「2023年1月、岸田氏による欧米歴訪の背景と意味」(DW English・VOA・RFI English)

「2023年1月、岸田氏による欧米歴訪の背景と意味」(DW English・VOARFI English)









(Why Japan's Kishida wants stronger military ties with the US: DW English)

https://www.dw.com/en/why-japans-kishida-wants-stronger-military-ties-with-the-us/a-64375713











政治|日本





日本の岸田氏が米国との軍事関係強化を望む理由





マーティン・フリッツ(東京)





2023年1月13日






日本の首相は安全保障関係について話し合うために米国を訪問している。これに先立ち日本政府は先頃、中国の抑止を目的とした「反撃」能力を含む、数十億ドル規模の大規模な軍事力増強を発表した。





日本の岸田文雄首相は金曜日にホワイトハウスジョー・バイデン米大統領と会談しているが、その僅か数週間前に東京は防衛戦略を見直し、戦後の自制的な姿勢を脱して中国を視野に入れて更に攻撃的な役割を引き受けることにした。



米国と日本は現在、軍事大国としての中国の台頭によってもたらされたアジアの地政学・安全保障環境の変化に対応して、軍事・経済・技術の面で協力を強めている



岸田首相は先週、首相として初めての訪米を「非常に意義深い」と述べた。



「私たちは更に強力な日米同盟を世界に示して行く。これは日本の安全保障と外交の要だ。また、私たちは『自由で開かれたインド太平洋』の実現に向けて一層の協力を示して行く」と、岸田氏は述べた。



ホワイトハウスが先週に発表した声明によると、バイデン氏と岸田氏は気候変動や重要技術から北朝鮮の武器計画・ウクライナでの戦争・台湾海峡の安定に至るまで、地域および世界の多様な問題についての協力拡大について話し合う。





中国は「最大の挑戦」を投げ掛ける



両首脳が金曜日に会談に臨む際、日本の防衛と安全保障政策は重要な議題となるだろう。



先日、岸田政権は今後5年間に3,200億ドル(2,950億ユーロ)の大規模な軍事力増強を発表した。日本はこれにより中国攻撃の可能なミサイルで武装し、地域の緊張が高まる中で持続的な紛争に備えることが出来るようになる。



また、東京は脅威を抑止するために、予備部品やその他の軍需品を備蓄することや、兵站の強化、サイバー戦能力の開発、米国や他の志を同じくする国々との協力の更なる緊密化を行うと述べた。



「中国が投げ掛ける戦略的挑戦は、日本がこれまでに直面した最大のものだ」と、日本は先月に発表された国家安全保障に関する文書で述べた。











岸田氏は、防衛費を今後5年間で国内総生産の約2%に引き上げ防衛省による支出の割合を全政府支出の約10分の1にまで引き上げる計画だ。現在の予算に基づくと、日本の軍事支出は米国と中国に次いで世界第3 位になる。



ベルリンに本拠を置くシンクタンクドイツ国際安全保障研究所の日本専門家アレクサンドラ・サカキ氏は、「これまで日本は盾、つまり防御側の役割を担い、米国は攻撃能力に責任を持つ剣の役割を果たしてきた」と述べた。



「日本が今から攻撃能力を獲得した場合この責任分担は明確さを失うため、ここに新たな役割分担の仕方を明確化する必要がある」と、彼女は述べた。





日本は『平和主義』から脱却する



これらの戦略変更は、日本が平和主義憲法によって課された諸制約から脱却し、更に強力な軍事大国に成ろうとする長年の歩みの中で最新かつ最大のものだ。



昨年7月に暗殺された岸田氏の前任者・安倍晋三氏はこの動きについて、日本を「普通の」大国にする方法と見ていた。岸田氏は安倍氏外務大臣を4年以上務め、その政策の実行を助けた。



ロシアのウクライナ侵攻とインド太平洋地域における中国の力の誇示は、日本の速やかな軍事力整備の必要性について多くの日本の有権者に確信すら持たせたようだ。この可能性は以前には考えられなかった。最近のいくつかの調査では、日本人の半数以上が何らかの形の軍事力増強を支持していることが示されている。



