「2022年北京五輪:米国が外交ボイコット」(BBC NEWS JAPAN・人民網日本語版・Sputnik日本)
(BBC NEWS JAPAN)
https://www.bbc.com/japanese/59558507
アメリカ、北京五輪を外交ボイコット 政府代表団は送らず
2021年12月7日
Getty Images
アメリカでは与野党がそろって北京五輪のボイコットを主張している
アメリカは6日、来年2月に中国・北京で開かれる冬季オリンピックを「外交ボイコット」すると発表した。
ホワイトハウスは、中国の人権状況について懸念しているとし、政府の代表団を派遣しないと説明した。
ただ、米選手の出場は可能だとし、政府として全面的に支援すると述べた。
中国はこれまでに、ボイコットすれば「断固とした対抗措置」を取ると表明している。
ジョー・バイデン大統領は先月、外交ボイコットを検討していると明らかにしていた。
「何事もないようには」
ホワイトハウスのジェン・サキ報道官はこの日、外交ボイコットをすると表明。バイデン政権は北京オリンピックの「大宣伝」に協力しないと述べた。
「中国が新疆でひどい人権侵害と残虐行為を実施しているのに、アメリカの外交や政府の代表は何事もなかったかのように今度の大会に対応するなど」、「そんなことは決してできない」。
一方で、「この時のために練習してきた選手たちを罰するのが正しい対応」だとは、米政府は考えていないと説明。政府代表団を派遣しないことで「明確なメッセージを送ることができる」とした。
アメリカは1980年のモスクワ五輪を、選手を含めてボイコットした。前年に当時のソビエト連邦がアフガニスタンに侵攻したことへの抗議だった。
バイデン政権の外交ボイコットは、それに比べるとかなり弱いものとなる。
ソ連と同盟国は仕返しとして、1984年の米ロサンゼルス五輪をボイコットした。
ロサンゼルスでは2028年に再び、夏季オリンピックが開催される予定。
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与野党とも支持
米議会は与野党とも、中国の人権侵害への抗議として、北京五輪をボイコットするよう求めてきた。
そのため外交ボイコットが発表されると、両党の政治家がその判断をたたえた。
野党・共和党のミット・ロムニー上院議員(ユタ州)は、バイデン政権による代表団派遣の「拒否は正当」だとツイート。
与党・民主党幹部のナンシー・ペロシ下院議長も、政権の判断を称賛するとして、こう述べた。
「私たちは自国の選手を応援し祝福するべきだ。だからといって、集団殺害や大規模な人権侵害を実行している国でオリンピックを開くことが、まるで何ら問題ないかのように、今度の大会を正式に認めて、そのまま前に進むなど、アメリカも世界も、そんなまねはできない」
不十分との主張も
米政府の対応は不十分だと訴える議員もいる。共和党のトム・コットン上院議員(アーカンソー州)は、外交ボイコットでは「中途半端」だと主張。北京五輪を「完全にボイコット」すべきだったとし、次のように唱えた。
「アメリカ企業は中国共産党を金銭的に支援すべきではない。また、米選手団を、自国の選手を行方不明にしてしまうひどい政権の危険にさらしてはならない」
民主党のティム・ライアン下院議員(オハイオ州)も、外交ボイコットでは「不十分だ」と主張。「中国は繰り返し、オリンピック開催の栄誉に値する国ではないことを自ら示している。大会は別の場所で開かれるべきだ」と述べた。
英や豪もボイコット検討か
アメリカは、主に中国・新疆ウイグル自治区で暮らすウイグル族やイスラム教徒の少数派などを弾圧しているとして、中国政府を非難している。
米中関係は、中国が香港の政治的自由を抑え込んでいることや、中国高官による性的暴行を告発したテニス選手の彭帥さんの安否が懸念されていることをめぐっても、緊張が高まっている。
女子テニス協会(WTA)は先週、中国での大会開催を停止すると発表した。
北京五輪のボイコットは、イギリスやオーストラリアなど他の国々も検討していると言われている。
BBCのロビン・ブラント上海特派員は数カ月前、英政府の中国政策に深く関わる高官に取材した。高官は当時、ボイコットに同調すれば、イギリスはアメリカの「プードル」だと思われてしまうと話していた。
中国は批判
中国は北京五輪のボイコットについて、甘い憶測にもとづくこれ見よがしの行動だとしていた。また、そもそもアメリカ政府の代表は、まだ誰も招待されていないと述べていた。
外務省の趙立堅報道官は定例記者会見で、「冬季オリンピック大会は政治的なアピールや画策の場ではないと強調したい」と話していた。
また、「アメリカが勝手な振る舞いをするなら、中国は断固とした対抗措置を取る」としていた。
アメリカが外交ボイコットを発表すると、中国の在米大使館は、「オリンピック憲章の精神を大きくゆがめるものだ」と主張した。
