日本の防衛業界は豪州の潜水艦入札の失敗から立ち直るか?(DW English):阿修羅♪

日本の防衛業界は豪州の潜水艦入札の失敗から立ち直るか?(DW English):阿修羅♪

http://www.asyura2.com/16/hasan108/msg/386.html













(Can Japan's defense firms bounce back from failed Australia sub bid?: DW English)

http://www.dw.com/en/can-japans-defense-firms-bounce-back-from-failed-australia-sub-bid/a-19229228





日本





日本の防衛業界は豪州の潜水艦入札の失敗から立ち直るか?





日本は先日の豪州向け潜水艦販売取引を成立できなかったことに大きく落胆している。この日本防衛産業の挫折の影響について、ジュリアン・ライオールが東京から報告する。











4月末、豪州政府が500億豪州ドル(380億ドル)を費やしてフランスの請負業者DCNS製の潜水艦を選定した(投稿者による和訳との発表を、日本政府は驚きを以て受け止めたのは明らかだ。そうりゅう級潜水艦を基にした日本の提案が、競合する提案に「逆転不可能な差」をつけていることは完全に確実だと諸閣僚やメディアは表明していたので、これは理解できる。



中谷元・日本防衛相は東京で記者たちに落胆の深さを表明した。「なぜ[日本の提案が]選ばれなかったのか説明を求め、その結果を[今後の輸出提案に]反映させたい。」



日本の入札失敗の責任の大部分は豪州政府中枢の明らかな変化に向けられている。安倍晋三・日本首相はトニー・アボット氏−2015年9月に豪州の指導者を退任した−と、日本の潜水艦を購入する「紳士協定」と見なされるものを結んだと考えていたが、豪州側でマルコム・ターンブル氏がこれを翻した。





雇用の強調





ターンブル氏は豪州造船業において確実な雇用を守ることへの力点を強めている−特に今年は選挙が控えているので−と、日本メディアは報じた。また、豪州政府は中国から圧力を受けたとの指摘もあった。豪州にとって中国は全産業分野で最も重要な貿易相手国の1つであり、中国に日豪両国の安全保障関係強化を歓迎する考えは全くない。







日本は主に安倍氏アボット氏の近しい関係のために、当初は潜水艦入札の先頭走者と考えられていた





しかし、事業を提案していた日本の政府・企業の窓口側にも機会逸失の責任があるのは当然だ。なぜなら、彼らは取引が署名されたも同然と自惚れ、フランスとドイツの提案が勢いを増しつつあることが明らかになっても駄目押しの努力ができなかったからだ。



「安倍政権にとって防衛輸出業界は重要な分野であり、日本の技術的なノウハウを開発し経済を活性化する道と考えられている」と、東京・国際基督教大学政治学・国際関係学部スティーブン・ナギ准教授は語った。



「しかし今回の挫折により、日本はこのような大きな国際契約の入札の時にセールストークを改善する必要が明らかになった」と彼は語った。「最高の技術や製品を持っていてもなお、日本は豪州との関係の強さを過大評価していた可能性がある。」



テンプル大学東京キャンパス・現代アジア研究所のロバート・デュジャリック所長は、日本企業は入札の過程で数々の不利に直面したと語る。それでも、彼らはこの経験から教訓を得ることが出来たと、彼は付け加えた。





戦闘で試されていない





「70年を越す平和の遺産と自ら課した武器システム輸出禁止規則のために、日本には戦闘で試すシステムがない。そこが日本の入札に不都合だったかも知れない」と、彼はDWに語った。



「この70年間日本の軍艦・軍用機市場は国内に限られ、一方、日本の海外駐在武官は日本の防衛装備を売る訓練を受けていない」と、彼は指摘した。



また、日本の一部主要防衛メーカー−豪州潜水艦の入札に参加した三菱重工業などの企業−も、自社事業の防衛部門増強にあまり乗り気でない。



三菱重工は日本の一般国民から『死の商人』と思われるよりも、むしろ民生用旅客機メーカーと思われるほうがずっとましだと考えるだろう」とデュジャリック氏は語った。「そのため、欧米企業は自社が『殺人マシン』と連想されることを容認できるが、日本企業はそのレッテルを好まないだろう。」





『他にやることがある』





それでも、不確実性を増しつつあるアジア太平洋地域には豊富な機会が存在するため、日本の防衛産業にとって豪州潜水艦取引失敗の影響は僅かだろうと、ナギ氏は語る。「今回の損失の代わりにインド・ベトナム・他の東南アジア諸国との取引の可能性があり、日本は他にやることがある」と、彼は語った。



それは日印両国政府間の新明和US-2長距離巡察飛行艇販売により強調される。「日本は捜索救難車両を初め、いくつかの非常に先進的な偵察装備を既に配置している。これらは販売の用意が出来ており、また、初のステルス航空機も先日処女飛行を済ませた」とナギ氏は指摘した。











「しかし、これらの取引では防衛分野の緊密な関係を築くことが最も大切な要素であることは言えるかも知れない」と、彼は語った。「地域の緊張が高まっている−中国が南シナ海の係争中の島々の開発に取り組んでいるため−ので、防衛能力強化を必要としている発展途上国が存在している。」



「そのため、日本が地域の数々の国に防衛システムを提供するなら、彼らは改良品や改新品を求めて来日を続けるだろう。新たにシステムの全体を買うよりもその方が安上がりだからだ」と、彼は語った。



日本は当分の間は世界最大の武器輸出諸国に競合する立場にならないだろうが、それでも他の産業分野で成功したように、防衛取引でも長期的なプレーヤーとなると思われる。









発表 2016年5月2日

記者 Julian Ryall, Tokyo

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