金融:日中両国政府は、市場での相互の取引で、米ドルを使わないことにした(RFI):阿修羅♪

金融:日中両国政府は、市場での相互の取引で、米ドルを使わないことにした(RFI):阿修羅♪







(Finances : Tokyo et Pékin décident de se passer du billet vert pour leurs échanges sur les marchés : RFI)

http://www.rfi.fr/economie/20120529-tokyo-pekin-decident-passer-billet-vert





中国/日本−記事発表:2012年5月29日火曜日−最終更新:2012年5月29日火曜日



金融:日中両国政府は、市場での相互の取引で、米ドルを使わないことにした



記者 ステファン・ラガルド





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日本と中国は、金曜日から、東京・上海両市場での相互の取引で、米ドルの使用を止める。

Reuters/Sheng Li






6月1日金曜日から、日本と中国は、東京・上海両市場での相互の取引で、米ドルの使用を止める。これは、火曜日の午前、日本の財務相が発表した。



この目的は、北東アジアの2大国間の取引を活性化することにある。現在まで、両国の通貨は、交換レートの安定のために、ドルを組み込んだ複雑なシステムを介して、交換されていた。今回初めて、中国はドルをクロスしない取引を容認した。そして、これは、元の国際化に向けた第一歩だ。






銀行の損失リスクを抑え、両通貨の使用をスムーズなものとし、東京・上海両市場を活性化すること。中国と日本は、この協定のために長い期間熟考した。今年の両国外交関係樹立の40周年という枠の中に、また、今年初めに調印された一連の2国間協定という枠の中に、今回の決定は収まった。



また、この措置は、今月初めに有効となった、未来の中国−韓国−日本の自由貿易圏という、より世界的な構想の一部となる。そして、特に、これがまだ弱気で小さな一歩であるとしても、現体制が望んでいた、中国元の国際化に向けた第一歩であることは確かだ。実際、この15年間、中国政府は米ドルが不要なシステムのことを語り続けてきた。3月には、中国を含むブリックス各国は、先のニューデリー・サミットで協定に調印し、相互の取引を自国通貨で決済することを承認した。しかし、この件で日本と組むのは、今回が初めてだ。





元の国際化



「これは元の国際化に向けた重要な一歩だ」と、ソシエテ・ジェネラルの香港駐在中国アナリスト、ヤオ・ウェイ氏は考える。「この協定は、中国元が今後、今回の円−元間の措置よりも幅広く、他国通貨と直接交換することに対して門戸を開くものだ。」と、ヤオ・ウェイ氏は続ける。「このように、将来、他国通貨がこの協定に加わるだろう。」



元の兌換化に向けた長い行進は、香港経由ですでに始まっている。この特別行政区は、事実上、外国市場と同じであり、既に大口の元現金がドルと交換できるようになっている。



香港では、預金が爆発的に増えていると、ラ・トリビューン紙は強調した。6月末現在の中国元建て預金は、前年同月比の6倍の、5540億元(603億5千万ユーロ)に増加した。



さらに重要な段階は、元の取引を目的としたオフショア市場を、今度は欧州・ロンドンシティに創設する計画だ。今年1月、英国蔵相と香港金融監督局(HKMA)の所有者(曽蔭権・行政長官を指しているようです:投稿者)が協定に調印し、現在、実施に向けて遅滞なく進んでいる。



「このように、元の国際化に向けた長い行進は、現在その途上にあるが、この道はまだ遠いだろう」と、シャ・イーリャン北京大経済学教授は主張する。「私たちは努力しているが、元はまだ準備通貨でない」と、シャ・イーリャン氏は説明する。「中国がドルを使わずに大経済圏と直接取引できるようになれば、流動性と債務の問題は明らかに容易になるだろう。しかし、そのレベルの信任を得るにはかなりの努力を要したし、また、この努力は中国の政治的な問題によって、中断されることがよくある。」



世界第2位・第3位の経済大国の相互の紛争の歴史は、解決したとは程遠い。「釣魚/尖閣諸島など、海洋上の境界の問題をめぐり、まだ両国はたびたび争っている」と、シャ教授は付け加える。「しかし、両国のように経済的な相互依存が強い国々では、短期的な障害は徐々に除去されなければならないだろう。」