米国は長い間、日本が戦後時代の伝統的な平和主義から脱却し、更に大きな軍事的役割を果たすことを望んでいた。



ワシントンは、この地域における中国の影響力の増大に対抗すると共に、南シナ海東シナ海台湾海峡における北京の拡張主義的な動きを押し戻すために、日本が力を強め能力を増すことが必要だと考えている。



仙台白百合女子大学・国際関係学講師のセバスティャン・マスロー氏は、「現在の状況を踏まえると、バイデン大統領は岸田氏との会談で日本の新しい防衛目標、特に開発と実施において米国の協力を必要とする反撃能力への支持を明言するだろう」と述べた。







両首脳が金曜日に会談する際、日本の防衛と安全保障政策が重要な議題となるだろう

Japanese PM Press Office/UPI Photo/Newscom/picture alliance






全面的な協力の促進



先週、岸田氏とバイデン氏の首脳会談の地均しとして、両国の防衛相と外相が参加する閣僚会議が開かれた。



諸閣僚は、潜在的な安全保障上の脅威によりよく対応するために、軍事パートナー関係を促進すると共に在日米軍の存在を強化することに合意した。



報道によれば、彼らは沖縄に駐留する米海兵隊部隊の1つを格上げして高度な情報・監視能力を装備させることも決めた。また、軍事監視活動に不可欠な衛星を保護するために、安全保障同盟を宇宙に拡大することにも双方は合意した。



金曜日、西村康稔・日本経済相とアレハンドロ・マヨルカス米国土安全保障長官は、両国の公的機関が使用するソフトウェアに同じセキュリティ基準が適用されるようにするためのサイバーセキュリティ協定に署名する予定だ。



これに先立ち木曜日、西村氏とジーナ・ライモンド米商務長官は半導体人工知能・バイオテクノロジーなど、「極めて重要な」技術に関する協力の拡大に合意した。



また、日米両国は次世代原子力発電所の開発における協力の機会を検討することにも合意した。





この記事は最初にドイツ語で書かれた。





訂正、2023年1月13日:この記事の以前の版では、アレハンドロ・マヨルカス米国国土安全保障長官の名前の綴りが間違っていました。 DWはこの間違いをお詫びします。








関連テーマ ホワイトハウス 米国の2020年選挙 アジア 日本







―参考―





















(https://www.voanews.com/a/biden-kishida-summit-focuses-on-countering-china-russia/6917113.html: VOA)

https://www.voanews.com/a/biden-kishida-summit-focuses-on-countering-china-russia/6917113.html





東アジア

East Asia





バイデン氏、日本の軍事費増額で岸田氏を称賛する





2023年1月13日 10:00 AM





更新 2023 年1月13日 6:14 PM






パッツィ・ウィダクスワラ











ホワイトハウス



ジョー・バイデン米大統領は金曜日、岸田文雄首相が日本の軍事費を増額し防衛態勢を抜本的に変えたことを称賛すると共に、これを背景に集団安全保障を強化するという両国の決定の背後にある理由として、中国・北朝鮮・ロシアの脅威を挙げた。



バイデン氏はホワイトハウスでの会談で岸田氏にこのことを伝えた。会談では、米日の戦略的同盟関係の深化と、主に中国からの地域安全保障の脅威とロシアのウクライナ侵攻の中で東京の脆弱感の増大が強調された。



バイデン氏は「米国は十分に、徹底的に、完全に同盟の責務を、そして更に重要なことだが、日本を防衛する責務を果たしている」と述べた。







2023年1月13日、ワシントンのホワイトハウスの大統領執務室で、ジョー・バイデン米国大統領が日本の岸田文雄首相と会談する。





ホワイトハウスが発表した共同声明の中で、両首脳は「中国によるルールに基づく国際秩序に反する行動」と「北朝鮮による挑発」をインド太平洋で直面する課題の原因として挙げると共に、ロシアによる「ウクライナに対する不当で残酷な侵略戦争」に言及した。



声明では、「私たちは世界のどこであれ、武力や威圧により現状を一方的に変えようとする試みに強く反対する」と述べられた。「纏めると、このような状況は米国と日本に個別や集団の能力を強化し続けることを求めている」と、述べられた。







