「日本外交の無能力はすでに証明されており、ロシアはそこにつけ込んだ」(RFIの記事より):阿修羅♪

http://www.asyura2.com/10/kokusai5/msg/162.html







(La visite de Dmitri Medvedev aux îles Kouriles fâche le Japon: RFI)

http://www.rfi.fr/asie-pacifique/20101101-visite-dmitri-medvedev-iles-kouriles-fache-le-japon





日本/ロシア

記事発表:2010年11月1日月曜日

最終更新:2010年11月1日月曜日






ディミトリ・メドベージェフ氏のクリル列島訪問が、日本を怒らせる





RFI











1945年以降、クリル列島は日本とロシアの緊張の元となっている。実は、日本の北東部に位置するその島々にロシアが侵攻・占領したことがその発端と考えている。2010年11月1日、 ディミトリ・メドベージェフ氏はロシア大統領として、65年目にして初めてクリルを訪問したが、この訪問は領土紛争を再燃させるだけかもしれない。





RFIモスクワ駐在記者アナスタシア・ベッキオの報告





ディミトリ・メドベージェフ氏は、係争中のこの列島の中で人が住む4島の一つ・国後島に4時間滞在する予定だ。この4時間は日露関係にとって一言で表現できないほどの長い時間となるだろう。ロシアの国家元首は、クリルの社会経済的発展の象徴として位置づけたがっていた。



行動予定は、水産加工場の見学・地熱発電所の訪問・住民との会見となっている。「すぐに、ロシア中心部よりもここの方が生活しやすくなる」と、メドベージェフ氏は会見した人たちに約束した。



2006年、ロシア政府はクリル開発計画を開始した。費やされた180億ルーブル(当時のレートで750億円程度、現在のレートでは400億円程度:投稿者注)の資金は、4億ユーロ以上に相当する。この火山列島に住民と投資を引き寄せたいとの意欲をロシア当局は隠さなかった。そこは水産資源が豊富な海に面しているが、住民の約半数が貧困線上で生活している。



ディミトリ・メドベージェフ氏はアジア太平洋経済協力(APEC)首脳会談への出席のために2週間後に日本・横浜に行く準備をしているが、ロシアの国家元首として1945年以来初のこの訪問により65年越しの領土紛争を再燃させた。













日本にとっては遺憾な訪問





日本の反応は即座に表れた。日本の首相はメドベージェフ氏の訪問を「遺憾」に思い、駐日ロシア大使をすぐに呼び出した。





RFI東京駐在記者フレデリック・シャルルの報告





「 その島々は一体不可分の日本の領土というのが日本の立場で、そこにロシア大統領が来たことは遺憾だ」と、日本の菅直人首相は表明した。1945年からロシアに占領されている島々を指し示すのに、クリルという名を使わないよう注意していた。ロシアが島々を占領したこと妨げとなって、日露2国間の平和条約はいまなお調印されていない。



日本側では、前原誠司外務大臣が、ディミトリ・メドベージェフ露大統領のクリル訪問は「日本国民の感情を傷つける」と付け加えた。ロシア大統領がAPECアジア太平洋経済協力)首脳会談参加のために日本に出発するまで2週間を切っただけに、なおのことこの訪問は日本を傷つけた。



先日、中露両国の首脳がペキンで会談を行い、日本の施政下にあり天然ガスの豊かな沖縄南部の他の島々に関する中国との領土紛争について、ディミトリ・メドベージェフ氏が中国の立場を支持したので、日本は余計に屈辱を感じている。



日本政府は火曜日、中国の胡錦濤国家主席が11月12日から横浜で開かれるAPEC首脳会談に参加すると語った。日本メディアは懐疑的だ。なぜなら、その係争中の島々の周辺で日本の巡視船が中国漁船を立入検査して以来、このアジアの両大国には実際的な対話がない。また、中国は船長の釈放を勝ちとるためにレアアースの日本向け輸出の中止を決定している。



ボリス・エリツィン氏が大統領だった時、ロシアは巨額の経済援助と引替、クリルを日本に返すことを考えていた。2004年に、ウラジミール・プーチン氏は、4島のうちの2島を日本に返すと申し出ていた。











(Le Japon proteste contre la visite de Dmitri Medvedev dans les îles Kouriles : RFI)

http://www.rfi.fr/asie-pacifique/20101102-le-japon-proteste-contre-visite-dmitri-medvedev-iles-kouriles





ロシア/日本/クリル列島

記事発表:2010年11月2日火曜日

最終更新:2010年11月2日火曜日






日本は、ディミトリ・メドベージェフ氏のクリル列島訪問に抗議する





ヴァンサン・イリュティユ











ディミトリ・メドベージェフ露大統領が、論争となっているクリル列島の係争中の1島を訪問したことで、日露両国間の緊張は増している。露大統領は、日本の不愉快との表明を無視し、列島の他の島々の訪問も計画している。日本は不満の表明としてロシア大使を召還した。





