「ウクライナ情勢をめぐり日本との和平交渉を拒否、ロシアにとっての島々の意味。」(RFI・France 24・Sputnik日本)

ウクライナ情勢をめぐり日本との和平交渉を拒否、ロシアにとっての島々の意味。」(RFI・France 24・Sputnik日本)











(La Russie abandonne les pourparlers de paix avec le Japon sur les îles Kouriles, Tokyo «proteste»: RFI)

https://www.rfi.fr/fr/asie-pacifique/20220322-la-russie-abandonne-les-pourparlers-de-paix-avec-le-japon-sur-les-kouriles-tokyo-proteste





ロシアは千島列島をめぐる日本との和平交渉を断念、東京は「抗議」







発表 2022年3月22日 07:39







千島列島(写真)をめぐる紛争のために、日本とロシアは公式にはいまなお戦争状態にある。 AP - Yoshiaki Sakamoto





RFI






3月22日火曜日、ウクライナの紛争についてロシアによるところの東京の「非友好的な立場」を理由に、2国間の平和条約の交渉を断念するというロシアの決定に対し、日本は「強く」抗議した。両国は、千島列島をめぐる紛争のために第2次世界大戦終結のための平和条約にいまなお署名していない。同列島は1945年にソビエト連邦により併合され、いまなお日本に返還されていない。日本は島々を自国領土の「不可分の一部」と考えている。





「今回の事態は(実際には)ロシアによるウクライナ侵攻の結果だ」と、岸田文雄・日本首相は東京の国会で語った。「この問題を日露関係に転移しようとする(ロシアの)試みは極めて不当であり、決して容認できない」と、彼は付け加えた。



この日本の指導者は、「武力により一方的に現状を変える」ロシアのウクライナにおける行動について同国を改めて非難しつつ、日本は「強く抗議」すると言い放った。



日本は数週間前から西側諸国に加わり、2月24日に始まったウクライナでの攻撃のためにモスクワに対して重い経済制裁を実施している。





公的にはモスクワと東京はいまなお戦争中



日本とロシアは何十年にも亘り複雑な関係が続いている。第2次世界大戦の後、両国は日本の北端に位置する千島列島の4つの小島をめぐる紛争のために平和条約に署名しなかった。



3月21日月曜日、ロシアは突然、「公然と非友好的な立場を取り、国益を損ねようとしている国と[…]話し合うことは不可能」として、日本との和平交渉を断念すると表明した。



また同国は、係争中の島々への日本国民の渡航を許可するビザの免除措置を終了すると共に、現地での両国の共同経済活動についての交渉から退くと表明した。



問題となっているこれらの火山島オホーツク海と太平洋の間に位置し、ロシアでは「南クリル」、日本では「北方領土」と呼ばれている。島々は1945年にソビエト軍に占拠され、その後ずっと東京に返還されていない。



東京は、2万人の人々が住むこの4島を「日本領土の不可欠な一部」と見なしている。





(参考 AFP)





►これも読む:千島列島、モスクワと東京の間での合意は不可能





日本 ロシア 第2次世界大戦 外交 係争中の領土











(Îles Kouriles : la guerre en Ukraine ravive les tensions entre le Japon et la Russie: France 24)

https://www.france24.com/fr/asie-pacifique/20220324-%C3%AEles-kouriles-la-guerre-en-ukraine-ravive-les-tensions-entre-le-japon-et-la-russie





千島列島:ウクライナの戦争は日本とロシアの間の緊張を再燃させている





発表 2022年3月24日 09:02







2016年12月20日、ロシアでは「南クリル」、日本では「北方領土」の名で知られる4島の1つ・クナシリ島の概観。© Yuri Maltse, Reuters





Lou ROMEO






ウクライナでの戦争を背景に、ロシアと日本の間の緊張が千島列島の中の4島に形となって表れた。東京にとっての「北方領土」、モスクワにとっての「南クリル」は、日本にとって象徴的な重要性を持っているが、ロシアにとってはアジア太平洋地域における戦略で大きな重要性を持つ。





1945年8月、日本の北端とロシアの都市ウラジオストクの近くとに跨がる風に打たれる地の果ての火山・千島列島のこの4島をロシアが併合したために、第2次世界大戦が終わってからこの両大国の間の平和条約が調印できていない。3月22日火曜日、日本がウクライナ侵攻を受けて西側諸国に追従して実施した制裁に対する報復措置として、モスクワはついに和平交渉の中止を表明した[投稿者の和訳



