自衛は武器だけでなく、外交によっても達成できるもの(Sputnik日本)

自衛は武器だけでなく、外交によっても達成できるもの(Sputnik日本)









https://jp.sputniknews.com/20220620/11616170.html





自衛は武器だけでなく、外交によっても達成できるもの





2022年6月20日, 14:35







© AP Photo / Lee Jin-man





ドミトリー ヴェルホトゥロフ





日本の岸田文雄首相は防衛費を、現在の5兆4000億円から、そのほぼ2倍の10兆円に増額するとの提案をおこなった。これは日本のGDP国内総生産)のおよそ2%にあたる。ちなみに、2022年の中国の国防費は2295億ドルで、予定されている日本の防衛費は750億ドル、つまり中国の国防費の32.2%である。一方、軍の規模で言うと、中国人民軍の兵員は203万5000人、自衛隊の兵員は24万7000人で、これは中国の12%である。



中国軍は、兵員に年間平均で11万2700ドルを費やし、自衛隊は現時点で平均16万1900ドルを計上しているが、首相の提案ではこれが年間29万9500ドルに引き上げられることになる。

今のところ、自衛隊員の増員に関する問題は提起されていないことから、防衛費の増額は、兵器の刷新に充てられるものと考えられる。そしてこの兵器の刷新は、戦闘が行われる可能性があると想定される敵国に、軍備で質的に上回ることを目的としたものである。





日本は必要のない戦争に巻き込まれる可能性がある



これは非常に興味深い状況である。というのも、日本の近隣諸国には、日本と軍事紛争を起こすための根拠などないからである。尖閣諸島竹島問題など、それほど深刻でない領土問題は存在しているが、それらは戦争の引き金となるようなものではなく、話し合いによって解決しうるものである。日本は中国や北朝鮮といった隣国の敵になる可能性があるが、それは、日本領内に、これらの国にとって脅威となる米軍基地や米軍部隊が配備されているからである。そして、これらの基地や軍部隊が攻撃される可能性があり、日本も攻撃に対処する必要に迫られるわけである。



このように、日本は、自衛の原則を違反することなく、しかし自らの意思に反して、戦争に巻き込まれる可能性がある。米軍は地域にも、日本国内にも配備されており、とりわけ、中国と北朝鮮を敵対する陣営に分けるようなかなり以前に起こった政治的対立の結果、置かれたものである。米国は韓国と台湾を支持すると表明した。そして、米軍部隊の存在と世界最強の軍事大国との軍事紛争の可能性が生まれたことにより、この対立は凍結された。







日本を防衛するのは37年以上前に製造された戦闘機

3月28日, 18:18






しかし、対立は解決されたわけではなく、今もくすぶり続けており、いつ爆発してもおかしくない状態となっている。地域のパワーバランスは近年、中国と北朝鮮に有利な方向で変わりつつある。このことにより、古い政治的対立を力によって解決しようとする試みの条件が生み出された。



もしこの対立が再燃すれば、日本はある瞬間、国内にある米軍基地へのミサイル攻撃を受け、本質的には、日本にとっては必要のない戦争に参戦せざるを得なくなる。



こうしたことから、日本の自衛政策は、最新の航空機、艦船の購入だけでなく、地域でくすぶる紛争を平和的に解決するための外交的努力に基づくべきだという結論を導き出すことができる。





朝鮮の愛国者会議



これらの対立のうちの一つに日本は直接関与している。これは南北朝鮮間の対立である。これは朝鮮が日本の統治下にあった時代に生まれたものである。朝鮮の愛国者らはその時2つの集団に分かれた。一方の集団は、絶対に日本と軍事紛争を起こすべきだと主張したが、後に、その集団のリーダーとなったのが金日成氏である。







金日成とイワン・チスチャコフ

© Sputnik / RIA Novosti






もう一つの集団は、一時的に日本に従い、日本に学び、その後、日本の影響力から離れて、強い朝鮮を作ろうと考えた。この集団のリーダーだったのが韓国の初代大統領、イ・スン・マンである。



