【視点】原発再稼働は日本の優先課題(Sputnik日本)[2024.5.27]/日本・福島原発の解体:超人的な作業 (RFI) [2024.6.19]

【視点】原発再稼働は日本の優先課題(Sputnik日本)[2024.5.27]/日本・福島原発の解体:超人的な作業 (RFI) [2024.6.19]









(Sputnik日本)

https://sputniknews.jp/20240527/18496280.html





【視点】原発再稼働は日本の優先課題





2024年5月27日, 09:45







CC BY-SA 2.0 / TEPCO/IAEA Imagebank / Kashiwazaki-Kariwa





リュドミラ サーキャン





日本は柏崎刈羽原子力発電所7号機の約10年ぶりの再稼働を2024年10月に計画している。この原発は、7基の原子炉の総出力が820万キロワットを超え、世界最大級である。ブルームバーグは、「日本はさらに4基の原子炉を2025年後半までに国内の他の原発で稼働させる可能性がある」と書いている。



日本政府は、電力生産をかなりの部分、支えていた福島第一原子力発電所の事故後、電力コストと火力発電所からの温室効果ガス排出量の両方を削減するためには、原発の再稼働が優先事項だと考えている。



柏崎刈羽原発の再稼働は、日本のエネルギー産業にプラスの効果をもたらすのか。日本は世界で最も厳格とされる安全基準を新たに採用したが、にもかかわらず、運用上のリスクは存在するのだろうか?



この問題について、原子力分野の専門家で、原子力科学・技術の発展を支援する団体「アトムインフォ・センター」のアレクサンドル・ウヴァロフ所長は次のように語っている。





「まず指摘しておきたいのは、日本が世界最大の原発の再稼働を準備しているという世界のメディアの見出しは正しくない。再稼働への準備は柏崎刈羽原発全体で進められているのではなく、6号機と7号機の1基もしくは2基だけだ。これらは比較的新しい原子炉で、安全性はかなり高い。このことは、日本のエネルギー部門にとってというよりも、事業者である東京電力にとって重要な意味を持つ。東電は福島原発事故後に停止させた原子炉をこれまで再稼働させてこなかった。これは東電に対する政府や地域からの信頼の問題だ。2023年末、原子力規制委員会柏崎刈羽原発の運転禁止命令を解除した。2024年3月にはIAEA国際原子力機関)の専門家がテロ攻撃に対する防御の観点も含め、設備やインフラを査察した。そして4月、東電は早々と原子炉に核燃料を入れる作業を開始している」



アレクサンドル・ウヴァロフ氏

原子力科学・技術の発展を支援する団体「アトムインフォ・センター」の所長




ウヴァロフ氏は、1ー2基の原子炉を再稼働したところでエネルギー問題に大きな貢献はないとしながらも、これは原子力発電を利用する日本人の意識に変化が生じたことを意味するととらえている。





「日本は原子力に賭けている。原発の部分的な再稼働を実施し、国民の反応を注視しつつ、数か所で段階的に装置を稼働させている。現在、原子力規制庁によれば、エネルギーバランスに占める原子力の割合は10%を少し上回る程度で、柏崎刈羽原発で1-2基を再稼働させたところで、大きな変化には結びつかない。これは、国内の原子力産業を復活させ、国民の信頼を回復するための一歩に過ぎない」



アレクサンドル・ウヴァロフ氏

原子力科学・技術の発展を支援する団体「アトムインフォ・センター」の所長




ウヴァロフ氏は想定されるリスクについて、どの原発潜在的に高いリスクを抱えていると指摘する。





「2011年の福島原発事故後、日本の原発の運転をすべて停止したことは、過剰な対応だったと私は思う。福島の事故は社会を恐怖に陥れ、日本のイメージに大きな打撃を与えた。そして、世界の原子力産業をも大きく震撼させた。原発に対する安全条件は全面的に強化され、運転寿命も見直された。日本国内でも、独立の原子力規制委員会が新設され、専門家が世界で最も厳しいと呼ぶ新基準が策定された。だが、ドイツのように複数のエネルギー供給源を持つ国は、原発を放棄する余裕があるが、日本にとって原発は、安価で安全、かつ環境に優しいエネルギーを供給する唯一の手段だ」



アレクサンドル・ウヴァロフ氏

原子力科学・技術の発展を支援する団体「アトムインフォ・センター」の所長






オピニオン 国内 原発 エネルギー危機 福島







―参考―













(Le demantelement de la centrale de Fukushima au Japon: un chantier surhumain: RFI)

https://www.rfi.fr/fr/podcasts/%C3%A0-la-une-en-asie/20240619-d%C3%A9mantel%C3%A8ment-centrale-fukushima-au-japon-nucleaire-chantier-surhumain





