「国連安保理のガザ停戦決議案に米が棄権し採択、国際司法裁はガザへの食料・医薬品の供給許可をイスラエルに命令」(BBC NEWS JAPAN)

「国連安保理のガザ停戦決議案に米が棄権し採択、国際司法裁はガザへの食料・医薬品の供給許可をイスラエルに命令」(BBC NEWS JAPAN)









https://www.bbc.com/japanese/articles/cd14gwk9qd5o





国連安保理、ガザで即時停戦求める決議案を採択 アメリカは棄権







Reuters





国連の安全保障理事会(25日、ニューヨーク)





2024年3月26日






国連安全保障理事会は25日、パレスチナ自治区ガザ地区での即時停戦を求める決議案を可決した。15カ国中14カ国が賛成したほか、これまで拒否権を行使していた常任理事国アメリカが方針を変え、棄権した。





今回の決議案は、非常任理事国10カ国が共同で提出。イスラム教のラマダン(断食月)期間中の即時停戦のほか、人質の即時かつ無条件の解放、ガザへの援助の「緊急拡大」を求めている。



安保理が停戦の決議案を採択したのは、昨年10月7日にイスラム組織ハマスイスラエルを襲撃し、紛争が始まって以来初めて。



アメリカの方針変更は、イスラエルのガザ攻撃をめぐり、アメリカとイスラエルの間の不一致が広がっていることを示している。



イスラエル首相官邸は声明で、アメリカが停戦と人質解放を直接結びつけていた以前の立場を「放棄」したと、異例の強い論調で反発した。



「残念ながら、アメリカは新たな決議案を否決しなかった」と、イスラエルは述べた。



また、人質を解放することなく停戦を達成するためにイスラエルに国際的圧力を行使できるという希望をハマスに与えたとし、人質解放の努力を妨げたと指摘した。



声明によると、イスラエルベンヤミン・ネタニヤフ首相は今週、米ワシントンで予定されていたイスラエル代表とアメリカ高官との協議をキャンセルすると決定したという。



イスラエルのヨアヴ・ガラント国防相は、人質がガザにとらわれている限り、ガザでの戦争を止めることはないと述べた。







Reuters

パレスチナ自治政府のリヤド・マンスール国連大使






パレスチナ自治政府のリヤド・マンスール国連大使安保理決議を歓迎したものの、遅すぎると述べた。



「この理事会がやっと即時停戦を求めるまで6カ月かかり、その間に10万人のパレスチナ人が死傷し、200万人が家を追われ、飢えた」



ガザ地区を支配するハマスも決議採択を歓迎。「双方の囚人の解放につながる交換プロセスに直ちに関与する」用意があると述べた。



ハマスは、イスラエルの刑務所に拘束されているパレスチナ人をイスラエルが釈放することを、人質解放の条件としている。



アメリカはこれまで、イスラエルハマスの間で停戦と人質解放のためのデリケートな交渉が続いている最中に、安保理が停戦を決議することは間違っているとして、こうした決議を阻止してきた。



しかし21日には、初めて停戦を求める独自の決議案を提出し、イスラエルに対する姿勢を強めた。



国家安全保障会議NSC)のジョン・カービー戦略広報調整官は、アメリカが決議案を採択させたのは「政策の転換」ではないと説明。停戦は支持するものの、決議案の文言はハマスを非難していないとして、同案への賛成票を投じなかったと述べた。



「我々は非常に明確かつ一貫して、人質解放協議の一環として停戦を支持している。これが人質交渉の仕組みであり、決議は現在進行中の協議を認めている」



国連のアントニオ・グテーレス事務総長は、この決議は停戦と「人質全員の即時かつ無条件の解放」を確保するために「実施されなくてはならない」と述べた。







Reuters

ガザ地区では深刻な食糧難が続いている






2009~2015年にイギリスの国連大使を務めていたマーク・ライアル=グラント氏はBBCのラジオ番組に出演し、この決議案により、イスラエルは「実質的に、(ラマダンの残り期間の)15日間、軍事作戦を停止する義務を負う」ことになったと説明した。



