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日本:『孤独担当相』が心の健康の危機に取り組む (DW English)

日本:『孤独担当相』が心の健康の危機に取り組む (DW English)









(Japan: 'Minister of loneliness' tackles mental health crisis: DW English)

https://www.dw.com/en/japan-minister-of-loneliness-tackles-mental-health-crisis/a-57311880





アジア





日本:『孤独担当相』が心の健康の危機に取り組む





社会的・経済的孤立の高まりにより日本の自殺率は上昇しており、働く女性とシングルマザーがこの危険に最も強く晒されている。新たに任命された「孤独担当相」はこの現象の緩和を計画している。







「単身世帯と『引きこもり』(社会的隠遁者)の数が急増している」





日本は、コロナウイルスパンデミックの期間中に悪化した、この国の孤独と孤立の危機と戦うことを特別の任務とする最初の閣僚の任命を歓迎した。



自殺者や引きこもり者が憂慮すべき数であることへの対応として、菅義偉首相は2月にこの職を新たに創設し、坂本哲志氏(71)を任命した。



日本では、高齢者・働く女性・パートタイム労働者・失業者の間で心の健康に悪化が見られるため、多くの医療専門家がこの動きを歓迎した。



しかし、坂本氏が抱える課題は膨大だ。



与党・自由民主党の古くからの党員であるこの新孤独担当相は、国は社会的孤立を緩和するための政策措置を導入すると述べた。



「孤独と孤立の本質をしっかりと理解し、その上で関連する各行政分野における政策措置を計画し、点検し、行動するシステムを確立することが不可欠だ」と、坂本氏は3月に新しい省の会議で述べた。





孤立者に社会復帰を



坂本氏は、既に孤立している人、孤独な人、社会から切り離される危険のある人を特定することが、正に最初の課題だと述べた。



イギリスなどの他の国々でも同様に、社会的に孤立した人々の復帰を促すことを任務とする高官を任命しているが、坂本氏は、日本もそれらの国々の経験から学びたいと述べた。



東京に本部を置くテル・ライフラインのディレクターであるヴィッキー・スコルジ氏は、この構想を「前向きな第一歩」だと称賛したが、行うべきことはまだ非常に多いと警告する。



「日本社会の一部の集団は、パンデミックの結果として他の集団よりも悪い影響を受けており、かなり多くの人々が孤立感を抱いている」と、彼女はDWに語った。





経済的苦境は心の健康に打撃を与える



日本では1年以上前にパンデミックが初めて発生して以来、全国規模や地域規模の非常事態宣言が度々発令された。政府は今後数日以内に、東京・大阪の国内2大都市に新たな非常事態を発表する見通しだ。



当局は、食堂・居酒屋には午後8時前の閉店を、映画館・カラオケバーには営業時間の短縮を、企業には従業員に対する在宅勤務の奨励を、それぞれ求めている。



何十万もの人々が休業させられたり、労働時間を短縮させられたり、単純に解雇されたりしている。また、学生はアルバイトの仕事を失い、大学の学費の支払いを心配していると報じられている。





女性が最も大きな打撃を受けている



収入面における困難のリスクが最も大きいのは、娯楽・旅行・宿泊の各業界のパートタイム労働者と女性だ。彼らは典型的なサービス部門の低賃金就労者だ。



スコルジ氏は、女性がパンデミックの影響により特に大きな打撃を受けていると述べた。



「女性の自殺者数が増加するのを見て特に心配している。彼女たちの多くはパートタイムの仕事を失ったために収入を失い、また、家庭での仕事の負担が増えたり、高齢者の親族を世話する必要が出たりすることが良くある」と、スコルジ氏は語った。



「特にシングルマザーがこれらの状況に上手に対処できないのを、私たちは見ている」と、彼女は付け加えた。



厚生省のデータによると、日本では2010年に31,600人の自殺者が報告されたが、この数字は2019年には20,169人に減少した。2020年にはこの数が11年ぶりに反転し、死者数は20,919人に達した。



スコルジ氏は、日本の国の医療制度は心の健康管理のために利用することが出来ず、「多様なレベルで困った人々のために、より良いリソースと支援が」必要だと述べた。



「少なくとも彼らは今問題に目を向けており、これが良い第一歩でなければならない」と、彼女は述べた。





『単なる受け狙いのお題目』



北海道文教大学・コミュニケーション論教授の渡部淳氏は、安定した雇用を得るために苦労している男性も社会的に疎外される危険があるが、日本ではこれは目新しいことでないと警告する。



「主に夥しい数の40代と50代の男性という『失われた世代』が存在する。彼らは経済が悪かったために学校を卒業した時に良い仕事を得ることが出来ず、それ以降はずっと家にいるだけだ」と、彼はDWに語った。



「単身世帯と『引きこもり』(社会的隠遁者)の数は長年に亘り急速に増え続けているが、政府はこれをずっと早くに認識すべきだった」と、彼は付け加えた。



渡部氏は、先ずパンデミックの期間中により多くの人々が孤立に負けるのを防ぎ、その後に彼らの社会復帰を促すために、より良い支援システムを導入する必要があると述べた。しかし彼には、新しい孤独省にこの目標を達成するための手段があるとの確信がない。

「困っている人々を本当に助けられるというのは、実際の経験や技能の殆ど伴わない、単なる受け狙いのお題目であることを私は心配している」と、渡部氏は言った。



「私たちは社会のネットワークと支援システムを作り直す必要がある。しかし、日本が社会における孤立と孤独の問題を抱えることは30年前に分かっていたのに、なぜその時に何もしなかったのか?」と、彼は言った。



「これは良い考えだ。しかし私は、これは来るのが遅すぎるし、大部分が効果的に実行できない曖昧な約束で成り立っていると感じている。」





発表 2021年4月23日

記者 ジュリアン・ライオール(東京)

関連テーマ アジア, 日本, コロナウイルス








―参考―

自殺と孤独死 坂本“孤独・孤立”担当大臣に課せられた課題(Sputnik日本)[2021.2.17]