ファイル―2023年1月11日、日本の浜田靖一防衛相と林芳正外相、米国のアントニー・ブリンケン国務長官と米国のロイド・オースティン国防長官が、ワシントン・国務省での記者会見で話している。





防衛態勢の変化



バイデン・岸田首脳会談に先立ち、米国のアントニー・ブリンケン国務長官とロイド・オースティン国防長官は、日本の林芳正外相と浜田靖一防衛相とともに、防衛態勢、軍事訓練の取り決め、指揮関係における一連の変更に着手した。これには、沖縄を拠点とする米海兵隊部隊の再編計画が含まれる。



水曜日にワシントンで発表されたこの変更は、中国の台湾攻撃や北朝鮮の核攻撃が発生した場合にインド太平洋で戦争が起こる可能性について、両同盟国が更に真剣に受け止めていることを示した。12月に発表された日本の新しい国家安全保障戦略では、「将来にインド太平洋地域、特に東アジアで深刻な事態が発生する可能性がある」と警告し、日本が中国本土の目標に到達可能な長距離「反撃」能力を持つことを呼び掛けている。



「日本と米国は現在、最近の歴史の中で最も挑戦的で複雑な安全保障環境に直面している」と岸田氏は通訳を通じて語り、また、彼は自国の国家安全保障戦略について「地域の平和と繁栄を確保する」と述べ、これを持ち上げた。



また、岸田政権は2027年までに日本の防衛予算を国内総生産のほぼ2%に倍増する計画だ。日本はこれにより軍事費において世界の上位5ヵ国に入るだろう。



この動きはホワイトハウスの祝福を受けたと、カリーヌ・ジャン=ピエール報道官は水曜日の定例記者会見で述べ、日本の国家安全保障戦略と防衛強化の取り組みは、「インド太平洋と世界の平和と安定を前に進めるための地域の抑止力を強化するだろう」と強調した。







2023年1月13日、岸田文雄・日本首相がジョン・バイデン米大統領と共にホワイトハウスの柱廊を歩く。





日本政府は南シナ海・台湾周辺海域・東シナ海―特に日本・中国・台湾が領有権を主張する尖閣諸島周辺―における中国の軍事活動の活発化に対応して、過去10年間で徐々に防衛能力を強化してきたが、ひと月も経たない以前に行われたその発表には多くのウォッチャーたちが驚いた。



世界的な政策研究団体ランド・コーポレーションで日本と東アジアの安全保障を専門とする上級政治学者のジェフリー・ホーナン氏は、「これほど早く起こるとは誰も考えていなかった」と述べた。「タカ派の防衛論者とは全然違うと知られるこの首相の下でそれが起こるとは誰も考えていなかった。それでも、彼は、誰も想像していなかった方法で日本の戦後の防衛政策を根本から転換しつつある」と、ホーナン氏はVOAに語った。



岸田氏は現在、閣僚をめぐる様々な不祥事により国内での支持率の低さに直面している。





ウクライナでの戦争が日本を震わせている



台湾に対する中国の攻撃はまだ仮説に過ぎないが、ロシアのウクライナに対する戦争により、日本の一般国民は或る国が別の国を侵略する可能性に目覚めた。中国が昨年のナンシー・ペロシ下院議長(当時)の台湾訪問への反応として、台湾周辺に軍艦と戦闘機を派遣すると共に弾道ミサイルを発射したことと相俟って、この戦争は人々を怖がらせたと、アメリカンエンタープライズ研究所で米国のアジア戦略を中心に研究するザック・クーパー上級フェローは述べた。







ファイル―2022年9月16日、ウラジミール・プーチン露大統領 (左) はウズベキスタンサマルカンドで開かれた上海協力機構サミットで、中国の習近平国家主席に身振りを交えながら話し掛けている。





「(中国国家主席習近平氏と(ロシア大統領)ウラジーミル・プーチン氏によるこれらの2つの行動は、特に1人の指導者が運営の大部分を担うこれらの独裁国家の取る行動は余り信頼できないとの確信を東京の多くの人々に与えた」と、クーパー氏はVOAに語った。「そのため、日本は以前に決めていたよりもずっと積極的に向上する必要がある。」