また、決議はイスラエルに対して法的拘束力を持つ一方、国家ではないハマスに対しては拘束力がないと指摘した。



アメリカはこれまで、拒否権を行使して国連でイスラエルを守っていると非難されていた。



ハマスが運営するガザ地区の保健省によると、イスラエルの砲撃によって女性と子供を中心に3万2000人以上が殺されている。



アメリカはまた、ガザに援助を届けるためにもっと努力するようイスラエルに迫っている。ガザでは、全住民が深刻なレベルの深刻な食糧難に苦しんでいるという。



国連は、イスラエルが支援を妨害していると非難している。一方のイスラエルは、国連が支援物資の配給に失敗していると非難している。



現在の戦争は、昨年10月7日にハマスイスラエルを襲撃し、少なくとも1200人を殺害、253人を人質に取ったことから始まった。



人質については、これまでの解放や救助作戦、遺体の回収などを経て、なお130人の行方が分からない状態だ。



イスラエル安保理決議を受け、今週末に予定されていた代表団のワシントン訪問をキャンセルした。しかしカービー氏は、ガラント・イスラエル国防相とジェイク・サリヴァン米大統領補佐官(国家安全保障担当)との会談は予定通り継続すると述べた。



カービー氏は、「ハマスと戦うイスラエルに対して、アメリカが引き続きイスラエルの側に立っていることを、国防相に明確に伝えることを楽しみにしている」と述べた。





(英語記事 UN Security Council passes resolution calling for Gaza ceasefire





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https://www.bbc.com/japanese/articles/cz5zegy45m8o





【解説】イスラエルに強い言葉だけでは不十分とバイデン氏判断 BBC国際編集長







Reuters





2024年3月27日






ジェレミー・ボウエンBBC国際編集長





アメリカのジョー・バイデン大統領と政権幹部はもう何週間も前から、パレスチナ自治区ガザ地区イスラエルが続ける戦いぶりに、しびれを切らしていた。





自分たちの不快感をイスラエルと世界全体に伝えるための言葉遣いは、日に日に強張ったものになっていた。



国連安全保障理事会でアメリカが25日に示した、即時停戦決議案に拒否権を行使しないという最新の判断は、強い言葉だけではもはや不十分だとバイデン大統領が判断したことを示している。



イスラエルの戦争遂行方法について、アメリカが外交の場でそれを守らなくなるというのは、重要な一歩だ。



ホワイトハウスと、イスラエルベンヤミン・ネタニヤフ首相の間に開いた溝が、いかに深いものかを示している。



それを受けてネタニヤフ首相は、イスラエルにとって最重要の同盟国相手を強く非難した。



ネタニヤフ氏は、アメリカが拒否権を行使しなかったことを非難した。そのせいで戦争遂行の努力が損なわれ、昨年10月7日にイスラム組織ハマスによって人質にされた人たちを解放する試みが損なわれたと主張した。



その発言を「実に恩知らず」という名前のファイルに、バイデン政権が分類したとしても、無理はない。



大統領はイスラエルと深いつながりを持ち、自分のことを「シオニスト」と呼ぶ。昨年10月7日以降、イスラエルの人たちが必要としてきた気持ちの上での支えだけでなく、イスラエル国家が必要としてきたあらゆる軍事的・外交的支援をすべて提供してきた。



バイデン氏は人質の解放と、軍事勢力としてのハマスの解体を求めている。しかしそれにはイスラエルに「正しい方法」で取り組んでもらいたいのだ。



戦争が始まった当初のあのすさまじい数週間の間に、バイデン大統領はイスラエルに対して、怒りに我を忘れてはならないと諭した。2001年9月11日にアルカイダに攻撃された直後のアメリカが、激怒するあまり物事が見えなくなっていた、あのような状態になってはならないと。



大統領は自らイスラエルを訪れハマス攻撃による被害者の家族を慰め、ネタニヤフ氏と抱き合うまでした。バイデン氏とネタニヤフ氏の関係は、それまでも決して良好ではなかったのだが。



バイデン大統領とアントニー・ブリンケン米国務長官(10月7日以降、イスラエルを6回訪れている)はどちらも、民間人の保護を義務づける国際人道法を尊重するよう、イスラエルに繰り返している。