露大統領が、日本が北方領土と呼ぶ南クリル諸島4島の1つであるKunashir(日本名:国後(くなしり))島を4時間訪問した問題について相談するために、日本の前原誠司外務大臣は、河野雅治ロシア大使の一時召還を決めた。











クリル列島−小さな火山島の長い連なり−は、北はロシアのカムチャツカ半島から南は日本の大きな島・北海道の間に位置する。



日本の降伏後3日目の1945年8月18日にソ連が併合した、この列島の4つの島である歯舞・色丹・択捉・国後を、日露両政府は争っている。この島々は、世界でもっとも水産資源の豊富な水域のひとつに位置している。



露大統領の電撃訪問は、日露2国間に激しい言葉の応酬をすぐに引き起こした。日本の菅直人首相はこの訪問を「非常に遺憾」と発言し、外務大臣はロシア大使を召還し、「日本国民の感情を傷つけた」今回の行動に抗議した。



ロシア政府もこれに即座に反応した。「メドベージェフ大統領のクリル旅行についての日本の反応は受け入れがたい。クリルは我々の領土であり、ロシア大統領はロシアの領土のひとつに行ったのだ」と、セルゲイ・ラブロフ外務大臣は明言した。ラブロフ氏は、今度は日本の駐露大使がクリルは「ロシアの領土」との説明を受けるために呼び出されていたと発表した。そして、ディミトリ・メドベージェフ露大統領は、「その群島を構成する他の島々」を近々訪問すると、付け加えた。メドベージェフ大統領は日露関係を損ねることを何もしなかったと語っていたと、露外務省は強調を続けた。また、ロシア政府顧問のウラジミール・チェフトチェンコ氏は、事態を鎮めるために「ロシアは当分の間は駐日大使の召還をしないだろう」と指摘した。





日本は謝罪を求めている





日本は北方領土問題を国家の優先事項のひとつと考えており、1945年以降の不正行為に対して声を上げている。ソ連は日本の降伏後に併合を行っており、併合は戦争の結果であるという主張は不可能だと、日本は主張する。ロシアは、スターリンは1945年2月のヤルタ会談のとき、対日参戦の見返りとして、クリル列島をロシアに帰属させるとの確約をローズベルトから得ており、それがドイツ降伏の3ヶ月を過ぎてからの対日参戦につながったと、過去に基づいた主張を続ける。



クリル列島をめぐる紛争のせいで、第2次大戦の終結以降、日露2国間の平和条約締結の試みは、すべて妨げられた。ボリス・エリツィン氏が大統領だった時、ロシア政府はこの領土の返還を検討したが、国内の国家主義者と共産主義者の反対によって、この計画は消滅した。2004年には、ウラジミール・プーチン大統領が4島のうちの2島という条件で返還を申し出た。この提案を日本は受け入れられないと判断した。この数年、その条件では合意できないというためらいが新たに生じた。それでも、日本の首相は6月に、クリル列島の問題を含めた日露2国間関係の進展のために「良好な条件」が整ったと判断している。





日本外交の難局





ロシアとの紛争は、日本の中道左派政権にとって最も悪いタイミングで発生した。日本はすでに9月以降、東シナ海に位置する別の群島をめぐって、中国との間で別の外交危機の渦中にあるのだ。野党と主要なメディアは、日中両国が領有を主張する尖閣−中国名・釣魚−諸島近海で、日本の巡視船と衝突した中国漁船の船長を釈放したことで、中国の圧力を前にして弱さを露わにしたと菅政権を非難している。日本最大の日刊紙・読売新聞は、日本政府のクリル列島4島の強い返還要求を直面して得点を稼ぐために、ロシア側は混乱に陥った日本外交から更に利益を引き出したのだと考察する。



65年の長きにわたる危機の現実と紛争にもかかわらず、日露両国はディミトリ・メドベージェフ大統領と菅直人首相の会談を11月中旬に行いたいと望んでいるようだ。露大統領は11月12日、日本で開催されるアジア太平洋経済協力(APEC)首脳会談に出席する。この外交の冷え込みは、日露2国間の経済関係に危機を及ぼすことはない。また、日本はロシアのエネルギー資源を必要とし、その輸入を中止したいとは全く考えていないと、アナリストたちは口を揃える。














ディミトリ・メドベージェフ氏のこだわりとその意味





RFI東京駐在記者フレデリック・シャルルの報告





1945年以来はじめて国家元首がクリル列島を訪問したことにより、ロシアは日本外交の欠陥につけ込んだ。日本外交の無能力は、別の危機への対応によってすでに証明されている。沖縄南部の島々の、やはり領有権をめぐる中国との紛争で、中国漁船船長を逮捕したものの、日本のハイテク産業に不可欠な戦略資源である、レアアースの対日輸出中止という経済兵器を中国が使用すると、日本はすぐに船長を釈放した。



