日本は冷戦体制から移行を始める(BBC):阿修羅♪

http://www.asyura2.com/10/warb7/msg/115.html







(Japan moves on from the Cold War: BBC NEWS ASIA-PACIFIC)

http://www.bbc.com/news/world-asia-pacific-12015563





2010年12月17日 最終更新07:55GMT





日本は冷戦体制から移行を始める





ローランド・バーク

BBCニュース、東京







日本は米国との関係強化を模索している





日本は、アジアの軍事力バランスの変化に対応して、防衛を再編しつつある。



ソ連崩壊後20年近くが経ち、日本の戦略的配置は冷戦時代から脱却しつつある。



今後10年間の政策を方向づける「国の防衛大綱」は、中国と北朝鮮をロシアより大きな脅威であると指摘している。



日中両国の関係は、尖閣諸島(中国では釣魚(Diaoyu)として知られている)をめぐる領土紛争があってから、緊張状態にある。



この紛争は、9月、日本の海上保安庁が、日本の巡視船2隻と衝突した中国漁船の船長を逮捕したことに始まる。



日本は長い間、増強を続ける中国の軍事力、特に、中国軍が日本南部の島々の周辺海域で活動を増していることを、不安そうに眺めていた。



「このような動向は、中国の軍事や安全保障に関する透明性の不足とあいまって、地域・国際社会の懸念事項となっている」と、防衛大綱は述べている。



それに対応して、日本は保有する軍事力を北−ソ連の侵攻という脅威に対応して、部隊を装備し展開させていた−から南へと再編成しているところだ。





北朝鮮のミサイル





鍵となる変化は、伝統的な重装部隊から、より柔軟な部隊になることだ。



戦車と火砲の数は削減され、一方で、潜水艦部隊は拡充される。



「中国の軍事力の拡大は、陸・海・空だけでなく、日本と中東の海上交通に直接的な影響を及ぼすまでになっている」と、元陸将・北部方面総監で現在帝京大学教授の志方俊之氏は語った。






日本は戦車や火砲を削減し海軍に注力している





「中国の陸軍力は全く心配ないが、海軍やミサイル部隊などの海上軍事力には懸念している。この種の能力の急速な拡大は、将来、脅威となり得る。」



日本にとってもう一つの懸念材料は北朝鮮だ。北朝鮮は、近年日本上空に数発のミサイルを発射し、先月は韓国に対して砲撃事件を起こした。



北朝鮮のミサイルと核開発計画は、「我が国を含む地域の安全保障における喫緊かつ重大な不安定要因である」と、「大綱」は記している。


この計画の下で、日本は、全国に展開するパトリオット迎撃ミサイル部隊の数を増やす。



イージス弾道ミサイル防御システムを搭載する軍艦の数は、4隻から6隻に増やされる。





アジアは見ている





日本の軍事力はイギリスより大きいが、第二次大戦後に施行された憲法により、攻撃行動を行うことは禁止されている。



日本はこの50年間、米国と安全保障同盟関係にある。



2009年に、半世紀にわたる保守政党による支配が終わり、民主党(DPJ)政権が誕生してから、この関係に綻びが生じた。



鳩山由紀夫首相は、不評を買っている米海兵隊基地を、沖縄島南部から移転させるという選挙公約を実行しようとした。



鳩山氏はそれに失敗し、辞職した。



新しい防衛大綱では、同盟は必要不可欠と記され、強化されることが求められている。



「わずかな期間、パラダイムを変えて近隣諸国との関係を緊密にする試みがなされたが、そういったことや、鳩山氏が提唱した東アジア共同体の構想さえも棚上げにしたことを、民主党政権は認めたのだ」と、政治学専門の上智大学准教授・中野晃一氏は語った。



「中国や北朝鮮との間で起きたことを考えたとき、民主党政権は、この局面でなすべきことは日米同盟の強化だという考えにたどり着いたのだ。」



菅直人・現首相は、新しい防衛大綱は近隣諸国を警戒させるものであってはならないと語っている。



しかし、この戦略の転換をアジアはしっかりと見ている。アジアは今まで、戦時中の日本の侵略を忘れることも、許すこともなかったのだ。











(投稿者より)



