「国際金融機関への信頼は損なわれ、世界のガバナンスは失敗した―G20閣僚会合に際してのインド首相のメッセージ」(インド首相府)

「国際金融機関への信頼は損なわれ、世界のガバナンスは失敗した―G20閣僚会合に際してのインド首相のメッセージ」(インド首相府)













(PM's Video Message during the First meeting of Finance Ministers and Central Bank Governors under India's G20 Presidency: PMINDIA)

https://www.pmindia.gov.in/en/news_updates/pms-video-message-during-the-first-meeting-of-finance-ministers-and-central-bank-governors-under-indias-g20-presidency/?comment=disable





インドのG20議長国の下での財務相中央銀行総裁第1回会合に際しての首相のビデオ・メッセージ





2023年2月24日

















大臣・総裁の皆様、



私はG20財務相中央銀行総裁の皆様のインド訪問を心から歓迎します。皆様の会合は、インドのG20議長国の下での最初の閣僚レベルの対話です。私は皆様の会合が実り多いものとなるよう願っていますが、皆様が直面する問題も承知しています。世界が深刻な経済的困難に直面している時に、皆様は世界の金融と経済のリーダーシップを代表しています。COVIDのパンデミックは、世界経済に100年に一度の打撃を与えました。多くの国、特に発展途上国では、依然としてその後遺症に対処しています。また、私たちは世界の様々な地域で地政学的緊張の高まりを目の当たりにしています。世界的なサプライチェーンに混乱が生じています。多くの社会が物価上昇により苦しんでいます。 そして、食料とエネルギーの安全保障が世界中で大きな懸念事項となっています。多くの国では、財政の実行可能性でさえ持続不可能な債務水準によって脅かされています。国際金融機関への信頼は損なわれました。この理由の1つは、彼らが自らを改革するのが遅かったためです。世界経済に安定・信頼・成長を取り戻すのは、世界の主要な経済と金融システムの管理者である皆様次第です。これは簡単な作業ではありません。



しかし、皆様がインド経済の活気からインスピレーションを得ることを私は願っています。インドの消費者と生産者は未来を楽観し自信を持っています。私たちは、皆様がこれと同じ前向きな精神を世界経済に発信できるよう願っています。皆様の議論が世界で最も弱っている市民に焦点を当てるよう、私はお勧めします。包括的なアジェンダを作成することによってのみ、世界経済のリーダーシップは世界の信頼を取り戻すことが出来ます。同様に、G20議長国である私たちの「1つの地球、1つの家族、1つの未来」というテーマは、包括的なビジョンを奨励するものです。





大臣・総裁の皆様、



世界人口が 80 億人を超えたにも係わらず、持続可能な開発目標の進捗は鈍化しているようです。私たちは、気候変動や高い債務水準などの地球規模の問題に対処するために、多国間開発銀行を強化するために共同で取り組む必要があります。





大臣・総裁の皆様、



金融の世界では、テクノロジーが支配力を増しています。パンデミックの期間中に、デジタル決済は非接触でシームレスな取引を可能にしました。しかし、デジタル金融における最近のイノベーションの中には、不安定化や誤用のリスクを与えているものがあります。皆様がテクノロジー潜在的なリスクを規制するための規格を開発しながら、テクノロジーの力をどのように有効に活用できるかを検討することを、私は願っています。インド国内の経験がモデルに成るかも知れません。過去数年の間に、私たちは非常に安全で、信頼性が高く、非常に効率的な公共デジタルインフラを構築してきました。私たちのデジタル決済エコシステムは無料の公共財として開発されました。これにより、インドのガバナンス、金融包摂、暮らしやすさが根本的に変わりました。インドのテクノロジーの中心地であるベンガルールで会するに当たり、皆様はインドの消費者がデジタル決済をどのように受け入れているかを直接体験できます。実際、G20議長国の期間中に、私たちは新しいシステムを作成しました。これにより、G20のゲストの方々はインドの画期的なデジタル決済プラットフォームである UPIを使えます。実際に使ってみてその使いやすさを体感すれば、なぜインドの消費者がこれを進んで取り入れるのかが分かるでしょう。UPI のような例は、他の多くの国のテンプレートにも成り得ます。私たちは喜んで自国の経験を世界と共有したいです。そして、G20はそのための乗物となるかも知れません。





