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「原油放出は消費国からOPECへの象徴的なメッセージであり、価格抑制の効果はない:インタビュー」(Sputnik International・Sputnik日本)

原油放出は消費国からOPECへの象徴的なメッセージであり、価格抑制の効果はない:インタビュー」(Sputnik International・Sputnik日本)









(Bringing Out Some Barrels From Strategic Reserves Can't Quell Oil Prices: Expert: Sputnik International)

https://sputniknews.com/20211125/bringing-out-some-barrels-from-strategic-reserves-cant-quell-oil-prices-expert-1090989675.html







戦略備蓄の一部を持ち出しても石油価格の抑制は出来ない:専門家





2021年11月25日 11:34 GMT







© REUTERS / Richard Carson





リシケシュ・クマール





米国は中国・インド・日本・韓国に対し、戦略備蓄から原油を放出するための協調的な取り組みに加わるよう促している。30年ぶりの高いインフレに伴い、バイデン政権はこの動きがガス価格の低下に寄与するとともに、OPECにメッセージを送るものと考えている。





火曜日、ジョー・バイデン米大統領とインド政府は、石油価格の高騰を相殺する一助として、双方の戦略石油備蓄からの歴史的な放出を承認した。インドの石油・天然ガス省は、戦略石油備蓄から500万バレルの原油を放出することに合意した。





インドの石油・天然ガス省は声明を発表し、「今回の放出は、米国・中華人民共和国・日本・韓国など、他の世界の主要なエネルギー消費国と協議の上で同時に行われる」と述べた。




水曜日、日本も同様に国家備蓄から数十万キロリットルの石油を放出することに合意した。売却のタイミングは明らかにしていない。中国は目下、この提案に対する立場を曖昧にしている。





水曜日、趙立堅(Zhao Lijian)・外務省報道官は「中国は国家備蓄から[市場への]石油の放出を準備するとともに、国内の実際のニーズに従い市場の安定を維持するために他の必要な措置を取る」と述べた。




今回の協調放出により、推計で約7000万~8000万バレルの原油を追加的に市場に供給できる。



スプートニクは、ムンバイに本拠を置くシンクタンクゲートウェイ・ハウスのエネルギー・環境研究プログラムのフェローであるアミット・バンダリ氏と、今回のエネルギー価格安定のための協調的な呼びかけについて話した。





スプートニク:戦略備蓄から市場の原油の供給を増やすという突然の動きの背後にある主な原因は何ですか?これは米国のインフレ圧力だけによるものですか、それとも何か他に原因がありますか?



アミット・バンダリ氏:石油価格の高騰について何かを行うことを示したいという欲求があるのかも知れません。複数の政府による協調的な行動もまた、価格が不快なレベルに達したことを産油国に示しています。長い時間の枠で見ると、これは石油輸出国の為にならないと言いたいのです。



スプートニク:国家備蓄から石油を放出することは、問題の長期的な解決策になりますか?



アミット・バンダリ氏:石油の需要や供給に大きな変化があった場合にだけ、石油価格に長期的な影響の及ぶ可能性が出ます。タンクから石油をいくらか抜き出せば短期的な混乱の対応には役立ちますが、市場の需給バランスを根本的に変えることにはなりません。



スプートニク:産油地域の緊張に多様な原因があることを考えると、石油の価格を下げるために戦略備蓄を使うのは賢明でしょうか?



アミット・バンダリ氏:今回のケースでは石油の探査と生産への投資不足が貧弱な供給をもたらす原因なので、これへの対処としては私は賛成しません。石油備蓄の一部を取り崩しても、実際のところ市場は何も変わらないでしょう。米国の頁岩[シェール]から新しい石油が大量に産出されたため、石油価格は2014~15年に下落しました。2020年初めに価格が下落したのは需要が激減したためでした。今、この2つのどちらかが起こりそうでしょうか?それはないと思います。最良のシナリオはOPECが石油購入国からのシグナルに反応して生産を追加的に増やすことですが、これでも市場の力学は変わりません。現在のところ、主要産油国に対する大きな地政学的リスクは見られないのです。



スプートニクOPECOPECプラスが対抗戦略を取る可能性はありますか?



アミット・バンダリ氏:ないでしょう。石油販売国は自国の繁栄を石油購入国に依存しており、この依存は双方向的なものです。ほどほどの価格はOPECにとっても有益です。購入国にとって、シェールオイルや電気自動車といった代替物を探すインセンティブが減るからです。いずれにせよ、OPECは数十年の長い年月にわたってこの動きを調整してきました。今回のことは、せいぜい石油購入国が協調行動を取っている1つの例くらいのものです。







増産の呼びかけをOPECが無視するため、米国は燃料を更に手頃な価格にするための施策を検討している―米エネルギー長官

11月7日15:16 GMT






スプートニク:これは石油消費国の長期的な同盟の始まりですか?それとも、単なる一時的な措置ですか?



アミット・バンダリ氏:消費国の指導者たちが価格について何かをしていることを示すための政治的な動きに感じられます。今回の動きでは、それ以外のことはあまり読み取れません。



スプートニク:米中がエネルギー価格で協力した場合、両国の関係にはどのような影響が出ると考えますか?



