「米英豪・軍事連携へ、豪・仏との潜水艦建造中止、北京は非難」(BBC NEWS JAPAN・Sputnik日本・人民網日本語版)

「米英豪・軍事連携へ、豪・仏との潜水艦建造中止、北京は非難」(BBC NEWS JAPAN・Sputnik日本・人民網日本語版)









(BBC NEWS JAPAN)

https://www.bbc.com/japanese/58579643





英米豪、新たな安全保障の枠組みを構築 中国に対抗





2021年9月16日







Ministry of Defence

新たな協力体制により、オーストラリアは原子力潜水艦保有できるようになる。写真は英海軍の原子力潜水艦






イギリス、アメリカ、オーストラリアの3カ国は15日、安全保障の特別な枠組みを構築したと発表した。最新の軍事技術を共有するもので、中国への対抗が目的とみられる。



この協力体制により、オーストラリアは初めて、原子力潜水艦の製造が可能になる。



枠組みは「AUKUS(オーカス)」と名付けられた。人工知能(AI)や量子技術、サイバーも対象分野に含める。



3カ国は、インド太平洋地域において中国が影響力と軍事的存在感を増していることを懸念している。





3首脳が共同声明



ジョー・バイデン米大統領ボリス・ジョンソン英首相、スコット・モリソン豪首相はこの日、共同声明を発表。



「AUKUSの最初の取り組みとして(中略)オーストラリア海軍が原子力潜水艦保有するのを共同で支援する」とした。



また、「この(潜水艦の)能力は、インド太平洋地域の安定を促進し、私たちが共有する価値と利益を支えるために用いられるだろう」、「オーストラリアは核兵器をもたない国として、責務を完全に果たし続ける」とした。





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フランスとの契約を解消



今回の枠組みが作られたことで、オーストラリアはフランスが設計した潜水艦の製造計画を廃止する。



オーストラリアは2016年、潜水艦12隻の製造をめぐり、500億豪ドル(約4兆円)規模の契約をフランスと交わしていた。オーストラリアにとっては、過去最大額の防衛関連の契約だった。



しかし、製造には遅れが発生。多くの部品を国内で調達するよう、豪政府が義務付けたのが大きな理由だった。





「いっそう緊密になる」



ジョンソン英首相は3カ国について、もともと自然な同盟国だとし、今回の協力体制によって「いっそう私たちの距離が縮まる」と述べた。



「このパートナーシップは、私たちの利益を守り(中略)自国民を保護するうえで、ますます重要になる」



英海軍の空母クイーン・エリザベスは最近、インド太平洋地域に展開しており、米軍と共同訓練をするなどしている。



この日の3首脳の共同声明は、インド太平洋地域を、テロや組織犯罪の火種を抱えている場所だと説明。「サイバースペースなど、新たな安全保障問題の前線となっている」とした。



BBCのジョナサン・ビール防衛担当編集委員は、AUKUSの影響が及ぶ国として、ディーゼル電力潜水艦の製造契約が消滅するフランスと、中国があると説明。



英当局者は、AUKUSが特定の国を意識したものではないと主張するものの、3カ国がインド太平洋地域における中国の軍事力増強を懸念しているのは明らかだと解説した。





(英語記事 UK, US and Australia launch pact to counter China





関連トピックス オーストラリア イギリス アメリカ 中国 軍隊 アジア







―参考―











(Sputnik日本)

https://jp.sputniknews.com/politics/202109168694782/





オーストラリア、フランスとの潜水艦建造契約を破棄







© 写真 : Public Domain





政治





2021年09月16日 16:58(アップデート 2021年09月16日 17:00)






オーストラリアのモリソン首相は16日、フランスとの660億ドル(約7兆2147億円)に上る潜水艦建造に関する契約の破棄を発表した。





モリソン首相は、「地域の安全保障分野で加速する変化」は従来の潜水艦を今後数十年のオーストラリアの運用上のニーズにとって「無用なものにしている」と指摘した







© AP Photo / South Korea Defense Ministry

韓国 潜水艦から独自の弾道ミサイルを発射






首相の声明では「原子力潜水艦技術の実施は、オーストラリアが従来のアタック級潜水艦プログラムを継続しないことを意味している」と述べられている。



一方、モリソン首相は、フランスはオーストラリアにとって太平洋地域における非常に重要なパートナーであり続けると指摘し、今回の決定が招く結果を両国が克服することへの期待を表明した。