イ・スン・マン

© AP Photo / George Sweers






2つ目の集団を支持した者の間には、日本政府のために働いた朝鮮人が大勢いた。たとえば、韓国の3人目の大統領となったパク・チョンヒ日本陸軍士官学校を卒業し、高木正雄という日本名で満州軍第8団(連隊)副官となったという事実を挙げるだけで十分だろう。1つ目の集団のメンバーらは、もう1つの集団を裏切り者と嫌悪し、2つ目の集団のメンバーらは1つ目の集団を悪党、人殺しだと非難した。



この話には特筆すべき2つの問題がある。



  • 1つめは、日本による朝鮮半島統治は77年前に終わったというのに、朝鮮の人々はまだ許容することができないということである。




  • 2つめは、朝鮮の愛国主義的な2つの集団は、どちらも正しく、どちらも素晴らしい成功を収めたということである。




  • 韓国は非常に発展した国となり、北朝鮮は軍備の整った国となった。言い換えれば、現在の状況において、両者の間が敵意を持つための根拠はもはやなくなったということである。日本の天皇が、より権威ある存在として、次のような提案をすればよいのではないか。それは、朝鮮半島の2つの国が「愛国主義者会議」のようなものを実施する必要があり、両者の希望があれば、東京で開催することもできるというものである。この会議では次のような問題について検討されるべきだろう。







    日韓関係、雪解けなるか?

    5月12日, 17:55






    まずは日本帝国がかつて適用した侵略、戦争、強奪という手段は何らよい結果をもたらさなかった。そして日本は、そのような政策によって、自らに膨大な犠牲者と破壊をもたらしたということ。次に、日本、中国、韓国、台湾、そして時に北朝鮮の戦後の経験により、平和的で経済的建設と連携が、何よりも有益であることを露呈したということである。これにより、敵意と暴力は1930年代の政治的モデルの手法であり、現在このようなやり方は通用しないということが分かる。



    第3に、韓国と北朝鮮朝鮮半島の整備で疑いようのない貢献を果たし、大きな成果を出したということ、またいずれの国も愛国主義的な国であり、それを何度も証明してきたということ。つまり、2つの国が互いを認め、和平と不可侵の協定を結ぶことは、目的に適ったことなのである。その後、両国は、過去の出来事すべてに遺憾を表明し、平和的な関係の建設を始めればよいのである。日本にとって、朝鮮半島の対立の解決は、巻き込まれる可能性がきわめて高い戦争勃発の可能性を大きく低減するものである。



    これは政治的・外交的手段によって目的を達成しようとする自衛なのである。





    オピニオン 軍事 アジア 韓国 北朝鮮 政治








    「日本は外国人観光客の受け入れを再開するが、」(RFI・BBC NEWS JAPAN)

    「日本は外国人観光客の受け入れを再開するが、」(RFIBBC NEWS JAPAN)









    (Covid-19 au Japon: deux ans après, Tokyo rouvre ses frontières aux touristes étrangers: RFI)


    https://www.rfi.fr/fr/asie-pacifique/20220609-japon-deux-ans-apr%C3%A8s-tokyo-rouvre-ses-fronti%C3%A8res-aux-touristes-%C3%A9trangers





    日本のCovid-19:2年を経て、東京が外国人観光客に対して国境を再び開く





    発表 2022年6月10日 01:24







    東京・羽田空港到着ロビーのコロナ管理区域、2022年6月1日(説明画像)。AFP - KAZUHIRO NOGI





    RFI






    6月10日金曜日、日本はCovid-19の世界的流行が始まって以来初めて外国人観光客に対して国を開いた。日本はG7加盟国で唯一、2年以上に及び国境をずっと固く閉ざし続けていた。





    報告 RFI東京特約記者、ブルーノ・デュバル



    そのため、世界中からの訪問者が再び列島に受け入れられるが、その数には制限がある。さらに、企画旅行の枠内に限定され、衛生状況についての厳格な監視対象とされる。



    東京の主要な観光スポット・浅草では、この外国人訪問客の大いなる回帰について、商店主全ての足並みが同じわけではない。「これはとても良い!これにより、外国人観光客が見えなくなってから衰退していたこの街が少し息を吹き返すだろう」と、この女性は喜ぶ。「私は待ち切れない。でも同時に、私は2年以上英語を話さなかったのでとても心配だ!上手く行くことを願っている」と、隣の店の女性は打ち明ける。



