「2022年5月、米大統領の日本訪問―台湾防衛とクアッド首脳会談」 (RFI)

「2022年5月、米大統領の日本訪問―台湾防衛とクアッド首脳会談」 (RFI)









(Alliance Indo-Pacifique: après la Corée du Sud, Joe Biden au Japon: RFI)

https://www.rfi.fr/fr/asie-pacifique/20220522-alliance-indo-pacifique-apr%C3%A8s-la-cor%C3%A9e-du-sud-joe-biden-attendu-au-japon





インド太平洋同盟:ジョー・バイデン氏は韓国訪問を終え、日本へ





発表 2022年5月22日 08:12







2022年5月22日、ジョー・バイデン米大統領が東京近郊・横田基地の駐機場に到着した。AFP - KAZUHIRO NOGI





RFI






日曜日、ジョー・バイデン米大統領は韓国に2日余り滞在した後に東京に到着した。韓国では、彼は北朝鮮に対峙する同国の防衛への関与を約束すると共に、インド太平洋地域の「自由と開放」を維持することやグローバル・サプライチェーン保全することの必要性を強調した。米大統領が東京に来た目的は、火曜日に米国・日本・インド・豪州を加盟国とするクアッド首脳会議に参加するためだ。





報告 RFI東京特約記者、フレデリック・シャルル



中国による台湾侵攻や中国とロシアによる地域における軍事行動の増大へのリスクを考慮すると、クアッド同盟はジョー・バイデン氏にとってインド太平洋地域において中国の台頭を封じ込めるのに役立つはずだ。





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東京では、この非公式の同盟は安全保障の枠組みに経済プログラムを追加することになるだろう。これは、防衛に関する諸課題についてインドに困難が生じるためだ。米国は、環境・貿易・デジタルの諸規格を統一化すると共に、中国を排除したサプライチェーンを確立することを目的に、インド太平洋地域の国々に開かれた新たな経済グループ構想を明らかにする。



インド太平洋経済フレームワーク(IPEF:英語名 "Indo-Pacific Economic Framework" の頭文字を取ったもの)と呼ばれるこのグループ構想は、米国市場への製品輸出について商業的な利点を全く与えていないため、東南アジアの国々には殆ど利益がない。日本は米国に対し、アジア太平洋や米州の国々を加盟国とする環太平洋パートナーシップ(TPP)への再参加を促している。2017年、ドナルド・トランプ氏は開放度の更に高いこの自由貿易パートナーシップから米国を脱退させた





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これら全てを余所に、ジョー・バイデン政権はアジア太平洋諸国が中国依存を減らせるようにして、世界のGDPの62%を占める同地域の経済環境を変えることを目指している。





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日本 米国 ジョー・バイデン 韓国











(Le soutien de Joe Biden à Taïwan, lors de son voyage au Japon, irrite la Chine: RFI)

https://www.rfi.fr/fr/asie-pacifique/20220523-le-soutien-de-joe-biden-%C3%A0-ta%C3%AFwan-lors-de-son-voyage-au-japon-irrite-la-chine





ジョー・バイデン氏が訪日中に台湾を支持し、中国を怒らせる





2022年5月23日 12:38







ジョー・バイデン氏。2022年5月23日、東京にて。AP - Eugene Hoshiko





RFI






5月23日月曜日、台湾侵攻の際には米国が介入すると、訪日中のジョー・バイデン氏が述べた。北京はこの声明に対して鋭い反応を示した。





報告 RFI北京特約記者、ステファン・ラガルド



台湾を守るという米国側の決意、自国が「主権」と見なすものを守るという中国の決意、頂点に立つ2大国による外交の真剣勝負の中では双方の言葉が重みを持つ。両国は何年もの間台湾問題を表に出さずにきた。あるいは少なくとも、米国が台北の支援を続けながらも毛沢東氏の中国を唯一の中国と認めた、1979年の協定による曖昧さを続けることに満足していた。



北京は中国の経済発展に伴い、台湾が大陸の懐の中に戻ることを望んでいた。しかし、長年の間何も行われず、台湾の民主主義は選挙の度にシステムを変えたくないことを示した。その後、中国側の発言は硬化した。台湾海峡の両岸を再び統一したいという願望は、台湾の独立主義者たちに対する指導者たちの言論による闘いに取って代わった。





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米国側は島への軍事装備品の輸出を増やしており、ウクライナの状況との類似点を憚らずに指摘する人もいる。「私たちは『1つの中国』政策に同意し、署名をした(…)が、(台湾)を武力で奪うことが出来るという考えは全く不適切だ」と、ジョー・バイデン氏は東京で警戒の姿勢を示した。5月23日月曜日、汪文斌(Wang Wenbin)氏はこれについて、「私たちは米国に対し(…)、」台湾の「独立勢力に間違ったシグナルを送らないよう切に要請する」と述べた。「国家の主権と領土の保全を守るという、中国人民の確固たる決意・強固な意志・強大な能力を過小評価してはならない」と、この中国外交の報道官は毎日の記者会見で続けて述べた。