アミット・バンダリ氏:大きな影響はないと考えます。最も価値の高い米国企業はエクソンモービルではなく、アップル・グーグル・フェイスブックであることを忘れてはいけません。同様に、最も価値の高い中国企業はシノペック中国石油化工集団]でもペトロチャイナ中国石油天然気でもなく、テンセント騰訊やアリババ[阿里巴巴]です。その差は小さいですが、石油産業は最大の業種でも最も影響力ある業種でもありません。石油についての象徴的な協力で知的財産権やデータ窃取をめぐる不信を十分に埋め合わせられると決めて掛かるのは、突飛な考えだと思います。





ジョー・バイデン インフレ 米国 ロシア 日本 中国 OPEC 原油 インド ビジネス インタビュー 石油価格











スプートニク日本)

https://jp.sputniknews.com/20211127/9625353.html





日本も国家備蓄の石油を放出 経済効果はどれほど続くのか





2021年11月27日, 22:00







© Depositphotos / CoffeeMate





原油価格が高騰する中、日本政府は米国の要請を受け、国家備蓄の石油を一部放出すると発表した。韓国、インド、英国、中国も同様の措置を講じることになっている。



これは世界の原油価格を引き下げることを狙いとして、石油の戦略備蓄の一部を放出するようアジアの主要な原油消費国に呼びかけたバイデン政権の1週間の協議の成果である。



スプートニク」はこれに関連し、アジアの同盟国に対する米国の予想外の要請が、必要に迫られた「絶望の末の方策」なのか、それともそこには原油市場における新たな米国の戦略が隠されているのか、専門家の意見を伺った。またこの「ゲーム」において、日本にはどのような役割が期待されるのか、どのようなリスクがあるのか、また逆に原油価格への影響を与える「切り札」を手にするチャンスがあるのかどうかお話を聞いた。



日本の石油の国家備蓄量はおよそ4億9,000万バレルとなっている。日本政府はこの中から年末までにおよそ420万バレル(およそ66万6,000キロリットル)を売却する。ロイター通信によれば、これは日本の国内需要1~2日分に相当する。





リスクはない



日本政府は、米国と歩調を合わせ、国家備蓄の石油放出を決めたと強調しているが、これについて、雑誌「エクスペルト(エキスパート)」の金融アナリスト、アンナ・コロリョワ氏は、国益を失うものでないことは明白だと指摘する。





「米国の放出量(5,000万バレル)に較べると、日本の放出量はわずかです。ですから、これについて懸念することは何もありません。日本政府は国家備蓄を輸入量の90日分程度(IEA基準)の量にすることを目標としています。しかし、9月末の時点で、日本はIEAの基準ベースで133日分を保有しています。つまり、日本はごく一部であれば、放出することができるのです」。




しかし、国家備蓄の石油を放出するというような方策で、原油価格に長期的な効果を与えることはできるのだろうか?





効果はわずか



アンナ・コロリョワ氏は、米国および一連の賛同国の国家備蓄放出という方策による効果は長くは続かないと指摘する。





「いかなる介入も(たとえそれが功を奏したとしても)短期的なものです。効果は1ヶ月も続かないでしょう。しかし、米国は国際協調と同盟国を引き込むということに賭けたのです。これは、彼らが(原油市場に)与えた『刺激』が、全体として、原油価格の引き下げにどのように影響が出るかについての分析です。しかし、この試みはまったく相反する結果を招く可能性もあります。というのも、基礎となる条件がなければ、この介入で持続的な効果は得られないからです。原油価格を低いまま維持するためには、国家備蓄を放出し続けなければなりません。しかし、定期的に備蓄を放出できるという国などないでしょう。またこうした市場への『刺激』は需要の増加を招き、低価格の原油を買おうとする動きが高まり、原油価格は再び上昇します」。




そして結果的に、国家備蓄を放出した分を補うため、また高騰した価格で原油を買うことになるとコロリョワ氏は締めくくっている。





心理効果



一方、投資会社「インスタント・インベスト」社の金融市場・マクロ経済分析部長であるアレクサンドル・チモフェーエフ氏は、今回の備蓄石油の放出は、OPECプラスの加盟国に対して、心理効果を発揮する可能性があると指摘している。





OPECプラスは、石油の採掘についても定期的に合意を結んでいます。しかし、原油価格の高騰は、達成された合意が石油の最大消費者の需要を必ずしも満たしていないことを示しています。ですから、米国は、産油国に対し、好ましくない状況になった場合、アジア諸国は団結してなんらかの措置を講ずる用意があるということをアピールしたいのです。つまり米国は石油の放出だけでなく、今後のOPECプラスとの協議において切り札になりうる心理効果に期待しているのです」。




米国はまた、中国をも引き入れながら、自身のイニシアチブに重要な意味を見出しているとチモフェーエフ氏は指摘する。





「米国が中国にも要請したのは、この意義をさらに高めるためです。原油価格の問題は中国にとってはそれほど深刻なものではありませんが、コロナ禍においては、エネルギー危機を実感しました。ですから中国にとっても、これは戦略的な措置となります。しかも、中国はすでに9月に、米国が要請する前に、観測気球を上げ、石油備蓄を放出しています」。




米国は、産油国に対する戦略的武器として、日本、韓国、インド、中国に国家備蓄を放出するよう要請した。これは、状況が、実際に日本の立場に左右されるという稀有な事態ではないかとチモフェーエフ氏は述べている。



日本がこうした状況の中、この「切り札」のために米国に歩調を合わせたという可能性もある。



ロイター通信は消息筋からの情報として、これはOPECに態度を改めるようシグナルを送ろうとする世界の主要消費国からの象徴的な意味があると伝えている。



しかし、米国と同盟国の戦略が長期的に世界的な成功をもたらすかどうかはまだ未知であり、その評価は今後、下されることになる。





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