円が急落する中、日本は米国製兵器の購入を続けるために自国の防衛産業を「犠牲」にするかも知れない(Sputnik International)

円が急落する中、日本は米国製兵器の購入を続けるために自国の防衛産業を「犠牲」にするかも知れない(Sputnik International)









(Japan May 'Sacrifice' Own Defense Industry to Continue Buying US Weapons as Yen Plummets: Sputnik International)

https://sputnikglobe.com/20231106/japan-may-sacrifice-own-defense-industry-to-continue-buying-us-weapons-as-yen-plummets-1114751212.html





円が急落する中、日本は米国製兵器の購入を続けるために自国の防衛産業を「犠牲」にするかも知れない





2023年11月6日 11:12 GMT (更新:2023年11月6日 11:37 GMT







© AFP 2023 / STR





日本の岸田文雄首相は軍事支出を派手に増やしており、これに伴い、近隣諸国からの脅威という米国主導の主張によって合理化された大規模な防衛力増強と防衛調達が行われている。しかし、日本の経済はその野心的な拡大を台無しにしたようだ。





日本は、5年間に43.5兆円相当の歴史的な防衛力の強化を想定した野心的な軍事支出計画の縮小を余儀なくされたようだと、モスクワ国際関係大学(MGIMO)国際問題研究所の東アジアおよび上海協力機構研究センター上級研究員オレグ・パラモノフ氏がスプートニクに語った。



世界第3位の軍事支出国になるという東京の希望は円の急落により弱まったかも知れないが、「計画を放棄するという話はまだない」と、この専門家は述べた。



「これは、例えばF-35戦闘機の購入の場合に特に当てはまる。私たちはこれらの計画の修正について話している。日本の円安の問題については、日本の中央銀行の緩和的な金融政策の設定、米国の連邦準備制度の強硬な政策、燃料価格の高騰などの多くの要素が原因となっている。基本的には、日本経済は輸出志向を維持しようとしていることが明確になるだろう。日本は戦後の期間を通じて輸出大国で通っていたのだ。最近このことが問題になっており、東京はこの地位を取り戻そうとしている」と、パラモノフ氏は述べた。



日本の通貨である円の下落により、日本政府は巨額の軍事支出計画の見直しと縮小を余儀なくされたと、ロイターが日本政府筋の話として既に報じている。日本の防衛省が2023年度比12%増となる530億ドルという途方も無い規模の2024年度防衛予算を要求したところ、この防衛調達計画には3,200億ドルの経費が掛かると計算されたと、関係者たちは述べた。報道によれば、この購入計画が作成された時には日本政府は自国通貨の為替レートを1ドル=108円と想定していた。実際、これは2021年夏に円が最後に取引されたレートだった。しかし、11月初旬までに円は現在のレートとほぼ同じ1ドル=151円まで下落した。これが、日本が軍事調達の削減を始める切っ掛けになったとされている。





以前、岸田文雄氏は第2次世界大戦以来最大の日本の防衛力強化を「歴史の転換点」としてこれを称賛した。2023~24年の530億ドルの予算案には、米国製の第5世代F-35AおよびF-35B戦闘機15機を購入する資金のほか、精密誘導ミサイル一式や部隊・装備品の輸送を改善するための船舶を購入する資金が含まれている。資金はイージス駆逐艦2隻と新型フリゲート艦の建造や、更にはいわゆる滑空段階迎撃用誘導弾(GPI)の米国との共同開発に充てられることになっていた。




しかし現在、両国の政府と業界関係者はロイターに対し、日本は2024年に購入する航空機の数を減らす考えだと語った。円安はトマホーク巡航ミサイルからF-35ステルス戦闘機に至るまで、有らゆるものの費用が総じて高騰したことを意味すると、報告書は付け加えた。記事によると、日本はそれでも先進的な米国製ミサイルへの支出を優先し、「日本製の支援機やその他の副次的な装備」に充てられる資金は減るだろうと記されている。



また、日本の中央銀行が通貨緩和政策を採っているために円安が持続的に進んでいることにも留意すべきだ。通貨安の主な原因は、日米の中央銀行の通貨政策の違いにある。米国の連邦準備制度が基準金利を引き上げる一方で、日本銀行は基準金利をマイナスに維持している。日銀が10月31日に1%の水準を基準点として10年物国債の利回りの制限緩和に踏み切った後も、円は対ドルで1.7%下落した。更に、日本の中央銀行政策金利マイナス0.1%に維持した。







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円安の影響



パラモノフ氏は「円安は日本企業、特に輸出志向の業界の利益となるが、一般に日本の安全保障分野にとっては、ここで多くの深刻な課題が生じる」と強調した。



「この国は、防衛能力を潜在的な経済力に合わせようとしている。新しい国家安全保障文書は、国防支出の大幅な増加を仄めかしている。同時に、政府は2つの重要な問題を解決する考えだった。第1は日本の防衛力強化だ。形式的には憲法の平和主義条項がまだ効力を持っているが、私たちは既に『軍事力』について話すことが出来る。したがって、私たちは寧ろ、潜在敵国の戦略的に重要な目標―例えば指揮所やミサイル発射装置など―を攻撃するための手段と言えるものが日本に出現したことを含めて、防衛力について話している」と、専門家は説明した。