月曜日、国営通信社・新華社ジョー・バイデン氏の声明に反応し、ワシントンは「火遊び」をしていると述べた。国務院台湾事務弁公室の朱鳳蓮(Zhu Fenglian)報道官は、米国は中国を封じ込めるために「『台湾カード』を使っているが、火傷をするだろう」と述べた。



5月22日日曜日、王毅・中国外相は広東でパキスタンの外相に会ったとき、米国とその「小さな徒党」が中国を封じ込めることは出来ないと既に断言していた。北京はジョー・バイデン氏のアジア歴訪に強硬な反応を示しているが、経済面では交渉が成功への道を進んでいるようだ。米大統領は、トランプ政権下で決定された北京に対する経済制裁は解除可能だと仄めかした。米国にとっては、これは貿易の再開によりインフレ圧力を下げようとする方法だ。





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米国 ジョー・バイデン 外交 地政学 防衛 台湾 中国











(Les États-Unis prêts à utiliser la force pour défendre Taïwan en cas d'invasion de la Chine: RFI)

https://www.rfi.fr/fr/am%C3%A9riques/20220523-les-%C3%A9tats-unis-pr%C3%AAts-%C3%A0-utiliser-la-force-pour-d%C3%A9fendre-ta%C3%AFwan-en-cas-d-invasion-de-la-chine





中国が侵略した場合、米国は台湾を守るために武力を行使する用意がある





発表 2022年5月23日 13:16







ジョー・バイデン米大統領は東京で、台湾が中国に攻撃された場合には台湾を守るために武力を行使する用意があると述べた。ロイター-LEAHMILLIS





RFI






ジョー・バイデン米大統領は東京で、台湾を防衛するために武力を行使する用意があると明言した。ということは、米国は「戦略的曖昧さ」政策から脱却したいようだ。この戦略に従い、ワシントンは台北が防衛を強化するのを支援しているが、中国の攻撃があった場合に台湾を助けに行くことを明確に約束していない。





報告 RFI東京特約記者、フレデリック・シャルル



ジョー・バイデン氏は、岸田文雄首相との会談の最後にこれを表明した。日本は米国との同盟の枠組みの中で軍事力の強化を決めており、米大統領自国のアジア戦略を強化したいと考えている。



このため、米大統領は記者会見で "Yes" と答えた。「中国が台湾に侵攻した場合には私たちは台湾を守る。」それから、彼は次のような主旨の発言をした。「私たちは『1つの中国』政策に同意しているが、台湾が武力で奪われる可能性のあることは適切でない。中国は既に台湾の余りに近くを飛行することで危険に接近している。」



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中国の台湾侵攻を抑止する



ジョー・バイデン氏が今回このフランチャイズに加盟したことは、中国台湾を攻撃した場合に最前線となる日本の苦痛を減らす。日本の南方に位置する最後の島は、台湾から僅か100キロの距離だ。



ロシアについてジョー・バイデン氏は、「プーチンウクライナ侵攻に対する高い代償を払わせることが、中国の台湾侵攻を抑止するために必要だ」と述べた。





経済面では中国と穏やかな関係を保つ



外交面では米大統領は中国に厳しさを示すが、経済面では宥和を模索している。



ジョー・バイデン氏は、中国に対する特定の関税障壁を撤廃する用意がある。米国の大企業は、中国との経済戦争も軍事戦争も望んでいない。





バイデン氏は新しいアジア太平洋経済パートナーシップを立ち上げる




ジョー・バイデン氏は、アジア太平洋地域で、最初の13か国との新たな経済的パートナーシップの発足を表明した。ただし、中国は除外されており、この枠組みに対して同国は好感を持っていない。米国大統領は東京での岸田文雄・日本首相との記者会見の場で、「これは21世紀の経済競争力を確保するために最も重要な諸課題について、この地域の親しい友人やパートナーとの協力を約束するものだ」と述べた。



この新しいインド太平洋パートナーシップ(IPEF)は自由貿易協定ではないが、デジタル経済・サプライチェーン・グリーンエネルギー・腐敗との戦いという4つの主要分野を中心に構成される。これは13か国で構成され、米国・日本・インド・豪州の有名な「クアッド」4ヵ国に、ブルネイ・韓国・インドネシア・マレーシア・ニュージーランド・フィリピン・シンガポール・タイ・ベトナムが加わる。加盟国全体で世界のGDPの40%を占め、ビジネスの世界から好感を得ている。他の国が後から加盟するかも知れない。