人口は僅かだが、魚・金属・石油が豊富なこれら4つの島は、戦略地政学上ロシアにとって非常に重要なことは確かだ。オホーツク海に位置するこの島々は、ロシアの軍艦と潜水艦にとっての太平洋に開かれた回廊であると共に、日本における米軍の存在に対する要害となっている。





地政学的緊張を示すもの」



「千島列島の状況は地政学的緊張を示すものだ。ユーラシアの大国・ロシアは、日本と米国を結ぶ強固な関係に直面して、太平洋の脇腹を守りたいと考えている」と、パリ政治学院と国際関係研究所の日本専門家、カロリーヌ・ポステル-ビネイ氏はフランス24の質問に答えて強調する。



この島々がロシアにとってどれだけ重要かを理解するには、日本の歴史を深く掘り下げる必要がある。第2次世界大戦の終結以降の日本の米軍基地は実に130ヵ所を数えると、国立科学研究センターの日本史研究者・アルノー・ナンタ氏は、フランス24の質問に答えて説明する。



第2次世界大戦の降伏と広島・長崎への原爆投下を受け、このアジアの国は厳格な自衛の枠外では軍隊を展開しないという絶対的平和主義の原則を1947年の憲法に明記した。それ以来、同国は事実上米国の保護下に置かれている。しかし、ドイツで発生したのと同様に、地政学的な文脈が反戦という日本のコンセンサスに「穴を開ける」かも知れないと、カロリーヌ・ポステル・ビネイ氏は分析する。



現職の岸田文雄・日本首相の姿勢は、前任者の姿勢とは確かに対照的なようだ。安倍晋三氏は、千島の問題を解決しつつロシアと中国の間の和解を阻もうとして、ロシア政府との誠実な会談を約20回行った。岸田文雄氏は西側諸国の制裁に同調し、ウクライナの状況を語るのに「侵略」という言葉を意図的に使うことで、日本で国際関係の分野における慣例の慎ましやかさを破っている。





読む:なぜ日本は帝国主義の過去における犯罪に向き合うことを嫌がるのか





しかし、カロリーヌ・ポステル-ビネイ氏によればこれは余り驚くべきことでない。「日本は米国との同盟に強く依存しており、本当のところロシアに対する西側諸国の立場に合わせる以外に選択肢はなかった」と、この研究者は指摘する。「そして、千島列島が日本にとって象徴的な重要性を持っていても、そのことが国民の中に関心を呼び起こすことは殆どない。」



研究者たちの話によると、そのため少数の国家主義者を除いて、日本で人口が僅か2万人のこれらの人の住まない島々のことを本当に気に掛けている人はいない。ましてや、島々の天然資源をめぐり日本とロシアの企業の間に存在していた取引上の関係は現在断たれている。





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太平洋におけるロシアの軍事展開の中心点



「千島列島が日本の施政下に戻ったとしても、そこで再び産業を興すには相当な―そして、殆ど非現実的な―努力が必要だ」と、アルノー・ナンタ氏は考える。「日本にとってこれらの島々の重要性は象徴的で感情的なものだが、ロシアにとっては特に極めて戦略的なものだ。なぜなら、そこは太平洋におけるロシアの軍事展開にとって非常に重要な地点となっているからだ。」



したがって、千島列島を取り戻しロシアを中国の影響から遠ざけるために、ロシアとの友好関係を確立しようとする安倍晋三氏の努力に成功の見込みは殆どなかった。





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「ロシアは2000年代半ばからアジア太平洋地域における存在感を高めようとしてきたが、それが2014年から更に活発になっている」と、戦略研究財団のロシア専門家イザベル・ファコン氏はフランス24の質問に答えて説明する。「それ以前のロシアの外交政策では、自国の勢力圏と見なされている諸隣国や西側との関係に重点が置かれた。そのため太平洋地域では展開があまりなかったが、リバランス政策では同地域における自国の立場を強化することを中心としており、千島列島はそこで重要な役割を果たしている。」