    「これらの観光客は、事前に定められた旅行ルートを離れることが出来なかったり、混雑した場所に行くことも出来ないようだ。そのため、悲しいことだが、彼らがこの街の店でお金を使わないのは間違いない」と、ある商店主が嘆く。





    「私は既に凄いストレスを感じる」



    住民同士の会話だけでなく、全国レベルやソーシャルネットでも絶えず持ち出される不安の種、それはマスクの着用だ。「私たちはこの問題を毎日テレビのニュースで見ている。欧州や米国ではマスクを着用する人はあまりいない」と、ある宿泊施設の支配人は不安がる。「私のホテルで外国人のお客様が同じことをすると、日本のお客様と上手く行かなくなる。これらの緊張を処理する必要があることを考えると、私は既に凄いストレスを感じる。」



    これについては譲歩しないと、政府は警告した。これらの企画旅行で定められた非常に厳格な衛生上の規約については、僅かな違反であってもこれに係わった観光客は直ちに国外退去になると。





    日本 コロナウイルス 観光



















    (BBC NEWS JAPAN)

    https://www.bbc.com/japanese/61755462





    日本が外国人観光客の受け入れを再開 厳しいルールは残る





    2022年6月10日



    アナベル・リアン、ビジネス担当記者







    Getty Images





    イギリス在住のニーサ・ロネインさんは今年、初めて日本を訪れる予定だ。



    16日間のツアーに3500ポンド(約60万円)強を支払った。日本では、新型コロナウイルス対策の規制のため、自由行動は認められない。



    それでもロネインさんは、この旅行を心待ちにしている。



    「日本は初めてですし、アジアも初めてです。楽しみです。(日本のテレビのリアリティー番組)『テラスハウス』を見て言い回しを学んでいます」



    こうした人は彼女だけではない。いくつかの旅行代理店によると、日本で休暇を過ごしたいといった問い合わせが急増している。日本の厳しい規制によって、一部の旅行者はまだ同国行きを敬遠しているにもかかわらずだ。



    日本は2020年以降、新型ウイルス対策として、世界でもかなり厳しい規制を実施。外国からの来訪者は、ほぼ受け入れてこなかった。10日からは約100の国や地域からの観光客を受け入れるが、なお新たな制限を設けている。



    例えば、日本を旅行できるのはパッケージツアーの参加者だけだ。医療保険への加入や、屋外を含むすべての公共の場でのマスク着用が義務づけられる。



    また、密閉、密集、密接の「3密」を避けることも求められる。





    観光庁ガイドライン



    日本の観光庁は今週、ツアー添乗員が「入国から出発まで」旅行者に同行し、マスク着用などについて注意を促すことを求めた。



    同庁が7日に発表した16ページのガイドラインは、「添乗員は、ツアー参加者に対し、ツアーの場面ごとに、マスクの着脱を含め、必要な感染防止対策についてこまめな声かけや、注意喚起を行うこと」としている。



    また、「屋外であっても、近い距離で会話するような場面では引き続き、マスクの着用を推奨すること」という政府見解も紹介している。



    こうした状況にもかかわらず、日本を訪れることへの関心は急激に高まっていると、旅行代理店は話す。



    シンガポールの「チャン・ブラザーズ・トラベル」は、日本へのツアー50組の予約を受け付けたと発表した。各組には30人ほどが参加するという。



    同社の広報担当者ジェレマイア・ウォンさんは、日本の受け入れ再開が発表されて以来、問い合わせが「飛躍的に増えている」とBBCに話した。



    「過去2年かそれ以上において失われた時間を穴埋めしようと、旅行者は待ち望んだ休暇を取るのをためらっていません」



    だが、パンデミック後初となる日本へのツアーを、いつ実施できるかはわからないという。「旅行者全員に(中略)観光ビザが求められるため、最も早くて7月中旬以降の出発になる可能性があります」。



