発展途上国が他通貨に決済手段を移行する中で、米ドルの覇権は崩壊を始めている(Global Times) タッカー・カールソン:米ドルが基軸通貨でなくなるとどうなるのか? https://t.co/aJhohN2bR8 pic.twitter.com/skKfAEFF3k
(US dollar hegemony starts to crumble amid developing economies' shift to other currencies for settlements: Global Times)
https://www.globaltimes.cn/page/202304/1288446.shtml
情報源/経済
発展途上国が他通貨に決済手段を移行する中で、米ドルの覇権は崩壊を始めている
記者 環球時報スタッフ記者 発表 2023年4月2日 11:04 PM
ニューヨーク・マンハッタンの眺め Photo: VCG
世界中の国々が脱ドル化を加速し、安定をもたらす他の通貨への移行を進めている。一部の専門家たちによると、これは過去数年間の金融・財政の散財やドルを兵器として用いたロシアに対する容赦ない制裁を含む、米国の無責任な金融政策の結果だ。
2008年の世界金融危機以来、主要経済国は米国通貨への依存を減らすために様々な試みを行ってきたが、過去2週間にこれ程に多くの国が脱ドル化に向けて顕著な動きを見せたことは、この10年間で無かった。
中国とブラジルは媒介手段としての米ドルを捨て、双方の自国通貨で貿易を決済することで合意に達したと、AFPは水曜日にブラジル政府を引き合いに出して報じた.
報道によると、ブラジルでは元の資産額がユーロを上回り2番目に大きな外貨準備になり、2022年末にはブラジルの中央銀行の保有高の5.37%を占めた。これと比較して、ユーロは4.74%を占めた。
米国は中国の台頭を封じ込めることを狙ってインドの機嫌を取っているが、そのインドはドルを敬遠している。インドとマレーシアは現在、他の通貨に加えてインドルピーを使用して取引を決済できるようになったと、タイムズ・オブ・インディアが日曜日にインド外務省を引き合いに出して報じた。
更に、東南アジア諸国連合(ASEAN)の財務大臣と中央銀行総裁はインドネシアで先週に開催された地域の会議で、金融取引における米ドル、ユーロ、円、英ポンドへの依存の軽減について議論し、現地通貨での決済取引を始めた。現地メディアのASEANブリーフィングが水曜日に報じた。
ドルの魅力は失われた
最も重要なことは、国際石油貿易におけるドルの数十年に亘る支配力が崩壊を始めていることだ。これは、他通貨を用いて取引を始めた経済大国の数が増えているからだ。中国は火曜日、国境を越えた人民元決済を使用して、仏トタルエナジーズ社から液化天然ガス(LNG)の最初の購入を完了した。
日曜日、北京・中国人民大学国際通貨研究所の涂永紅(Tu Yonghong)教授は、国際バルク商品市場では市場における買い手の価格決定力が米国から中国に移行したことにより、人民元の国際化が加速していると、環球時報に語った。
「米国は原油の最大の輸入国から輸出国になったが、中国は世界最大の石油の買い手になった」と、彼女は説明した。
武漢科技大学金融証券研究所の董登新(Dong Dengxin)所長は、「世界的な脱ドル化の動きは加速している。米国は過去20年間ドルを国際準備通貨として絶えず乱用しており、他の通貨や経済に打撃を与えてきた」と、環球時報に語った。董氏によれば、世界が多極化に向かっており、また、米国がもはや世界最大の貿易経済国ではないためにドルの覇権は徐々に崩壊しているが、これは避けられない傾向のようだ。
日曜日、中央財経大学金融学部の専門家・譚小芬(Tan Xiaofen)氏は、脱ドル化は国際貿易の評価と決済に関して不可逆的な傾向を示していると、環球時報に語った。
「ロシアとウクライナの対立、新型コロナウイルスのパンデミック、その他の地政学的要因により、各国は金融の安定について再考するようになった」と譚氏は述べた。
涂氏は、多くの国がデジタル経済の発展というニーズに適応しようとしている。そのため、米ドルの代わりとなるデジタル通貨決済を含め、国際決済システムを改革する必要があると述べた。
