日露関係:日本は失望する運命にあるのか?(DW English):阿修羅♪

日露関係:日本は失望する運命にあるのか?(DW English):阿修羅♪

http://www.asyura2.com/16/kokusai16/msg/300.html













(Japanese-Russian ties: Is Tokyo bound to be disappointed?: DW English)

http://www.dw.com/en/japanese-russian-ties-is-tokyo-bound-to-be-disappointed/a-36305478





アジア





日露関係:日本は失望する運命にあるのか?





日本とロシアはロシア極東地域での新しいインフラ・産業開発計画を推し進めているが、北海道沖の係争中の島々の返還に向けた日本の期待は絶たれるだろうとアナリストたちは考えている。











数週間前から、日露両国の閣僚たちが数々の経済協力事業について討議している。これらの事業は2国間関係を前進させ、相互の貿易・投資を促進すると双方は主張している。その一方で、両者に友好関係が新たに築かれれば平和条約の署名が可能だとの期待すら存在する。条約の署名により第2次世界大戦による両国の対立は正式に終わる。



日本の無条件降伏から70年を超える年月が経つが、両政府には南クリル諸島の主権をめぐる紛争のためにいまなお恒久的な平和条約がない。同諸島は北日本沖の人里離れた列島で、1945年8月にソビエト軍により占拠された。



安倍晋三首相は島々に対する日本の主権を取り戻すという真剣な外交の取り組みを始めており、また、友好関係・技術支援・経済支援の提案はウラジミール・プーチン大統領がそうするのはもっともだと納得させるのに十分だろうと期待しているのは明らかだ。



このロシアの指導者は12月に日本の指導者と首脳会談を行うために日本訪問を予定しており、この時に平和条約と主権の問題が議題になるのは避けられない。





不十分





しかし、プーチン氏が何を提案しても日本の期待には到底適わないだろうと当地のアナリストたちは考える。



「私の考えでは、ロシアは日本を担いでいる」と、テンプル大学日本校アジア研究学科ディレクターのジェフ・キングストン氏は語った。「プーチン氏はその島々を譲らないだろうが、ロシアは島々のうちの2島を返すという1956年に両政府間で討議された提案を見直す可能性をちらつかせており、それが日本の期待を高めている」と彼はDWに語った。



「しかし、プーチン氏にはいずれの提案も前に進めるつもりがないと私は考える。」



「日本は今のところ1956年の討論を認めていない。なぜなら、それはロシア・サハリン島に向かって北に延びる列島の一部である大きい方の島々への主張を諦めることになるからだ。さらに、安倍氏がその立場に戻ることは難しいだろうが、彼がこの問題についてプーチン氏と話し合う方法をいまなお見つけ出そうとしているのは明らかだ。なぜなら、特に、もし島々が返るとの確約が得られれば彼の人気は急上昇するからだ。」





ドンキホーテのような追求』





安倍氏は就任以来、ドンキホーテのような島々への追求もあって他のどの外国指導者よりもプーチン氏に会ってきた。また、ロシアが極東地域開発のために何を欲し何を必要としているかを日本側は非常に注意深く観察している」と、キングストン氏は語った。



今月に入って、両国のエネルギー・経済担当閣僚が数十件の特定事業を推進することで合意した。これには、ロシア極東の油田・ガス田の共同開発、風力発電、損壊した日本の福島原発廃炉の協力が含まれている。



他の事業では、ロシアの火力発電所から電気を送るために北海道からサハリンまでの宗谷海峡を横断する50kmを超える海底ケーブルの敷設を求めている。この事業の費用は57億ドルを上回ると推計されている。







プーチン氏は12月に日本を訪問する予定だ





また、日本は他の諸分野の国内企業−医療技術や観光など−に、ロシアでの事業を検討するよう呼びかけている。ただ、予測不可能なロシアの投資環境について懸念する企業側からある程度の抵抗があると伝えられている。



「ロシアが中国に過度に依存したくないのは明白だが、日本もまたロシアが中国の影響圏内に引きずり込まれるのを望んでいない。そのため、この点から経済協力と開発は相互の戦略的関心事だ」と、明治大学国際総合研究所の客員研究員・奥村準氏は語った。



「そして、これが北方領土の主権の問題と結びつくのは間違いないが、もっと広く見れば、地域の地政学的ゲームの一部だ」と、彼は付け加えた。





ロシアへの提案





そして、シリア・ウクライナ・クリミアの問題をめぐりロシアと米国・欧州双方との関係が緊張しているこの時に、日本にロシアに提案するのを米国が許したのはそのためだ。



しかし、ロシアの状況判断は多少異なるようだ。それというのも、ロシアのワレンチナ・マトヴィエンコ上院議長が11月4日に日本の都市・長崎への訪問を利用して米国にトゲのある言葉を投げかけた。



マトヴィエンコ氏は日本の招待主たちに、広島・長崎への原子爆弾投下は「全く不要」だったと語った。「米国は実験をしたかっただけだと私は思う。」







『ロシアは日米の間に楔を打ち込むためのどんな機会をも楽しんでいる』と、専門家のジェフ・キングストン氏は語る





キングストン氏は笑い、「ロシアは日米の間に楔を打ち込むためのどんな機会をも楽しんでおり、そして、本番はこれからだ」と語る。



さらに、安倍氏が島々の返還に成功する可能性については奥村氏も同様に悲観的だ。



「ロシアがやってもいいと考えているのは、良くても無人の2島の返還、平和条約の署名、そして、他の2島がまだテーブルの上にあると印象づけるために今後も日本に耳を傾けることまでだろう」と、彼は語った。「しかし、ロシアは実際にはそこまでしないだろう。」



このため安倍氏は難しい立場に置かれる。ロシアとのより良い関係を築く理由はいくつかあるだろうが、島々のことは彼の個人的な優先事項だ。彼は可能な限りの結果を得たと日本の一般国民を納得させることが出来るだろうか?さらに、1945年から日本が求め続けてきたことに対してそれでは不十分だと彼らはまだ考えるだろうか?







発表 2016年11月8日

記者 Julian Ryall (Tokyo)

関連テーマ 第2次世界大戦ウラジミール・プーチンアジア日本ロシア

キーワード アジア日本ロシア安倍晋三プーチン北海道島2国間関係第2次世界大戦