「中国が台湾を攻撃した場合には米国は台湾を防衛する―バイデン氏」(BBC NEWS JAPAN・フォーカス台湾・中国国際放送局)
(BBC NEWS JAPAN)
https://www.bbc.com/japanese/59019611
バイデン氏、中国が攻撃すれば台湾を防衛と 政府報道官は政策不変と説明
2021年10月23日
Getty Images
バイデン米大統領
ジョー・バイデン米大統領は21日、台湾が中国から攻撃された場合は、アメリカが台湾を防衛すると発言した。ホワイトハウス報道官は後に、アメリカの中台政策に変更はないと説明したものの、アメリカが台湾への防衛義務を認めることは、アメリカが中台関係について長く維持してきた「戦略的あいまいさ」方針からの離脱を意味する。
アメリカは1979年の台湾関係法で、台湾防衛のため武器を提供し、台湾住民の安全のため適切な行動を取らなければならないと定めているものの、防衛義務は明記されていない。「戦略的あいまいさ」政策で、もし中国が実際に台湾を攻撃した場合、どう対応するかは意図的に明示してこなかった。
これについて米CNN主催のタウンホール・イベントで参加者が大統領に、「台湾を守ると約束」するかどうか尋ねた。中国が超音速ミサイルの試験発射を実施したという最近の報道を念頭に置いた質問で、中国の軍拡にアメリカが対抗していくのかも尋ねた。
質問に対してバイデン氏は、「イエスとイエスだ」と答えた。さらに、「中国とロシアをはじめ世界中が、アメリカ軍こそ世界で史上最強の軍隊だと承知している」ため、中国が軍事力で優位になるかどうか「心配する必要はない」と述べた。
司会者のアンダーソン・クーパー氏が重ねて、もし中国が台湾を攻撃したらアメリカが守るのかと尋ねると、バイデン氏は「ええ、そう約束している」と答えた。
これについてホワイトハウス報道官は後に、米メディアに対して、アメリカは「政策変更を発表したわけではないし、政策に変更はない」とい説明した。
バイデン大統領は今年8月にも、米ABCニュースに対して、台湾防衛について同様の姿勢を示した。その時もホワイトハウスは、アメリカの台湾政策に変更はないと説明していた。
今回のバイデン大統領の発言を受けて、中国外務省の汪文斌副報道局長は22日の記者会見で、「台湾は中国の不可分の領土だ。台湾の件は純粋に中国の内政問題であり、外国の干渉は一切受け入れられない」と強調。
「中国の主権、領土の一体性など他の核心的な国益について、中国が何かしら譲歩したり交換条件を受け入れるなど、誰も期待してはならない」と述べた。
「我々はアメリカに対して『ひとつの中国』原則と3つの中・米共同コミュニケの内容を誠実に守り、台湾問題に関する言動は慎重に行い、『台湾独立』分離派へ誤った合図を送ったりしないよう呼びかける」
また、アメリカの「誤った合図」次第では、「米中関係と台湾海峡の平和と安定が深刻に悪化」しかねないとも話した。
一方、台湾総統府の張惇涵報道官は、台湾は圧力に屈しないし、支援を受けても「無謀に前進」したりしないと述べ、「台湾は自衛のため断固たる決意を示す」と話した。
さらに、バイデン政権は台湾を「揺るぎなく」支持し続けているとも述べた。
<解説> スティーヴン・マクドネル中国特派員
台湾統治権をめぐり戦争の話題が最近しきりに飛び交っているが、念頭におくべきことがいくつかある。
中国政府が台湾を武力で奪還しようとすれば、それは間違いなくひどい流血を伴う、厳しい取り組みになる。
だからといって決して起こらない、あり得ないというわけではないが、台湾侵攻を命じる中国のリーダーは、漢民族と漢民族の戦いを容認することになる。その場合、殺傷力の高い最新ハイテク兵器を使った、イデオロギー対立において、漢民族同士が血を流すことになる。
そうした紛争に備えて中国政府は、台湾分離派への批判プロパガンダを十分振りまき、国民をしっかり覚悟させてきたと考えるかもしれないが、それではだめだ。
中国国営メディア「環球時報」が戦争をしきりにあおり、いかに素晴らしい戦いになるか吹聴したところで、それではだめだ。中国人にとって遠い親類の敵兵たちが台湾の墾丁ビーチに遺体となって並ぶ光景を、国民の目から覆い隠すことはそうはできないはずだ。
そしていざ中国が台湾を制圧した後は、住民2400万人の大半が中国共産党支配に反対する領土を、統治し続けるのはかなり大変な作業になる。