オーストラリアは2016年、フランスの造船会社ナバル・グループと潜水艦12隻の建造契約を結んだ。これはオーストラリア史上最大の防衛契約となった。新たな潜水艦の建造は、400億ドルと見積もられた。



フランス外務省は、オーストラリアの決定に対して遺憾の意を表明し、オーストラリアと米国のパートナーシップを非難した。



オーストラリア、米国、英国は15日、安全保障および防衛分野における3カ国のパートナーシップ「AUKUS」の創設を発表した。3カ国は今後1年半にわたり、オーストラリアへの技術移転に取り組む。これは米国がこれまで英国とのみ共有してきた原子力潜水艦などに関する技術。





関連ニュース





タグ オーストラリア, フランス











(BBC NEWS JAPAN)

https://www.bbc.com/japanese/58592734





中国、米英豪の新たな安保枠組みを非難 「極めて無責任」





2021年9月17日







Getty Images

米英豪3カ国の首脳は、共同バーチャル会見でAUKUSについて発表した






中国は16日、アメリカとイギリス、オーストラリアの3カ国が安全保障の歴史的な枠組みを構築したことについて、「極めて無責任」で「偏狭」だと批判した。



3カ国による新たな枠組み「AUKUS(オーカス)」では、オーストラリアが初の原子力潜水艦を製造する技術を手に入れる。



領有権争いがある南シナ海における、中国の影響力に対抗することが狙いとみられている。



南シナ海は長年、対立の火種となっており、緊張が高まった状態が続いている。





中国が反発



中国外務省の趙立堅報道官は16日、AUKUSについて、「地域の平和を大きく損ない(中略)軍備競争を加熱させる」と述べた。



また、「時代遅れの冷戦(中略)精神」と批判。3カ国に対し、「それぞれの国益を傷つけている」と警告した。



中国の国営メディアも、AUKUSを非難する論説を掲げた。英字紙の環球時報(グローバルタイムズ)は、オーストラリアが今や「中国の敵に変化した」と書いた。





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英国以外で初の技術共有



AUKUSでは、アメリカが50年ぶりに、潜水艦の技術を他国と共有する。これまではイギリスとだけ共有してきた。



これによりオーストラリアは、従来の動力の潜水艦より速度が速く、感知されにくい原子力潜水艦を製造できるようになる。何カ月にもわたって潜水を続け、ミサイルをより長い距離、飛ばすことが可能になる。ただ同国は、ミサイルに核兵器を搭載する考えはないとしている。



3カ国の首脳は15日(オーストラリアは16日)の共同バーチャル会見で、AUKUSについて発表。中国を名指しはしなかったが、安全保障をめぐって、インド太平洋地域で懸念が「飛躍的に増している」と繰り返し述べた。



さらに共同声明では、「似たような考えをもつ、同盟でありパートナーである3カ国が、インド太平洋地域において共有する価値観を守り、安全と繁栄を促進する歴史的な機会だ」と、AUKUSを位置付けた。







原子力潜水艦保有する国々。オレンジ色が原潜、白色はその他の動力による攻撃型潜水艦の数を示す(出典:国際戦略研究所)





アナリストたちはAUKUSを、第2次世界大戦後で最も重要な安全保障の協力体制だろうとしている。



この協力により、オーストラリアは世界で7番目の原潜保有国となる見通し。サイバー分野や、海中のテクノロジーも、関係国で共有する。



アジア・ソサエティー・オーストラリアのガイ・ボーケンシュタイン氏は、「3カ国すべてが(中国の)挑戦的な動きへの対抗を始めるうえで、一線を示すものだ」と述べた。





「世界の安全と安定を守る」



イギリスのボリス・ジョンソン首相はAUKUSを、「世界中の安全と安定を守る」ものだと評した。



同国のベン・ウォレス国防相は、中国が「史上最大規模の軍事費を使おうとしている」とBBCに説明。「当該地域の私たちのパートナーらは、自分たちの立場を守れるようになりたいと思っている」と話した。



中国は近年、南シナ海など領有権に争いのある地域で、歴史的に自国に領有権があると主張し、軍事的な存在感を増している。そのため、地域の緊張を高めていると批判されている。



