意見:フクシマから5年−『ドイツ人はクレージーだ』(DW English):阿修羅♪

意見:フクシマから5年−『ドイツ人はクレージーだ』(DW English):阿修羅♪

http://www.asyura2.com/16/genpatu45/msg/379.html











(Opinion: Fukushima 5 years on - 'The Germans are crazy': DW English)

http://www.dw.com/en/opinion-fukushima-5-years-on-the-germans-are-crazy/a-19109743





原子力





意見:フクシマから5年−『ドイツ人はクレージーだ』





フクシマから5年、いわゆる脱原発論争はドイツでは過去のものだ。外国のウォッチャーたちは驚愕と畏敬の入り交じった思いでこの動きに反応していると、イェンス・トゥーラウは語る。











先日、ベルリンでエネルギー転換について夜の討論会があった。キリスト教民主同盟(CDU)から環境相を務めた人物、ビジネス界の代表、環境保護活動家などが演説した。彼らは、風力発電の賛否・過剰な石炭火力発電・石炭火力発電により放出される温室効果ガスについて話し合った。



原子力の話題について言及されることは極めて稀だ。それがあった時でも、未来のために学ぶ目的で過去を持ち出すかのように聞こえる。今はもう原子力について話したい人は誰もいない。ドイツではまだ8ヵ所の原発が送電を続けている。かつてはほぼ20ヵ所あった。6年後にはこの最後の8ヵ所も閉鎖される。議会で論争になることはもうなく、一般国民が討論することももうない。ドイツの原子力計画の残りを解体までやり終えるために費用はどれだけかかるか。そして、それは誰が払わなければならないか、電力会社か、それとも、最後は納税者に請求書が回るのか?こうしたことを特別委員会が議論しているという事実は簡単に見逃せる。それは内部関係者たちがすべき議論だ。





連邦首相の決断





5年前は事態が全く違っていた。メルケル連邦首相が原子炉の運転期間を延長して間もなく福島の事故が発生したが、メルケル氏は目を見張るような政策転換を行い、ドイツは将来原子力の使用を止めると発表した。CDUに相談はなく、党内は多少静まったものの不満の声は今でも聞かれる。当時に戻ると、立場を鮮明にする時が来たと首相が感じた時とはどのようなものかをCDUは初めて味わった。今日では難民危機の事例がそうだ。







DWのイェンス・トゥーラウ





フクシマ以降、(それ以前に存在した)エネルギーの転換は加速した。ドイツは現在エネルギーの3分の1が再生可能エネルギー源に由来する。北部で生産した風力エネルギーを南部の工業地域に運ぶための国内を貫く送電網が建設中だ。風力・太陽光のエネルギー補助金のために電気料金は高騰し納税者は怒り狂っているが、この努力を脅かす程のものではない。悲観論者たちは需給ギャップの問題を時折口にするが、実際はエネルギー供給がこれほど安定している国はない。全ては上手くいっている。私たちにはそれが出来る。騒動もなければ、かつてのようなイデオロギーに依拠した非難もない。



外国では全く様相が異なる。多くの国々ではフクシマは主として自然による大災害だと考えられている。日本では短い中断の後で自ら求めて原子力に戻った。フランスや米国が原子力の廃止を真剣に考えることは決してなかった。原子力を使用していた全ての国の中でドイツだけがこうした思い切った行動を起こした。





ドイツ流の徹底したエネルギー転換





典型的なドイツ人の流儀として、不安や完璧さがこの事実において主な役割を果たしている。ドイツは日照時間が短いことで悪名高いが、他のどの国よりも太陽光エネルギーに投資をしている。去年の4月、「本気じゃないだろ?」とテキサスから来たエネルギー専門家が尋ねた。しかし同時に、そこには疑念の中にもほのかな称賛以上のものがあった。ドイツの環境政策の長老として一般に認められているクラウス・テプファー氏はこのように言う。たいていの外国のウォッチャーは「ドイツ人はクレージーだが、誰かがそれを動かせるとするならば、それはドイツ人だ」と言う。



そしてそのようにして、ドイツはエネルギー供給の再構築に励み続けている。たくさんの作業現場がある。膨大な資金が投資されている。2011・2012年には、その取り組みは月に人を送るようなものだと言われた。そんなことは今はもう誰も言わない。難民危機は新しい月ロケットだ。そうしている間にドイツは静かにエネルギー政策の先駆者となっている。原発解体にかかる費用を知ることに興味を持つ人々は、もうすぐそれを見い出せるだろう。エネルギーシステムの再建にかかる費用や、その過程で起きるあらゆる問題についても同様だ。ドイツが原子力に戻ることはない。フクシマがあって決めた−きっぱり訣別しようと。







発表 2016年3月10日

記者 イェンス・トゥーラウ

関連テーマ 日本福島, ドイツエネルギーヴェンデ(再生可能エネルギー源への転換)アンゲラ・メルケル

キーワード ドイツ福島日本エネルギー原子力メルケル








(参考)



Kommentar: "Die spinnen, die Deutschen" (DW Deutsche)(独文元記事)











福島の事故が、原発をめぐるドイツ国民の苦悩に再び火を付けた(DW-WORLD.DE) (関連投稿、2011.3.14)