「沖縄県で現職知事が再選される」(VOA・Global Times)

沖縄県で現職知事が再選される」(VOA・Global Times)









(Okinawa Reelects Governor Opposing Heavy US Troop Presence: VOA NEWS)

https://www.voanews.com/a/okinawa-reelects-governor-opposing-heavy-us-troop-presence/6740399.html





沖縄は米軍部隊の重い存在に反対する知事を再選する





2022年9月11日 6:53 PM





AP通信








ファイル―玉城デニー沖縄県知事がAP 通信とのインタビューで話す。2018年10月31日、東京にて。





東京―



沖縄の現職知事は、日本の中央政府が強制的に進める米海兵隊基地の移転に反対すると共に、この南の島における米軍部隊の更なる削減を求めている。日曜日、中国と近隣の台湾との緊張が高まる懸念を余所に、彼は再選を確保した。



NHK全国テレビや共同通信社を含む日本の主要メディアが行った出口調査によると、野党諸党が支持する玉城デニー沖縄県知事は2度目の4年間の任期について勝利を確実にした。彼の最初の4年間の任期が今月末に終わるのを前に、投票は日曜日に実施された。



出口調査の結果により、玉城氏が2人の候補者―岸田文雄政権の陣営が支持する佐喜眞淳氏と、別の野党が支持する下地幹郎氏―を破ったことが示された直後に、同氏と支持者が勝利を宣言し、「バンザイ」を唱和してこれを祝った。最終的な得票数は月曜日の午前に判明する見込みだ。



玉城氏の勝利は、沖縄と中央政府の間の緊張を深める可能性がある。



海兵隊普天間飛行場を島の人口密度の高い地区から人口の少ない地区に移す計画は、すでに何年も遅れている。沖縄県民はこれを移転でなく新設と呼び、普天間基地の閉鎖と島からの撤去を望んでいる。



「沖縄の未来のために米軍基地問題を解決する私の取り組みに揺らぎは無かった」と、玉城氏は述べた。今後も沖縄県民の意思を中央政府に伝える努力を続けて行くと、彼は述べた。



また、玉城氏は選挙期間中、沖縄経済の改善に更に取り組むと誓った。サンゴ・海洋生物・独自の文化で知られるこの亜熱帯の島の観光業は、パンデミックによって大きな打撃を受けた。



米国の重い存在や、日本本土とこの南の島々との間で米軍基地の負担を平準化する方法について、東京がワシントンと交渉する努力をしていないために、沖縄の憤りと苛立ちは深い。



第2次世界大戦で最も凄惨な戦闘の1つが行われた沖縄は、1972年に日本の統治に戻るまで米国の占領下にあった。現在、2国間の安保条約に基づき日本に基地を置く米軍部隊50,000人の大多数と米軍施設の70%が、日本国土の0.6%しか無い沖縄にいまなお存在する。



沖縄は米軍基地の所為で米軍関連の騒音・公害・事故・犯罪に苦しんでいると、玉城氏は述べた。



近年、日本政府は中国・北朝鮮・ロシアからの脅威の増大を根拠に、国土防衛の重心を日本の南西部・沖縄・県内の離島に移すと共に、今後5年から10年に亘る軍事力と軍事予算の著しい拡大を推し進めている。



沖縄の多くの人々は、台湾のような地政学的な紛争地域に近い離島における日本のミサイル防衛と水陸両用能力の配備の拡大を懸念している。台湾は自治の島だが、中国が自国のものと主張し必要ならば武力行使により併合すると脅迫している。沖縄の人々は、台湾をめぐる紛争に最初に巻き込まれることを恐れている。



普天間基地の移転計画は、1995年に沖縄の女子生徒が強姦され米軍軍人3人が有罪判決を受けた事件の後に進展した。この事件により米軍基地への地元の反対が再燃した。移転は、沖縄の抵抗や新基地の設置が予定されている辺野古地区の環境・建築上の問題により、何年も遅れている。











