「デジタル奴隷」は新たな現実となるのか?(Sputnik日本)

「デジタル奴隷」は新たな現実となるのか?(Sputnik日本)









https://jp.sputniknews.com/science/202007077591071/





「デジタル奴隷」は新たな現実となるのか?







© Depositphotos / Dmitrimaruta





テック&サイエンス





2020年07月07日 08:55(アップデート 2020年07月07日 16:47)






筆者 : リュドミラ サーキャン





メッセンジャーアプリ、テレビ会議QRコード、オンライン学習、フードデリバリー、オンライン旅行、拡張現実(AR)の技術等を利用したオンライン美術館や劇場の実現などのデジタル革命は、まさにちょうど良いタイミングで到来した。新型コロナのパンデミックの真っ只中で人々が隔離生活を送っていた時期に、便利で利用しやすいオンラインサービスを使わなかった人はいなかったはずだ。新型コロナウイルスがネットを利用したサービスを活性化させただけでなく、デジタル技術の普及がより進むきっかけになったことは間違いない。デジタル技術の進化によってもたらされるメリットとデメリットの両面について「スプートニク」がご紹介する。





10年前、社会学者らはインターネットやデジタル機器にアクセスできる裕福な家庭の子どもたちが学習の面で優位に立ち、それがデジタル格差の土台を築くことになるのではないかと危惧していた。この格差は確かに起きたが、それは学者らが想定していたものとはまったく違った。







© CC BY-SA 4.0 / Yasuda Auditorium - Tokyo University 3

新型コロナが教育システムを変え、「情報格差」を増加させる






テクノロジーが身近で安価になったことで、スマートフォンタブレットは人間同士の生きたコミュニケーションにとってかわった。そして新型コロナウイルスパンデミック下では、ガジェット(電子機器)が子どもと一緒にリモートワークしている多くの親たちの助けとなった。子どもたちがガジェットでゲームをしたりネット配信のアニメを見ている間、親はリモートワークに集中することができた。しかし、この現象にはマイナス面もある。米心理学者のリチャード・フリード氏は著書『Wired Child』(『ネットワークの子どもたち』)の中で「ガジェットは子どもから幼少期を盗む」と指摘している。



フリード氏によると、内向的でテクノロジー依存の子どもは、低・中所得の家庭に多い。低・中所得世帯には、他の余暇を楽しむためのお金がない。これは子どもの活動に限界を設けるあらゆる制限と同じように、子どもの発達に悪影響を及ぼす。子どもたちは言葉で伝えられる情報を認識するのが難しいためコミュニケーション上の問題が発生し、アクションゲームは制御不可能な感情の暴走を引き起こし、バーチャルリアリティは子どもたちの現実にとってかわる。



ロシア高等経済学院の教授でマーケティングの専門家のイーゴリ・リプシツ氏によると、小さな子どもがスマホタブレットの画面を長時間見続けるのは明らかに良くないことだが、小中高生や大学生にとっては世界を認識するために必要不可欠なツールとなっている。リプシツ氏は、ガジェットと人間の関係についてスプートニクのインタビューで次のように語っている。







© 写真 : Sony

ソニーが独り身のゲーマーのために友達ロボットの製作を検討






「私はスマホタブレットを使用することに反対しているわけではありません。私もこれらの機器をいつも使っていますから。しかし、私の考えでは、小中高生にとっては教師との交流や生徒同士の交流、また電子教材を使用するよりもバーチャルではない教材を使って勉強することの方がはるかに重要です。大学生に関しては、私は通信制ではなく通学制の方がいいと思います。私は通学制の方が好きです。なぜなら私は長い年月をかけ、学生たちと感情のやりとりをし、それによって学生が知識を習得するレベルを高めることを学んだからです。一方、オンライン学習となると、その達成度はかなり低くなります。オンライン学習は、企業研修、個人指導、コンサルティング生涯学習プログラムなどの分野に将来性があります。またオンライン学習は、低所得者や大学の複合施設がある大都市から遠く離れた場所に住んでいる若くて才能のある人たちにチャンスを提供しています。」



バーチャルリアリティへの熱中には、「デジタル貧乏」という呼び名がすでについている。米ニューヨーク・タイムズのネリー・ボウレス氏は「日常生活に存在するデジタルサービスは、ファストフードのように貧困の象徴になりつつある。貧しい人々の生活にガジェットが浸透するにつれて、裕福な人たちの生活からガジェットは消えていく。贅沢とは人と人との触れ合いであり、これは富裕層だけが手に入れることができる」と自身が書いたセンセーショナルな記事の中で結論づけている。同氏によると、1980年代には、テクノロジーを持つことは富と権力の象徴だったが、今はすべてが変わりつつある。現在、銀行や病院、一部の企業やサポートサービスでは人間のオペレーターが対応する前にロボットやチャットボットが顧客に対応する。また、パーソナルマネージャーに直接つながる電話をかけるためには、追加料金を払う必要がある。銀行、デベロッパーや小売業者など、あらゆる企業がモバイルリモートサービス開発に投資しているが、富裕層顧客に対してはパーソナルな対応をしている。ボウレス氏は「ボットとではなく、人とコミュニケーションを取る機会が、新しい(社会的)階級の証になる」と結論づけている。