台湾に対する中国の攻撃が発生した場合には、東京は自衛能力の強化と日本で行動する推定50,000人の米軍部隊支援を模索している。これは、中国との紛争において起こり得る米国による台北防衛の動きに役立つだろう。



「侵略を押し返すための如何なる試みを行うにしても、私たちには非常に強い日本が必要だ」と、ホーナン氏は述べた。





責任はロシアに在る



日本が米国主導の取り組みである、モスクワへの制裁とウクライナへの財政支援・人道支援・非致死的な軍事支援の提供を支持したことは、韓国・豪州・シンガポールを含む他の非NATOパートナー国の支持を固めるのに役立った。



「もし日本がこれをしなかったなら、他の国々はもっと躊躇っていただろう。つまり、主要な民主主義諸国からの世界的な対応というより、ロシアのウクライナ侵攻に対する大西洋の対岸からの対応として見られていただろう」と、クーパー氏は述べた。



ワシントンに先立ち、岸田氏はフランス・イタリア・イギリス・カナダを訪問し、ウクライナとの接触の仕方や、日本が5月に開催するG7サミットに向けたその他の議題項目を調整した。当局者たちは、日本がG-7議長国と国連安全保障理事会での2年間の任期を利用して、ロシアに戦争を止めるよう今後も圧力を掛けて行くと述べている。





貿易上の相違



中国とロシアの脅威が両同盟国を近づけた一方で、米国がバラク・オバマ大統領(当時)と安倍晋三首相(当時)により2015年に成立した自由貿易協定・環太平洋パートナーシップ協定(TPP)を、ドナルド・トランプ大統領(当時)の判断により2017年に脱退して以来、貿易面では米国と日本は離れたままだった。



日本はこの協定を進め、最終的に2018年に環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定[CPTPP]が成立した。これは、世界最大の自由貿易地域の1つを形成する11ヵ国の連盟だ。



東京からの繰り返しの要請にも係わらず、バイデン政権はCPTPPに参加していない。



「これは私たちが探求する選択肢ではない」と、ジャン=ピエール氏は金曜日のホワイトハウスの定例記者会見で述べた。



世界的な政策研究団体ウィルソン・センターの地経学およびインド太平洋企業担当ディレクター後藤志保子氏は、保護主義的な感情が高まっている国内においてはいかなる種類の自由貿易協定も政治的に非常に危険と見なされており、日本はその現実を理解していると述べた。



「CPTPPへの言及は恐らくあるだろうが、米国が参加するように圧力を掛けることは無いだろう」と、後藤氏はVOAに語った。



米国と日本は7月に「経済2+2」対話を開始したが、貿易自由化よりもサプライチェーンの確保といった経済安全保障の強化に焦点が当てられた。



東京は中国の経済的影響力を弱めるために、高度な半導体やその他の慎重を要するな軍民両用技術に輸出規制を課すワシントンの諸措置に従うことが予想されている。中国外務省報道官は金曜日、北京は「関連する動きに細心の注意を払い、自国の利益を断固として守る」と述べた。





この記事の作成にはユリア・ヤルモレンコの助力を得た。











(Western allies and Japan unite to face threat posed by China, Russia: RFI English)

https://www.rfi.fr/en/international/20230114-western-allies-and-japan-unite-to-face-threat-posed-by-china-russia 





アジア太平洋





西側の同盟国と日本は団結し、中国とロシアがもたらす脅威に立ち向かう





発表 2023年1月14日 13:04







日本は、アジア太平洋地域における中国の軍事的優位性の増大に懸念を強めている。© AP - Itsuo Inouye





ヤン・ヴァン=デア=マーデ






米国と日本は、北朝鮮と中国からの脅威に対抗するために軍事同盟を強化する計画を発表した。北朝鮮と中国は、アジア太平洋地域で最大の安全保障上の課題をもたらすと考えている。





先日、岸田文雄・日本首相がパリを訪問した。そこでは、彼とエマニュエル・マクロン仏大統領が、日本が「自由で開かれたインド太平洋」と呼ぶものについて安全保障協力の強化を約束した。岸田首相はその後アメリカ大陸に向かい、ジョー・バイデン米大統領に会う予定だ。



彼には、日本の浜田靖一防衛相と林芳正外相を含む代表団が同行する。



12月16日、日本は今回の米国訪問に先立ち新しい安全保障戦略を公表した。この文書では、特に中国の防衛支出の増加についての懸念が表明されている。



またこの文書は、北京が「ロシアとの戦略的関係を強化すると共に、国際秩序への挑戦を企てている」と警告している。





反中国同盟?



