放射線と被ばくの問題を考えるための副読本〜減思力(げんしりょく)を防ぎ、判断力・批判力を育(はぐく)むために〜:阿修羅♪

放射線と被ばくの問題を考えるための副読本〜減思力(げんしりょく)を防ぎ、判断力・批判力を育(はぐく)むために〜:阿修羅♪

http://www.asyura2.com/12/genpatu22/msg/342.html

2012 年 3 月 27 日 13:46:05











放射線と被ばくの問題を考えるための副読本



減思力 げんしりょく を防ぎ、判断力・批判力を はぐく むために〜



福島大学 放射線副読本研究会




https://www.ad.ipc.fukushima-u.ac.jp/~a067/FGF/FukushimaUniv_RadiationText_PDF.pdf





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はじめに



2011年 3月 11 日に発生した東日本大震災より、東京電力(株)福島第一原子力発電所の大事故が起きて、放射性物質ヨウ素セシウムプルトニウムなど)が大量に放出され、福島県を中心とする広い地域の大気や水、土壌などが汚染されてしました。



汚染された地域では、高い放射線量のため、長期にわたって人の居住が制限される地域が生じました。事故以前に設定されていた年間の追加被ばく線量(医療除く)限度を超える放射線を浴びてしまったり、その恐れがあるために、多くの人々が避難を余儀なされました。避難の途中で亡くなった方や、原発事故の影響を苦にして自殺に追い込まれた方もいました。東日本の各地で、水道摂取や一部の食品摂取・出荷が制限されることとなり、日常生活にも大きな悪影響を及ぼしました。



放射性物質は、その影響が収まるまでにとても長い期間を要すため、これから私たちは、放射線による被ばくの問題と向き合っていかなければなりません。



そのような中で文部科学省は、2011年10月に小・中・高校生向けの放射線副読本をそれぞれ作成しました(以下、新副読本と省略します)。新副読本は、福島第一原子力発電所の事故の後に作成されたものですが、事故に関する記述がほとんどなく、放射線が身近であることを強調し、健康への影響を過小に見せるなど、内容が偏っているという問題点が指摘されています。また、原発事故の前にも、文部科学省と経済産業資源エネルギー庁が作成した原子力に関する小・中学生向けの副読本(以下、 旧副読本と省略します)があり、事故後に回収されたり、ウェブサイトから削除されたりしましたが、これらも原子力の推進側に偏った内容となっていました。



今回の原発事故で教訓とすべき点の一つは、 偏重した教育や広報により国民の公正な判断力を低下させるような、いわば“ 減思力 げんしりょく ”を防ぐことです 。そして、放射線による被ばく、特に低線量放射線による被ばくによる健康への影響ついては、 正確なことは分かっておらず、専門家の間でも見解が一致していません。このような「答え出てい問題」については、どのように考えていけばよいのでしょうか。



私たち、福島大学放射線副読本研究会のメンバーは、 学問に携わる者として、また、原発事故によって被ばくした生活者として、 このような不確実な問題に対する科学的・倫理態度を分かりやすく提示したいと考え、この副読本をまとめした 。今回の副読本では、国の旧副読本・新副読本における記述や、原発推進派の見解を積極的に載せることでバランスに配慮しながら、そこに見られる問題点を指摘することで、判断力や批判力を はぐく むことができるように工夫をしました。もちろん、この副読本も、批判的に読んでいただいて結構です。



この本の内容が、より多くの子ども達や放射能汚染に苦しむ方々、そして、広く一般の市民のみなさまにとって、放射線と被ばくの問題を考えていくための一助となれば幸いです。





目次



・ 副読本のポイント:2

東京電力福島第一原子力発電所の事故:3〜4

放射線について:5〜 6

放射線による健康への影響:7〜 8

・ 事故による放射性物質拡散への対応上の留意点:9〜10

・ 判断力・批判力を育むために:11〜12

・ 不確実な問題に関する社会的意思決定のために:13〜14

放射線と被ばくの問題を考える際のヒント:15〜17






表紙の写真

左上:爆発した東京電力福島第一原子力発電所3号機(出典:エア・フォート・サービス社)

中央:福島市の風景、右下:放射線管理区域の標識






副読本のポイント





この 副読本の内容で特に重要な点を示します。





人工放射線は身近にはありません



自然の放射線は身近にありますが、人工の放射性物質による放射線は身近にはありません。身近ではない人工放射線による無用な被ばくを防ぐために、追加の被ばく線量(医療除く)限度や放射線管理区域が設定されています。





無用な放射線は浴びないに越したことはありません



放射線は細胞のDNAなどに影響を及ぼすことから、無用な放射線はできるだけ浴びないようにすることが大切です。特に、細胞分裂が盛んな子どもや妊婦の方は、注意が必要です。





低線量被ばくの影響は解明されていません



年間の被ばく線量100mSv程度以下の、いわゆる「低線量被ばく」による健康影響については、未だ解明されていません。影響が解明されていない以上、「正しい怖がり方」というものは論理的に成立しません。





リスクの公平性について考えましょう



放射線の被ばくによる健康リスクを考える際には、便益(ベネフィット)や負担の公平性についても考慮されなければなりません。放射能に汚染された地域での無用な被ばくには、便益は伴っておらず、負担にも不公平性があります。





情報を鵜呑みにしない判断力や批判力を育むことが大切です



いわゆる「原子力安全神話」は、原発推進側に偏った教育・広報によってつくられてきました。二度と同じ過ちを繰り返さないためにも、教育や広報における公平性を追求するとともに、一人ひとりが判断力や批判力を育むことが大切です。





(以下省略。こちらからご覧下さい。:投稿者)

https://www.ad.ipc.fukushima-u.ac.jp/~a067/FGF/FukushimaUniv_RadiationText_PDF.pdf