★米中冷戦時代がはじまる〜日本は?(『ロシア政治経済ジャーナル』メルマガ):阿修羅♪

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       ロシア政治経済ジャーナル No.1486





               2017/1/10





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★米中冷戦時代がはじまる〜日本は?





全世界のRPE読者の皆さま、こんにちは!



北野です。





モスクワ、1月7日、8日の夜は、マイナス35度まで下がったそうです。



うう寒い。



前号と前々号で、「2017年世界はどうなる?」という話をしました。



「二つの時流があります」と。



一つ目は、「グローバリズムからナショナリズム」という時流。



これで、「イギリスのEU離脱」「トランプ勝利」が起こった。



もう一つは、「アメリカと中国は対決する」という時流。



オバマさんが作った流れが、トランプでもっと強くなっていく。



今回の話、前号、前々号を読んでいないとわかりづらいと思います。



まだの方は、まずこちらからご一読ください。





●EU崩壊?キリスト教が危機に?日本は?ド〜なる、2017年の世界

http://www.mag2.com/p/news/233444



●2017年はどうなる?2〜米中覇権争奪戦のはじまり

http://archives.mag2.com/0000012950/20170108000000000.html





しょっちゅう書いていますが。



1937年、日中戦争がはじまりました。



この時、中国は、アメリカ、イギリス、ソ連から支援を受けていた。



(初期は、ドイツからも支援を受けていた。)



つまり、日本は、アメリカ、イギリス、ソ連、中国の4大国と戦っていたのです。



こんなもん、勝てるはずがありません。



私は自虐史観の持ち主ではありませんが、米英ソ中を同時に敵にまわすのは、愚かだったと思います。



普通はどうするのでしょうか?





▼イギリスは、なぜドイツに勝てたのか?





たとえばイギリスとドイツの関係を見てみましょう。



イギリスが衰退したのは、「20世紀に入ってから」と思われがち。



しかし、実をいうと、イギリスは1890年時点で、ドイツにあらゆる面で負けつつありました。



劣勢のイギリスはどうしたのでしょうか?



「三大国と和解すること」で挽回したのです。



「三大国」とは、フランス、ロシア、アメリカのこと。



イギリスは当時、フランスと、アフリカ、インドシナで争っていた。



そして、ロシアとは、ペルシャ中央アジアで争っていた。



イギリスから独立したアメリカとは、当時全然「特別な関係」ではありませんでした。



1890年代〜1900年代はじめ、イギリスは、ドイツに対抗するため、フランス、ロシアと和解し、アメリカとの関係を改善させていきます。



結果、ドイツは1914年にはじまった第1次大戦で大敗しました。



イギリスは、ロシアとアメリカを味方をつけたので勝つことができた。



見事です。



1890年からドイツを仮想敵と定め、フランス、ロシア、アメリカを味方につけた。



その大局観、長期的視点、戦略性を、私たちも見倣うべきです。



今の日本にあてはまるなら、敵ドイツにあたるのは、明らかに中国でしょう。



なんといっても、「日本に、沖縄の領有権はない!」と宣言している。



イギリスがドイツと戦うために和解し、関係を強化しつづけたのは、アメリカ、ロシア、フランスでした。



今の日本にあてはめれば、アメリカ、インド、ロシアでしょうか。



日本はこれら大国との関係を、「一貫して」「長期にわたって」強化していかなければなりません。



問題が多い日ロ関係についても、少なくとも20年ぐらい先を考えるべきです。





▼アメリカは、なぜソ連に勝てたのか?





さて、イギリスは、第2次大戦でもドイツに勝利しました。



今回も、アメリカとロシア(当時ソ連)を味方につけて勝った。



面白いのは、アメリカとイギリスが、「資本主義打倒」「米英打倒」を「国是」とするソ連と和解してドイツと戦ったこと。



米英は、「戦争に勝つためなら、なんでもする」ことを示しています。



さて、第2次大戦が終わると、アメリカとソ連の「冷戦時代」がはじまります。



アメリカ、今度は2次大戦中敵だった、日本とドイツ(西ドイツ)を味方につけることにしました。



また「敵」と組んだのです。



日本とは「日米安保」が結ばれた。



日米安保」には二つの目的がありました。



まず第1に、ソ連の脅威から日本を守ること。



第2に、日本が再びアメリカに逆らわないようにすること。



2番目の理由で、「アメリカは日本を守るが、日本はアメリカを守らなくていい」という、「変な」軍事同盟になった。



日本がアメリカを守るためには、相応の軍事力をもつ必要がある。



日本に軍事力を持たせると、またアメリカに歯向かうかもしれない。





▼米ソ冷戦下で、空前の成長を遂げた日本経済





「冷戦」は、日本にとってどうだったのでしょうか?