アジアのトップニュース





日本・福島原発の解体:超人的な作業





発表 2024年6月19日 08:28





日本では福島原発の解体作業が遅れを重ねる一方だ。リヒター・スケール9の地震と高さ15メートルの津波により原子炉6基のうち3基がメルトダウンしてから13年余り。原発を運営する東電は解体作業の最も複雑な段階の1つである、原子炉1・2・3号機から880トンの核燃料と溶けた瓦礫を取り出す作業を更に延期すると発表した。この作業は、原子炉2号機では2021年に始まる予定だった。前例の無い程の取り組むべき課題に、作業は再び延期された。







福島原発(日本)と、運営会社・東電により太平洋に放出される水を入れた多数のタンクの航空写真。c via REUTERS - KYODO





全ては福島で考案されることになる。そして、この世でこれほど複雑で危険な作業が行われたことは嘗て無かった。これには、鉄鋼の破片やコンクリートの瓦礫が混じった原子炉格納容器の底から溶けた燃料を取り出す作業が含まれる。コリウムと呼ばれるこの混合物は依然として放射能が非常に高い。



このコリウムを原子炉から取り出して気密容器に入れるために、最も強力な放射能に耐えることのできる電子部品が詰まった、長さ22メートルのロボットアームをイギリスで開発する必要があった。アームは未だ精度と操作性に欠ける。



東電は燃料を取り出す前に原子炉のうち1基の底にミニドローンを送り、その部位を調査した。



この作業は10年続き、ロボットにより遠隔で行われることになる。建屋内の放射能が極めて高いためだ。





処理水の海洋放出



原子炉の底から溶けた燃料を回収するというこの危険な作業に加え、福島原発の解体にはもう1つの問題がある。それは、中国で抗議活動を引き起こしている処理水の海への放出だ。東電は昨年8月、千基の巨大タンクに貯められた100万トンを超える処理水の海への放出を始めた。



この水は、原子炉1・2・3号機の炉心を冷却するために使われる。この水は、高濃度の線量でなければ危険性の無いトリチウム以外の全ての放射性物質を除去してある。東電によると、同原発の処理水100万トンに含まれるトリチウムは3グラム未満だ。





?これも読む:フクシマの水の海への放出:中国と日本の間で初の専門家対話[投稿者の和訳





福島原発は、解体が完了する迄の30年を掛けて水を放出する。毎年、海に放出されるトリチウムの量は、中国や欧州の発電所が放出する量よりも遥かに少ない。しかし、中国は国内の反日感情を目覚めさせるために、これらの放出を政治利用している[投稿者の和訳





作業に40年?



日本は2011年3月11日の福島原発の事故から40年の間、解体の完了にずっと取り組む。しかし、向かうべき課題の複雑さを考えると楽観視は出来ない。



原発の解体と福島県の除染に掛かる費用は1450億ユーロと見積もられている。期限が守られればの話だが…。





記者 フレデリック・シャルル





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日本 核・原子力 福島







―参考―

  • 福島第一原子力発電所の廃止措置等の進捗状況 (2024年3月11日時点)1号機 原子炉格納容器 内部調査について東京電力


  • 処理水ポータルサイト東京電力


  • 【Q&A】ALPS処理汚染水、押さえておきたい14のポイントFoE Japan)[2023.8.20]


  • 原発処理水、6回目の海洋放出開始=東電(Sputnik日本)[2024.5.17]


  • 中国、日本の福島原発汚染水海洋放出に対する厳格・独立・実効性ある長期国際的監督を主張人民網日本語版)[2024.6.11]










    (投稿者より)



    1本目の記事はひと月くらいの前のものです。視点が興味深いので御紹介しました。2本目はフクイチの現況を簡単に纏めています。東電と環境団体の主張の違いをリンクを頼りに御自身で確認なさるのも良いかも知れません。



    ロシアの安定した地質において、核を統御する知見や技術を十分に有するロシアの政府・企業が原発を運営するならば未だ危険は小さいのかも知れません。ただ、日本のいつ大規模地震が発生しても可笑しくない状況の中で、無責任な日本の政府・事業者が運営するには、その一部が活断層の上に立地する(日本の政府・事業者はその事実を誤魔化している場合がある)日本の原発は危険が余りにも大きい、ということだと思います。