原油バレルのマイナス価格は石油業界への重大な警告か？(RFI)
(Le prix négatif du baril de brut est-il un sérieux avertissement à l'industrie pétrolière ?: RFI)
http://www.rfi.fr/fr/podcasts/20200428-prix-n%C3%A9gatif-baril-brut-s%C3%A9rieux-avertissement-industrie-p%C3%A9troli%C3%A8re
今日の経済
原油バレルのマイナス価格は石油業界への重大な警告か？
発表 2020年4月28日12:23
カリフォルニア州リッチモンド・シェブロン社製油所の外に停車中の石油タンク車。Justin Sullivan/Getty Images via AFP
記者 ドミニク・バヤール
石油が先週マイナス価格に達したことは石油産業衰退の前兆か？ニューヨークの上場原油が先物市場で勢いを失い続けている（昨日・月曜日に25%下落、火曜日午前のアジア市場で既に15%下落）が、米国の生産者たちはこの問題に頭を抱えている。
この伝説の業界でこれ程の悪夢のシナリオは誰ひとり想像すらしなかった。それでも、バレルのマイナス価格は今後近いうちに繰り返される恐れがある。この考えられない出来事は産業チェーンのアノマリーの所為だ。原油の貯蔵能力不足はひとたび需要が回復すると最後はきれいになくなるだろう。これは一時的な出来事であり、したがって未来に対するアプリオリな意味は殆どない。
しかし、米国におけるこのタンクとパイプラインの不足には考えさせられる。世界最大の石油生産国になった国が新たな能力を建設しなかったのはなぜか？「十分な収益性がない」と投資家たちは答える。これら新たな設備の償却には数十年が必要だからだ。しかし、シェール鉱脈は記録的な借金を使って掘られており、それは賭け、つまり高値の石油相場に依存する。バレル価格が40ドルを下回ると大多数の新規参入者がお金を失う。この活動は明らかに日和見的で不安定であり、長期的な展望を持つことが出来ない。現在の相場水準において、これら壊れやすい企業の寿命は秒読みに入った。
ドナルド・トランプ氏は偉大な米国の復活を象徴するこの活動を支援したいが、個人投資家の説得は更に難しくなるだろう。テキサス州最大のシェールオイル企業の1つ、パイオニア・ナチュラル・リソーシズ社の経営者は、「私たちは融資を受けた資金を使い果した。最早私たちを助けてくれる人は誰もいない」と認めた。
メジャーには、今回の相場の崩壊を生き延びるための準備は十分か？
彼らは確かに大量の現金の準備があり、さらには国内でオイルシェールの塊を入手することも出来そうだ。しかし、パンデミックの初めには逆に考えていたかも知れないが、彼らはコロナウイルスによって引き起こされた不況に対する免疫を持たない。また、彼らは投資家からの圧力を受けている。彼らが配当を支払うことが出来るか否か、また、彼らが投資家たちの払った費用を犠牲にするか否かは、近々の第1四半期業績発表の時に分かるだろう。これは株主にとってあまり嬉しい見通しでない。そうなると、これまでの定期的な旨みのある利益が蒸発した場合、彼らはこれらの株式をポートフォリオに持ち続けるだろうか？
需要が上向くと、石油産業は投資家の魅力を取り戻すだろうか？
石油需要の30%減少が市場下落の真の原因だ。これは全く前代未聞のショックであり、また、今日では空の交通が長期に亘り低調なことから、これが速やかに平常に戻ると予測するのは難しい。昨年公表された研究では、電気自動車が成功した場合、バレルは10～20ドルの範囲に転落する可能性があると予測されている。この価格の極めて低い環境で彼らが如何にして生き残るかを見るために、コロナウイルスが高速のストレステストを実地に行ったことになる。「黒い金」はいまなお活動に不可欠な経済の血液であり続けているが、業界は投資家の信頼を維持するために、それが偶発的か否かに係わらず、今後は需要の消失に適応する必要がある。なぜなら、この経験は彼らの記憶に傷跡を残すからだ。原油の渇きが最早癒やし難いものでないことを、彼らは知ったのだから。
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