リプシツ氏は、富裕層と貧困層の消費者は、オンラインサービスの利用拒否によってではなく、スマートフォンやインターネットから独立することによって区別される可能性が高いと強調する。同氏は「すでに現在、最高峰の大学における最高の教授との対面授業、VRゴーグルではなくビジネスジェットでの旅行、世界の有名劇場のバレエやオペラの生中継を映画館で鑑賞するのではなく実際にメトロポリタン歌劇場のホールで鑑賞することなどができるのは、ごく一部の人だけだ。世界の中流階級が縮小していく中で、人間同士の最良の生きたコミュニケーションや人によるサービスは富裕層が優先的に消費するものとなっていくだろう」と述べている。







© Fotolia / Africa Studio

なぜ子どもにガジェットをプレゼントする必要はないのか? 心理学者らの意見






心理学者らは、デジタル機器の過剰使用は依存症に発展する恐れがあると警告している。またメディアは、各人がデジタル機器に全面的に支配されることを意味する「デジタル奴隷」について盛んに報じている。リプシツ氏は、「そのような(デジタル奴隷のような)シナリオも考えられる」と推測している。



スマートフォンを触らない時間は眠っている間だけという人が増えている。そしてかなりの人が必要な情報を頭で記憶するのではなく、デジタル機器に保存することを習慣としつつある。 彼らはスマートフォンで日記をつけ、連絡先やアイデア、立案のための指示などもメモ機能に書き留める。新世代、あるいはデジタルネイティブと呼ばれる世代はテラバイトの記憶装置である自分の脳を持っているのに、重要な情報の保存に関してデジタル機器やSNSを信頼し、情報のスーパー保存装置である自身の脳をまったく使いたがらない。『デジタル奴隷』が現れるかどうかは預言しないが、その現象は複数の操作の要素においてみられる。彼らにとってデジタル機器は『家庭の助っ人』なのだ。使用者が好む行動や買い物の選択肢をより頻繁に紹介するヤンデックス(ロシアのウェブ検索エンジン)の音声アシスタント『アリス』などが、そのいい例だ。」



研究者らが人間の行動や脳活動にパソコンが与える影響を研究している中、大手IT企業はユーザーの注目や関心を彼らが訪問したサイトでより長く留めておくために、ユーザーの注目を集める技術を導入している。WebサイトやSNSで人々が費やす時間が増えれば増えるほど、広告のヒット数も増え、企業の収益も増えていく。この手法にはすでに「アテンション・エコノミー」と呼ばれている。








トランプ米政権、WHO脱退を国連に正式通告 コロナ禍のなか (BBC NEWS JAPAN)

トランプ米政権、WHO脱退を国連に正式通告 コロナ禍のなか (BBC NEWS JAPAN)









https://www.bbc.com/japanese/53330702





トランプ米政権、WHO脱退を国連に正式通告 コロナ禍のなか





2020年07月8日







Reuters

トランプ大統領はWHOについて中国寄りだと批判してきた






世界保健機関(WHO)から脱退する意向を表明していたアメリカのドナルド・トランプ大統領が、脱退に向けた手続きを正式に進めた。



トランプ氏は国連と米議会に脱退の意向を通告した。手続きには最短でも1年はかかるとみられる。



トランプ氏は5月下旬に脱退方針を表明。WHOについて、新型コロナウイルスパンデミック(世界的流行)発生時に中国の影響下にあったと非難していた。





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アメリカはWHOの資金の最大拠出国で、昨年は予算の約15%に相当する4億ドル(約430億円)超を出した。



欧州連合EU)の国々などが再考を求めているが、トランプ氏はWHOを脱退し、拠出金を別分野に振り向けると述べた。



国連事務総長報道官のステファン・ドゥジャリック氏は、米政府から2021年7月6日をもってWHOを脱退すると通告があったことを認めた。



野党・民主党上院議員で、外交委員会の筆頭委員を務めるロバート・メネンデス氏は、「議会はパンデミックのただ中、米大統領が正式に米政府をWHOから離脱させたとの通告を受けた」、「米国民は病み、孤立してしまう」とツイートした。





バイデン氏は再加盟を主張



CBSニュースは政府高官の話として、米政府はWHOに改革の要望を詳しく伝えたが、WHOはこれを拒んだと報じた。



この高官は、「強く求められている改革に取り組まなかったため、関係を絶つことになった」と述べたという。



11月の大統領選挙でトランプ氏と対決する民主党候補のジョー・バイデン前副大統領は、「私は大統領になった初日にWHOに再加盟し、世界の舞台におけるリーダーシップを回復する」とツイートした。