上海市場の再活性化



事実、中国は3年続けて、日本にとって最大の貿易相手国となっている。新華社によれば、2011年、中日2国間の貿易額は、史上最大の3000億ドルに達したが、現在まで、商取引の60%は米ドルを介して行われたことが知られている。「第3の通貨を介することを回避できれば、両通貨の利用はより容易になり、東京市場も活性化される」と、火曜日の記者会見の場で、安住淳・日本財務相は喜んでいた。



当然、北京政府にも同じことが言えるが、喜ぶのは上海市場だ。元の国際化は、中国指導部の政治的なキックを待っていた。その一部が、3月に北京で開かれた、全人代年次総会の2度の会議で起きた。温家宝・中国首相は、その時、元をより自由に変動するよう承認すべきだとの声に対応しなかった。



元の変動幅を大きくするためには、とりわけ、上海市場を再活性化する必要がある。中国では全てが計画に書かれるように、国家発展改革委員会は、この効果を予測する計画を作った。「2015年までに上海を元の世界センターにする」ための全てと、今年2月の人民日報は述べている。しかし、これもやはり、道は長い。元に兌換性がないことと、中国経済の構造的な諸問題を理由として、投資家たちは、上海株式市場への警戒を続けている。



そのため、円−元協定はこの努力に、さらに一般的にいえば、巨大なインフラ建設企業、つまり、巨大な国営企業に本質的に依存している中国経済の活性化に、寄与する可能性がある。さらに長期的には、中国は成長を、つまり、国際的な規模の金融市場から成長を引き出すために、民間企業が必要となるだろう。





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日本の経営者は協定を歓迎する





報告 RFI東京駐在記者、フレデリック・シャルル



世界貿易にとって、この協定は重要なものとなるだろう。中国と日本はそれぞれ世界第2位・第3位の経済大国だ。あるエコノミストによれば、中国は米国を凌ぎ、日本にとって最大の輸出市場であり続けるだろう。



日本は中国にとって、第3位の大投資国だ。中国は円建ての日本国債保有しており、日本も元建ての中国国債保有している。



中国元が徐々に国際化することを、日本の経営者は歓迎している。円は避難通貨となってしまった。円は対ドル・対ユーロで記録的な高値となっており、そのために、日本の輸出業界は不利益を被っている。











(投稿者より)



RFIサイトに掲載された記事です。誤訳があるかもしれません。特に、フランス語で経済用語ですから、自信のない部分はあります。



「長い行進」(la longue marche)、何カ所か出てきますが、「長征」と言った方が分かりが早いでしょうか。新中国建国神話の一部です。中国人の好きなフレーズのようです。



記事は、RFIの北京駐在記者のものです。「中国が日本と組む」ことに関する欧州の強い関心が見て取れます。



「日中両国政府」(Tokyo et Pékin)、「日本と中国」(le Japon et la Chine)、「東京・上海両市場」(les bourses de Tokyo et de Shanghai)など、この記事に限っては、語順も原文に合わせました。海外メディアが日本と中国を並べるとき、日本が中国の前に出ることはまずありません。中国経済の大きさの裏側にある不安定さや脆弱さを、記者は冷静に見ています。その冷静さは、中国の識者にも共通しているようです。





下に、同じテーマについての、人民網の論説を付しておきます。








人民網日本語版より)

http://j.people.com.cn/94476/7831382.html





人民元・日本円の直接交換は相互利益になる



中国と日本の財政金融当局は29日、6月1日から上海と東京の取引市場で人民元と日本円との直接交換をスタートすることを明らかにした。このことは、日本円が米ドルを除いて初めて人民元との直接交換が可能な主要通貨になったことを意味する。あるアナリストによると、今回の措置は中日双方にとって相互利益になるものだという。新華社のウェブサイト「新華網」が伝えた。



日本の財務省安住淳大臣は同日にこの情報を明らかにした際、次のように述べた。日本円と人民元とが第三の通貨を介さずに直接交換できるということは、取引コストと金融機関の決済リスクとを軽減するのにプラスであり、日本円と人民元の利便性を向上させ、東京金融市場の活力を増強する上でもプラスになる。