12月17日に閣議決定された「国の防衛大綱」について解説・批評した、イギリスBBCサイトに掲載された記事です。誤訳があるかも知れません。ご容赦ください。



鳩山前首相が日米同盟のあり方や近隣諸国との関係を見直そうとして辞任に追い込まれ、それに続く菅首相が、国際情勢を考慮して日米同盟堅持を打ち出した様子も、簡潔に記されています。



この防衛大綱について、中国の日本研究者の意見が「人民網」に掲載されていましたので、下に付しておきます。











人民網日本語版)

http://j.people.com.cn/94474/7230505.html

http://j.people.com.cn/94474/7230506.html





新防衛大綱の中国対抗は常套手段

日本は敵対感情を募らせるべきでない





日本防衛省は9日、新たな『防衛計画大綱』最終案の概要を発表した。この大綱は「対中国」的色彩が強くなっている。日本問題の専門家、庚欣氏はインタビューを受けた際、この新たな最終案の提出は特に珍しいことではないとした上で、日本は中国に敵対感情を募らせるべきではないと指摘した。環球網が伝えた。





「微妙な時期」にある中日関係





日本 JCC新日本研究所の庚欣副所長は環球網記者のインタビューを受けた際、中日関係は現在一つの「十字路」に差し掛かっていると指摘した。船舶衝突事件以降、日本は中国との関係をどのように処理すればいいのか分からない状態にある。穏やかに友好に向かうべきか、それともこのまま悪化を続けて氷点まで堕ちるか、日本内閣におけるその方向性が定まっていないため、中日関係は「微妙な時期」にあるといえる。



また、日本政府は現在「新人による試運転」段階にあり、政局が安定していない。米国は中日船舶衝突事件以降、アジア回帰によって再びアジアにおける地位の確立を企んでいるかと思えば、最近では朝韓砲撃事件が発生し、朝鮮半島ないし東アジア全体に「不協和音」が響いており、これら一連の出来事も日本政府が中日関係を処理する上での「厄介な問題」になっているという。





防衛大綱の「中国対抗」路線は珍しいことではない





庚欣副所長は、新たな『防衛計画大綱』の内容について更にこう指摘する。日本は「神経質」という「特性」を持っている。日本周辺のいかなる国のいかなる「行動」に対しても、「警戒」の態度で臨むのが日本のやり方である。中国の平和的台頭は日本にプレッシャーを与えており、日本人にとって中国は「いつ目覚めてもおかしくない獅子」のようなものである。同時に、日本民族特有の「危機感」も祟って、彼らは中国を大きな「脅威」として受け止めている。経済や文化など各方面での発展において中国から離れられない一方で、いつも中国に対し警戒しているのである。



だからこそ、日本は新たな『防衛計画大綱』最終案において核心内容を「対中国」に定め、「中国の動向に注目していく必要がある」から更に踏み込んで「警戒監視」という表現に変わっている。これは日本政府の「常套手段」である。





中日間に存在すべきでない「敵対感情」





中日関係発展の方向性について、庚欣氏は次のように指摘する。これまでの歴史を振り返ると、日本は対中関係発展の際、いつも「風向きを見て舵を取っている」。また、地域ないし世界中の対中態度も日本の政策に影響してきた。つまり、地域の発展方向がそのまま日本の発展方向になっているといえる。



更に、中日は一衣帯水の隣国であり、「他と入れ替わることのない」友好的近隣関係にある。先の船舶衝突事件は中日国交史上の「ほんの小さな出来事」に過ぎず、それを拡大化し全面衝突に発展させるべきではない。中日両国は経済面や社会面だけでなく科学技術、教育、文化、衛生分野においても、その間係は複雑に絡み合っており、お互いに大きな利益こそあれ、根本的な利益衝突は存在しない。しかも、両国は国民一人当たりの貿易額が世界で最も大きい国である。



最後に彼はこう語った。中日関係に「有事」が発生した場合には、最大限冷静を保ち、真剣に取り組むことが必要である。両国は、国民生活における相互依頼度が深く、今後も建設的関係を発展させていくべきである。お互いに長期的視野にたってお互いを見つめ直し、「敵対感情」など持つべきではないのだ。





「中国網日本語版(チャイナネット)」 2010年12月13日