『厄介なコロナ』:金は高騰し過去最高値へ、株式市場は崩壊―コロナウイルスの影響についての専門家の意見 (Sputnik International)

『厄介なコロナ』:金は高騰し過去最高値へ、株式市場は崩壊―コロナウイルスの影響についての専門家の意見 (Sputnik International)











('Nasty Corona': Gold Rushes to Record High, Stock Markets Crash – Experts on Coronavirus Impact: Sputnik International)

https://sputniknews.com/analysis/202002291078436721-nasty-corona-gold-rushes-to-record-high-stock-markets-crash--experts-on-coronavirus-impact/





『厄介なコロナ』:金は高騰し過去最高値へ、株式市場は崩壊―コロナウイルスの影響についての専門家の意見







© REUTERS / Aly Song





意見





2020年2月29日11:52 GMT






世界の証券取引所は急落し、金は新たな高値に達した。世界的なメディア情報源は、中国発のCOVID-19ウイルスが犯人だと報告する。





金市場専門家のディミトリ・スペック氏は、現在の株式市場の災難はCOVID-19の所為と主張しながらも、もっと深いところに根本的な問題があるとの警告を付け加える多くの人々の1人だ。一方、彼の同僚のマーティン・シーゲル氏はこの評価に同意せず、「世界経済は軽快さを取り戻すだろう」と語る。



水曜日、コロナウイルスは「考えられる限りの最悪の時期にドイツ経済に打撃を与えている。これはドイツ経済がすでに麻痺しているためだ。」と、ベルリンに本拠を置くドイツ経済研究所のマルセル・フラッシャー所長はテレビニュースチャンネルn-tvに語った。数日前、オーストリアの新聞デア・スタンダード紙は、証券取引所が値を下げて金が記録的な高値を付けつつあると書いた。先日、ARDチャンネルは金価格が1,700ドルの節目に向かっており、このため金価格が7年ぶりの高値になると報じた。



株式から安全資産への逃避の中で、1トロイオンスあたりの金価格は現在1,650ドルを上回る。ヴィルトシャフトヴォッヘ誌によると「金は命の恩人だ。」



コロナウイルスによる株式市場の大幅な損失を考慮すると、重大な緊急事態におけるポートフォリオにとっての貴金属の重要性は明らかだ。このウイルスは『市場の劇的な崩壊』を引き起こした」と、別の出版者は語った。ドイツ株のDAX指数だけが「週の初めに大幅に急落した。」





専門家:「金価格の高値の本当の理由は完全な過剰債務状態だ」





スプートニクは経験豊富な金市場の専門家2人に、金価格の急騰を引き起こしたのは本当にCOVID-19ウイルスの蔓延なのか、そして、これが長期的に世界経済に本当に害を及ぼす可能性があるのかについて質問した。一部のエコノミストはそれを全く疑っている。いずれにせよ、病原体は先ず、多くの国際企業にとって供給国として戦略的に重要な新しい経済大国・中国に打撃を与えた。専門家たちは、コロナウイルスの流行が物流に及ぼす長期的な合併症の可能性について警告する。



「世界経済はかなり不合理な過剰債務状態だ。特に、現在は国家と中央銀行が長年に亘り極めて心配な水準にある」と金市場の専門家ディミトリ・スペック氏はスプートニクとのインタビューの冒頭で述べた。彼は以前、国家と中央銀行の債務が長年に亘り大きな懸念の源となっていると繰り返し警告してきた。現在、世界的に蔓延しているコロナウイルスは、不安定な世界経済にとって正にもう1つのマイナス要因だ。




株式と不動産市場のバブルはもう破裂するか?



「過剰債務は国債と結び付いている」と、その貴金属専門家は強調する。彼の意見ではこれが主な理由だ。これは金持ちと貧乏人の格差を広げるだけでなく、基本的には国家が最高の信用格付けを持つことを保証する。したがって、債務は常に高い水準に保たれている。




金の専門家であるスペック氏は、「私の主張は、これに関連するもの―すなわち、金融・株式・不動産の市場のバブル―は全て不況の際に爆発するというものだ」と語る。これは古典的なシナリオだ。不況により企業の利益が減少し、銀行預金残高と税収が危機に直面している。そして今、コロナウイルスが登場してこれらの「バブル」を弾けさせようとしているようだ。世界経済の状態はそれがなくても脆弱であり、アジアとドイツの両方で不況が既に始まっているため、コロナウイルスはこのプロセスを加速させただけだ。」





「孤立した中国」と経済崩壊の可能性



「根本的な理由は非常に単純だ。このウイルスは少し厄介だ」と、この金融専門家は述べる。「客観的に言えば、このウイルスはまだ多くの人間の命を奪っていない。」しかし、このウイルス疾患は急速に感染する危険があるのに、感染者に症状が発生するのが比較的遅いことが危ないのだ。この病気は「厳格な隔離によってのみ封じ込めが可能で、これは現在、中国の一部の地方で明確に見えている。」




中国の経済的に重要な地方の孤立は、「経済が生産力の30~50パーセントでしか稼働していないことを意味する。勿論、これが数ヶ月続く場合には大変な不況だ。ウイルスが日本・韓国・イタリアに大規模に蔓延すると、現地の経済センターに甚大な影響を与えるだろう」と、金市場アナリストは警告する。



