日本のいじめ事件に介入せざるを得ない裁判所(DW English):阿修羅♪

日本のいじめ事件に介入せざるを得ない裁判所(DW English):阿修羅♪

http://www.asyura2.com/12/social9/msg/223.html



(Courts forced to intervene in Japan's bullying crisis: DW English)

http://www.dw.de/courts-forced-to-intervene-in-japans-bullying-crisis/a-16381455





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教育



日本のいじめ事件に介入せざるを得ない裁判所






心的外傷後ストレス障害と診断された、12歳の少女に認定された損害額は、日本の学校におけるいじめ問題の重大さを際立たせている。当局は不作為に対する責任から、ますます逃れられなくなっている。



いじめは、欧州よりも厳格で画一的との評判が既にある、日本の学校の長年の問題の1つだが、日本の当局はいじめの事例の急増に対処しなければならなくなっている−その一部は、いじめを受けた子どもの生命を脅かすほど深刻で、当局の責任が問われている。



最も極端な事例では、いじめは日本の若者の自殺の原因にもなっている。



11月9日、東京から北にある金沢地裁小松支部は、12歳の少女が級友からいじめを受けた結果、心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症したと考え、少女の家族への損害額を703万円(69,051ユーロ)と認定した。



「3人の級友からいじめを受けた結果、PTSDを発症し、市当局はその子どもを保護する義務を怠った」と、小野瀬昭裁判官は判決で述べた。





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仮想世界でのいじめは、現実世界でのいじめと同じくらい、あらゆる点で教室の問題になっている





その少女へは、悪口から階段から突き落とされるまでに、事態が激化した。学校側は問題に気づいていたが、教師たちはいじめを行った疑いがある子どもたちの親に接触するのが遅れたと、裁判官は述べた。小野瀬氏は判決で、いじめは「心に耐え難い痛みを負わせ、法律に反するものだ」と述べた。





6カ月で75,000件



小学校の児童たちに衝撃を与えたこの事例も、日本ではありふれたことだ。



文部省は国内の学校で、この問題についての「緊急調査」という名称のものを実施し、10月1日に報告を公表した。報告では、上半期に認知されたいじめの件数を概算で75,000件とした。この数字は、2011年度全体で報告された70,231件から急増している。



さらに、何世代にも渡りいじめが見られる一方で、今日では、個人を虐げる方法として「ネットいじめ」の形が選ばれ、インターネットを通じた個人攻撃が増加している。最も心配なことに、250件の事例が「子どもの生命や身体的な健康が危機に晒される」ほど酷いと、文部省は結論づけた。





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いじめが問題となるのを認知する時期が遅いことで、学校は責任を問われている





この報告の指示が出されたのは、教育システムと、いじめという挑戦に対決する当局の意思に対する一般国民の強い信頼が揺らいだ、ある事件を受けてだった。



去年10月、日本中央部の街・大津で、13歳の少年が14階建てのアパートの屋上に登り、下のコンクリート舗装に飛び降り、死亡した。



当局が少年の両親の求めに応じるまで10カ月も要したため、この死を調査するための独立調査委員会が設立された。しかし、遺族が声を上げてから数カ月の間に、この事例は、日本の学校におけるいじめと、いじめが若い人々に及ぼし得る破壊的な影響について、国内全体の論争を引き起こした。



さらに、学校や警察が当初、少年の死と長期にわたって繰り返されたいじめとの間に、何の関連性もないとの認識を示したために、いじめの諸事例を予防し損ねたとして、教師たち・地元教育当局・警察がヤリ玉に上げられた。





当局に対する一般国民の怒り



当局が迅速な対応に失敗したことに対する一般国民の怒りは大きく、大津市教育委員会の教育長が19歳の学生にハンマーで殴られた。その被疑者は警察に、この事例の真実を隠蔽しようとしたので、沢村憲次氏の殺害を思い立ったと語った。



警察に提出された訴状の中で、自殺した少年の父親は、タバコでやけどをさせる、万引きを強要する、教科書を破る、自殺の練習を強要するなど、息子が耐えてきたいじめを列挙した。





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このテーマは日本社会の中で問題となっており、どのような対策が可能かについて議論が起きている





訴状に名前を挙げられた3人の少年の代理人である弁護士は、その顧客たちの責任の重大さを軽視しており、文書によってメディアに発表した声明の中で、「それはいじめでなく、いたずらだった」と述べた。



名前を公表されなかったこの少年も、無関係な事例ではない。2011年度の間に、200人の中・高校生が自殺している−前年より44人増加したが、これは比較可能な統計が2006年に初めて利用可能になってから、空前の多さだ。全ての年齢階級を総合すれば、2011年の日本の自殺者数は30,513人だった。



8月、政府は、若い人々の自殺と闘うために構想された体系的な措置を新たに発表した。その措置では、地元教育当局・学校・家庭がいじめについての情報を共有し、いじめと認定された事例に迅速に取り組むよう、求めている。







2012年11月15日







(投稿者より)



ドイチェ・ヴェレの英語サイトに掲載された記事です。誤訳があるかも知れません。ご容赦下さい。



記事は、単にネタに飛びつくのではなく、いくつかの事象を検討し、データで裏付けをとりながら考察を加えています。きちんとした記事を掲載してくださいました。



大津の事件は海外メディアも取り上げていました。社会構造の歪み、現場や当局の怠慢、周囲の倫理観の欠如などが1人の若い命を奪った事件として記憶に残っています。私などは、日本の未来が「今さえよくば、我さえよくば」という価値観によって食い荒らされている、端的な象徴としてこの事件を捉えていました。



ただ、大人の社会が「弱肉強食」を是としていますから、それを肯定したまま、子どもたちだけに「共生」を説いても、説得力はないようにも思えます。



それでも、教育現場にいじめに取り組むノウハウは存在し、それを実践する教師の方々もおられるようですので、地域社会と連携をとりながら、それを水平展開するのか、別のノウハウを使うのか、それとも、何もしないのか、という問題だとも思います。