二つの側面があります。



まず、ソ連という巨大な脅威がいる。

「核戦争で世界は破滅する」という恐怖が、いつでもありました。



ゴルバチョフが登場した80年代半ばまで、そうだった。



一方で、日本は1950年から1990年まで、40年に渡って世界が驚く経済成長をはたしました。



「日本に軍事力を持たせたくない」アメリカが、日本の安全を保証したので、日本は経済に専念できた。



「属国」なのはその通りなのですが、実際日本は、「冷戦でもっとも恩恵を受けた国」だったのです。



冷戦は、1991年末、ソ連の崩壊で終わりました。



日本経済の栄華も冷戦とほぼ同じ時期に終了。



以後、「暗黒時代」に突入していきます。





▼トランプは、どう動く?





こういう歴史を振り返ると、戦略国家アメリカは、





1、仮想敵を定める



2、仮想敵以外の国々と和解する





という、極めて普通のことを、極めて普通にやっていることがわかります。



オバマさんはこれを、8年の任期中6年間やっていませんでした。



というか、「敵」を「見誤った」のです。



GDP世界2位の中国ではなく、GDP世界12位(2015年)ロシアを「敵ナンバー1」と思ってしまった。



それで、ウクライナ、シリアでロシアと「代理戦争」をしてた。



米ロが戦っているうちに、中国はどんどん強力になってしまいました。



しかし、いつも書いているように2015年3月の「AIIB事件」以降、アメリカは変わりました。



ようやく中国を「最大の敵」と定め、動きはじめた。



トランプはどう動くのでしょうか?



「常識的な動き」をするに違いありません。



つまり、





1、中国を敵と定め



2、その他の国々との関係を改善していく





その他の国々の中で、最重要なのが日本です。



なんといっても日本は、GDP世界3位。



そして、親米国家でほとんど唯一「AIIB」参加を見送った。



安倍総理の「希望の同盟演説」は、「AIIB事件」で落ち込んでいたアメリカに力を与えました。



そして、二番目に重要なのがロシアです。



トランプが、「プーチンプーチン」「ロシア、ロシア」と繰り返している。



プーチンが、アメリカ大統領選の結果を操作した」といわれても、「別に、俺が勝ったからどっちでもいい」という感じ。



これは、トランプが「戦略的」に考えているから、そういう態度になるのです。



そして、トランプは、インド、ベトナム、フィリピンなどとの関係を、より強固にしていくことでしょう。



オバマさんが嫌悪しているフィリピン・ドゥテルテ大統領についても、「彼のやり方は正しい」といって、喜ばせています。





▼米ソ冷戦時代と米中冷戦時代の違い





トランプ新大統領で、米中冷戦時代がはじまる。



それで、アメリカは日本との関係をさら改善せざるを得ない。



だから、日米関係は良好になり、日本は楽になる。



こういう構図は米ソ冷戦時代と同じ。



しかし、米ソ冷戦時代と米中冷戦時代では、違うこともあります。



まず、経済。



米ソ冷戦時代、日本経済は、大繁栄しました。



しかし、米中冷戦時代に日本経済が、「大繁栄」することはなさそうです。



というのも、日本はすでに十分豊かな「成熟期国家」である。



「高度成長」するはずがありません。



もう一つは、ソ連と違って、中国は世界経済に統合されている。



ですから、今後ますます悪くなっていく中国経済の悪影響は、日本にも及ぶことでしょう。



そして、欧州経済にも暗雲が漂っているので、これも日本に影響します。



さらに、日本にとって、米ソ冷戦時代より米中冷戦時代の方が、「戦争の可能性」が大きい。



もちろん、「尖閣」のことです。



オバマさんは、ほとんどの期間「親中」でした。



しかし、2010年「尖閣中国漁船衝突事件」以降、一貫して「尖閣日米安保の適用範囲」と断言し、日本を守りました。



しかし、トランプは、どうリアクションするか発言していない。



ですから、中国は、「トランプがどう動くか見てみよう!」と考え、挑発を激化させることでしょう。



「うまくいけば、尖閣をとってしまおう」と考えながら。



そして、最後に、「アメリカの変化」があります。



つまり、米ソ冷戦時代のアメリカと今のアメリカを比べると、明らかに今のアメリカの方が弱くなっている。



トランプさんが、「日本、韓国、NATO加盟国、サウジアラビアにもっと金を払わせる!」



というと、支持率が上がるような国になっている。



日本は、こういう変化をしっかり認識し、日米安保をより「双務的」なものにしていく必要があります。



それをすることにより、日本はアメリカのお墨つきを得て、軍備を増強できる。



そして、「アメリカをもっと助ける」という名目で、「軍事的自立」に近づいていけるのです。



米中冷戦時代がはじまる。



日本にとって、中国の脅威は変わりません。



しかし、2015年3月までずっと「親中」だったオバマ時代より、ずいぶん楽になることでしょう。



もちろん、一瞬たりとも油断は禁物ですが・・・。





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発行者 北野 幸伯





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