専門家や業界関係者の指摘によると、今回の措置は中日間の貿易・投資活動を拡大深化させ、両国の金融界に新たな業務の成長点を提供する上でプラスになるだけでなく、人民元が国際化に向けて踏み出す重要な一歩でもあり、中日両国の通貨の国際的な地位を高めることになるのは確実だという。



人民元と日本円との直接交換の実現は、第一に両国企業にとって福音だ。日本貿易振興機構ジェトロ)がまとめた統計によると、2011年の中日貿易額は3450億ドルで過去最高を記録し、中国は3年連続で日本にとって1番目の貿易パートナー国となり、日本は中国にとって4番目の貿易パートナー国となった。だが中日間の膨大な貿易取引は、現在は基本的に米ドルを媒介通貨として決済されているため、両国企業の取引決済コストが増大するばかりでなく、苦心して手に入れた利益がコントロール不可能な米ドルの為替リスクの下にさらされることを余儀なくされている。



アジア開発銀行研究院が提供したデータによると、11年に人民元建て決済によって行われた中国の対日輸出は輸出全体の0.3%を占め、同対日輸入は輸入全体の1.7%を占めた。日本円建て決済によって行われた中日貿易の割合はやや高いが、09年の中国の対日輸出をみても18%にとどまっている。



同研究院のケイ予青エコノミスト(博士)は取材に応える中で次のように指摘した。中国と日本は世界2位と3位の経済体であり、中日間の貿易量はアジアだけでなく世界の貿易に大きな影響を与える重要な位置づけにある。それにもかかわらず両国はこれまでずっと第三の通貨を利用して貿易決済を行ってきたし、現在は米ドルの不安定性が増大している。こうした事実はそれほど正常な現象とはいえない。中日の通貨の直接交換が実現すれば、企業の取引コストや為替リスクが軽減されるだけでなく、人民元を受け入れ、使用し、保有することへの日本企業の意欲が一層高まることになる。



欧州債務危機の衝撃が相次ぐ中にあって、現在の世界金融市場は低迷を続け、各国の金融業界は危機回避を求めると同時に、新たな市場の成長点を発掘しようと力を入れている。人民元と日本円との直接交換が中日の金融に巨大な成長の可能性をもたらすことは間違いない。とりわけ日本の金融機関と東京金融市場に巨大な成長の可能性をもたらすことは確実だ。



日本のみずほコーポレート銀行中国営業推進部の鈴木宏司部長によると、みずほフィナンシャルグループ傘下のみずほコーポレート銀行みずほ銀行は、6月1日から日本国内で人民元と日本円との直接交換業務をスタートする。コーポレート銀の中国現地法人も中国での新業務展開に向けて積極的に準備を進めているという。



鈴木部長は市場の見通しについて述べる中で、日本企業の人民元建て決済量は増加し続ける勢いにあり、今後はこの決済業務の量が拡大を続ける見通しだ。みずほは日本円と人民元の直接交換市場に積極的に参加し、この市場の継続的発展を後押ししていく。また顧客の需要に応じて、日本での人民元建て預金・貸出業務や人民元建て先物為替取引といった関連業務を引き続き展開していく、と述べた。



中日金融市場に詳しい日本の大和総合研究所の金森俊樹エコノミストは書面での取材に応える中で次のように指摘した。人民元・日本円の直接交換および先に日本政府が承認を受けた中国国債の購入は、中日の財政金融協力における2つの大きな措置であり、東京のオフショア人民元市場の育成にとってもプラスになるものだ。中国は日本にとって最大の貿易パートナーであり、日中の経済貿易往来がますます密になっていることを考えると、ロンドンよりも東京の方がオフショア人民元市場を受け入れる力と潜在力をより多く秘めているといえる。



前出のケイ予青エコノミストも次のように話す。人民元と日本円との直接交換が実現することは、人民元が国際化に向けて歩み出した重要な一歩とみなすことができる。また日本円や人民元を含むアジア諸国の通貨のグローバル経済・貿易に占める地位が向上することにつながる。米ドルやユーロの不安定性が強まっている今日において、日中が通貨協力を深めることは、世界の通貨システムに大きな影響を及ぼすことであり、アジアの経済体がグローバル経済の中で影響力や発言権を高めていく上でプラスになることだといえる。(編集KS)



 *ケイ:「おおざと」に「形」の旁



 「人民網日本語版」2012年5月30日