フクシマ:放射能はコントロールされているか?(DW English):阿修羅♪

フクシマ:放射能はコントロールされているか?(DW English):阿修羅♪

http://www.asyura2.com/16/genpatu45/msg/365.html











(Fukushima: radioactivity under control?: DW English)

http://www.dw.com/en/fukushima-radioactivity-under-control/a-19111457





原子力





フクシマ:放射能はコントロールされているか?





5年前、世界で2番目に大きな原発事故が福島で始まった。3基の核のメルトダウンと4基の水素爆発により大量の放射能が放出された。今日、現地の安全状況はどうなっているか?











日本でのメルトダウンは多くの人々にとって想定外の出来事だった。「大事故の前、私たちの科学技術は非常に進んでいるので、日本では深刻な原発事故は起こり得ないと信じていた」と、当時の日本首相・菅直人氏はDWの独占インタビューで語った。「戦争で壊滅的に負けない限り、普通、このような途方もない損害は発生しない。」



しかし、原発事故はもっと悪くなっていたも知れない。原子炉1〜3号機の核のメルトダウンや原子炉1〜4号機の水素爆発に加え、原子炉4号機にも更に大きな放射能を放出しかねない危険な状態だった。



核燃料棒の貯蔵プールが原子炉の上方の階に位置していた。水素爆発と地震がプールの安定を脅かした。さらに、使用済み前の燃料棒が原子炉4号機に詰め込まれて冷却中だった。



プールが崩壊して冷却水が無くなりそのために燃料棒が発火した場合、放射能汚染は10倍大きくなっていただろう。



日本政府は半径250kmに亘る更に広い地域で避難を検討していた。東京首都圏全体がこれに含まれる。菅氏が語ったように、政府は5000万人を避難させる必要があったことになる。







福島の原子炉2・3号機の近くで213マイクロシーベルトが観測されたが、これはこの場所に短時間の訪問が可能であることを意味している





ヒロシマ580個分





大災害の後、この地域では−そして、その後に世界各地の他の場所で−放射能汚染が著しい。



ドイツ・エコインスティチュートの原子力安全部門を率いるクリスティアン・キッパーズ氏の計算によれば、福島の事故で放出された放射性セシウム137の量は、全体で広島に投下された原子爆弾1個に含まれていた量の約580倍だ。



核分裂生成物であるセシウム137の大部分は大気中に入り、その別の部分は直接海に行った。



セシウム137の半減期は約30年で、そして、それは塩であるために水溶性である。これが食物連鎖に入ると生体の組織内に蓄積されるようになる。キッパーズ氏によると、2015年の海洋放射能汚染の5%は福島の事故によって作られたものだ。



地上核実験は前世紀を通じて放射能汚染の最大の原因だ−これが86%に達する。キッパーズ氏の計算によると、チェルノブイリは大事故−歴史上最大の原子力事故−から30年経過したが、海洋のセシウム137の3%がこれに由来する。残りの6%が核燃料製造による放射性廃棄物によるものだ。







いまなお廃墟となっている原子炉3号機では、放射能は人体にとってまだ高すぎる





知識のない状態が続いている





エネルギー企業・東電によれば、発電所の区域は「安定している」。廃炉作業は「約10%」完了したと、東電の小野明所長は語った。



解体の完了には約30〜40年かかるだろうと小野氏は推算している。他の専門家たちの計算ではそれ以上かかる。グリーンピースの核物理学者ハインツ・シュミタル氏は、「この影響は数百年続くだろう」と語った。



プラス面について言えば、燃料棒を原子炉1基の中の貯蔵プールから移動させることに成功した−この作業は2014年に完了した。これが失敗していれば、フクシマで新たな原子力大災害が発生していたかも知れない。



専門家たちは、今後数年で他の原子炉3基で同じ手順を実行したいと考えている。中規模の強度の地震が発生すれば、貯蔵プールが損傷して更なる放射性物質の放出につながるかも知れない。



原子炉1〜3号機の内部にある溶融した核燃料と破壊された圧力容器は今後も主要な問題となる。人体にとって極めて高い放射能のためにフィールド制御は不可能となっており、ロボットの使用もまだ成功していない。



「そこで本当に起こっていることやその解決法は、今のところ誰にも分からない」とシュミタル氏はDWに語った。「現在に至るまで、原子炉から溶け出た燃料棒を回収する解決策はない。」



「このような大災害の対応について世界は知識を持っていない」とシュミタル氏は最後に言った。







放射性の水の貯蔵タンクが損傷した原子炉の前に置かれている





放射性の海洋水





約7,000人の東電従業員が原発区域で作業をしており、これに他の請負業者が加わっている。この5年間で瓦礫の大部分が撤去され、破壊された原子炉建屋の一部は安定し、新たなカバーが建設された。



水の放射能汚染がこれからも問題となる。毎日数百トンの地下水がこの区域を流れて通り、破壊された原子炉の基礎部分に入る。地下水はそこで東電が原子炉の熱を冷やすために使っている水と混ざる。



放射性物質の一部は水から分離されることになる−それでも、放射能が水から消えるわけではない。ただ、タンク内の800,000トン近くの水は貯蔵スペースが逼迫している。



東電の内部データによれば、同社は水の量を減らすために2015年9月から50トンを上回る放射能汚染水を投棄しており、将来は放出量を増やす計画だ。



汚染区域を通る地下水の流れを遅くするために、東電は氷の地下壁を建設するつもりでいる−しかし、これは1年前に完成しているはずだった。



現在、このエネルギー企業は政府が氷を作り始める許可を出すのを待っている。今のところ、1,500本の管が地中に挿入された。



氷の壁が汚染水の問題を解決するか否かはまだ不明確だ。この高価な処置の効果をめぐり論争がある。







汚染土が袋に貯蔵されている−袋が破れると汚染が拡散する可能性がある





学んだ教訓





地震津波が新たに発生すると福島原発にとって危険だと、小野氏は語った。日本でまだ作動している原子炉を事故から回避するために、国は新しい安全基準を実施しこの原発事故から教訓を学んだと、東電はDWのインタビューで強調した。



「停電・冷却機能停止や地震津波に対する重層的な安全・防護措置が取られるようになった」と、DWに宛てた東電の文書に述べられている。



菅直人・日本元首相は別の結論を出している。「この事故は私の認識を根本から変えた。私は今、原子力は最も危険な形態のエネルギーであると見ており、私たちが原子力発電を続けるには原子力に関連するリスクが大きすぎる。」



現存する発電所が事故を起こした場合、フクシマの10〜100倍もの大きな影響が出る可能性があると、専門家たちは警告する。



「いまなお作動している原子炉から大きなリスクが生じる」と、シュミタル氏は語った。欧州に現存する原子力施設で進行中の諸問題について「近い将来に深刻な事故が発生する可能性もある。」



「現在稼働中の原子炉全てに潜在的なリスクがまだ存在している」とシュミタル氏は最後に言った。







発表 2016年3月11日

記者 ゲロ・ルーター/ ibr

関連テーマ 日本海洋アジア, 福島

キーワード Fukushima日本アジア原子力汚染公害海洋







(参考)



Fukushima: Radioaktivität unter Kontrolle? (DW Deutsche)(独文元記事)