大臣・総裁の皆様、



私は皆様がこの重要な会議に参加することに改めて感謝するとともに、非常に生産的で成功した議論が出来ますことを願っています。







―参考―













(PM's address during the meeting of Foreign Ministers of G-20: PMINDIA)

https://www.pmindia.gov.in/en/news_updates/pms-address-during-the-meeting-of-foreign-ministers-of-g-20/?comment=disable





G20外相会合に際しての首相挨拶





2023年3月2日

















外務大臣、国際機関の長、大臣の皆様、



私は皆様がG20外相会合のためにインドに訪問したことを歓迎します。インドは G20 議長国のテーマとして「1つの地球、1つの家族、1つの未来」を選びました。 それは、目的を1つに合わせ行動を1つに合わせることの必要性を示しています。私は本日の会合が、共通の具体的な目的を達成するために団結するというこの精神を反映するものであることを願っています。





大臣の皆様、



今日、多国間主義が危機に瀕していることを、私たちの全員が認めなければなりません。第2次世界大戦後に作成された世界のガバナンスの仕組みは2つの機能を果たすことでした。その第1は競合する利益のバランスを取ることによって未来の戦争を防ぐことであり、その第2は共通の利益の問題について国際協力を促すことです。過去数年間の金融危機・気候変動・パンデミックテロリズム・戦争の経験は、世界のガバナンスがその両方の権限において失敗したことを明確に示しています。また、この失敗の悲劇的な結果に直面しているのは、何よりも開発途上国であることも認める必要があります。何年にも続いた進歩の後で、今日の私たちは持続可能な開発目標に戻る危険に晒されています。多くの開発途上国は、国民の食料とエネルギーの安全保障を確保しようとしながらも、持続不可能な債務に苦しんでいます。彼らはまた、豊かな国々によって引き起こされた地球温暖化の影響を最も受けている国でもあります。これが、インドがG20議長国としてグローバル・サウスに発言権を与えようとする理由です。どのグループも、その決定により最も影響を受ける人々の意見に耳を傾けることなしに、世界のリーダーシップを主張することは出来ません。





大臣の皆様、



皆様は、世界が深く分裂している時に会することに成りました。外務大臣として、皆様の議論が現在の地政学的緊張の影響を受けるのは至極当然のことです。私たちの全員が、これらの緊張をどのように解決すべきかについて、それぞれの立場と見解を持っています。しかし、世界の主要経済国として、私たちはこの部屋にいない人々に対しても責任を負っています。世界は、成長・開発・経済の回復力・災害の回復力・金融の安定・国境を越えた犯罪・汚職テロリズム・食料とエネルギーの安全保障といった難題を和らげるためにG20に期待しています。これら全ての分野で、G20 はコンセンサスを打ち立てて具体的な成果をもたらす能力を持っています。一緒に解決できない問題が、解決できる問題を邪魔することを許してはなりません。ガンジーブッダの国で会するに当たり、私たちを分断するものではなく、私たちの全員を1つにするものに焦点を当てるという、インドの文明の精神から皆様がインスピレーションを得ることを私は祈っています。





大臣の皆様、



最近、私たちは今世紀で最も悲惨なパンデミックを見てきました。私たちは、自然災害で夥しい数の命が失われるのを目の当たりにしてきました。私たちは、緊張の時期に世界的なサプライチェーンが崩壊するのを見てきました。私たちは、安定した経済が債務と金融危機によって突然圧倒されるのを見てきました。これらの経験は、私たちの社会・経済・医療システム・インフラストラクチャにおける回復力の必要性を明確に示しています。G20は、一方では成長と効率、他方では回復力との間の適切なバランスを見つける上で果たすべき重要な役割を担っています。私たちは協力によりこのバランスをより容易に達成できます。だからこそ皆様の会合は重要です。私は皆様の集合的な知恵と能力を完全に信頼しています。今日の会議は野心的・包括的・行動志向なものになり、相違を乗り越えるものになると確信しています。



私は皆様に感謝の意を表するとともに、有意義な会議が開催されることを願っています。







―参考―











(投稿者より)



議長総括の仮訳は財務省からは出ていましたが外務省からは出ていませんでした。その代わりに「概要」が出ていましたが、情報の精度は一段落ちます。



現在の2つに割れた世界の間に立てる国はインドくらいだと思われます。現状を把握する上で有用なテキストになると思い、今回御紹介しました。