★2017年はどうなる?1〜グローバル化からナショナリズムへ(『ロシア政治経済ジャーナル』メルマガ):阿修羅♪

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       ロシア政治経済ジャーナル No.1484





               2017/1/6





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★2017年はどうなる?1〜グローバル化からナショナリズム





全世界のRPE読者の皆さま、こんにちは!



北野です。



今回と次回で、「2017年はどうなるの?」という話をしましょう。



そんなことは、わかりません。



わかりませんが、「二つの時流」を理解することで、流れを把握することはできます。



今日は、「二つの時流」の一つ目についてお話します。



それは、「グローバリズムからナショナリズムへ」です。





グローバリズムの興隆





第2次大戦が終わってから1970年代末まで、西側世界では「ケインズ」が主流でした。



皆さんご存知のように、ケインズは、「財政支出を増やすことで、有効需要(消費と投資)を増やす」それで、「ケインズ=公共事業」というイメージになっています。



ルーズベルトのアメリカは、ケインズで成功した。



アメリカで成功したので、(西側)世界に広がったのです。



しかし、アメリカ経済は1970年代、ボロボロになっていた。



そこで、1981年大統領に就任したレーガンは、「新自由主義」に舵をきりました。



また、イギリス経済も1970年代ボロボロで、IMFから支援を受けていた。



1979年首相に就任したサッチャーさんも、同じく「新自由主義」的政策を断行しました。



レーガンサッチャーの政策に関しては、いろいろ議論があります。



しかし世界的には、「この二人で、ケインズは廃れ、新自由主義が主流になった」といわれています。



90年代になると、世界はさらに大きく変わります。



91年12月、ソ連が崩壊した。



これで「民主主義 対 共産党一党独裁」「資本主義経済 対 社会主義経済」という世界的対立構造が壊れた。



世界は「一つ」になり、「グローバル化」が進みました。



(当時、欧米エリートの「中国観」は、「資本主義と民主主義に移行している過程の国」だった。)



さらに90年代、「IT革命」が進展し、世界はますます一つになっていきます。





グローバリズムのダークサイド





グローバリズム」とは何でしょうか?



いろいろな意味で使われますが、私は、「人、物、金が自由に動き回れるようになること」という意味で使っています。



これを聞いて「いいじゃないか!?」と思う人も多いでしょう。



しかし、「ダークサイド」も明らかにあります。



たとえば、「お金の移動」が自由になった。



それで、世界の大企業、大富豪は、普通にオフショアを使っています。



パナマ文書」は記憶に新しいですね。



そして、大企業、大富豪は、「合法的に税金を払わなくていい」。



さらに「人の移動」が自由になったことで、貧しい国から豊かな国(たとえば欧米)に、人が大挙して移ってきている。



いわゆる「労働移民」です。



結果、労働市場に毎年大量の「労働力」が供給され、元から住んでいる人たちの給料が下がっていく。



大富豪はオフショアを利用し、税金を払わず、ますます豊かになっていく。



貧しい人、中産階級は、労働移民の大量流入で、ますます貧しくなっていく。



結果、現出したのは、非常にいびつな世界でした。



以下の記事、熟読してください。



CNN.co.jp2016年1月18日から。





オックスファムは今週スイスで開かれる世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)に向け、米経済誌フォーブスの長者番付やスイスの金融大手クレディ・スイスの資産動向データに基づく2015年版の年次報告書を発表した。



それによると、上位62人と下位半数に当たる36億人の資産は、どちらも計1兆7600億ドル(約206兆円)だった。






なんと、「超富豪62人の資産は、下から36億人分の資産と同じ」だそうです。





また、上位1%の富裕層が握る資産額は、残り99%の資産額を上回る水準にあるという。(同前)





上位1%の資産は、残り99%の資産額より多い!



そして、同報告書によると、格差はますます拡大しつづけています。
 




富裕層と貧困層の所得格差も拡大を続けている。



1日あたりの生活費が1・90ドル未満という極貧ライン以下の生活を送る下位20%の所得は1988年から2011年までほとんど動きがなかったのに対し、上位10%の所得は46%も増加した。
(同前)