こうした結果が、台湾侵攻を命じる中国の指導者の責任になる。加えて、周辺地域の深刻な不安定化も、同じ指導者の責任になる。米軍だけでなくオーストラリアや、場合によっては日本からも、部隊が集結する可能性さえある。
習近平国家主席は明らかに、自分が国を率いる間に、台湾再統一を実現したいと願っているようだ。しかし、こうした様々な要素を足し合わせると、いかに高いリスクを伴うことかはっきりする。
一部の中国メディアは日に日に激しさを増す好戦的なレトリックを振りまいているが、中国政府にはもっと冷静な人たちがいて、ただちに攻撃を開始するとは考えていないと思いたい。
しかし、中国の軍事力拡大と共に、状況の計算は数年のうちにそっくり変わる可能性もある。
(英語記事 Biden says US will defend Taiwan if China attacks)
(フォーカス台湾)
https://japan.cna.com.tw/news/apol/202110220002.aspx
バイデン大統領、中国が台湾を攻撃すれば台湾を防衛=改めて表明
【政治】 2021/10/22 13:05
バイデン米大統領=資料写真、米ホワイトハウスのフェイスブックから
(ワシントン、台北中央社)バイデン米大統領は21日、台湾が中国から攻撃された場合、米国は台湾を守るかとの問いに対し、「イエス。われわれにはそのようにする約束がある」と答えた。外交部(外務省)の欧江安(おうこうあん)報道官は22日、バイデン氏が台湾に対する米国の一貫した約束について改めて言及したことに感謝を表明した。
バイデン氏は21日夜、米テレビ局CNNが米メリーランド州ボルティモアで開いた対話集会に出席し、台湾の防衛について尋ねられた際に述べた。
バイデン氏は8月にもABCテレビのインタビューで、台湾防衛に関する米国の姿勢を表明していた。当時バイデン氏は、アフガニスタンは台湾や韓国、北大西洋条約機構(NATO)とは根本的に異なると言及し、「NATO加盟国にいかなる人が侵略あるいは行動を起こそうとも、米国は反応する。日本や韓国、台湾に対しても同じであり、それ(アフガニスタン)とは比べられない」と述べていた。
バイデン氏の発言を受け、米ホワイトハウスの報道官は21日、中央社の取材に対し、バイデン大統領はいかなる政策の変更をも発表しておらず、米国の政策に変更はないと表明した。
▽外交部「自己防衛を強化」 総統府「台湾への盤石の支持の表れ」
外交部の欧報道官は22日、中央社の取材に対し、政府は引き続き自己防衛力を強化し、台湾の民主主義制度や国家の安全、人々の福祉を守ると述べた。
総統府の張惇涵(ちょうじゅんかん)報道官も同日、米政府はバイデン大統領就任以来、実際の行動で台湾への盤石の支持を示しているとし、「圧力を受けても屈しない。支持を得てもむやみに突き進まない」とする台湾の立場は変わらないと強調した。
(江今葉、鍾佑貞/編集:名切千絵)
―参考―
(中国国際放送局)
http://japanese.cri.cn/20211022/d6a76528-3247-3ce8-b2a5-b00df7a72c98.html
「言行を慎むよう」米に促す=外交部
2021-10-22 22:31 CRI
米指導者によるいわゆる「台湾防衛」に関する発言を受け、外交部の汪文斌報道官は22日の定例記者会見で、米国に対して1つの中国という原則と、中米間の3つの共同コミュニケに持ち込まれた規定を確実に遵守し、台湾問題における言行を慎むよう促しました。
報道によりますと、米指導者がこのほど「米国は台湾を防衛する」との見解を示したのに続いて、米ホワイトハウスは「米国の台湾問題に対する立場に変化はない」と表明したということです。汪報道官は関連の質問に答えた際、「中国の主権と領土保全などに関わる核心的利益の問題において、中国には妥協する余地が一切ない」と述べた上で、米国に対し「台湾独立」分裂勢力に誤ったシグナルを発せず、中米関係と台湾海峡の平和と安定に損害をもたらすことを避けるよう促しました。
なお、別の報道によりますと、台湾地区の渉外部門の広報担当者は、同部門の責任者がチェコとスロバキアを訪問することを明らかにしました。これに対し、汪報道官は「どんな形であろうと、国交関係を持つ国が台湾地区と公的往来を行うことに断固反対する」という中国側の立場を強調し、関連の人員の動きを見つめるとともに、正当かつ必要な措置を講じて、国家の主権と領土保全を守り抜くという考えを示しました(洋、CK)