米議会の1948年の決議では、アメリカは脱退が可能だが、1年前の通告が必要で、未払いの拠出金は支払う必要があるとされている。



トランプ氏がこれを守るかは不明だが、国連のドゥジャリック報道官は守るべきだと強調した。



アメリカの脱退は、WHOの財政基盤と、多くの疾病対策や医療プログラムの継続を脅かす。





トランプ氏とWHO



トランプ氏は4月、WHOが30日以内に「大幅な改善」に取り組まない限り、資金拠出を止めると表明。



5月下旬になり、「WHOとの関係を打ち切り、拠出金を(他の国際保健団体などに)振り向けることにした」と述べた。



トランプ氏はこのとき、「世界は中国政府の不正によって苦しんでいる」とし、中国が「地球規模のパンデミックを引き起こした」と付け加えた。



また、中国がWHOに圧力をかけ、新型ウイルスに関して「各国に誤った情報を信じ込ませている」と、証拠を示さずに述べた。



そして、「中国はWHOを完全に掌握している」とした。



ドイツやイギリスなど他の国々は、WHOから脱退する考えはないとしている。



WHOは国連の保健衛生機関として1948年に設立され、スイス・ジュネーヴに本部を置く。194カ国が加盟し、加盟国の拠出金を資金として、各種ワクチン接種や疾病に対する緊急対応などに取り組んでいる。





(英語記事 Trump moves to pull US out of WHO amid pandemic





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アメリカの「最大の脅威」は中国 米FBI長官が説明 (BBC NEWS JAPAN)

アメリカの「最大の脅威」は中国 米FBI長官が説明 (BBC NEWS JAPAN)









https://www.bbc.com/japanese/53331372





アメリカの「最大の脅威」は中国 米FBI長官が説明





2020年07月8日







Reuters

FBIのレイ長官は中国政府がアメリカ国内で広範な活動をしていると語った(写真は2月の議会証言時のもの)






連邦捜査局(FBI)トップは7日、中国政府によるスパイ活動と盗用行為が、アメリカにとっての「最大の長期的脅威」になっていると述べた。



FBIのクリストファー・レイ長官はこの日、ワシントンのシンクタンク「ハドソン研究所」のイベントで約1時間講演。中国はアメリカ側の混乱を引き起こそうと、多面的な活動をしてきたと述べた。



レイ氏によると、中国政府は国外在住の中国人に対し帰国を強要し、アメリカのコロナウイルス研究を妨害しようとしたという。





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「危険度は過去最高レベルだ」とレイ氏は述べた。



また、「中国はどんな方法を使っても世界唯一の超大国になろうと、国家的な取り組みを進めている」と付け加えた。





キツネ狩り」作戦



レイ長官は講演で、中国による妨害行為や広範な経済スパイ活動、データおよび資産の窃取、違法な政治活動などを列挙。中国が賄賂や脅迫によって、アメリカの政策に影響を及ぼそうとしていると述べた。



また、「FBIは今や10時間ごとに、中国が絡む新たな対スパイ活動を開始している」とし、「全国で目下進行中の5000件近い対スパイ活動のうち、半数近くは中国の関係だ」と話した。



レイ氏によると、中国の習近平国家主席はかつて、「キツネ狩り」と呼ばれた活動を指揮したという。この活動は、国外在住で中国政府にとって脅威となる中国人を対象にしているとされる。



「政敵、反体制派、中国の広範な人権侵害を公表しようとする政権批判者などだ」、「中国政府はそれらの人々を帰国させたいと思っており、実現に向けた中国の戦略は驚くべきものだ」。



さらに、「キツネ狩りの対象者の居場所を突き止められない場合は、中国政府はアメリカに住む家族のもとにスパイを送った。どんなメッセージを送ったのか? 対象者には2つの選択肢があることだ。速やかに中国に戻るか、自殺するか」と述べた。





米国在住の中国人に呼びかけ



レイ長官はこの日、異例の呼びかけもした。中国生まれのアメリカ在住者に対し、中国政府当局者が帰国を求めてきたらFBIに連絡するよう訴えたのだ。



中国政府はこれまで、帰国を求める活動について、反汚職が目的の正当なものだとしている。



レイ氏はまた、米司法省と国務省のトップも今週、中国の脅威について説明する予定だと明らかにした。



米中関係はこのところ緊張が高まっている。



ドナルド・トランプ大統領は、新型コロナウイルスの世界的流行について、中国のせいだと繰り返し非難している。一方、マイク・ポンペオ国務長官は今週、短編動画投稿アプリTikTokなど中国のアプリをアメリカで禁止する方針を明らかにしている。



ポンペオ氏は中国のアプリについて、「中国共産党による監視国家の手足として機能している」と述べた。



ワシントンで取材するBBCニュース中国語のザオイン・フェン記者は、レイ氏の講演内容について、「アメリカが中国を攻撃的な敵国としてだけでなく、世界のリーダーをめぐる野心的な競争相手としてみていることを示している」と分析した。





(英語記事 FBI director: China is 'greatest threat' to US





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