交的再統合を選択した。戦争犯罪を理由にシリア大統領を排除せよとの西側からの禁止事項は忘れられた。



今度は中国の公式の報道を読むと良い。例えば環球時報だ。G7について同紙は紙面の端で、「G7グループが広島で放流した汚水政治に対抗する、中央アジア6ヵ国の指導者との習近平氏の健全で清らかな多国間主義」への称賛に言及するだけだ。北京は複数のクッションを使ってビリヤードを行う流儀で、自国がサミットに対抗するための会議を開催することに気を配った―世界経済もまた中国の手中にあり、中央アジアはその世界的事業である「新シルクロード」における重要な要素の1つだ。そこでは、習近平氏はこの地域におけるロシアの影響力と争うことに少しの躊躇も無い。





分裂



G7会議が世界経済を予言すると期待されていた時代はもう終わった。ウクライナでの戦争によって分断された私たちの世界について定義するのは難しいが、これは20年も前から一極では無くなっている。最早、米国の絶対的優位は遠い記憶に過ぎない。



この世界は間もなくワシントンの同盟国と拡大しつつある中国の友人たちの輪に分断され、二極化するだろうと言う人たちがいる。国際社会は新たに分裂している。ドイツでのG7以降、西側陣営は半導体やクリーンエネルギーなどの産業投資で中国に対抗したいと考えている。





►これも読む:ウォロディミル・ゼレンスキー宇大統領が参加して、G7が広島で会合を開く





同じテーマについて続けて読む:



日本 サウジアラビア 中国 G7 アラブ連盟











(India Would Be Well-Advised Not to 'Fall in Trap of Joining the Western Camp': Ex-PM Aide: Sputnik International)

https://sputniknews.in/20230519/india-would-be-well-advised-not-to-fall-in-trap-of-joining-the-western-camp-ex-pm-aide-2060439.html





インドは「西側陣営への参加の罠に嵌まらない」ことが賢明だろう:元首相補佐官





2023年5月19日 18:42







© Photo : Twitter/ @narendramodi





デイリャ・マヘシュワリ





インドは広島で開催される今年のG7サミットにゲスト国として招待された。ニューデリーは、昨年ドイツで開催されたG7首脳会議にもゲストとして招待されていた。





日本の広島市で開催される今年のG7首脳サミットにナレンドラ・モディ首相がゲスト国として参加したことは、世界におけるニューデリー地政学的な重要性の増大」「経済力」を示していることは間違いないと、インドの戦略問題専門家がスプートニクに語った。





「過去20年間、G7の世界的な影響力は財政面でも戦略面でも低下傾向にある」とアタル・ビハーリー・ヴァージペーイー印元首相の顧問を務めたスディンドラ・クルカルニ氏は述べた。




クルカルニ氏は、ニューデリーと近隣諸国との友好関係を提唱するインドのシンクタンク、「新しい南アジアのためのフォーラム」の責任者でもある。



「世界は急速に変化している。G7は地政学的プレゼンスを強化するためにインドを必要としている。特に、西側は中国との均衡を得るためにインドが自陣営に加わることを望んでいる」と、彼は説明した。





しかしクルカルニ氏は、ニューデリーは「西側陣営」に参加するという罠に嵌まらないことが賢明だと付け加えた。








ウクライナの紛争

「対話と外交」:インドはモディ首相のG7サミット出席を前にウクライナに対する立場を改めて表明する

5月18日 18:40





同氏は、ニューデリーは何十年にもわたってインドの国益に貢献してきた「独立した外交政策を継続していくべきだと強調した。





G20議長として、また主要な新興経済大国として、インドもグローバル・サウスの懸念を強調し続ける必要がある」と、同氏は述べた。




クルカルニ氏は、ニューデリーは現時点で「非常に有利な」立場にあると述べた。





同氏は、「G7から求愛されているだけでなく、BRICS(ブラジル・ロシア・インド・中国・南アフリカ)の加盟国や上海協力機構(SCO)の加盟国でもある」と述べた。




今年の首脳会議に招待された国には、インドの他に豪州・ブラジル・コモロクック諸島インドネシアASEAN議長国)・韓国・ベトナムが含まれる。



G7によると、「グローバル・サウスへの支援」は今年の会合の議題の一つだという。G7声明によると、議論される予定の他の問題には、ウクライナ危機・インド太平洋情勢・食料とエネルギーの問題・気候変動・経済の復元力と回復が含まれる。





BRICSや非西側諸国の影響力の拡大



クルカルニ氏は、G7の世界的な影響力の低下と、BRICS上海協力機構湾岸協力会議GCC)、アラブ連盟などのグループの地政学的重要性の高まりとを対比させた。







「これらのグループの影響力は更に高まっている」と彼は述べた。




BRICS諸国は今年、GDPの合計でG7を追い抜いた。英国のコンサルタント会社によると、現在BRICS5ヵ国は世界のGDPの31.5%近くを占めているのに対し、G7諸国は30.7% だ。



クルカルニ氏は中国の仲介によるイランとサウジアラビアの和平交渉に言及し、米国が何十年も出来なかったことが北京には可能であり、これによりこの2大国間に正常に見える状態が齎されたと述べた。