戦争が始まった当初、アメリカがそうした警告を準備していた矢先、ネタニヤフ氏はイスラエル国民に「大いなる復讐(ふくしゅう)」を果たすと約束した。



それ以来、3万人以上のパレスチナ人が殺された。ほとんどが民間人だ。使われた武器のほとんどは、アメリカが提供したものだ。







「ガザに飢えはない」とイスラエル軍、病院には栄養不良の子供たち……ガザ北部への援助ルートを取材





ガザは廃墟と化し、パレスチナの民間人は迫りくる飢饉(ききん)に直面している。ガザ南部ラファではイスラエルが地上侵攻を計画しており、さらに大勢が犠牲になる見通しだ。こうした状況でバイデン大統領は、自分の助言が無視されるのはもうたくさんだと、そう思っている様子だ。



イスラエルは常に、自分たちが戦争法を尊重していると主張する。そして、ガザ住民への人道援助物資の輸送をイスラエルが妨害しているとの非難を、否定する。



けれども、イスラエルの言うことは真実ではないと、そう示す証拠が積みあがっている。イスラエルとエジプトで食べ物が大量に備蓄されているにもかかわらず、そこから数キロ先で子供たちが餓死しているのだ。



ガザが飢饉に瀕しているという国連や援助機関の証拠を見れば、アメリカ人も、そして世界中の人々もその状況がわかるだろう。



アメリカ軍は空から援助物資を投下しているし、ガザに海路で物資を運べるようにと、臨時の埠頭(ふとう)を大西洋からガザまで運んでいる最中だ。対するイスラエルは、アシュドド港からごく少量の物資の荷揚げしか認めていない。ガザ北部から車で30分も走れば、最新式のコンテナ・ターミナルがあるのに。



ラマダン(イスラム教の断食月)停戦決議に拒否権を行使しないとアメリカが決めたのは、イスラエルの一連の行動を促しているのはアメリカだという非難を、かわすためのものでもある。



中東でこの数十年来最悪の危機を、なんとか終わらせようとするバイデン政権の取り組みを、ネタニヤフ政権は真っ向から激しくはねつけた。



アメリカは、いくらイスラエルは国際社会の圧力を受けずに済むといっても、物には限界というものがあるのだと、そう示そうとしているのだ。



国連安全保障理事会の決議は通常、国際法としての威力をもつとされる。今回の停戦決議は、ハマスパレスチナ自治政府の国連代表部も歓迎した。



イスラエルはこれから、安保理決議を尊重するのかどうか決めなくてはならない。



ネタニヤフ首相の連立政権は、過激な超ユダヤ・ナショナリストによる支持に依存している。



この勢力は、安保理決議を無視するよう首相に働きかけるだろう。そして首相がそれに応じれば、アメリカは対応しなくてはならない。



言葉だけでは足りないなら、バイデン大統領は最大の説得材料として、イスラエルへの武器供与に手を付けることができる。両国を結ぶ航路を経由して、アメリカからイスラエルには絶え間なく武器の提供が続いてきた。巨大な輸送機が何十回とアメリカからイスラエルへ向かい、この戦争でイスラエルが使ってきた軍需品を運んできた。もしイスラエルが計画通り、地上戦を拡大してラファに侵攻するのなら、そこで必要となるだろう武器も、アメリカが提供するものだ。



アメリカとイスラエルの同盟関係は深い。1948年に当時のハリー・トルーマン大統領は、新国家イスラエルが独立を宣言した11分後に、イスラエルを承認した。その一方でアメリカとイスラエルの同盟関係は時に、機能しなくなる。



アメリカの大統領の意向にイスラエルが反抗し、アメリカの国益を損なう行動をとれば、両国間に危機が起きる。



ネタニヤフ氏がホワイトハウスの住人を激怒させたのは、これが初めてはない。



1996年に最初にイスラエルの首相になって以来、彼は定期的にアメリカ大統領を怒らせてきた。



けれどもネタニヤフ氏がこれほど長いこと、しかもとげとげしく、アメリカの意向を無視し続けたことはない。そして、アメリカとイスラエルの長い同盟関係において、半年近く続くガザ戦争がもたらした現在の溝ほど、深刻な亀裂はかつてなかった。





(英語記事 Jeremy Bowen: Biden has decided strong words with Israel are not enough





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国際司法裁、ガザ地区への食料・医薬品の供給許可をイスラエルに命令







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パレスチナ自治区ガザ地区の北部ガザ市で食料配給を待つ子供たち





