「国債格下げは財政赤字の報い」(RFI・BBCの記事、S&P社のプレスリリースより):阿修羅♪









(Le Japon sanctionné pour ses déficits: RFI)

http://www.rfi.fr/asie-pacifique/20110127-le-japon-sanctionne-deficits





日本

記事発表:2011年1月27日木曜日

最終更新:2011年1月27日木曜日






日本は財政赤字の報いを受ける





RFI











2011年1月27日木曜日、金融格付け会社スタンダード・アンド・プアーズは、日本の長期国債について、アウトルックは安定的としながらも、格付けは2002年以降はじめてAAからAA-に引き下げた。同社は、人口の高齢化が加速することを考慮し、日本の財政赤字が今後数年にわたり増え続けるだろうと考えた。





RFI東京駐在記者フレデリック・シャルルの報告





短期的に心配すべきことはないとしても、金融版「ギリシャ悲劇」の幻影を追い出すことができないのは、菅直人首相自身が理解している。日本国債は、95%を日本国民が保有している。それでも、政府債務はすでに国民総生産の200%を超えており、日本経済の規模の2倍を超えているのだ。



高齢化が急速に進んでいるため、日本人はだんだんと貯蓄を切り崩し始めており、国が利用可能な資金は減少している。デフレ経済の中で、日本の政府債務はゼロに近い金利で資金が調達された。しかし、日本が海外市場を必要とせざるを得なくなった場合、債務の調達コストは非常に高くなるだろう。



菅直人首相は、ギリシャが体験しているような悲劇の可能性を防ごうとしている。菅氏は付加価値税の議論をしたがっている。付加価値税は消費に課せられる税で、5%が上限だ。債務を削減し、高齢化に対応する資金を手当てするには、日本は少なくとも付加価値税を3倍にし、今から2016年までに17%にしなければならない。しかし、菅直人首相にはそのような決断をする政治的な勇気がなく、スタンダード・アンド・プアーズ社も、それは分かっているのだ。











(Japan's credit rating downgraded by Standard & Poor's: BBC NEWS BUSINESS)

http://www.bbc.co.uk/news/business-12295158





2011年1月27日 最終更新11:29GMT





スタンダード・アンド・プアーズ社は日本の信用格付けを引き下げる







12月、米国向け自動車輸出が急増した





格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は、日本の信用格付けをAAからAA-に引き下げた。今回の措置について、日本の債務の状況が悪化していることに言及している。



同社の予想では、すでにGDPのほぼ2倍になっている日本の債務は、今後約15年増加を続けると、述べられている。



同社は、政府には、債務の問題に取り組むための「一貫した戦略に欠けている」と付け加えた。



それとは別に、日本の輸出の伸びが12月に加速したことが、統計で示された。



「今回の格下げは、評価対象となっている国々の間でもすでに最高の部類となっている、日本の政府債務比率が、以前の予想よりもさらに増加を続け、2020年代中頃に頂点に達するという、私たちの予測を反映している」と、S&P社は述べた。



同社の予測では、政府の財政赤字−年ごとの政府歳出が歳入を上回る額−は2010年度のGNP比9.1%から、2013年度に8.0%へと、「わずかに」減少する。



さらに、S&P社は日本の「持続的なデフレ」と「人口の急速な高齢化」に対する懸念を強めている。この2つは国が年金を支給する際に、重い負担となる。





輸出の増加





日本の輸出は前年同月を13%上回り、11月の 9.1%増加から向上したと、財務省は述べた。



日本車に対する北米での強い需要が輸出を押し上げた。



輸出は日本経済の鍵であり、アナリストたちは、12月の数値は日本経済回復に向けた吉兆であると語る。



11月は、9カ月ぶりに輸出の伸び率が前月を上回った。



円高の影響−輸出品の価格を高くする−もあり、2月から10月まで伸び率が低下し、日本経済の回復について不安が強まっていた。



しかし、最新の輸出に関する数値が寄与し、こうした怖れはいくらか和らいた。



中国への輸出は20.1%増加、一方、米国への輸出は16.5%増加した。



2010年全体では、輸出は24.4%増加し、年間ベースで3年ぶりに増加に転じた。



「12月に輸出が増えたことは重要だ−これは回復に向けた良い兆しだ」と、ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎主任研究員は語った。