日本の文書は、米国防総省が10月に概要を示した2022年国防戦略に沿ったものだ。この戦略は、「中国に対する米国の抑止力を維持・強化する必要性に主な焦点を当てている」。



フランス国防省は 2019 年にインド太平洋における独自の防衛戦略を発表した。これは、「中国と米国の戦略的競合の激化」についての懸念を土台にして、フランスと4ヵ国対話(クアッド:地域における中国の影響力増大に対抗することを目的とした、米国・インド・日本・豪州の非公式な同盟)加盟国との協力を強調している。



2022年2月に外務省が発行したフォローアップ文書によると、フランスは現在ニューカレドニアに約1,660人、仏領ポリネシアに1,180人の部隊を配置している。7隻の船と二十数機の航空機・ヘリコプターがこれを支援し、その地域に住む数千人のフランス市民を保護している。











しかし、仏日関係が進展する一方で、東京とワシントンの間の関係は、反中国同盟の成長と見なされているものの中で遥かに強力だ。



ロイド・オースティン米国防長官は今週初めの記者会見で、日本と米国は「今後も中国の不安定化行動をめぐる私たちの懸念において結束する」と述べ、ワシントンは「日本を守るために、核を含む有らゆる能力を用いて鉄壁の責務を果たしている」と付け加えた。





『親愛なる友人』



戦略的協力の強化のための同盟国による関与の高まりは、中国とロシアの間の着実な協調による反撃を受けている。



ウラジーミル・プーチン露大統領との習近平・中国国家主席は、ロシアによるウクライナ侵攻の僅か2週間前、2月に北京で開催された冬季五輪で「限りない友情」を誓った。











ウクライナ戦争によって引き起こされた世界的な不安定にも係わらず、中国がモスクワを批判したことは一度も無い。







ウラジーミル・プーチン露大統領は、2022 年 2 月 4 日、中国・北京での習近平・中国国家主席との会談に出席する。via REUTERS - SPUTNIK





今のところ、新興の2つの権力ブロックはバラバラに漂流しているように見え、夫々の側が新しい世界秩序についての独自の未来像に固執している。



米国とその同盟国は暗黙のうちにワシントンが主導するルールに基づく国際秩序を目指して努力しているのに対し、中国とロシアは各国が互いの内政に干渉しない「多極世界」を選んでいる。この2つの概念は相容れないものだ。





日本 米国 フランス 中国 アジア 太平洋 外交 ロシア 習近平







―参考―











(投稿者より)



岸田氏の歴訪について、西側を1つに纏める地均しの動きとして世界は大きく注目していたようです。ただ、やはりこの話題についてBBCサイトに何の記事も無いことが気になります。実質的には無視できる事柄だ、とでも言いたいのかも知れません。国内でも、好意的な評価はなぜか聞かれません。



ウクライナ紛争におけるロシアの勝利とNATOの敗北はほぼ見えていますが、世界は既に2つに割れているように見えます。1つは米国と日本が協力して引っ張る。もう1つはロシアと中国が安定的に支える。そして、インドが2つの世界の間に立つ。軍事だけで無く経済・金融などの面を総合して見るとこのような絵が描けそうですが、日本も米国もその前の現在の政治と経済の混乱を乗り越える必要がありそうです。



いずれの記事も中国の脅威を強調していますが、2つに割れた世界の一方に止まる選択をすれば問題は無い筈です。台湾の現状を黙認し、米国・日本・豪州などの内政に陰から手を入れるような関与を止めれば良いのです。ただ、現在は軍事・貿易面では競合しながら他国の国内で自国の影響力を行使するような場面が余りにも目立っており、各国でこれに対する我慢の限界が近づきつつあるようにも見えます。