    「イントレピッド・トラベル」の最高幹部のザラ・ベンチェイクさんは、「日本行きの需要はたまりにたまっている」と述べた。



    彼女の会社は、富士山などの人気観光地を巡るツアーを8月から再開したい考えだ。しかし、まだ日本の当局の認可を得ている途中だという。







    Getty Images

    富士山は代表的な観光地だ






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    日本は過去2年間、新型ウイルスの感染拡大を食い止めるため、大多数の外国人観光客の入国を禁止してきた。昨年は延期となった2020年東京オリンピックが開催されたが、外国からの観客は受け入れなかった。



    日本が外国人の国内居住者と出張者を対象に渡航制限を緩和したのは、今年に入ってのことだった。



    先月になって、日本は1日あたりの外国人入国者の上限を、それまでの2倍の2万人にすると発表した。



    ドイツ証券の小山賢太郎チーフエコノミストは、この「控えめな受け入れ再開戦略」が、世界3位の日本経済に大きな利益をもたらすことにはならないだろうとの見方を示した。



    「政府の対応はかなり遅れています。高齢化が進む日本では、感染に対する恐れが他の国よりも強くあります」



    パンデミック前の日本では、観光は一大ビジネスだった。2019年の外国人観光客は、過去最高の3190万人に上った。それが昨年は、25万人を下回った。





    観光業の本格回復は



    かつて旅行先として人気が高かったこの国の観光産業は、回復まではまだかなりの道のりがある。



    オーストラリア在住のラド・サパニーさんは、来月予定していた日本行きを取りやめたとBBCに語った。規制のためだ。



    「パッケージツアーに興味はありません。私たちが望む旅の方法ではないんです」



    日本への旅行だけを取り扱う旅行会社「TokudAw」の経営者ワンピン・オーさんは、毎日2〜3件の問い合わせはあるが、予約には至っていないと述べた。



    彼女は、「まだ予約の確定はありません。決心を固める人がいないんです」と言い、こう付け加えた。



    「よく聞くのが、『モルモットになるのはごめんだ』という言葉です」





    (英語記事 Japan reopens to tourists but with strict rules





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    「米FRB、27年ぶりの大幅利上げ。国民生活への影響」(BBC NEWS JAPAN・Sputnik日本)

    「米FRB、27年ぶりの大幅利上げ。国民生活への影響」(BBC NEWS JAPAN・Sputnik日本)









    (BBC NEWS JAPAN)

    https://www.bbc.com/japanese/61821103





    FRB、0.75%の利上げを決定 約30年ぶりの上げ幅





    2022年6月16日







    Getty Images

    米連邦準備制度理事会のジェローム・パウエル議長。物価上昇のプレッシャーを受けている






    アメリカの中央銀行にあたる連邦準備制度理事会FRB)は15日、約30年ぶりとなる大幅な利上げを発表した。高騰する消費者物価の抑制に一段と力を入れる。





    FRBは、政策金利を0.75%ポイント引き上げ、1.50~1.75%の範囲にすると発表した。



    利上げは3月以降で3回目。アメリカでは先月、インフレ率が予想外に上昇していた。



    物価は今後もさらに上昇する予想で、経済の先行きは不確実さを増している。





    政策金利は3.4%の見通し



    FRBが会合後に発表した予想では、FRBが一般の銀行に貸し付ける際の政策金利は年末までに3.4%に達する可能性がある。連動して、住宅ローン、クレジットカード、その他のローンの借入コストが上昇するとみられており、影響は家計にも及ぶ。



    借入コストの上昇は、経済活動を鈍らせ、需要を冷やす。理論的には、物価上昇圧力を和らげることにつながる。



    各国の中央銀行も同様の措置を取っている。世界的に長年にわたり企業や家庭が低い借入コストを享受してきたが、その世界経済の様相が大きく変わることになる。





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    戦略コンサルティング企業EYパルテノンのグレゴリー・デイコウ主任エコノミストは、「先進国の大半と新興国の一部で、中央銀行が同調して経済政策を引き締めている」と述べた。