アメリカも同地域での軍事力を増強するとともに、日本や韓国などパートナーとの協力関係の強化に力を入れている。



オーストラリアに潜水艦を配備することは、同地域におけるアメリカの影響力にとって大きな意味があると、アナリストらはみている。





中国とオーストラリアの緊張関係



中国はオーストラリアにとって最大の貿易相手国だ。両国はかつて、良好な関係を保っていた。



しかし近年、政治的な緊張が深い溝を作った。オーストラリアはウイグル族の扱いをめめぐって中国を批判。また、中国の通信大手・華為技術(ファーウェイ)の一部の機器の使用を禁止し、新型コロナウイルスの起源を中国で調査するのを支持した。



中国は昨年、オーストラリア産ワインに最高200%の関税をかけるなど、対抗措置を取っている。



アメリカのアントニー・ブリンケン国務長官は16日、同国はオーストラリアを強く支持すると表明。



「中国政府はここ数カ月で、オーストラリアが後退しないことや、経済的な報復措置の脅威や圧力はうまく作用しないことがわかっただろう」と述べた。





フランスは憤慨



一方、フランスはAUKUSに対して怒りをあらわにした。原潜12隻の製造をめぐり、オーストラリアと500億ドル(約4兆円)規模の契約を交わしていたが、破棄されるためだ。



フランスのジャン=イヴ・ルドリアン外相は、「まったくの背信行為だ」と、フランスのラジオで話した。「オーストラリアとは信頼関係を築いていたが、それが裏切られた」。



欧州連合EU)外務トップのジョセップ・ボレル氏は16日、フランスの失望は理解できると発言。EUはAUKUSについて相談は受けていなかったと話した。



「今回のことで再び必要性が増したのは(中略)ヨーロッパの戦略的自主性を優先することについての検討だ」



ブリンケン米国務長官は、アメリカとフランスは「極めて緊密に」協力しているとし、今後もそれは続くとした。





(英語記事 China denounces US-UK-Australia pact as damaging





関連トピックス オーストラリア イギリス アメリカ フランス 欧州連合(EU) 中国 欧州 軍隊 アジア











人民網日本語版)

http://j.people.com.cn/n3/2021/0917/c94474-9897901.html





外交部「米英豪の原子力潜水艦協力は地域の平和・安定を深刻に損なう」





人民網日本語版 2021年09月17日14:43











外交部(外務省)の趙立堅報道官は16日の定例記者会見で、「米英豪の原子力潜水艦協力は地域の平和と安定を深刻に損ない、軍拡競争を激化させ、国際的な核不拡散の努力を損なうものだ。中国は事態の推移を緊密に注視していく」と述べた。





【記者】先日、米英豪が新たな軍事パートナーシップを構築し、この枠組でオーストラリアに原子力潜水艦を提供することを発表した。これはインド太平洋地域における中国の影響力を牽制し均衡を図るためだとの指摘がある。これについて中国としてコメントは。





【趙報道官】米英豪の原子力潜水艦協力は地域の平和と安定を深刻に損ない、軍拡競争を激化させ、国際的な核不拡散の努力を損なうものだ。高度に敏感な原潜技術をオーストラリアに輸出することで、米英が核輸出を地政学的駆け引きの道具として利用し、「ダブルスタンダード」を採用していることが改めて証明された。これは極めて無責任な行為だ。



核拡散防止条約(NPT)の非核締約国であり、南太平洋非核地帯条約(ラロトンガ条約)の締約国でもあるオーストラリアが、戦略的軍事価値を持つ原潜技術を導入することで、周辺諸国を含む国際社会には核不拡散の約束遵守におけるオーストラリア側の誠意を疑うだけの理由ができることになる。中国は事態の推移を緊密に注視していく。



中国は、いかなる地域メカニズムも、平和と発展という時代の潮流に沿い、地域諸国間の相互信頼・協力の増進に資するものであるべきで、第三国を標的にしたり、第三国の利益を損なうべきではないと一貫して考えている。閉鎖的で排他的な「小集団」を作ることは、時代の潮流に背き、地域諸国の願いに反するものであり、支持を得られないだけでなく、行き詰まることになるだろう。



関係国は、時代後れの冷戦ゼロサム思考や狭隘な地政学的観念を捨て去り、地域諸国の民心を尊重し、地域の平和・安定・発展に寄与することをより多く行うべきだ。(編集NA)





人民網日本語版」2021年9月17日