しかし、このパートナーシップには、半導体の世界チャンピオンである台湾は加盟していない。



米国はこの構想により、アジア太平洋地域で強い影響力を持つ世界第2の大国・中国に代わるものを提供したいと考えている。北京はこれに対し、ワシントンが「中国の封じ込め」を望んで「自由と開放の名の下に小さな徒党を組もう[投稿者の和訳」としていると非難している。これは王毅・中国外相の言葉だ。彼にすれば、この企ては失敗する運命にある。



米国が2017年にドナルド・トランプ氏の衝動により、広汎な自由貿易協定であるTPP(環太平洋パートナーシップ)から離脱したことを思い出そう。ジョー・バイデン氏は、TPPの再開は望まないと明言した。米国がこれらの協定を自国の雇用への脅威として見ていることは確かだ。




米国 日本 中国 ジョー・バイデン 岸田文雄











(«L'ordre international» au menu du Quad: l'ombre de la Chine a plané sur la réunion de Tokyo)

https://www.rfi.fr/fr/asie-pacifique/20220524-l-ordre-international-au-menu-du-quad-l-ombre-de-la-chine-a-plan%C3%A9-sur-la-r%C3%A9union-de-tokyo





「国際秩序」がクアッドの議題に:東京の会議に中国の影が漂った





発表 2022年5月24日 10:04 更新 2022年5月24日 10:10







2022年5月24日、東京でのクワッド会議:岸田文雄首相が最後の記者会見中に臨む。REUTERS - POOL





RFI






米国・インド・日本・豪州は、特にアジア太平洋地域におけるいかなる「現状の武力による変化」にも反対すると、岸田文雄・日本首相はこの4国が加盟するクアッド同盟の東京での会談後に述べた。





「その一方で、ロシアのウクライナ侵攻は国際秩序の基本原則を揺るがせており」、米国・インド・豪州の指導者、「そして私は、いかなる場所においても、特にアジア太平洋において、武力により現状を変える一方的な試みを決して容認しないことに同意する」と、岸田文雄首相は会談後に述べた。



クアッドは武力によるいかなる現状の変更にも反対しているが、最終宣言では中国とロシアの非難を避けたと、RFI東京特約記者フレデリック・シャルルは強調する。なぜクアッドはロシアに対してこのように慎重なのか?インドがウクライナ侵攻への非難を拒否しているからだ。米国・豪州・日本は、非同盟の地位にこだわるインドの機嫌を取るためにクアッドを使っている。



しかし、ワシントン・東京・キャンベラのいずれも、この問題についてインドを変えることが出来なかったと、RFI国際サービスのバンサン・スリオは分析する。ニューデリーはモスクワとの関係を断つことを望んでいない。この関係が攻撃的な立場をますます強める中国を阻止するために不可欠だと、ナレンドラ・モディ氏は考えている。特に、ヒマラヤの長い国境をめぐりデリケートな問題が存在する。インドがロシアと仲違いした場合、モスクワは報復措置として外交や情報の分野で中国に支援の提供を決めるかも知れない。軍事物資の分野でロシアに大きく依存するインドの戦略家たちの目には、これは余りにも危険だ。



また、この4国は公然と中国に対抗していると見られたくない。彼らの声明には台湾についての言及がない。クアッドは今後5年間に500億ドルをソフトパワーに投資する予定だ。これは、北京と安全保障協定を結んだソロモン諸島など、太平洋諸国との関係を結ぶためのインフラ事業を対象としている。クアッドは違法漁業など、この地域での中国の活動を追跡するための海上監視システムを作りたいと考えている。



「クアッドが発足しインド・日本・豪州・米国が歩み寄ったのは、中国に対峙することへの共通の不安があるからだ。そして、このパートナーシップが今後も強化・多様化を進めていくのは明らかだ。バイデン大統領が就任してから、今ではインフラの問題やワクチン製造の問題がクアッドのレベルで扱われている」と、戦略研究財団の研究者アントワーヌ・ボンダズ氏はRFIの番組で国際サービスのヘイケ・シュミットに語った。





►これも読む:中国に対抗する手段・クアッドの再起動?[投稿者の和訳





クアッドは東京で非公式な同盟関係を固めたが、反中国陣営はまだ作られていない。月曜日、ジョー・バイデン米大統領は、北京が台湾に武力侵攻を行った場合には米国はこの自治の島を守る[投稿者の和訳と言い切った。しかし彼は火曜日には、外交では中国本土のみを承認しつつも、この自治の島には侵攻の際に自衛のための軍事的手段を与えることを約束するという、ワシントンの「戦略的曖昧さ」に変化はないと説明した。





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(参考 各通信社)





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