今回の歴訪からドイツが外されました。3月に首脳会談が持たれるようです。太平洋に権益を持たないドイツがこの地域にどのように係わるのか、注目したいです。








【視点】多国間関係を平和裡にマネージするよう呼びかける岸田首相(Sputnik日本)

【視点】多国間関係を平和裡にマネージするよう呼びかける岸田首相(Sputnik日本)









https://sputniknews.jp/20230119/14630548.html





【視点】多国間関係を平和裡にマネージするよう呼びかける岸田首相





2023年1月19日, 19:00







© AP Photo / Richard Wainwright





リュドミラ サーキャン






2022年、日本は2つの重要で困難な決定を下した。まず1つ目は対露政策の転換、2つ目は国家安全保障政策の変更である。これは、岸田文雄首相が米国訪問の際に、ジョンズ・ホプキンス大学高等国際関係大学院で演説した中で明らかにしたものである。また岸田首相は、外交には裏付けとなる防衛力が必要であるとの考えを示し、欧米諸国に自由と平和を守るために強く結束するよう呼びかけた。





スプートニク」は、世界経済国際関係研究所のアジア太平洋研究センター、日本経済政治グループのビタリー・シヴィトコ所長とともにこの演説を注意深く分析してみたい。



岸田首相は、「この2つの決定はいずれも、重大な影響をもたらす重い決断ではあったが、これらの決断が日本と世界のために正しい判断であったと信じている」と述べた。また首相は、ウクライナにおけるロシアの特別軍事作戦は、ポスト冷戦期の世界を完全に終わらせるものだったとも指摘した。これに関連し、日本は対ロシア政策を180度転換し、強硬な対露制裁を発動した。日本が発動した制限には、ウラジーミル・プーチン大統領とロシアの一連の主要な政治家に対するものも含まれている。



一方、これに対してロシア政府は日本との平和条約交渉を中断すると決定し、自らの制限を導入した。







2022年の主要な出来事

【解説】「『黄金』は『暗黒』に転じた」 2022年の岸田政権の総括と今後の展望

2022年12月28日, 18:00






岸田首相はさらに、日本はウクライナへの人道支援を最初に行なった国の一つであることについても言及した。



首相は、明らかに中国を意識し、「力による一方的な現状変更を許せば、アジアを始め世界のほかの場所でもこのようなことが行われてしまう。我々の自由と民主主義を守るために、日本は行動すべきである」と締めくくった。



岸田首相の発言は、予期せぬものでもなければ、センセーショナルなものでもない。ウクライナ危機に対する政府の立場を説明し、日本の防衛能力の増強路線について述べたに過ぎない。



これに関して、ビタリー・シヴィトコ氏は、しかも岸田氏は、例によって、政治路線による決定やその実現における個人的な役割をかなり誇張しているとの見方を示している。





ロシアとの関係について言えば、領土問題をめぐり、ロシアが日本に対し、いかなる譲歩もせず、譲歩に関して交渉する可能性もないとする立場を明確にした2018年の末には、日本はロシアとの交渉に対する関心を失い始めていました。



まさにそのことから、日本政府は、2022年の状況において、2014年のときのように対露制裁への参加を拒み、ロシアの行動に対する強硬な発言を控える理由はもうないと考えたのです。本質としてこれは日本政府の中心派閥内で一致した立場であり、岸田首相の役割はそれほど大きくありません。



昨年のエネルギー価格の高騰は、この文脈において、コロナウイルスによるパンデミックの結果と国際紛争の激化を背景にした世界市場の混乱の結果と捉えられており、従って、日本がこのプロセスに何らかの影響を与える可能性、たとえばウクライナ情勢をめぐって親ロシア的立場を取るという方法によるなどは現実的なものとは思えません。




しかも日本は本質的に、日本企業が参加するサハリンの石油・ガスプロジェクトに関する制裁には加わっていません。日本政府はこれを拒否したのみならず、これらの日本企業に対し、プロジェクトから撤退しないよう勧告しています。ロシアの行動は『歴史が変わる瞬間』を意味するとした首相の言葉は、概して、効果的な文学的手法以上の何ものでもありません」。