2024年3月29日






国際司法裁判所(ICJ)は28日、イスラエルに対し、パレスチナ自治区ガザ地区での飢饉(ききん)を回避するため援助物資を流入させるよう命じた。





ICJは、イスラエルは「緊急に必要とされる基本的サービスと人道支援の提供」のために「即刻」動くべきだと述べた。



ガザ地区では、数週間以内に住民が飢饉に見舞われると警告されている。



イスラエル側は、援助を足止めしているという疑惑は「全く根拠がない」と反論している。



同国は、南アフリカがICJに申し立てたジェノサイド(集団虐殺)疑惑も否定。さらに、援助物資の分配に問題があるとして国連を非難している。



南アフリカは昨年12月、武力紛争の際に適用されるジュネーヴ諸条約にもとづく義務にイスラエルが違反していると主張し、ICJに対応を要請。ICJは今年1月に、ガザ地区でのジェノサイドを防ぐためにあらゆる対策を講じるよう、暫定的に命じた



ICJの命令は法的拘束力を持つが、それを執行させる力はICJにはない。



先週には、世界食糧計画(WFP)などが運営する「総合的食料安全保障レベル分類グローバル・イニシチブ」が報告書を公表し、ガザで「壊滅的」な状況が進行していると警告した。



報告書によると、ガザに住む220万人全員が「高水準の深刻な食料不安に直面しており」、5月末までにガザ地区北部を飢饉が襲うと予測されている。





ガザで「飢饉が始まっている」とICJ



ICJは今回の命令で、ガザ地区は「飢饉のリスクに直面しているだけでなく」、「飢饉が始まっている」と指摘。国連のオブザーバーによると、子ども27人を含む31人が、すでに栄養不良と脱水症状で死亡したと述べた。



また、国連のフォルカー・トゥルク人権高等弁務官が先週述べた、「空腹、飢餓、そして飢饉の状況」は、「イスラエル人道支援と商業物資の流入と流通を広範囲に制限し、住民の大半を移住させ、重要な民間インフラを破壊した結果」だというコメントにも言及した。



そのうえでICJは、イスラエルは「即刻、国連との全面協力のもと、大規模な(中略)緊急に必要とされる基本的サービスや人道的支援を滞りなく提供できるよう、全ての必要かつ効果的な対策を取る」べきだとした。



最も必要とされている物資は、食料や水、電力、燃料、シェルター、衣服、衛生用品や医薬品だという。



命令ではさらに、イスラエルはジェノサイド条約に基づき、「自軍がガザのパレスチナ人の権利を侵害するような行為を行わない」ことを保証しなければならないとしている。







ガザ人道危機 国連幹部はイスラエルの責任指摘、イスラエル閣僚は対ハマス戦争の遂行強調





ここ数カ月、エジプトからガザに入る境界付近では、援助トラックの長い列が何度もできており、イスラエルが複雑で恣意(しい)的な検査を行っていると非難されている。



イスラエルは先週、ICJに対し、南アフリカの申し立ては「事実の点でも法律面でもまったく根拠がなく」、「道徳的に許されない」として、今回の命令を出さないよう要請していた。



また、ジェノサイド条約に基づきイスラエルが提訴されている、より広範な裁判についても「根拠がない」と否定した。



さらに、イスラム組織ハマスがガザに入る援助物資の多くを持ち去り、国連が市民への分配を怠っていると非難している。



現在の紛争は、昨年10月7日にハマスイスラエルを襲撃し、約1200人を殺害、250人超を人質にとったことで始まった。



人質のうち約130人はなお行方が分からず、少なくとも34人は死亡したとみられている。



一方、ハマスが運営するガザ地区の保健省によると、イスラエルの軍事活動により、これまでに少なくとも3万2552人が殺された。アメリカのロイド・オースティン国防長官は3月初めに、死者のうち2万5000人以上が女性や子供だとした。





(英語記事 Top UN court orders Israel to allow food and medical aid into Gaza





関連トピックス 中東 イスラエルとパレスチナ イスラエル 国連 人権 人道支援 食の安全 パレスチナ自治区 ハマス イスラエル・ガザ戦争 軍隊 法律 飢饉









(投稿者より)



国際社会によるイスラエルへの圧力が強まっており、米国が庇い切れないレベルに達したようです。更に経過を見たいです。