「日銀、金融緩和策を大幅修正。実質的な利上げへ」(Sputnik日本・RFI)

「日銀、金融緩和策を大幅修正。実質的な利上げへ」(Sputnik日本・RFI









(Sputnik日本)

https://sputniknews.jp/20221220/05--14321275.html





日銀 大規模な金融緩和策を修正 長期金利上限0.5%程度に引き上げ  黒田総裁「物価安定の目標実現目指す」



2022年12月20日, 15:44







© AFP 2022 / Jiji Press





日銀は19~20日に開いた金融政策決定会合で、大規模な金融緩和策の修正を決めた。これまでプラスマイナス0.25%程度としてきた長期金利の変動幅をプラスマイナス0.5%程度に拡大する。





今月の金融政策決定会合ポイント

  • 長期金利の変動幅を0.25%程度から0.5%に拡大

  • 0.1%のマイナス金利を維持

  • 長期国債の買入れ額を月間7兆3000億円から9兆円程度に増額

  • フォワドガイダンス(先行き指針)は変更なし


日銀の黒田総裁は日本時間20日午後3時30分から記者会見を行い、冒頭で「緩和的な金融環境を維持しつつ、市場機能の改善を図り、より円滑なイールドカーブ全体の形成を促していくため長短金利操作の一部を見直すことを決定した」と述べた。 見直しの理由については「春先以降、海外の金融資本市場の変動が高まり、日本の市場もその影響を強く受けている。こうした状態が続けば金融環境に悪影響を及ぼすおそれがある」と説明した。



また黒田氏は「今回の措置により金融緩和の効果が、企業金融などを通じてより円滑に波及していくと考えている。金融緩和の持続性を高めることで物価安定の目標の実現を目指していく」と述べた。質疑応答では、今回の一部修正は金融緩和を縮小する出口戦略につながるのかという質問に対し、黒田総裁は「今回の措置は、出口政策とか出口戦略の1歩とかそういうものでは全くない」と指摘した。







日銀の国債保有率 初の5割超え

昨日, 14:29






日銀、大規模な金融緩和策を修正



日銀は2013年4月4日、2%の物価安定の目標を、2年程度 の期間を念頭に置いて、できるだけ早期に実現するために「量的・質的金融緩和」を導入した。「マネタリーベ ースおよび長期国債EFT保有額を2年間で2倍に拡大し、長期国債買入れの平均残存期間を2倍以上に延長するなど、量・質ともに次元の違う金融緩和を行う」とした。



一方、消費増税やエネルギー価格の下落などを受け、2016年に「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」の導入を決定し、金融機関が保有する日銀当座預金に0.1%のマイナス金利を付与した。日銀当座預金を3段階の階層構造に分割し、それぞれの階層 に応じてプラス金利、ゼロ金利、マイナス金利を適用した。



その後は長期金利の変動幅を0.1%から0.25%に段階的に拡大してきた。



欧米がインフレ抑制のために利上げを実施すると日本の長期金利にも上昇圧力がかかったが、日本は利上げをせずに金融緩和を維持、10月には一時、1ドル=151円台まで円安が加速した。



円安や資源価格の高騰により、日本では電力料金や生鮮品など幅広い品目で値上げが進んでいる。



今回の事実上の利上げによって外国との金利差が縮小し、円高に振れる可能性があるとされる。



20日の東京外国為替市場の円相場は、日銀の金融政策決定会合の結果を受けて円がドルに対して買われ、一時1ドル=133円台まで値上がりした。約4か月ぶりの円高水準となった。





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―参考―













(Sputnik日本)

https://sputniknews.jp/20221220/25-14329573.html





日銀の金利大受けアジア各地で株価下落 日経2.5%、上海、香港も





2022年12月20日, 23:01







© Sputnik / Vladimir Pesnya





日本銀行金利拡大のサプライズを受け、20日の東アジアの株式市場では軒並み下落となった。日経平均株価終値は前日より669円(2.46パーセント)安い26568円となったほか、中国中央銀行政策金利据え置きによる嫌気も相まって上海、香港、ソウルの各株式市場でも売りが広がった。





日経新聞などによると、20日東京株式市場では午前は前日の相場下落の反発で買いが先行したものの、午後は日銀の大規模緩和の修正決定を受け、急速に勢いが落ち、一時下げ幅が800円を超えた。専門家は「日銀は現状の金融政策を維持するとの見方が大勢だったため、想定外の緩和修正を受けて株はショック安の様相を呈した」と話しているという。



三菱UFJフィナンシャル・グループ(下落幅:6パーセント)、第一生命(同9.4)、千葉銀行(同5.5)、三井住友フィナンシャル・グループ(同5.4)など金融・保険業界の下げ幅が目立ったほか、三菱自動車(同8.9)、日野自動車(同5.3)、日産(同5)、マツダ(同5)、トヨタ(同3.4)と大手自動車各社も下落となった。







日銀 大規模な金融緩和策を修正 長期金利上限0.5%程度に引き上げ  黒田総裁「物価安定の目標実現目指す」

15:44






また、中国の上海総合指数や香港のハンセンH株指数もそれぞれ1.1パーセント、1.3パーセント下落。中国の中央銀行が1年物の貸付金利(LPR)を3.65パーセントに据え置いたことに加え、日銀の予想外の動きも受け嫌気が広がったとみられる。