「しばらく行き詰まりを見せていた日本経済が、前進を始めるという意味だ。今年の前半は、経済回復のペースがより速くなることが期待できる。」





物価の下落





日本銀行と政府は、日本経済の景気回復に真剣に取り組んできた。



日銀は、ゼロ付近にまで金利を引き下げ、また、需要を喚起するために、兆("trillion":投稿者注)単位の円資金を注入している。



政府もまた、雇用の創設によって成長を増大させることを意図した、いくつかの景気刺激策を導入している。



このような施策にもかかわらず、このような輸出額の増加によりかえって、日本経済が脆弱な体質を残したまま回復を続けるのではないかと心配する人たちはいる。



最も差し迫った心配は、ほぼ2年間下落を続ける消費者物価だ。



デフレは特に経済の成長を損ねる。消費者の需要を衰えさせるからだ。人々は商品を買う前に、価格がより安くなるのを待つようになるのだ。



さらに、7~9月期の日本経済は年率換算で4.5%拡大したが、この比較的強い成長は1回限りの要因によるものと、多くのエコノミストが考えている。



2010年10~12月期は成長が弱まるというのが、大方の予想だ。











スタンダード・アンド・プアーズ サイトより(抜粋))

http://www2.standardandpoors.com/portal/site/sp/jp/jp/page.article/1,0,0,0,1204864374577.html





日本のソブリン格付けを※「AA-」に格下げ、アウトルックは「安定的」





掲載日: Jan 27, 2011 16:51 JST

小川隆平、シンガポール(電話番号は省略:投稿者) 

エレーナ・オコロチェンコ、シンガポール (電話番号は省略:投稿者)






格下げ



新:※AA-

旧:※AA  外貨建て・自国通貨建て長期ソブリン格付け、長期優先債券(既発債)

アウトルック: 安定的 





据え置き



※A-1+  外貨建て・自国通貨建て短期ソブリン格付け、短期債券

*「※」付きは無登録格付け、詳細は本稿末尾の「S&Pの格付けについて」(省略。リンク先をご覧ください:投稿者)を参照。





* 日本の財政赤字が今後数年にわたって高止まりし、それに伴い財政の柔軟性がさらに低下するとS&Pは予想する。



* 長期ソブリン格付けを※「AA」から※「AA-」に引き下げ、短期ソブリン格付けは※「A-1+」に据え置き。



* 高水準の対外純資産と金融面での柔軟性が、財政問題に起因する格付けへの下方圧力を一部相殺するとの見方から、長期ソブリン格付けのアウトルックは「安定的」。






(2011年1月27日、東京=S&P)スタンダード&プアーズ・レーティングズ・サービシズ(以下「S&P」)は本日、日本の外貨建て・自国通貨建て長期ソブリン格付けを、※「AA」から※「AA-」に引き下げた。外貨建て・自国通貨建て短期ソブリン格付けは、※「A-1+」に据え置いた。長期ソブリン格付けのアウトルックは「安定的」である。長期優先債券格付けも※「AA」から※「AA-」に引き下げた。外国為替規制リスク評価(T&C評価)は引き続き「AAA」である。



格下げは、日本の政府債務比率がさらに悪化するとのS&Pの見方を反映している。日本の債務比率は既に格付け先ソブリンの中で最も高いレンジにあるが、さらに、S&Pが世界的な景気後退以前に予想していた水準を上回る水準まで上昇し、2020年代半ばまで下降に転じないとみている。なかでも、一般政府財政赤字の対国内総生産GDP)比率は2010年度の概算値である9.1%から、2013年度には8.0%へと若干の低下にとどまると予想している。中期的には、大規模な財政再建策が実施されない限り、2020年より前に基礎的財政収支プライマリーバランス)の均衡は達成できないと予測している。