    「過去数十年間みられなかった世界的な環境だ。世界中のビジネスと消費者に影響を与える」





    インフレ率の上昇が引き金



    イギリスでは、中央銀行イングランド銀行が16日、12月以降5回目の利上げを発表し、基準金利を2009年以来初めて1%超に引き上げるとみられている。同国の消費者物価は4月に9%上昇している。



    ブラジル、カナダ、オーストラリアはすでに利上げを実施した。欧州中央銀行も、この夏に利上げを予定している。







    Getty Images

    利上げの影響は住宅業界などに及んでいる






    アメリカでは、新型コロナウイルスパンデミックが発生した2020年に、景気を下支えするため金利が引き下げられた。しかし今年になってFRBはすでに、3月に0.25%ポイント、5月にさらに0.5%ポイントの、2回の利上げを実施している。



    FRBのジェローム・パウエル議長は当時、より急激な引き上げは検討していないと述べていた。



    しかし今月10日になり、インフレ率が5月に8.6%上昇したとの統計が発表された。それが、さらに積極的な動きにつながったと、パウエル氏は会合後の記者会見で説明した。



    パウエル氏は、「インフレ率を下げることが不可欠だ」と述べ、0.75%ポイントの上昇は「非常に大きい」と認めた。



    そして、「インフレ率は明らかにここ1年間、驚くほど上昇しており、今後も予想外の事態が起きる可能性がある」、「そのため機敏な対応が必要だ」と付け加えた。







    Getty Images

    食品価格の上昇がインフレ率上昇の要因の1つになっている






    FRBが今回ほど大幅な利上げを発表したのは1994年以来。



    政策決定者の行動が遅れ、それを補うため今になって積極的に動いているため、景気後退誘発の可能性が高まっていると、前出のデイコウ氏は指摘する。



    「私はますます心配している」、「年末ごろには成長が停滞し、景気後退にかなり近い状況になり、失業率は減少から上昇に転じていても、意外ではない」と同氏は話した。





    声明文から異例の削除



    FRBのパウエル氏は、アメリカは金利上昇に対応する態勢が整っているとし、依然として雇用が堅調に伸びていると指摘した。



    しかしFRBの予測では、今年の経済成長率は1.7%程度にとどまる。これは、3月に発表した予測よりも1%ポイント低い。



    失業率は、現在の3.6%から3.7%に上昇し、2024年には4.1%に達すると予想されている。



    FRBが会合後の声明文を変更することはほとんどないが、今回は、FRBが利上げをしても労働市場は堅調を維持するだろうという一文を削除した。



    この削除についてパウエル氏は、ウクライナでの戦争など、インフレを引き起こす多くの要因は、FRBにとって制御不能なことを反映したものだと説明した。





    米国内外への影響



    今回の金利引き上げにより、FRBが銀行に課す借入金利は2019年の水準に戻る。長期的にみれば、比較的低い状況が続く。



    それでも、今回の引き上げの影響はすでに出ている。







    Reuters

    アメリカではガソリン価格の上昇が続いている






    金利の上昇はドル需要を押し上げ、ドルは年初来10%上昇した。多額のドル建て債務を抱える新興国を筆頭に、他国は圧力を受けている。



    アメリカでは金融市場が低迷している。米大企業数百社が対象のS&P500種は、年初から5分の1ほど値を下げた。多国籍企業は、インフレとドル高によって利益が圧迫されていると警告している。



    住宅販売も急激に鈍化している。住宅ローン金利FRB金利の上昇に追随しているためだ。



    小売売上高も5月は減少したことが、15日発表のデータで明らかになった。ガソリン代の上昇で支出が増えた消費者が、自動車などの高額商品の購入を遅らせていることが影響している。





    (英語記事 US makes biggest interest rate rise since 1994





    関連トピックス 金融 コロナウイルス 食べ物 ウクライナ侵攻 石油ガス産業 アメリカ インフレ 政治 経済







    ―参考―













    (Sputnik日本)

    https://jp.sputniknews.com/20220616/frb27-11568374.html





    FRBが27年ぶりの大幅利上げ、インフレ抑制は数年以内に実現





    2022年6月16日, 07:00







    © Flickr / ctj71081





    米国の中央銀行にあたるFRB連邦準備制度理事会)は15日まで開いた会合で、およそ27年半ぶりとなる0.75%の大幅な利上げを決めた。記録的インフレの収束が期待されない中、事前に示していた利上げ幅をさらに拡大した。





