「米軍がガザの直接支援を始めた」(BBC NEWS JAPAN)

「米軍がガザの直接支援を始めた」(BBC NEWS JAPAN)









https://www.bbc.com/japanese/articles/cxrz4pvqr41o





アメリカ軍、ガザ地区への援助物資投下を開始  6週間の停戦で合意枠組み妥結か







Reuters

アメリカ軍が開始した援助物資の投下を、ガザ市内から見上げる人たち(2日、ガザ地区






2024年3月3日





アメリカは2日、パレスチナ自治区ガザ地区への援助物資投下を開始した。ヨルダン軍との合同作戦で、軍機3機が4万食近くをパラシュートで落下させた。他方、バイデン米政権の関係者は同日、一部の人質解放を条件にした6週間の停戦にイスラエルが「おおむね」合意したと記者団に述べた。





アメリカのジョー・バイデン大統領は1日、援助物資を投下すると明らかにしていた。



アメリカ政府高官は、昨年10月7日からガザ地区で続くイスラエルイスラム組織ハマスの戦いを、6週間にわたり停戦させるための合意枠組みができあがったとも記者団に話している。



アメリカ中央軍司令本部は2日、C130輸送機がガザ地区沿岸部に3万8000食以上を投下したと発表した。



「この物資投下は、ガザ地区に入る援助物資を増やすための持続的な努力の一環だ。援助物資を増やすため、陸上の回廊やルートから入る物資の流れを拡大する取り組みも行われている」と、司令本部は説明した。



ガザへの援助物資をめぐっては、2月29日にガザ市南西部で物資を運ぶトラックの周りに大勢が集まり、イスラエル軍との間に混乱が生じ、少なくとも112人が死亡している



バイデン米政権の関係者は、この「悲劇的な出来事」によって「深刻な人道状況に対応し、ガザへの人道援助の流れを拡大・維持する重要性」が強調されたと述べている。



ハマスイスラエルが民間人に発砲したと非難している。イスラエル軍は、ほとんどの人は、軍が空中に威嚇射撃した後、お互いを押し合い、踏み合うなどしたため死亡したのだと説明している。



しかし支援団体は、空からの物資投下は援助提供の方法としては効率が悪いと指摘している。



家を失ったガザ住民のメドハト・タヘルさんはロイター通信に、あまりに不十分だと話した。



「学校にとって足りるのか。1万人にとって足りるのか。パラシュートを使って投下するより、検問所を通して援助物資を入れる方がいい」と、タヘルさんは述べた。



バイデン大統領は1日に記者団に対して、「もっともっと多くの人に、必要な支援が届くよう、さらに多くのトラックやルートが入るための便宜を図るよう、イスラエルに強く働きかける」と話していた。





6週間停戦に「おおむね」合意か



他方、匿名のバイデン政権関係者は2日、イスラエルが新しい停戦の条件を「おおむね受け入れた」と話した。



ハマスが、指定されたグループの人質解放に合意すれば、今日からガザで6週間の停戦が始まる。指定グループとは、傷病者と高齢者と女性だ」と、この米政府関係者は話した。



ホワイトハウス関係者によると、カマラ・ハリス米副大統領は4日にワシントンで、イスラエル戦時内閣に参加しているベニー・ガンツ前国防相と会談し、休戦などについて協議するという。ロイター通信が伝えた。



国連の世界食糧計画は、しばらくほとんど援助物資が届いていないガザ北部では飢饉(ききん)が迫っていると警告。ガザ北部では推定30万人が、食べ物や清潔な水がほとんどない状態で暮らしているという。



ハマスは昨年10月7日にイスラエル南部を奇襲し、約1200人を殺害し253人を拉致した。これに対してイスラエルガザ地区への軍事作戦を開始。ハマス運営のガザ保健省は2月29日、ガザ地区の死者が3万人を超えたと発表した。





(英語記事 Israel-Gaza war: US carries out first aid airdrop in strip





関連トピックス イスラエルとパレスチナ イスラエル 外交 アメリカ ジョー・バイデン ハマス イスラエル・ガザ戦争











https://www.bbc.com/japanese/articles/cqljk5zgn8yo





ガザに臨時港、米軍が設置へ 支援物資届けるため







Getty Images

パレスチナ自治区ガザ地区の海岸






2024年3月8日





多くの人が飢餓にひんしているパレスチナ自治区ガザ地区で、人道支援を海から届けられるよう、米軍が仮設の港湾施設を設置すると、ジョー・バイデン米大統領が7日夜(日本時間8日午前)の一般教書演説で発表した。





バイデン大統領は連邦議会で行った一般教書演説で、「我々は、ガザ地区に入る人道援助を増やすため、国際的な取り組みの先頭に立ってきた」として、「私は今晩、米軍に対して、食料、水、医薬品、仮設シェルターなどを積んだ大型船の受け入れを可能にするため、地中海に面するガザの海岸に仮設の埠頭(ふとう)を設置する、緊急任務の先頭に立つよう指示する」と述べた。