岸田首相は2つ目の重大な決断として、日本の安全保障戦略、国家防衛戦略、防衛力整備計画を見直し、国家安全保障政策を変更することを挙げ、防衛力強化のための具体策を明らかにした。



それはGDPの最大2%までの防衛費の増大、反撃能力の保有、サイバー安全保障分野における即応能力の拡大、日本の南西地域における防衛態勢の強化などである。



岸田首相は、こうした変更について、ロシア・ウクライナ紛争だけでなく、日本の周辺国や地域においても核ミサイル能力の強化、急激な軍備増強、力による一方的な現状変更の試みなどの動きがますます顕著になっているためだとしている。



加えて岸田首相は、戦後の日本の平和国家としての外交は変わらないとした上で、今起こっていることに対する現実を見据え、外交には裏付けとなる防衛力が必要だという結論に至ったと説明した。







【解説】岸田首相G7各国歴訪が開始 キエフ訪問はあるか 実現すれば岸田氏には強力な「大手」

1月10日, 22:07






これについて、ビタリー・シヴィトコ氏は、日本の明確な防衛能力の増大は、第二次世界大戦敗戦後に日本に課せられた防衛分野における制限と自制の体制を崩すため、自民党の長期的な実践政策の転換を反映したものだと考えている。





「防衛費はGDPの1%という基準を見直し、その額を最大GDPの2%にまで増大していくという決定は、すでに2021年には明らかにされていたものです。昨年承認された予算案の防衛費の額は誰にとっても驚くようなものではなく、防衛費をGDPの2%レベルに増大するための5年計画の一歩です。昨年採択された自衛隊のための中期的な武器の調達計画も同様です。



今回新たに加えられた要素といえば、『国家安全保障戦略』の改訂版で、近年の現実を踏まえた国際情勢と日本の安全保障に対する脅威に対するより厳しい評価を与える形で、こうした動きの論拠が体系化されたことでしょう。ここで岸田首相は、とりわけ、世界的な軍備増強傾向や軍事分野での活発な動きを背景に、日本の防衛力を大幅に増大すべきであるという日本の政界の大部分の人々の考え方に従っています。問題はおそらく、増大する防衛費の財源をどうするかということでしょう。自民党内部では、法人増税などの増税によって確保するか、現在すでにG7諸国の中でも記録的な規模となっている国債で賄うかという議論が行われています。



岸田首相は、内閣総理大臣として、この問題における具体的な決断を迫られます。財政負担は大きくなりますが、経済活動に対する影響は危機的なものとは考えられていません」。




一方、中国との関係について、岸田首相は、日本は力による一方的な現状変更を防ぐべく最大限の努力をするとの姿勢を確認している。



岸田首相は、「その上で我々は中国と共にインド太平洋地域を含む国際社会の平和と安定に貢献することを希望しており、共通の課題については協力をしていく。つまり、関係を平和裡にマネージしていく必要がある。これが今の時代のステーツマンシップの成否を決める点だ」と語った。





岸田文雄 政治 国際 オピニオン









(投稿者より)



バイデン氏との会談についてメドベージェフ氏に「腹を切れ」とまで言われた岸田氏ですが、今回の論調は相当にマイルドで驚きさえ覚えました。










「中国について懸念が高まる中、英日は防衛協定に署名する」(VOA・人民網日本語版)

「中国について懸念が高まる中、英日は防衛協定に署名する」(VOA人民網日本語版)









(UK, Japan Sign Defense Deal Amid Rising Concern About China: VOA News)

https://www.voanews.com/a/uk-japan-sign-defense-deal-amid-rising-concern-about-china/6914398.html





中国について懸念が高まる中、英日は防衛協定に署名する





2023年1月11日 4:12 PM





AP通信









ロンドン —



水曜日、イギリスと日本の指導者は相互の国への部隊展開を可能にする防衛協定に署名した。



中国が反逆的な省と見なす台湾に対する同国の軍事的な主張と構想の増大に対して懸念が高まる中、両国は軍事関係を強化している。



リシ・スナク首相と岸田文雄・日本首相は、ロンドン塔要塞という象徴的な舞台で正式に協定に署名した。イギリス政府はこの協定について、「インド太平洋地域に対する我が国の関与を強固にする」ものだと述べた。