(Okinawan people's justified demand should no longer be ignored: Global Times editorial)

https://www.globaltimes.cn/page/202209/1275115.shtml





沖縄の人々の正当な要求はもはや無視されるべきで無い:環球時報社説





記者 環球時報





発表 2022 年9月13日 午前12:26・更新 2022年9月13 日 午前12:22








沖縄県玉城デニー現知事。写真:ICより。





日曜日の日本の沖縄県知事選挙で、無所属の現職知事・玉城デニー氏が自民党の支援する佐喜眞淳候補を破って再選を勝ち取った。普天間の米海兵隊飛行場(MCAS)の沖縄県内への移転に反対する玉城氏の立場と、米軍基地の規模を縮小するという彼の呼び掛けが、勝利の主な理由と広く考えられている。これは岸田文雄政権もジョー・バイデン政権も望んだ結果でないが、東京もワシントンも再選結果が反映する沖縄の世論から耳を塞ぐことを止めるべきだ。



日本にある米軍施設の70%以上が沖縄に集中していることは良く知られており、在日米軍による過去の残虐な行為が沖縄に過度な忍耐を強いている。普天間飛行場の移転計画は、1995年の沖縄での3人の米軍兵士による日本人女子生徒の強姦事件に端を発している。日本では、「治外法権」による保護の下で、米軍軍人たちによる強盗・強姦・殺人・麻薬販売など、彼らの関与する悪質な事件が多発している。COVID-19の世界的な大流行の発生後、米軍基地は制御不能な「感染源」になった。沖縄はずっと以前から同飛行場の県外移転を望んでいたが、東京は「左手にあるものを右手に与えよ」と言わんばかりに、これらの施設を県内に移転するよう沖縄に圧力を掛けた。



更に悪いことに、米国が中国封じ込め戦略の推進を加速し、日本もこの事態を悪化させ続けているため、これらの行動は台湾海峡の緊張を直接的に誘発・激化させた。こうした外的要因が相まって、沖縄は更に地政学的紛争の最前線まで押し遣られた。「安全保障の維持」の旗印の下、米国と日本は沖縄への兵器の配備を増強している。今年初め、日本の防衛省沖縄県石垣島に「驚くほど大規模な」ミサイル基地の建設を進めていることが発表された。今回の選挙の結果は沖縄からの強い抵抗のシグナルだ。沖縄の人々は、大国間の対立による「大砲の餌食」になることを望んでいない。彼らは沖縄が「平和の島」になることを望んでいる。



米軍が長年に及んで沖縄の人々に残した印象は非常に恐ろしいものであるため、有権者の大部分は東京が約束した約3,500億円(24億6000万ドル)の補助金という巨大な釣り餌に抵抗し、玉城氏に投票した。彼らは、米軍施設を沖縄県内で場所から場所へと移す行為を拒否している。そうではなく、沖縄県外への移設を彼らは望んでいる。東京の「アメとムチ」政策に直面する沖縄の人々は愚かで無い。玉城氏は以前、米軍に奪われた土地が県に返還されて他の用途に使われれば、沖縄は現在米軍基地から得ている額の3倍の収入を生み出せると述べた。



実は、これに気づいたのは沖縄県民だけで無い。先日、日米合同軍事演習が行われた九州・鹿児島県で抗議デモが起こった。デモでは人々が「軍事力では平和は作れない」と述べた。今日、米軍基地はますます困難な問題になりつつあり、誰もそれらを抱えたくないと思っている。「私の家の玄関先に来るな」というのが、日本・韓国・フィリピン・他の多くの場所の米軍施設に対する市民の一般的な態度だ。世界平和に対するワシントンの破壊性がますます目立って来るにつれて、米軍部隊の駐留はますます混乱・分裂・混沌の代名詞となっている。彼らの不人気は避けられない。



沖縄の人々の心を凍らせるのは、東京の姿勢だ。東京がワシントンに平服していることはよく知られている。東京は、ワシントンと交渉しこれらの問題を克服する意志や意欲を示さない。代わりに、沖縄の人々を盲目にし、圧力を掛け、誘惑し、欺くことに力を注いできた。沖縄の地方経済の発達水準は相対的に遅れており、一人当たりの県民所得は長い間日本で最低の水準にあった。豊富な観光資源があるにも係わらず、この点での潜在力は十分に活かされていない。現在、東京とワシントンの双方は沖縄を中国抑止のための軍事要塞にすることを目論んでいるが、これは沖縄の人々の幸福に完全に反する。