2022年12月、日本の岸田文雄首相の政府は今後5年間で国の防衛費を倍増させることを見込んで、国家安全保障戦略(NSS)、国家防衛戦略、防衛力整備計画という3つの政策文書を承認した。




その意図は主にトマホークミサイルを含む米国製兵器の購入を通じてこの課題を解決することにあったとパラモノフ氏は明解に述べ、円をめぐる状況が計画の実施に深刻な影響を与えたのはここでだと付け加えた。彼は次のように続けた、





「日本は既にトマホーク巡航ミサイルの最新型を購入する計画を放棄し、実績のある旧型に変更することを選択した。しかし同時に、この軍備増強に関連する計画は自衛隊潜在的攻撃力と攻撃能力を持たせるものであるため、全体に対する重要な修正は行っていない。しかし、それでも、日本は何か別のことで節約が必要になるだろう。」






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『国の防衛産業の利益を犠牲にする』



新しい計画文書で具体的に議論されたもう1つの問題は、日本ではかなり長い期間に亘り停滞状態にある国の防衛産業への支援だったとこの専門家は振り返り、日本は2010年代半ばまでかなり長い間に亘り軍需品の輸出に制限を設けていたと付け加えた。日本の防衛産業は、防衛省自体からの購入量が少なく、海外市場への進出できないという困難な状況に直面していた。したがって、多くの企業がこの分野から撤退を始めたと専門家は述べた。



日本には古典的な意味での軍産複合体が存在しないため、原則として軍需品の生産は三菱・川崎・スバルなどの大企業や企業集団の一部の部門が引き受けている。日本の財界にとって軍需品の生産に携わることで利益を生むことは最早無くなっている。





したがって、防衛費を増額する目的の1つは、日本企業が日本の軍隊向けに製造する製品の購入を広げることによって国の防衛産業を振興することにあった。しかし、どう考えても、「これこそが正に日本が今節約しなければならないことだ」と、パラモノフ氏は主張した。




「日本の自衛隊に攻撃能力と潜在的攻撃力を与える、そしてもう一方で、国の防衛産業を支援する。これらの2つの問題を解決するとき、日本は最初の選択肢を取るという結論に達するだろう。そして、米国製武器の購入に重点を置くのは正にこの選択を前提としている」と、この専門家は語った。



パラモノフ氏は、「日本は米国製兵器、特にF35戦闘機やトマホーク・ミサイルの購入を優先して国の防衛産業の利益を犠牲にせざるを得なくなるだろう」と考えていると述べた。したがって、防衛省は「強化された防衛資金の受益者となることを望んでいたが、ここで深刻な失望に直面しそうだ」とパラモノフ氏は推測した。



ワシントンは展開しつつある状況を念頭に入れながら、日本が米国製武器の購入を続けることや、自衛隊に攻撃能力を与える方針に関与を続けることについて既得権益を持っていると、パラモノフ氏は強調した。



米国にとって重要なことは、日本がミサイル防衛の分野で米国との協力により自衛隊に攻撃能力を与える計画を放棄しないことだと、同氏は付け加えた。これは米国のトマホーク・ミサイルの購入を前提としている。当初、日本は最新鋭の「ブロック5」ミサイル400発を購入する予定だった。現在、財政難のため、日本はまず80年代に開発された「ブロック4」ミサイルを200発購入し、次にさらに「ブロック5」ミサイルを200発購入することを計画している。ただし、購入時期は2026年から2025年に繰り上げられる予定だ。



パラモノフ氏は、米国のトマホーク・ミサイルが日本に配備される時期を変更するには米国議会の承認が必要だという側面が残っていると述べ、これらの進展は全て、近隣諸国からの「脅威」を認識しているという口実の下で、アジア太平洋地域における前例のない軍事力強化という米国の戦略に適合すると付け加えた。



この専門家は次のように要約した。





「これはワシントンにとって最も重要なことだ。日本は米国製装備品の購入が受ける影響を最小限に抑えるために、有らゆることを試みるだろう。ワシントンにとって、日本が自国の防衛産業を犠牲にして経費を節約し、米国が軍事生産の分野で新たな競争相手に直面する必要が無くなることは、ある程度は有益だ。」






分析 日本 経済 日本銀行 岸田文雄 軍事化







―参考―














(投稿者より)



ビジネスとしての戦争と、国家が当然に保有する権利である自衛権の発動としての戦争を分けて考える必要があると思います。戦争屋勢力に手を貸してお金儲けのために人命を弄ぶ行為を助長することは慎むべきですが、憲法の精神を尊重して専守防衛を果たす上での装備品の生産は十分に保護すべきだと考えます。