「私たち両国の関係は貿易や安全保障だけでなく価値観においても、これまで以上に強くなっている」と、スナク氏は日本の首相に語った。



岸田氏は日英間の安全保障と協力の重要性に言及し、彼とスナク氏が「戦略的な議論」を持つよう望むと述べた。



この相互アクセス協定は日本が欧州の国と初めて結んだ防衛協定で、これら2つのG7国家は共同で軍事演習を行うことがこの協定により可能になる。このための作業は数年に及び、岸田氏が5月に当時のボリス・ジョンソン首相をロンドンに訪ねた際に議論された。



イギリス政府は、この協定によりイギリスと日本の軍隊は「更に大規模で複雑な軍事演習や部隊展開の計画と実行」が可能になると述べた。



この協定は、2020年にEUを離脱した後のイギリスの外交政策における新たな「インド太平洋への傾斜」を反映している。イギリスは日本を東アジアの重要な同盟国と見なしている。



「競争が激化するこの世界においては、現代の前例のない世界的な課題に対処する際に、民主主義諸国が肩を並べて立ち続けることがこれまで以上に重要だ」と、スナク氏は述べた。



両指導者は、1,000年前に建てられ宮殿と刑務所として使用され現在も王冠の宝石を収蔵するロンドン塔での会合の間に、日本の甲冑を鑑賞した。これは、日本の徳川秀忠将軍がイングランドと日本の間で結ばれた歴史上初めての貿易協定を記念して、1613年にジェームズ王に贈ったものだ。



日本は西側諸国に加わり、ロシアのウクライナ侵略を非難すると共に、モスクワに制裁を課している。また、日本はウクライナにヘルメットやその他の非致死的な軍事支援を提供している。



日本は、ロシアのウクライナ侵攻が東アジアに影響を与える可能性を懸念している。この地域では中国が軍事的な自己主張を一層強め、必要ならば武力で台湾を統一すると脅迫している。



中国と北朝鮮における急速な武器の進歩を懸念して、日本は12月に重要な安全保障と防衛の改革を採用した。これには、同国が第2次世界大戦の敗戦から維持してきた専守防衛の原則からの脱却となる反撃能力が含まれる。



日本は今年G-7の議長国を務めており、岸田氏はイタリア・フランス・カナダ・米国を含めた同盟諸国を1週間を掛けて訪問する旅行中だ。米国では、同氏は金曜日にホワイトハウスジョー・バイデン大統領と会談する予定だ。







―参考―























人民網日本語版)





日英部隊間協力円滑化協定に中国「防衛協力は仮想敵を作るべきでない」





人民網日本語版 2023年01月12日11:30











外交部(外務省)の11日の定例記者会見で、汪文斌報道官が日英部隊間協力円滑化協定に関する質問に答えた。



【記者】英国と日本が11日、英国軍の日本配置を許可することを含む重要な防衛協定(日英部隊間協力円滑化協定)に署名する見通しだと報じられた。日本は中国の挑戦に対処するためとしている。中国はこれについて英側と日本側に正式な申し入れを行う用意があるか。



【汪報道官】アジア太平洋は平和と発展が盛んに行われる場所であり、地政学的な争いが繰り広げられる競技場ではない。中国は各国にとっての協力パートナーであり、いかなる国に対しても挑戦ではない。関係国間の防衛協力は各国間の相互理解・信頼・協力の増進に資するものであるべきで、「仮想敵」を作るべきではないし、ましてやブロック対立という古い思考をアジア太平洋地域に持ち込むべきではない。(編集NA)









(投稿者より)



EU離脱後のイギリスは英連邦やインド太平洋の国々との関係強化に生命線を見出そうとしています。今回の岸田氏の訪問はイギリスにとっても非常に重要に思えますが、BBCサイトには英語でも日本語でも関連記事が見つからず、意外な印象を受けました。