同大使館の報道官はロイター通信に、「(米政府代表の)人々が来るのか来ないのか、誰も気にしないだろう。北京2022冬季オリンピックの成功には何の影響もない」と述べた。
オリンピックには、各国が政府代表を派遣するのが通例だ。今年夏の東京五輪でアメリカは、ジル・バイデン大統領夫人が率いる代表団を送った。
(英語記事 US diplomats to boycott 2022 Beijing Olympics)
関連トピックス 少数者の権利 人権 外交 アメリカ 中国 人種民族関係 政治 オリンピック スポーツ アジア
―参考―
(人民網日本語版)
http://j.people.com.cn/n3/2021/1207/c94474-9929549.html
米政府が北京冬季五輪「外交的ボイコット」発表 中国「五輪は政治工作の舞台ではない」
人民網日本語版 2021年12月07日14:25
CNNによると、米ホワイトハウスのサキ報道官は6日、2022年の北京冬季五輪について、バイデン政権が政府関係者を派遣しないという「外交的ボイコット」を正式発表した。これに先立ち、ウォール・ストリート・ジャーナルなどの米メディアも、今週中に「外交的ボイコット」が発表されると繰り返し予測していた。
米政治ニュースサイトの最新の報道によると、国際オリンピック委員会(IOC)のディック・パウンド委員は米側の行動について、中国に対して基本的に何の影響も与えないとの見方を示した。
また、米メディアがこうした予測を繰り返した6日の時点で、すでに中国外交部(外務省)の趙立堅報道官が定例記者会見でこの問題についてコメントしていた。
趙報道官は「北京冬季五輪は世界中の冬季五輪選手と冬季スポーツ愛好者の大会であり、彼らこそが主役だ。現在、北京冬季五輪の準備作業はすでにカウントダウンとラストスパートの段階に入っており、IOCを含む国際社会に高く評価されている。各国選手は中国で競技に参加することを大変楽しみにしている。そこには参加人数の多い米国や日本も含まれている」と指摘。
「冬季五輪は政治的パフォーマンスや政治工作の舞台ではない。米国の政治屋は、北京冬季五輪に招待されてもいないのに外交的ボイコットを大げさに宣伝し続けている。これは完全に自意識過剰の政治工作であり、オリンピック憲章の精神に対する重大な冒涜であり、露骨な政治的挑発であり、それ以上に14億の中国国民に対する深刻な侮辱だ。その結果、中国と全世界の人々が米国の政治屋の反中国的な本質と偽善性をはっきりと見抜くことになるだけだ」と強調した。
また「米側は重要分野での中米間の対話と協力に影響が生じないよう、態度を改め、『より団結』というオリンピック精神を実行し、中国の懸念に真剣に対処し、スポーツを政治化せず、北京冬季五輪のいわゆる『外交的ボイコット』の大げさな宣伝を止めるべきだ。米側が独断専行するならば、中国側は必ず断固たる対抗措置を取る」とした。(編集NA)
「人民網日本語版」2021年12月7日
―参考―
- 外交部「米側は北京五輪妨害の言動を止めるべき」(人民網日本語版)[2021.12.8]
- 豪の政治屋が騒ぎ立てても北京冬季五輪に影響なし(人民網日本語版)[2021.12.9]
(Sputnik日本)
https://jp.sputniknews.com/20211207/ioc-9691423.html
IOC 「米国の声明は、五輪と選手の参加は政治を超越することを明確にした」
2021年12月7日, 20:50
© Sputnik / Anton Denisov
国際オリンピック委員会(IOC)は、米国が2022年北京冬季五輪に関して、自国選手の出場を制限しないと決定したことを歓迎する。これよりも前、米国は北京五輪を「外交ボイコット」するとし、選手は出場できるが政府関係者を派遣しないと発表した。IOCは、スポーツは平和な世界を実現する手段であるべきとしている。
IOCの報道官は、「政府関係者や外交官の出席は、各政府の純粋に政治的判断によるものであり、政治的に中立な立場からIOCはこれを深く尊重する。また、この決定は五輪とアスリートの参加は政治を超越していることを発信するもので、我々はこれを歓迎する」とロシアメディア「ガゼータ・ルー」に語った。
日本政府 北京五輪への政府関係者派遣について「何ら決まっていない」=林外相
2021年12月7日, 12:58
今月の国連総会本会議では「スポーツと五輪の理想を通じて、平和でより良い世界を構築する」という決議が全会一致で採択された。
これは、五輪開幕7日前からパラリンピック閉幕7日後まで休戦を求める、いわゆる休戦決議で、平和な世界の実現とアスリートとオリンピックへの支持を表明するものとなっている。
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