世界には、1日当たり1.9ドル(1ドル100円換算で190円)、つまり月6000円以下で暮らしている人が、20%もいる。



世界の人口が73億人とすると、14億6000万人もいる。






・62人の超富豪と、貧しい36億人の資産は同じ。



・上位1% の資産は、残り99%を超える。



・貧富の差は、ますます拡大している。





このような世界の現状は、陰謀論者でなくても、「おかしい」と思うでしょう。





▼2015年、「難民危機」と「IS問題」が、世界を変えた





このように「グローバリズムへの不満」は、マグマのように溜まっていました。



アメリカで2011年に起こった「ウォール街を占拠せよ!」運動。



スローガンは、「俺たちは99%だ!」。



つまりアメリカでは、「トップ1%はますます豊かになっているが、残り99%は、ますます貧しくなっていると理解している人たちがいた。



そんな「グローバリズムへの不満」を爆発させる二つの出来事が、2015年に起こりました。



一つは、「欧州難民危機」です。



この年、内戦がつづいていたシリア、イラクアフガニスタンリビアなどから欧州への難民が殺到した。



ドイツだけでも、100万人を超える難民がやってきた。



このことは、元から欧州に住んでいた人に、二つの恐怖をあたえました。



一つ目は、政府は、大量難民に衣食住を与える。



しかし、その政府にお金を払うのは、俺たちだ。



つまり、大量難民を養うために、税金が跳ね上がるのではないか???



二つ目は、大量難民が就職すれば、俺たちの給料はますます下がるのではないか?



ひょっとしたら職を失うのではないか



さらに、欧州のみならずアメリカの民を恐怖させたこと。



それは、「ISテロ」が頻発したこと。



「難民の中に、ISメンバーがたくさん紛れ込んでいる」



つまり、EUは、難民を受け入れることで、ISメンバーも一緒に入れてしまった。



元から溜まっていたグローバリズムへの不満。



2015年の「大量難民問題」と「ISテロ問題」で、爆発寸前になっていました。





▼2016年に起こった、二つの歴史的大事件





そして2016年、世界では「二つの大事件」が起こりました。



一つは、イギリスの国民投票で「EU離脱派」が勝利したこと。(2016年6月23日)



移民問題が主因の一つ」と伝えられました。



そして、「反移民意識」を大いに強めたのが、「大量難民」と「IS問題」だったのです。



二つ目は、トランプがアメリカ大統領選で勝利したこと。



今回の選挙では、「反グローバル化」を主張する二人の有力候補がいました。



一人は、民主党でヒラリーと最後まで戦った社会主義者サンダーズさん。



もう一人は、トランプです。



一方ヒラリーは、90年代から「ファーストレディー」「上院議員」「国務長官」と、政権の中枢にいつづけた。



つまり、「グローバル化を推進した勢力」「エリートの味方」と思われていた。



さらに、リベラルで、ISテロに対して強い措置をとれそうにない。



そして、「メール問題」「クリントン財団」にまつわる様々な疑惑。



結局、勝利したのは、「アメリカ・ファースト」のナショナリスト・トランプでした。





▼2017年は、EU崩壊のはじまりか?





昔からの読者さんはご存知ですが、RPEは10年ぐらい前から、「EUは衰退期国家の集まり。崩壊に向かう運命」と書いてきました。



さらに、「難民危機」が起こる前に出版された「クリムリン・メソッド」には、「移民で、欧州キリスト教文明は滅びる」と書いてあります。



去年、イギリスのEU離脱が決まってことで、EUに大きな穴があきました。



なんといっても「EU内2位の経済大国」イギリスが、抜けるのですから。



問題は、今年も「EU崩壊のプロセスが進展するか?」です。



具体的なプロセスは、「選挙」を通して進みます。



欧州では2017年、どんな選挙があるのでしょうか?





3月、オランダ総選挙



4月、フランス大統領選挙





世界の関心は、ここに集まっています。



EU離脱の賛否を問う国民投票を実施せよ!」と主張する「国民戦線」のマリーヌ・ルペン党首が勝つ可能性がある。



もし彼女が勝てば、「フランスEU離脱」の可能性が高まります。



フランスは、ドイツと共にEUを作ってきた中心国。



この国が抜ければ、EUは事実上崩壊でしょう。





6月、フランス国民議会選挙



9月、ドイツ連邦議会選挙





難民問題で、メルケルさんと、「キリスト教民主同盟」(CDU)の支持率が下がっています。



この選挙で大敗すれば、メルケルさん失脚の可能性もあります。



とりあえず、注目したいのは、フランス大統領選挙ですね。



ルペンさんが勝つか、もちろん断言はできませんが。



グローバリズムからナショナリズムへ」



という現在の強力な「時流」を見ると、チャンスはありそうです。



彼女が勝てば、「EU解体」が現実味を帯び、ユーロは暴落することでしょう。



次号では、「もう一つの時流」を見ていきます。



こっちの時流は、日本国に大いに関わっています。



お楽しみに!





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発行者 北野 幸伯



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