ディミトリ・メドベージェフ露大統領は先日のペキンを訪問で、日本との海上の領土紛争について中国の立場を支持した。バラク・オバマ米大統領がアジア歴訪の準備を始めた今になって、今度はディミトリ・メドベージェフ氏が、偶然を装い、中国と一緒に日本との緊張を高めている。やはり中国との領土紛争を抱えるフィリピンやベトナムといった米国の同盟国は、中国の経済的な脅迫に日本が屈したのを目の当たりにして不安を隠さない。中国は海軍国としての立場を明確にし、太平洋に展開する米第7艦隊のこの地域への影響力を削りたいと模索している。ロシアはかつて中国との領土紛争を抱えていたが、かつてアジアで持っていた影響力を取り戻すために中国と提携した。











(Explainer: 65-year dispute over Kuril archipelago: RFI English)

http://www.english.rfi.fr/asia-pacific/20101101-explainer-65-year-dispute-over-kuril-archipelago





日本/ロシア

記事発表:2010年11月1日月曜日

最終更新:2010年11月1日月曜日






説明:クリル列島をめぐる65年越しの紛争





RFI











なぜ、天気が悪いような島々が日露両国にとってそんなに重要なのだろうか。外交的な小競り合いの元となった、紛争の原点を見よう。





ソ連がクリル列島を奪取したのは、日本が米国に降伏して太平洋戦争が終結したすぐ後の、1945年8月8日(原文のとおり書いています:投稿者注)だった。ソ連政府が日本に宣戦布告したのは、戦争終結のたった6日前の、原子爆弾が広島に投下された後だ。



日本は1855年(原文のとおり書いています:投稿者注)以来、1300kmの長さの火山列島を支配し、その島々を北方領土と呼んでいた。



日露両国は第2次大戦の敵対関係を終了させる、平和条約の調印をいまだに行っていないが、その主な原因は、この係争中の島々にある。



その島々の気候は劣悪で、人口も1万9000人あまりだが、金や銀などの鉱産資源が豊富で、水産資源が豊富な漁場もある。冷戦中は、ソ連の海空軍の拠点となる基地もあった。



ソ連は1万7000人以上の日本人をカザフスタンウズベキスタンに移住させた(原文のとおり書いています:投稿者注)。



1956年、ソ連政府は2つのもっとも小さな島々を日本に返すと申し出たが、日本はその考えを拒否した。



ソ連崩壊後、日露関係を強化させる交渉が再開されたが、主としてクリル列島の紛争のために、進展は全くなかった。



欧州議会は2005年に日本を支持し、島々を返すようロシア政府に求めた。











(投稿者より)



メドベージェフ露大統領が11月1日、国後島を訪問したことを伝えた、フランスRFIの報道をいくつかつなげました。誤訳があるかもしれません。ご容赦ください。



65年もの実効支配があるのに、なぜ今、ロシア大統領が訪問したのか、という問いに対する答えは、やはり「日本が弱体化したから」という以外にはないように思われます。



日本は開国するずっと前からロシアの脅威を認識し、備えを怠りませんでした。日英同盟も、日米安保も、究極の目的はロシア対策です。その日本・アメリカが共に弱体化しているのです。何とかしたければ、日本が強くなるしかありません。



しかし、そこに、日本のゆがんだ構造を放置したまま、日本から搾取するために不安を煽り、戦争への方向に日本を導こうとする者の存在を感じます。そして、その者たちの手の平で踊っている、劣化した日本のエリートたちの姿を見るのは、私だけではないと思います。



最後の短い解説記事には、事実誤認がいくつかあります。日本が北方4島の領有を主張する根拠については、択捉以南の島々は一度もロシアの支配を受けず、それを受けて、日露和親条約では択捉得撫間に国境線が引かれたという意味での、「日本固有の領土」でした。千島全島が日本領になったのは1875年の千島樺太交換条約でした。行政的には、律令の時代から続く令制国の体制に組み込まれ、歯舞諸島根室国、その他の島々は千島国に編入されています。終戦当時にいた1万7000人の住民は日本に帰還しており、中央アジアへの強制移住の事実はありません。ただ、北方4島をソ連が占拠したいきさつについて、この記事は日本の立場に沿って書かれており、欧州で仏露が接近しつつある状況の中、フランスの国営メディアがこのような記事を出すのは意外でした。



この部分について、イギリス(ヤルタ会談の当事者の一人です)BBCの記事では、「ロシアは戦争終了時にこれらの島々を支配し、1949年までにすべての日本人住民を退去させた。」とだけ書かれています。



(Kuril islands dispute between Russia and Japan: BBC NEWS Asia-Pacific)

http://www.bbc.co.uk/news/world-asia-pacific-11664434









※ 2017.6.22 訳文を見直しました。