大統領は、「アメリカ軍が地上に展開することはない」と強調したうえで、「この仮設埠頭によって、ガザに毎日入る人道援助の量を大幅に増やせるようになる」と述べた。



米当局によると、米軍は海上の船から海岸まで支援物資を運ぶため、臨時の桟橋などを設置する。これにより、パレスチナ人への人道支援は1日あたり「トラック数百台分増える」という。



埠頭の設置には「数週間」かかる。食料、水、医薬品、一時的なシェルターなどを積んだ大型船が停泊できるようになる。



最初の積み荷はキプロス経由で運び込まれる予定。キプロスではイスラエルが積み荷を検査する。



道路の建設や陸上での安全確保を、誰が担うのかは不明。そのため、この計画が成功するのかは不透明な状況だ。



米軍がガザに駐留する予定はないという。



国連は、ガザの人口の4分の1が飢餓寸前の状況にあると警告している。



ガザでは、イスラエル軍空爆や地上作戦を続けている。ガザのイスラム組織ハマスは昨年10月7日にイスラエル南部を襲撃し、約1200人を殺害、253人を人質として連れ去った。



ハマスが運営するガザ保健当局は、イスラエル軍の作戦が始まって以降、ガザでは3万800人以上が殺害されたとしている。





国連特別報告者がイスラエルを非難



ガザには水深の深い港がない。そのためアメリカは何週間か前から、支援物資を緊急に運び入れる方法を検討してきた。アメリカはガザの危機的状況をめぐり、改善を求めてイスラエルへの圧力を強め、いら立ちを表明してきた。



BBCアメリカで提携する米CBSニュースに米当局者が語ったところでは、ヴァージニア州フォート・ストーリーを拠点とする第7輸送旅団が桟橋を設置する計画がある。この旅団は機動的な迅速展開が可能だが、軍の船舶はまだアメリカを出発していないという。



世界保健機関(WHO)は今週、ガザ北部で子どもたちが餓死していると警告した。推定30万人のパレスチナ人が、食料も清潔な水もほとんどない状態で暮らしているとした。



支援物資を運ぶ車両は現在、エジプトが管理するラファ検問所と、イスラエルが管理するケレム・シャローム検問所を通ってガザ南部に入っている。一方、イスラエルが地上作戦を最初に開始したガザ北部では、ここ数カ月、支援がほぼ届かなくなっている。



中東地域で展開する米海軍第五艦隊の司令官だったケヴィン・ドネガン退役中将は、BBCラジオに対して、港湾設置計画は「実施可能」だが、大量の物資の搬入という意味ではやはり陸路経路が最も効率的だと話した。さらに、港から陸揚げした援助物資を安全に住民に届けるための、「しっかりした配布ネットワーク」が重要だと指摘した。



絶望的な状況が悪化するなか、先週には支援物資の車列に近づいた100人以上が命を奪われたパレスチナ人らは、死者の大半はイスラエル軍によって射殺されたとした。物資輸送を管理する立場のイスラエル軍は、ほとんどは群衆の殺到によって死亡したとした。



世界食糧計画(WFP)は2月20日、ガザ北部への3週間ぶりの支援の車列が、秩序の崩壊による暴力的な略奪などに遭ったため、北部への食料輸送を中断すると発表した。



アメリカなどの国々は、支援物資を空から投下している人道支援団体は、この方法は最終手段であり、需要の急増に応えるものではないとしている。



食料の権利に関する国連特別報告者のマイケル・ファクリ氏は7日、国連人権理事会で演説し、イスラエルを「ガザのパレスチナ人に対して飢餓キャンペーン」を展開していると非難。各国に向けて、「ガザでの飢餓の映像は耐え難いが、あなたたちは何もしていない」と訴えた。



これに対し、イスラエル国連代表部の法律顧問イエラ・シトリン氏は、「イスラエルが飢餓を戦争の道具として使っているという主張を、イスラエルは完全に否定する」と述べ、抗議のため退席した。





ハマスが停戦協議を離れる



一方、エジプト・カイロで開かれていたガザでの停戦をめぐる協議で、ハマスの代表団は合意のないまま現地を去った。イスラエルとの間接的な交渉は続けるとしている。



イスラム教のラマダン(断食月)が来週始まるまでに、40日間の停戦が実現することが期待されていた。



仲介役のエジプトとカタールは、ハマスイスラエル人の人質を解放し、イスラエルが刑務所に収監しているパレスチナ人を釈放するという条件での停戦合意を目指しているが、困難な状況が続いている。





(英語記事 US to set up temporary port on Gaza coast for aid delivery





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(投稿者より)



米軍は開戦当初はイスラエルのために空母打撃群を地中海に派遣しました。更には海兵隊の展開も検討されていました。その米軍がガザを直接支援するようになっています。



イスラエルを支持する米国に対する世界の目は厳しく、最近では米国もそれを意識して、副大統領がイスラエルを批判するようになっています。



ただ、待望の停戦は結局実現せず、ガザは飢餓の中で断食月(ラマダン)に入りました