実体経済の観点では、中国は実際に(世界経済にとって―スプートニクによる注釈)主要な供給国だ。同国はアジア・米国で大きな役割を果たしているが、欧州ではそれほどでもない。それでも、この状況は今や経済を傷つけつつある。」この専門家は結論づける。「健全で過重債務のない経済ならば、3ヵ月の間に生産が50%落ちても何の問題もなく容易に生き延びられる。しかし、過剰債務経済はその後に更に大きな問題に直面する。私の意見では、ウイルスはずっと前に始まったプロセスの『切っ掛け』になったに過ぎない。」




「記録的な金価格はコロナウイルスと無関係だ」





「過剰債務通貨」―言い換えると、巨額の債務―の自然な等価物は常に貴金属の金だった。金価格が現在上昇を続けているという事実はコロナウイルスの所為でない、とスペック氏は強調する。



「金価格の上昇については既に分かっている。この動きは―何よりも先ず第1にドル建てでは―非常に独立している。これはコロナウイルスと無関係だ。言い換えれば、このウイルスはここでは小さな増幅器だが、金価格の上昇の主な原因とは程遠い。」この専門家によると、金価格は中長期的に「上昇を続ける」だろう。




現在の金の高価格は、まず第1に、「預金者からお金を段階的に引き出すこと」(言い換えるとゼロ金利やマイナス金利)と世界経済が債務超過に陥ることにより発生する。「これが唯一の価値ある手段、すなわち、金への移行が起きる理由だ。」一定の条件下では銀についても同じことが言える。2018年半ば、金への「集団逃避」が再び始まった。「この傾向は続だろう。ドイツの個人投資家たちは既に金に比較的大きな投資をしている。しかし、機関投資家中央銀行はまだこのプロセスの最初の段階でしかない。」



このアナリストは、コロナウイルスの波により金市場崩壊の恐れがあると見ていない。彼によると、現在の金・銀の投資家たちが貴金属のポジションを維持することは理に適っている。





コロナウイルスをめぐる世界的な不安はただの「誇大宣伝」か?





スタビリタスフォンズのノルトライン=ヴェストファーレン州の支店長で金市場・金融の専門家のマーティン・シーゲル氏は、スプートニクのインタビューに答え、「この病気の波は約8万人の感染者を持つものの、世界経済にあまり大きな影響を与えないだろう」と語った。「コロナウイルスをめぐる誇大宣伝は大きくなり過ぎた」と、彼は語る。



「誇大宣伝がこのように続けば、確かに影響が生じるだろう。しかし、前回のSARSウイルスのような流行病は、中国経済が数週間の内に損失を穴埋め出来ることを示した。問題は今や、現在のコロナウイルスが世界中でいつまで猛威を振るうかと、それについての「誇大宣伝」がいつまで続くかだ。メディアは「悲劇的な絵」を作り、コロナウイルスの犠牲者の写真を公開する。これらは人々の心理に負の影響を与え、「人々の心にマイナスを刻み込む。」これは勿論―イタリアで現在発生しているように―当局者・企業・指導者たちからの反応も引き起こす。なぜ今、この病気の周りにこれだけ多くの騒音が存在するのかは余り明らかでない。」




この専門家は歴史から比較を行う。「ちょうど狂牛病牛海綿状脳症BSE)のようなもので、これらは今日も病気として存在しているが誰もそれについて話をしない。そして、誰もが今コロナウイルスについて話をするので、人々はパニックモードになっている。」





「金が感染を予防することはない」





中国の一部の地方の孤立した人々のように、直接病気にかかったり影響を受けたりしている人々が今、金を買いに走ることはないだろう。問題は、誰が実際に金を購入しているのか、そして、それは何のためか?感染から自分の身を守るため?それは無意味だ。お金を安全に保つため?それも全く意味がない。したがって、金価格がこのために上昇しているという事実は、彼の意見では根本的に無意味だ。このアナリストによると、彼は現在のパニックが人々にますます多くの金を買うよう駆り立てているとは「全く考えられない。」



多くの人々が貴金属への強い興味を長年持ち続けた理由は、シーゲル氏の見解では、金市場の専門家スペック氏の分析と一致する。



「なぜ人々は金を買うか?答えは簡単だ。中央銀行は政策による可能性の限界に達した。債券金利が最低で株式が史上最高値の国際金融市場において私たちがいま経験しているこの危機に、世界中の中央銀行はどう反応するつもりか? 結局、経済が不況に突入するとき、私たちは新しい、新しく印刷されたお金について話しているのだ。」ところで、この新しいお金の一部は「貴金属にも戻る。」金の上昇傾向が今後も続くとシーゲル氏が信じるのはこのためだ。




通貨が価値を下げる時には金の価値は上がる。数千年間そうだったようにだ。



現在、この世界経済の不安定な状況が「金をもっと買う」よう人々を駆り立てている。「何世紀にも亘り、金はこの目的に適っていることを示してきた」と、シーゲル氏は強調する。「しかし、勿論だが今になって金を買うのは寧ろ遅い。投資家は数年前にこれについて考えるべきだった。」



しかし、結局のところ次のルールはいまなお真実だ。人々が不換通貨への信頼を失う時、通常は金が勝つ。このルールは、不況の際にはより良く当てはまる。世界経済は不況に突入して今は恐らく急落しつつあるのだ。



2人の金市場の専門家は、スプートニクとの議論の中でこの結論に達した。







記事で表明された見解や意見は、スプートニクの見解や意見を必ずしも反映していない。





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