ソウルの韓国総合株価指数も0.8パーセントの下落。サムスン電子(下落幅:1.5パーセント)、現代自動車(同1.3)などとなった。



日銀は19~20日に開いた金融政策決定会合で、大規模な金融緩和策の修正を決めた。これまでプラスマイナス0.25パーセント程度としてきた長期金利の変動幅をプラスマイナス0.5パーセント程度に拡大する。黒田東彦総裁は「今回の措置は(金融緩和からの)出口政策ではない」としているものの、市場には一時的な混乱が広がったようだ。





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(La Banque du Japon a, pour l'instant, «gardé une politique monétaire accommodante»: RFI)

https://www.rfi.fr/fr/%C3%A9conomie/20221220-la-banque-du-japon-a-pour-l-instant-gard%C3%A9-une-politique-mon%C3%A9taire-accommodante





日銀は今のところ「緩和的な通貨政策を維持している」





発表 2022年12月20日 19:47







2022年12月20日火曜日、日本銀行は日本国債金利の厳格な管理を緩和すると発表した。© AFP





アグニエシスカ・クモール






日本銀行が日本国債金利の厳格な管理を緩和するとの発表を受け、東京株式市場は急落して取引を終えた。この決定により円は急騰したが、日銀は世界の他の主要な中央銀行と逆の方向に進んでいるため、この決定は驚きを与えている。ウェスタンユニオン・ビジネスソリューションズ社の為替相場アナリストであるギヨーム・ドゥジャン氏は次のように説明する。





RFI:米国・欧州・イギリス・豪州では中央銀行がインフレを静めようとして金利を引き上げているののに、なぜ日本銀行は逆に低金利を維持するのか?



ギヨーム・ドゥジャン氏:中国製品の供給をめぐり緊張が発生しても、エネルギー価格が高騰しても、日本は影響を受けなかった。そのため、日本は世界的な力学に従いインフレ[投稿者の和訳率が確かに上昇したが、上昇率は米国が7.1%、ユーロ圏が10.0%なのに対し、日本では僅か3.7%だ。2点目は、日本人は常にデフレを恐れており、この恐れが中央銀行の意思決定を遅らせている。それでも、世界的な状況が日本よりも少し不安定であることを加味することは必要だ。結果として、日本経済の下支えとインフレ上昇の抑制を同時に行えるよう緩和的な金融政策が維持された。



しかし、日本ではこの前例のないインフレ圧力に直面して議論が起こり始めている。それは、恐らく物価について深刻な問題があると考えられ始めており、これを解決する必要がある。また、これまでのような超緩和的な政策は恐らく経済の現実と乖離している、というものだ。





RFI:それでも日本は世界第3位の経済大国だ。東京を始めとする株式市場の反応が悪いのはなぜか?



ギヨーム・ドゥジャン氏:それは正に、世界経済における日本経済の比重が大きいからだ。市場は長い間、日本の銀行家からの動きを待っていた。しかし、彼らはそれがこの年末に起こると予想していなかったのは確かだ。今回は完全な驚きだった。そして今、投資家たちは2023年に行われる可能性のある別の決定を予想している。彼らは、日銀が現行の金融政策の調整を始めるとするならば、最初の利上げがこれに続くかも知れないと考えている。



一方で、日本が世界最大の債権国の1つであることも忘れてはいけない。日本は最大の米国債保有国(中国を上回る)だが、フランスや豪州に対しても同様だ。そのため、日本で金利が上昇すれば、日本の投資家にとって魅力が増すだろう。彼らは日本の国債を買い始めるだろう。そして、そのために彼らはお金を必要とするだろう。そのため、日本の資金がこれらの外国を離れて日本に移動する危険が生じる。



このような資本流出の重要性は、単なる枝葉の話では無い。日本には巨額の年金基金が存在する。これは特に、日本の国民に年金を支払う原資となっている。これまで、日本での利益は極めて小さかったため、これらの年金基金の運用者は海外の資産に目を向けていた。もし明日に日銀が利上げを行えば、彼らは地元の資産に目を向けることが出来る。全ては新しい金融政策に掛かっており、変化は予想よりも早く訪れるかも知れない。





RFI:それはなぜか?



ギヨーム・ドゥジャン氏:2023 年 4 月に、日本銀行のトップとなる新しい総裁が任命される予定だ。新総裁は余り緩和的で無い方針を選択し、最初の利上げを進める可能性がある。現在、市場ではこのような変化が有り得ると予想されている。円をめぐる投機的な効果により、日本の通貨が魅力を取り戻したことは明らかだ。





►これも読む:日本:政府が2660億ユーロの景気刺激策を承認する[投稿者の和訳





日本 金融 経済 インタビュー RFIの選り抜き記事









(投稿者より)



今回の修正に併せて大手銀行は住宅ローンの固定金利を引き上げました。今回の決定は、実質的には「銀行救済」だとの見方があります。



また、今回の実質的な利上げにより円が値を上げました。日本は食費と光熱費をドルで支払っていますので、円高は短期的には国民生活に恩恵をもたらします。しかし、それより長い期間では高金利円高は輸出業者の収益を圧迫するため、国民には不景気と失業をもたらします。



フランスRFIの記事は日本や米英のメディアと視点が異なりますが、「日本が利上げすると世界に分散していた日本の投資資金が日本に環流する」と言うのなら、「世界に分散する世界の投資資金も日本に流入する」でしょう。そうなると、金利の上昇に伴い円高が進み、金融市場としての日本の重要性が高まるのでしょうか?



ただ、それはつまり、世界のマネーが日本に集まる中で日本の庶民は不景気と失業で更に苦しむという、笑えない未来が待っているかも知れません。