ロシア太平洋艦隊は全て、千島列島やロシア・サハリン島の近くに拠点を置いている。 さらに2020年、同国はロシア連邦領土の「割譲」を禁止する憲法の条項を可決した。「結局のところ、ウクライナ侵攻を正当化するためのNATOに対するモスクワの主張は、ロシア極東の前線で展開しているものと同じだ」と、アルノー・ナンタ氏は指摘する。「中国とロシアは太平洋の西半分に米国の基地を置かせたくない。また、クリルが日本の施政下に置かれた場合、その島々が米国の玄関口になるかも知れない。」











日本 ロシア 中国 軍事 太平洋 岸田文雄 安倍晋三 ウラジミール・プーチン ウクライナ











(Sputnik日本)

https://jp.sputniknews.com/20220323/10432678.html





「幻想を破壊し直球で言っただけ」露の日本専門家、日本との平和条約交渉拒否にコメント





2022年3月23日, 19:02







© Sputnik / Anton Denisov





タチヤナ フロニ





ロシア外務省は対ロシア制裁を行うという日本の非友好的な態度により、日本との平和条約締結交渉を拒否した。ロシアはまた、南クリルに日本人がビザなし訪問を行うことも中止すると発表した。





国家安全保障会議のドミトリー・メドべージェフ副議長は、クリル諸島の運命というコンテクストにおいて、この決定は「歴史的に、正当と認められた、機が熟した、公正なものだ」と考えている。メドベージェフ氏の定義によれば、クリル諸島をめぐる協議は常に「儀礼的な性格」を帯びていた。日本の岸田文雄首相は、ロシアのこのような外交を「断じて受け入れることはできない」として反対している。



スプートニクはこの問題についてロシアの日本研究者に取材した。彼らは、ロシア外務省の対応は予想される範囲のもので、もしかするとこれからの日露間の対話をむしろ「健全化」することになるかもしれないと予想している。なぜなら、二国間関係から幻想を振り払うことになるからだ。



モスクワ国際関係大学東洋学科長で歴史学者のドミトリー・ストレリツォフ教授は言う。





「ロシアと日本の立場が接近するようなことは長年に渡って全くなく、従って、日露関係の好転というのも期待されていなかった。このテーマに関する対話は、問題は解決することができるという理にかなわない期待のみを生み出した。ロシア外務省の声明は、これらの幻想を払拭するのに役立ち、結果として二国の関係はより現実的で明確なものになるだろう。交渉プロセスはこれまで何年も続いていたが、結果が出るようなものではなかった。これは苛立ちと、相互非難のもとになった。つまり、領土問題についての対話が意味をなさないことを認めるのは、かえって正直なことだ。」




ロシア科学アカデミー付属世界経済国際関係研究所アジア太平洋研究センター・日本政治経済グループ長のヴィタリー・シュヴィドコ氏は、2019年からロシアと日本の対話は純粋に形式的なものになったと指摘する。





「そして今、この形式的なものは、現実的な状態へと移行しつつある、つまり、ロシア外交と日本の外交が実際に有しているものを認識することだ。日本にとってこの知らせは意外なものではなかった。ただウクライナでの出来事が背中を押し、とうとうそのことを公式に認めるきっかけとなったのだ。」








ウクライナをめぐる情勢悪化

駐日ロシア大使、ウクライナでの特殊作戦の理由と目的について日本外務省に説明=露大使館

3月22日, 23:30






シュヴィドコ氏はまた、いくら岸田首相がロシア外務省の決定を受け入れ難いものだと言っても、岸田氏自身が、平和条約交渉と領土問題の前進は、少なくとも直近の数十年はあり得ないだろうとよくわかっている、と指摘する。





「日本のメディアを見ていて、個人的には、ロシア外務省の決定に対する特に感情的なリアクションを見つけなかった。このことは、ロシア側が現実の状況について『直球』で言及しただけ、ということを証明するものだ。今となっては双方の幻想というのは完膚なきまでに破壊された。新しい対話が可能なのは20〜30年後、すなわち、文字通り世代を超えてということになる。あるいは、起こるとすればだが、日本人の戦略的意識に変化が起こった時だろう。」




ロシアは外務省はまた、平和条約交渉中断の生命の中で、係争地域における共同経済活動に関する対話からの離脱も表明している。





オピニオン 政治







―参考―