戦争はかつて沖縄に深い傷を残した。1945年の沖縄戦は第2次世界大戦の太平洋戦域における最も凄惨な戦闘で、この時に沖縄の人口の約4分の1が死亡した。このため沖縄の人々は特に平和を慈しみ戦争に反対している。彼らは繰り返し米軍基地に「ノー」と言ってきたが、それは人権を求める叫びであり平和を追い求める声だ。彼らは、東京の高位の政治エリートよりも思慮深く責任感がある。沖縄の正当な要求はもはや無視されるべきで無い。









(投稿者より)



上はAP通信が配信したVOAの記事です。米軍の機関紙・『星条旗新聞』にも同じ内容の記事が掲載されています。



下は環球時報に掲載された社説です。要はいつものプロパガンダですが、日本語では選挙の論評は出なかったようです。米国向けに書かれた記事かも知れません。あるいは、日本との経済関係を求めての配慮かも知れません。



私事ですが、先日、沖縄を訪問する機会を得ました。モノレールの駅から空を見上げると、米軍の戦闘機2機がビル群の真上を旋回していました。那覇では恐らく日常の光景でしょうが、本土では決して見られないものです。



首里城にも行きましたが、料金を取って工事現場を見せるという発想は本土には無いと思います。それでも、半ば焼け焦げた屋根装飾物の現物と火災前の写真が並んで置かれている有様は興味深いです。囲いはアクリルガラスを通して中が見えるようになっており、職人さんたちが足場を行ったり来たりしています。次回行くことがあれば工事は更に進んでいるでしょう。リピーターの1つの作り方を見た思いがしました。



バスの窓から家々を眺めると、いわゆる日本家屋とは明らかに違う外観です。壁や門の前には「石敢當」という石柱が立っています。ビルに据える「定礎」のプレートのようなものとも違うようで、要はおまじないの一種で中国・福建省の辺りから来た風習のようです。



博物館も見ました。数ある展示の中で、沖縄を中心として両端に薩摩と福建を置き、音と光で王国時代の交易の様子を示したものが特に興味を引きました。琉球にとって、日本と清国は等距離の存在だったようです。



今回の知事選ですが、元々保革伯仲の土地柄での保守分裂選挙です。更に今回は統一教会に絡む混乱もありましたから、玉城氏の当選は最初から見えていました。その所為でしょうか、知事が4年前の知事選で行った「日本政府から、アメリカから、沖縄を取り戻す」という発言について、文脈からその部分だけを切り離し、知事を攻撃する発言がSNSで目に付きました。批判者たちは、それが米軍の存在に対する沖縄の思いを述べたものであることや、玉城氏が日本「国」でなく日本「政府」を名指ししたことを無視しました。



玉城知事と中国の親密さについては前期の4年間ずっと騒がれ続けてきました。また、沖縄における中国の浸透工作が水面下で進んでいるという声もあるのですが、外から見た限りでは良く分かりません。特に中国語の看板が目立つようには見えなかったですし、本土の都会で偶にあるような携帯を手にした拼音の大声も聞かれませんでした。時節柄かも知れませんが、今は空港から中国行きの旅客機は1便も飛んでいません。福州園は定休日のために入れませんでしたが、その外側は普通の街並みです。



日本の広域自治体の中で、沖縄の位置付けは地理的にも歴史的にも特別なものですが、東京は沖縄に対する締め付けをまだ続けているようです。地域の地政学的現実から見ると、沖縄における防衛力の増強を続ける以外の選択肢は日本にはありません。だからこそ、沖縄が将来も日本に留まって欲しいのなら、東京の側に十分な配慮が必要なのは当然のことで、知事があちら側だから予算を削って捻じ伏せるべしという発想は、「あちら側に行け」という倒錯したメッセージを出すのと同じであることに早く気付いて頂きたいものです。



一方、沖縄も東京に対して自己主張をしたいのなら、相応の裏付けが欲しいです。喧嘩をするにはお金と力と知恵が要ります。愛知の工業地帯では多くの沖縄の若い方々が非正規雇用で底辺の作業を行っています。彼らが本土に出なくても、沖縄で働き豊かに暮らせるような確実で強固な産業基盤を作る必要があると思います。基地の返還を待たずとも、沖縄自身の力で沖縄経済を活性化する姿を見たいものです。



最後に、工事の安全を願いつつ、筆を置かせて頂きます。







※2022.9.19 コメントを一部修正しました。