クルカルニ氏はまた、アラブ連盟の正式加盟国としての「シリアの再加盟」は、地域問題における米国の影響力の低下を示していると指摘した。





「西側はシリアのアラブ連盟加盟に不満を抱いている。 しかし、サウジアラビアや他の地域大国はこれらの疑念を殆ど無視している」と、クルカルニ氏は述べた。






スプートニクの意見 G7 インド G-20 上海協力機構 (SCO) BRICS 米国 中国











(Sputnik日本)

https://sputniknews.jp/20230521/g7-16051730.html





【視点】広島G7サミット 大風呂敷の議題と微々たる成果





2023年5月21日, 22:00







© AP Photo / Jonathan Ernst





G7首脳らはサミット最終日に成果をまとめたコミュニケを採択した。コミュニケにはほぼすべての国際問題とG7首脳らのそれに対する視点が反映されている。



だが、これらは単なる宣言に過ぎないという感が否めない。核のない世界からウクライナ紛争の平和的交渉まで、課題を効果的に解決するまでには、まだ道のりは長い。



スプートニクは、岸田首相が大きな期待を寄せていた広島サミットの最初の成果について、なぜ「世界の権力者ら」の期待に反して、国際情勢は明らかに悪化し、NATOがすでにアジアに新たな事務所を開設しているのか、その理由について、また情勢をどう判断するかについて、専門家に見解を伺った。



ロシア科学アカデミー、東洋学研究所のドミトリー・モシャコフ教授(史学博士)はサミットの結果はほとんど意味を成していないと指摘している。





「G7サミット実施の効果はセンセーションもなく、ほぼゼロです。初期のころのサミットは『世界の征服者ら』を想起させるもので、実際、国際的に重要な問題が、特に経済問題や危機的状況の解決がなされていました。ところが今、G7首脳の解決する問題の範囲は文字通りすべての問題に広がっているのに、世界に、首脳らの合意に達した問題解決の遂行に対する影響力は逆に非常に低下してしまいました。つまりG7は時間の経過とともに空気の抜けた風船のようになり、事実上、形骸化したわけです。

現在、本来のG7の役割を見事に演じているのはG20のほうです。G20で出される声はG7とは全く異なり、他の国にも関連する、異なる議論がなされています。 G7は基本的に、同じ考えを持つ国による選ばれたクラブに過ぎません。討議される問題はどれも最小限の議論に抑えられ、しかも解決策は常に米国に都合のいいものが採られます。これに対して G20は全く異なる討議の場で、様々な声が出されます。しかも声を出すのは世界においてますます重要な役割を果たしている、中国、インド、ロシア、ブラジルなどの諸国です」






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このことは、複数の国の代表がG7首脳から広島に招待された事実からも確認できる。こうした招待の理由はほとんどの場合、G7の決定に従わない場合、二次的制裁を科すという脅しをこれらの国々がしばしば無視するからに他ならない。諸国が無視するのはまず、対露関係でロシアを「罰する」ことに同意を示さない。



モシャコフ教授はこれについて、こうした国々は国際情勢に対する独自の見解を持っているものの、G7のほうが諸国を自分たちの軌道に引き込み、説得することをあきらめていないからだと指摘している。





「だから、G7はこうした国々を招待するのは本格的なサミット参加者としてではなく、世界を支配する者たちの『お隣りに腰掛け』させるためで、つまり彼らの正しい『世界観』に耳を傾け、それに従えというわけなのです」




しかも、今G7の首脳らが率先して行っていることは、世界の多くの国の期待には反している。





「現在のG7サミットが広島で開催されているのにはれっきとした理由があります。それはまさに今、NATOの軍事インフラの東アジア、東南アジアへの大規模な移転が準備されているからです。事実としては、この決定は2022年にマドリッドで開催されたNATOサミットで採択されていたもので、NATOが極東においても積極的に展開することをまず中国に、そしてロシアに警告したわけです。ですが、NATOの東進を除けば、G7サミットは何も重要なことを世界に伝えてはいません。なぜなら、G7首脳がサミットで採択したものは何にも値いしない内容であり、現在の地政学的、地理経済的展開を根本的に変えるポテンシャルは欠けているからです」






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5月20日, 06:00






モシャコフ教授はこれにも明晰な理由があると説明している。





「中国の計画を、それが自分たちの目的に全く矛盾している、米国とそのG7同盟国はよしとしていません。なぜならこれらの国が目論んでいるのは、ウクライナと紛争するロシアを打ち負かし、最後はロシアの豊かな資源を使うことだけだからです。



このような幻想が今、西側諸国で非常にもてはやされているからこそ、ウクライナ紛争にこれほど巨額の資金が投入されているのです。つまり、全てはこの計画の実行のためであり、欧米のシナリオ通りに事が進まなければ、欧米の資金は実際にはすべて無に帰してしまうからです。だからこそ、欧米はウクライナに西側の軍事装備を供給し続けているのであり、交渉の席で和解するよりも、紛争をさらにエスカレートさせる方向に進んでいるわけです」






G7広島サミット 国際 政治 オピニオン 米国 ロシア 中国







―参考―











(投稿者より)



広島のG7サミットで何が語られたかは広く伝わっていますので、この枠組みの外からはどのように見られているかについて、記事を集めてみました。



既にG7が世界のリーダーとは見做されていないことを、それぞれの記事は示唆しているようにも読めます。