例えば、複数の中央銀行による「デジタル通貨ブリッジ事業」は、実験段階から試行段階に移った。涂氏によると、この事業により2国間通貨を使用したポイントツーポイント決済が実現できるため、大幅な貿易効率の向上とコストの削減が可能になる。
無責任な米国の政策
ブレトンウッズ協定のお蔭で世界最大の金準備に支えられ、ドルは第2次世界大戦後に世界の準備通貨としての地位を獲得した。他の国々は安全な避難所と信じてドル資産の蓄積を急いだ。
しかし、米国の無責任な金融政策は発展途上国に度々悪影響をもたらした。2008年、米国のサブプライム・ローンは世界的な金融危機を引き起こし、2020年のパンデミック発生を受けた米国連邦準備制度理事会の超緩和的な金融政策や、現在の急速な金融引き締めは全て他国の経済に深刻な打撃を与えている。
米国は大規模な金融・財政刺激策を取って世界をドルで溢れさせ、その後で暴走するインフレを抑えるために過去数十年に見られた中で最も粗暴な金融政策の引き締めに訴え、世界の金融市場に深刻な混乱を及ぼした。その結果、コモディティを輸出しドルで借り入れを行う多くの発展途上国は、インフレ・現地通貨の下落・資本流出などのリスクに直面している。
「実際、世界的な脱ドル化はずっと前に始まっており、最近の米国の粗暴な利上げ政策と米国の銀行システム危機のために、各国は米国の金融システムの健全さについて心配するようになった。これが米ドルの変動性を増大をもたらすかも知れないからだ」と、涂氏は述べた。
更に、ロシアとウクライナの紛争が始まって以降の米国主導によるロシアに対する国際的な金融制裁が、ドルシステムに対する信頼の危機を引き起こしていると、独立アナリストのTian Yun氏は環球時報に語った。ドル資産を削減する国の数が増え、国境を越えた投資と貿易決済で中国元を含む他の通貨に頼ると予想されると、彼は予測した。
アナリストたちは、国際貿易における米ドルの地位を弱めるためのデジタル通貨ソリューションを開発することにより、様々な国がいくつかの現地通貨による決済の実験を試みていると指摘した。
重要性を増す元
中国国際経済交流センターの朱民(Zhu Min)副理事長は、手形や代金の決済に人民元を採用することを望む国が増えている。これは元の国際化に向けた「重要なステップ」であり、元に対する国際社会の信頼が増していることの現れだと、先週のボアオ・アジアフォーラムの傍らで述べた。
拡大を続ける中国の巨大経済を背景に人民元は旺盛な活力を発揮し、世界的な認知度を高めている。公式データによると、元は世界で5番目に大きい決済通貨、3番目に大きい貿易決済通貨、5 番目に大きい準備通貨になっている。
ドルの借り入れコストは、拡大する外国貿易と経済のためにドルを借り入れている多くの発展途上国にとって容認できないレベルにまで上昇しているが、中国は比較的コストの低い人民元の資金調達を活用して、世界における人民元の国際化を更に後押しすべきだと、Tian 氏は述べた。
IMFの特別引出権(SDR)における元の重要性は、2016年10月にSDRバスケットに参加した後に大幅に増大した。IMFの統計によると、2022 年の SDRにおける元の構成比は12.28% だった。
―参考―
(投稿者より)
記事は主に中国の視点から書かれていますが、これを裏返して米国の視点から眺めたときも、意外と「脱ドル化」は必ずしも不利益には成らないように見えます。
米国は石油の自給を達成したことにより、中東に影響力を保持する必要が無くなりました。そのため、ペトロダラーを維持する必要が無くなり、更にはこの体制の裏付けと成る強大な軍事力を維持する必要も無くなりました。現在中東において米国の影響力が急速に小さくなり、その穴を埋めるように中国の影響力が急速に増していますが、それはこの現れでしょう。
世界が決済通貨としてドルを使う機会を減らせば海外でドルがダブつきますが、これを回収して整理する過程で銀行屋も戦争屋も整理すればスッキリします。これらは米国の世界覇権を支える力でしたが、覇権を捨てると決めてしまえば単に重荷でしかありません。その上で堅実なモノ作りの国として米国を再生させる。あるいは、米国側もそこまで視野に入れているかも知れません。
今回も大風呂敷を広げてみましたが、仮にそうなった場合には日本は軍事も経済も米国に依存することが出来なくなります。どうなるでしょうか?様子を見たいです。