長引くデフレも日本の債務問題をさらに深刻化させている。物価の下落は、1992年以降の日本のGDPの推移と一致しており、名目ベースで経済規模が同年以降変わっていないことを意味する。加えて、急速な高齢化が日本の財政・経済見通しを悪化させている。社会保障関連費は国の2011年予算案の 31%を占めており、2004年度の社会保障制度改革を上回る規模の改革を実施しなければ、この比率は上昇する見通しである。生産年齢人口の高齢化と減少を踏まえ、S&Pでは日本の中期的な成長率を約1%と予測している。



民主党率いる連立与党が参議院選挙で過半数議席を確保できなかったこともあり、民主党政権には債務問題に対する一貫した戦略が欠けていると S&Pは考えている。また、政府は2011年に社会保障制度と消費税率を含む税制の見直しを行うとしているが、これにより政府の支払い能力が大幅に改善する可能性は低いとS&Pは考えている。国債発行額の承認を含めた、2011年度予算案と関連法案が国会の承認を得られない可能性さえあるとS&Pはみている。したがって、国内には引き続き国債に対する強い需要があり、それに対応して超低金利環境が続いているものの、日本の財政の柔軟性はさらに低下するとS&Pは予想している。



とはいえ、日本のソブリン格付けは、高水準の対外純資産残高と比較的強固な金融システム、多様化された経済により「AA-」の水準で下支えされている。加えて、日本円は世界の主要準備通貨である。



日本の2010年末の対外純資産残高は、概算で経常取引受取額の254%と世界最大である。また、外貨・金の準備高は1兆ドルを超え、中国に次いで世界第2位である。加えて、金融部門と、企業部門と家計部門をあわせた非金融民間部門も対外純債権者である。経常黒字が続いていることから、対外純資産は今後数年さらに増加するとS&Pはみている。



厳しい財政状況と経済成長見通しの弱さを、高水準の対外純資産と円の国際通貨としての役割によってもたらされる柔軟性に照らし合わせて考慮し、アウトルックは「安定的」とした。2000年代前半のように政府が財政再建と成長見通しの改善に向けた施策を実行できれば、格上げを検討する。一方、 S&Pが日本の財政見通しを再び引き下げた場合には、格付けへの下方圧力が再度強まるだろう。



(以下省略)











(投稿者より)



S&P社が、日本の長期国債の格付けを引き下げたことを伝える、フランスRFIとイギリスBBCの記事、そして、格付けを引き下げたスタンダード・アンド・プアーズ社のプレスリリースです。誤訳があるかも知れません。ご容赦ください。



日本経済は、膨大な個人貯蓄に支えられ、短期的には安定。一方、増大する政府債務、持続するデフレ、加速する高齢化の影響で、長期的には悲観的。それらに対して政府は無策です。



S&P社の判断は、アウトルックは安定的、短期国債は格付け据え置き、長期国債は1ランク格下げと、日本経済の状況をそのまま反映させています。



「2000年代前半のように政府が財政再建と成長見通しの改善に向けた施策を実行できれば、格上げを検討する。一方、 S&Pが日本の財政見通しを再び引き下げた場合には、格付けへの下方圧力が再度強まるだろう。」これも、日本の財政見通しに対する一般的な評価そのものです。



格下げについて、メディアは大騒ぎしていましたが、市場の反応はほとんどなかったようです。発表日である1月27日の日経平均終値は1万478円66銭で、前日比76円76銭高で引けています。全ては、すでに織り込まれていたのでしょう。



BBCが輸出の増加について言及した部分は、格付け発表の日と同日に発表された、財務省貿易統計(速報)の解説です。



引用した記事からは、欧州諸国並みの消費税率を求める見方や、輸出依存からの脱却が必要とする見方などが示されています。



以下は個人的な考えですが、民主党政権が2009年8月の総選挙での国民との約束であるマニフェストを地道に実行していれば、今回の格下げはなかったと思います。



総予算の組み替えによる成長路線への転換と、その結果としてもたらされる政府債務の削減は、来るべき「国民の生活が第一」政権に期待することにして、いまは、現執行部であるクーデター勢力が自滅するのを待つのが得策かも知れません。