福島の魚は、原発事故による汚染をまだ受けている(BBC)

福島の魚は、原発事故による汚染をまだ受けている(BBC)






(Fukushima fish still contaminated from nuclear accident: BBC NEWS Science & Environment)

http://www.bbc.co.uk/news/science-environment-19980614





2012年10月25日最終更新18:36GMT



福島の魚は、原発事故による汚染をまだ受けている





記者 ジョナサン・アモス

BBCニュース・科学記者



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日本人は1人当たりの魚介類消費量が世界有数だ。





日本の東海岸沖で捕れた魚の放射能汚染レベルはまだ上昇していると、公的なデータは示している。



これは、第1発電所原子力事故から1年以上経った後も、汚染源であり続けていることを示している。



福島発電所の近くで捕れた魚の約40%が、日本の基準に従えば食用に向かないと見なされている。



尊敬を受けている米国の海洋化学者ケン・ブッセラー氏は、サイエンス誌の今週号でデータを再検証した



なかなか消えない放射能の出所は恐らく2カ所だと、同氏は語る。



「福島発電所の地下から海洋に汚染された地下水が漏れ続けており、また、沖に出てすぐの堆積物の中に汚染が既にある」と、同氏はBBCニュースに語った。



「これは長期に渡る課題で、今後数十年モニタリングが必要なことが、そこに示されている。」



ブッセラー教授は米国のウッズホール海洋研究所(WHOI)に所属している。



同教授は、日本の農林水産省(MAFF)が収集した1年分のデータを扱っている。



その月ごとの記録には、2011年3月の地震津波−フクシマの大事故の引き金となった2重災害−のすぐ後からの、魚類と他の海産物から見つかった、放射性セシウムに含まれる放射能の量が列挙されている。



このセシウム134・137同位体は、損壊した発電所に直接由来する放出物である可能性がある。



農水省は、福島を含む5県の沖合の漁場を開くべきか閉ざすべきかを判断するために、この情報を使っている(実際の魚の出荷ついて汚染を判断する材料ではない)。





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このデータは、漁場を開け閉めする時期を判断するために使われている





セシウムは通常、塩水魚の組織の中にあまり長期間留まることはない。一日あたり平均数パーセントずつ、海洋水に還流すると推測されている。そのため、こうした生物が汚染の上昇を示し続けているという事実は、汚染源がまだ完全に絶ち切られていないことを強く示唆している。



セシウムに含まれる放射能の量は、魚種や日によってかなり異なることがあるが、最大のセシウムの計測値を示し続けているのは、福島沖の海底に住む魚であると、ブッセラー氏は言及している。



このウッズホール海洋研究所の研究者にとって、これは、汚染されたセシウムが主に海底に蓄積していることを示している。



「私の見解では、底魚、カニや甲殻類の生き物を食べる魚、そういったものが微粒子の供給源となっているようだ−そういった魚は海底の棲息地の影響で、セシウム同位体の蓄積が進んでいるようだ。」



それでも、ブッセラー教授は日本の東北沿岸沖で捕れた魚のかなり大部分は、ヒトの食用に適していると強調する。



さらに、福島県での安全でない捕獲物が40%がという数値は不安に聞こえるかも知れないが、このおおざっぱな数字はいささか誤解を招くかも知れない、とも強調している。



今年4月、日本当局は市場に信頼感をさらに浸透させる試みとして、魚と魚加工品の放射能の濃縮について、許容上限値を湿重量1kgあたり500ベクレルから湿重量1kgあたり100ベクレルと厳格化した。



この上限値の厳格化により、実際の汚染計測値に変化がないにもかかわらず、それまで食用と見なされていたものが食用に不適と、すぐに分類し直された。



日本の上限値を国際基準と比較するのも価値あることだ。例えば米国では、上限値は湿重量1kgあたり1200ベクレルと設定されている−4月より前に日本で要求された値よりも、かなり緩い。



さらに、ブッセラー教授は、カリウム40など自然由来の放射性核種の一部が、放射性セシウムに含まれる放射能の量と同等か、むしろ多量に、魚の中に見られるとも指摘する。



それでもなお、日本国民は他の大部分の国よりも、1人当たりの魚の消費量がかなり多いので、この理由だけでも、この汚染の問題はこのアジアの国民には、取り上げるに足るものだ。



「一つのレベルでは、ここで驚くべきことは何もない。それでも、別のレベルでは、生物種や海域によっては、これは長期的な問題になるという事実に、人々は取り組む必要がある。さらにこのような結果として、いくつかの漁場については、いつまで閉めなければならないか、前もって言うことは難しい」と、このウッズホール海洋研究所の研究者は語った。



ブッセラー教授は日本の同僚とともに、11月12・13日、東京で科学シンポジウムを開催し、福島の事故とその海洋への影響について、最近の考えを発表する。その情報は、11月14日の自由討論会で一般に公表される予定だ。











(投稿者より)



BBCサイトに掲載された記事です。誤訳があるかも知れません。ご容赦下さい。



詳しく書かれてありますが、安全性をどう考えるかで、異論があるかも知れません。3月以前の検査を通過したものは、4月の基準で上限を超過していても回収されることはありませんでした。改訂前のものはそのまま有効とされたわけで、これを「二重基準」と批判するブログ記事をどこかで読みました。また、米国の基準と比較して「日本は緩い」と指摘する辺り、どう考えればいいでしょうか?



ただ、研究者や記者の見解はともかく、事実はきちんと述べてくれた記事ではあると思います。多様な意見を知っておかないと、いざというとき役に立たないということも時にはありますので、 読み方は皆様にお任せしたいと思います。



記事にあった、11月12・13日のシンポジウムと14日の講演会の情報です。

(ウッズホール海洋研究所サイトより)



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