    通常の3倍にあたる0.75%の大幅な利上げは1994年11月以来、およそ27年半ぶり。FRBのジェローム・パウエル議長は会見で、「直近でインフレは高いレベルでの推移が予想されているが、来年から再来年にかけては急速に低下する」と発言した。FRBは健全な労働市場のもと、消費者物価の上昇率を2パーセントに維持することを目指すと強調した。







    ウクライナをめぐる情勢

    ガソリン価格の急上昇はウクライナ支援の副産物=バイデン大統領

    6月12日, 16:39






    米国では5月の消費者物価の上昇率がおよそ40年半ぶりの8.6%に拡大していた。パウエル議長は7月に予定されている次回の会合でも0.5%から0.75%の利上げを実行すると表明した。



    また、今回の会合では、今後の利上げのペースについて参加者の予測が示され、2022年末時点の政策金利の見通しは中央値で3.4%と、前回3月時点の1.9%から大きく上方修正されたことから、年内の残り4回の会合でさらに1.75%分の利上げが必要になる模様。





    関連ニュース







    米国 経済











    (BBC NEWS JAPAN)

    https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-61862403





    【解説】 アメリカの金利引き上げ、自分にどう影響? 5つの形





    2022年6月21日





    ナタリー・シャーマン、ビジネス記者、ニューヨーク

    People walk past a currency exchange point in Cairo







    Reuters





    アメリカの中央銀行にあたる連邦準備制度理事会FRB)は15日、約30年ぶりとなる大幅な利上げを発表した。高騰する消費者物価の抑制に一段と力を入れるためだ。





    FRBは、民間の金融機関に資金を貸し出す際の基準金利を0.75%ポイント引き上げ、1.50~1.75%の範囲にすると発表した。



    この影響は、アメリカの内外で、経済の隅々にまで到達する。



    アメリカの金利引き上げがあなたにどう影響するか、その5つの形を説明する。





    住宅ローンなど借金の金利が高くなる



    直ちに影響が出るのはアメリカ国内だ。住宅ローンやクレジットカードのローン、学生ローンなど、様々な借金にかかるコストが上がる。



    人気の30年固定金利住宅ローンの金利はすでに、2008年以来最も高い6%近くにまで上昇した。アメリカで中央値の価格の住宅を買おうとする人にとって、毎月の返済額はおそらく年初から600ドル(約8万円)は増えているはずだ。



    「もっと早くから家探しを始めればよかった」と、オハイオ州の元教師デロレス・ロビンソンさんは言う。ロビンソンさんは今月になって新しいマンションを買ったばかりだ。







    教職を引退したデロレス・ロビンソンさん(中央)が新居を探している最中に、借り入れコストが上昇した。「もっと早くに探し始めればよかった」とロビンソンさんは言う





    ロビンソンさんは比較的、低金利でローンが組めたので安心したものの、家探しを始めた時よりは金利は高くなっているという。しかし人によっては、金利が高すぎてマイホーム購入を諦めるしかない人も出てくるだろう。



    全米不動産業者協会は、アメリカでの住宅販売が今年は9%減ると予測している。



    金利上昇のせいで家が買えなくなる人にとって厳しいだけでなく、近年は2ケタの上昇が続いていた住宅価格の伸びも5%に抑制される見通しだ。



    もしそうなった場合はインフレ率が下がり、FRBの金融引き締め策は奏功しているということになる。





    年金受給額は少なく、ウーバーの利用料金は高くなる



    金利が上昇すると、投資先が劇的に入れ替わる傾向がある。一般的な景気への懸念が高まっている今、その動きは特に顕著になっている。



    アメリカで「401k(退職金を積み立てる個人年金)」口座などで株式市場に資産を持つ人にとっては、資産価値が急落していることになる。



    S&P500種指数は今年1月の初めから20%以上、下落している。これは弱気相場の節目とされている。ナスダックも、その価値の3分の1近くを失っている。







    Reuters

    景気後退への懸念から株式市場は低迷している






    暗号資産などリスクの高い資産も価格を下げており、アメリカ国外の株式市場にも影響が出ている。



    投資会社も、配車大手ウーバーのように何年も赤字経営を続ける会社に収益性を求めるなど、高リスク投資から手を引いている。



    この結果、配車タクシーや宅配便などの料金が高くなるか、そういう企業は廃業するかもしれない。食料品を注文から15分で配達するとうたったスタートアップ企業が、米ニューヨークでいくつか誕生しては倒産したように



    ウーバーの ダラ・コスロシャヒ最高経営責任者(CEO)は先月、従業員あての手紙で、新規雇用の縮小を含めた収益化対策について語り、「投資家は、不透明感がある時期は安定を求める」と述べた。



    「市場が激変しているのは明らかで、私たちはそれに対応する必要がある」と、コスロシャヒ氏は書いている。





    雇用市場の低迷とリセッション(景気後退)リスク



    需要の落ち込みから、パンデミック後の労働市場の急成長も終わりつつある。パンデミック直後の企業は激しい競争の中で労働者を求め、高給やその他の手当を提示したため、労働者の多くはより良い職への転職が推進されたのだが。



    米不動産大手レッドフィン・アンド・コンパスは今週、業績悪化と金利上昇を理由に、数百人規模の人員整理を発表した。



    ウーバーやアマゾン、ウォルマート、テスラ、スポティファイといった大企業も、新規雇用の縮小や停止を発表している。







    Getty Images

    アマゾンをはじめとする米大手企業は、新規雇用の縮小を発表している






    FRBのジェローム・パウエル総裁は、アメリカの労働市場ではなお需要が供給の2倍近くあるなど、非常に売り手市場になっていると指摘。同国経済が大量の雇用喪失を回避すると期待していると述べた。



    しかし、インフレによるコスト高や個人の購買力の縮小などから、アメリカ経済はすでに困難に直面していた。



    今年の第1四半期(1~3月)はすでにマイナス成長だった。これは国際貿易データのゆがみによるものだとされているが、小売売上高など他の指標にも暗雲が立ち込めている。



    高い金利と弱い経済が合わされば、FRBの対応は、リセッション(景気後退)と呼ばれる持続的な下降を招く危険があるとアナリストらは、指摘する。





    強い米ドル



    米ドルは今年に入り10%上昇した。FRBの動きにより、投資家がより高いリターンを求めてアメリカに資金を移動させ、ドル需要が高まったからだ。



    イギリスでは今週、1ポンドが1ドル20セントを割り込み、パンデミック以来の安値となった。イギリス旅行を計画しているアメリカ人にとっては、これは良い兆しだ。



    しかしそれ以外の国では、米ドルの上昇により、ドル建て取引の多いエネルギーや食料といった商品の輸入が割高になる。政府がドル建ての債務を多く抱えている場合は特に、経済的負担が大きくなる。



    シティ・インデックスの市場アナリスト、フィオナ・シンコッタさんは、「最も被害を受けるのは新興市場になることが多い」と述べた。







    Getty Images

    イングランド銀行のアンドリュー・ベイリー総裁






    アメリカ以外でも高金利



    こうした力学が働いているため、アメリカだけが金利引き上げに動いているわけではない。



    イギリスの中央銀行イングランド銀行をはじめ、スイスやオーストラリア、カナダなど十数カ国も、ここ数カ月で利上げを発表している。



    こうした国の多くは、国内のインフレ率とも戦っているが、世界最大の経済国であるアメリカでの出来事にならってもいる。



    クウェートサウジアラビアといったドルペッグ制を採用している国では、アメリカでの利上げの影響は即座に表れる。こうした国々の中央銀行は足並みをそろえて金利を引き上げ、アメリカへの資金流出を抑えようとする。



    こうした動きが実際にに感じられるようになると、アメリカの経済情勢が引き続き注目されることになる。





    (英語記事 Five ways US rate rise will affect you





    関連トピックス 金融 通貨市場 アメリカ 貿易 株式市場 経済







    ※ 2022.6.23 記事を追加し、見出しを変更しました。